二十世紀旗手 (新潮文庫)

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著者 : 太宰治
  • 新潮社 (2003年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006093

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二十世紀旗手 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 作品集「晩年」の発表前後
    麻薬中毒で錯乱していた時の、支離滅裂な作文ばかり集めたもの

    「狂言の神」
    友人の笠井くんが自殺してしまった
    そこで追悼のために、彼のことを書き始めるのだが
    じつはその正体が作者自身であることは、すぐに割れてしまう
    (執筆前年に単独自殺を試みている)
    貧乏に負けたと思われるのが嫌で、ポケットにお金を残しておくのだが
    結局死ぬのもやめて、こんな小説を書いている

    「虚構の春」
    レター教室なんてとても言えない
    どれもこれも独りよがり、そうでなきゃ白々しく取り澄まして
    読むに耐えない猿面冠者の妄想以下だ
    もっとこう、女生徒の日記みたいな色気のあるものを送ってほしい
    そんな願いの伝わる書簡集

    「雌に就いて」
    いい女がそばに居てくれたら自殺しないですむのになあ
    そんな理想を形にすべく、友人相手にシミュレーションを行うが
    最後はやはり自殺だった
    226事件の夜
    観客なし、ひたすら陰惨の漫才だった
    三島由紀夫などは、太宰のこういうところを意識したのだろう

    「創生記」
    独善的でなければ小説は書けない
    きちんとした小説などスランプのしるしにほかならない
    そのように嘯き、人に金を無心しては薬物に耽溺
    支離滅裂であることに首尾一貫を見ようとする、凄惨な決意だ
    心の平和の訪れは将棋に没頭したときだけなんだ

    「喝采」
    悲劇役者の柄じゃない、出世はもとより望めない
    だから涙の道化なんだな

    「二十世紀旗手」
    二十世紀はスキャンダルの時代だ
    やりたかないけどしかたない、というスタンスで
    生まれてすみません!とあらかじめことわってはいる

    「HUMAN LOST」
    いたわりを要求したのは太宰
    金銭を要求したのも太宰である
    その結果得られたのが麻薬中毒の苦しみだったとしても
    たどりついた場所が精神病院だったとしても
    すべて自己責任、自業自得というものだ
    しかし、にもかかわらず!被害者づらの太宰であった
    いちおう「人間失格」の原型とされている
    …精神が回復していく様子も書かれているので安心?してほしい

  • 学生時代に読んだときとはだいぶ印象が違う(そりゃそうだ)。
    小説中に散りばめられた太宰の甘え。
    「こんなに、僕はひとりで苦しんでいるのだから、どうぞ優しくしてください」
    好き勝手やって人に迷惑かけて何を言う。と、大人になってしまった私は思う。

    だけど、甘えの下からこぼれる悔し涙を、絶望の吐息を、美しい言葉に昇華する。錯乱した精神が、原稿用紙に向かうときだけは研ぎ澄まされるかのように。つくづく純文作家だなあと思う。

  •  これについて行けたら人生は多分もはや自分にとって意味がないのではないか、と思う程度に、借金と苦悩と言い訳に満ちた作品集であった。
     ヒューマンロスト以外は読み返さなくていい。

  • 二十世紀旗手、虚構の春は途中で断念

  • うわ〜。これはマジもんに気が違ってます。全編あますところなく気狂いピエロな太宰さんを堪能し、ドン引きさせていただきました。話題の「絶歌」読む気はないですがかの作品の1億倍はダウナーな狂気を味わえることを保証します。「絶歌」より絶対こっち読んだ方がいいですよ!向こうは「治ってる」けどこの時期の太宰さん治っていませんから。「虚構の春」は書簡のみで構成された作品でしたが結構好きです。「HUMAN LOST」は意外と癖になる変なユーモアを感じました。でも中学生が読書感想文に書くと家庭訪問されるからやめておこうね!

  • 初めて太宰を読む人に本書はお薦めしない(居ないと思うが)。最も実験的で尖がった試みの短編・中編を収めた文庫である。

    『虚構の春』は、太宰に届いた書簡・手紙を配列し、それだけで構成。実際の書簡に、創作した書簡を混在させていると云われる。いずれにしろ、思い切った試みの“小説”。

    『創世記』『喝采』『二十世紀旗手』『HUMAN LOST』は、いずれも、思考の断片の様々を連ねた“構成”。物語線は無い。
    なかには、多様なモチーフが、短文で次々と投げつけられる展開もあり、時に、これはラップか、と思わせるものも。

  • 太宰の感情に、激情に呑み込まれるという表現が正しい。

  • 天才作家がジャンキーになると、こんなブッ飛んだ文学が創生されるという見本のような作品集。よくもこんなに様々な言葉が湧いてくるものだと感心するが、線ではなく完全な点の文学である。後の代表作「人間失格」のプロトタイプみたいな「HUMAN LOST」で、内妻の悪口を書いた部分が逆に太宰の人間らしさを感じる。

  • これも読みづらい。
    話は暗いし、支離滅裂だしで、読むのに骨が折れる。

  • 私の読解力が足りないので理解できないのかと思ったが、解説を読む限り最初から難解な文章らしい。
    でも、自殺にちょうどいい木を見つけて「善は急げ、というユウモラスな言葉が浮かんで」というような一文など、手記のような小説などは、ついクスリと来てしまう部分もある。

  • 読みながら、うあーどうしたらいいんだろう、何を感じればいいんだろう、わかんないってなった。
    太宰でそうなったのは初めてだったからどうしたらいいかわからなかった。
    でも不思議なことに、もう一回読みたくなる。

  • 正直いまいち。ヤク中で本当におかしくなってた頃の作品が多く、何を読み取ればいいのかわからない。

  • 支離滅裂でわかりづらい。
    でも、太宰を知るためには必要な1冊でしょうね。

  • デビュー作『晩年』発表後、太宰治が27~28歳の時に世に出した短編を集めた本です。

    『晩年』よりも、さらに研ぎ澄まされた、読み手のこころにざくざく突き刺さる言葉が書き殴られていました。いわゆる小説としては、特に「創生記」など、ギクシャクしてストーリーに一貫性がなく、なんだかよくわからない電波ブログのようにも見えます。しかし「人間にとって、小説でしか表現できない何か、が確実にある」ということ、これを改めて教えられた、そういう本でした。


    以下は私事、「みじめな自分」語りを展開します。不快を受けられたらすみません。

    2014年1月初旬の三連休、最初の「狂言の神」を読んだ後、わたしは背中を押されたような気分になり、ひとり鎌倉・七里ガ浜へと逃げ出しました。"背を丸くし、頬杖ついて、三十分くらい、じっとしていた。このまま坐って死んでゆきたいと、つくづく思った(P.20)"。しかし無論死ぬ勇気などなく。そして本書の残りの短編を読みました。

    まず、読んでいて単純に楽しかったのは「虚構の春」でした。

    "太宰さん、ぼくは東京に帰って、文学青年の生活をしてみたいのです。会社員生活をしているから社会がみえたり、心境が広くなるわけではなく、却って月給日と上役の顔以外はなんにもみえません。大学でつめこんだ少量の経済学も忘れてしまいました。勉強のできなくなる事、前からあまり好きませんが、一層ひどいです。"(P.105「虚構の春」)

    昨年から、あれやこれやと愚痴戯言を周囲にまき散らしてきましたが、要はここに書いてある通りのこと。ただ甘えているだけのことです。しかし、(でも、これはひとつの真実であり、サラリーマンたる自分に嫌気がさすことは、そんなにおかしなことだろか。太宰先生も書いてるし!)、などとさらなる甘えが頭をもたげます。これは太宰治の言葉というより、「太宰治に向けられた手紙の一文」として設定された言葉なのに。いやしかし・・

    続いて、一番衝撃を受けたのはやはり最後の「HUMAN LOST」。例えばP.230~、"私営脳病院のトリック"には、もう笑うしかない。"「出してくれ!」「やかまし!」どしんのもの音ありて、秋の日あえなく暮れんとす"。ああ我らがデイ・ナイト・ケア(嘘)。


    その他印象に残った箇所を備忘録がてら書いておきます。

    "君は二十九歳十カ月くらいのところだね。芸者ひとり招べない。碁ひとつ打てん。つけられた槍だ。"(P.48「虚構の春」)

    "僕の健康は、人に思われてるほど、わるくはないと思う。けれども、何事にも本気になれない。・・(中略)・・ほとんど休んでばかり居れば日曜もたのしくなく、夜ねても、一日がおわったといういこいではなくて、あしたがあるというつかれを覚えています。健康をねがって終日をくらす。今は、弱いというだけで病気はありません。"(P,92~「虚構の春」)

    "人みな同じ、五段おとされたこと忘れ果て、三段の進級、おめでとう、おめでとうと言い交して、だらしない。十年ほど経って一夜、おやおや?と不審、けれどもその時は、もうおそい。にがく笑って、これが世の中、と呟いて、きれいさっぱり諦める。それこそは、世の中。"(P.193「二十世紀旗手」)

    "享楽のための注射、一本、求めなかった。おめん!の声のみ盛大の二、三の剣術先生を避けたにすぎぬ。「水の火よりも勁きを知れ。キリストの嫋々の威厳をこそ学べ。」"(P.246「HUMAN LOST」)

  • パピナール中毒期の作品群。

    支離滅裂なものも多く、私には難解すぎた。
    けど、不安定な心情を描くとこうなるのかもしれない。
    わざとなのか、ほんとに錯乱したままかいたのか、境界線がわからなかった。

  • 最初の作品集『晩年』を上梓した後くらいに書かれたもの。芸術への自信と、その一方では生きて行くことへの齟齬と。果ては「生まれてすみません」の述懐にいたる。自殺未遂など、太宰が精神的には大いに揺れ動いていた時期。また、「大いなる凡人」でもある彼は芥川賞が欲しかったようだ。「創生記」では、もう取ったかのような喜びよう。なんだか悲痛でさえある。結局、この時の芥川賞(第1回)は、石川達三の『蒼氓』に与えられ、太宰は落選の憂き目に。三島由紀夫も村上春樹も取れなかった。一方、取った大作家には大江健三郎や安倍公房あたり。

  • 太宰、初期の作品集。薬物による狂気と、野心と、絶望感に溢れている。まさに破滅的。

  • 「晩年」はまとまった形の最初の短編集だけど、この「二十世紀旗手」は新潮がまとめた「晩年」より後の作品集なので、「晩年」を読んだらこれも、って感じですね。

    で、「晩年」も前衛的な作品は入っているものの、本人が焼き棄てたりして厳選して収録しているので、短編集(音楽でいうところのアルバム)単位ではものすごくバランスがいいのです。バラエティに富んでて。

    しかしこの「二十世紀旗手」は「晩年」よりもさらに前衛的、ヤク中&精神病院に入院など色々あってさらにわけがわからない世界。
    なので非常に読み難い。
    わけがわからないし読み辛いんだけど、断片をつなげていくとわかる。
    アフォリズム、散文詩的・・・というよりも僕自身はラップ、ヒップホップに近い印象を受けました。そこがいいのです。

  • 端的に言って、太宰にとっては入口のみの、読者にとっては出口のみの短編作品集。太宰の狂乱の様を顕すように、ほとんどの作品が、文章と呼べるかすら疑問なほどのじゃじゃ馬である。内々の空間四方に、あらん限り苦悩を叩きつけたばかりのものであって、現代のカテゴリとしては明らかに小説ではない。奇を衒おうという試みは散見できるが、筆が伴わない。私小説の体が備わるまでの過渡作品群と言ってもいい気がする。ところが、百行のうちに一行の珠が隠れているから油断が出来ない。「HUMAN LOST」はその向きがベクトルとして機能し始めている(と私は思う)。非常に難しい一冊。だが、「人間・太宰治」を識るには恰好の作品集なのかもしれない。

  • んー、、、読みづらい

  • うん、意味が分からなかったよ、ごめん。
    物語になっているものは読めたけど、支離滅裂なやつはお手上げだ。これはちょっと無理だわ。

  • 太宰治、精神的にしんどかったときの作品集。
    しんどかったのが影響しているのかはわからないけれど、
    他の作品に比べて難しく、理解しにくく、読みごたえがなかった。

    もう少し、大人になって、太宰とその時代のことをもっと知ってから、
    もう一度読み直したいと思う。

  • 何とかかんとか。ほぼ一ヶ月かかって読了しましたん。やっぱり遠出すると本読めるよね。
    全体的には、ちょっと読むのが辛い内容が多かったかなぁ。

    内容的には「狂言の神」「虚構の春」「雌に就いて」「創生記」「喝采」「二十世紀旗手」「HUMAN LOST」の7編が収録されている。
    太宰といえば自殺未遂、薬物中毒により脳病院(精神病院だったっけ?)入院といった醜聞がつい先に立ってしまう人だけれども、それらの出来事について太宰の自己内省が綴られているものが多いように思われれる。特に「HUMAN LOST」はなんだかものすごくやりきれないな〜と思った。
    そんな中で「虚構の春」の、太宰宛に届いたいろいろな手紙をただただ羅列している(実際にそうなのかどうなのかは謎。そういう体裁をとった創作であって実録と言い切れないと思う)短編がワタシには印象深かった。
    いろいろな相手からの文章。
    故郷の知り合いから恩師から編集部からそして読者からの手紙。
    特に読者からの手紙は‥う〜ん。
    なんだか本人の熱いせっぱつまった想いは判るんだけど、なんだかあてつけがましくって、すごくストレスを感じてしまった‥。
    そういえば夏目漱石も、あつかましい読者からの往復書簡でストレスためてたなぁ〜なんて思い出したり。同時にその時代の「作家」と「読者」の距離の近さなんかも新鮮だった。
    でもなんだか「作家」の哀しさも感じてしまった。その読者をむげにすれば恨まれて。ちゃんと対応すれば軽んじられる。なんだか周囲の人間のいい加減な尺度みたいなものを感じてしまった。うむ〜。
    あ。個人的に好きだな〜と思ったフレーズ。
    「雌に就いて」の、226事件のあった晩に、「私」と「客人」が女の寝巻きについて話をしているんだけれども。
    その中で、私が「いや、洗いたての、男の浴衣だ。荒い棒縞で、帯は、おなじ布地の細紐。柔道着のように、前結びだ。あの、宿屋の浴衣だな。あんなのがいいのだ。すこし、少年を感じさせるような、そんな女がいいのかしら。」という言葉がなんだかすごく「いいな〜」と思ってしまった。
    自分でもなぜだろう??

    全体的に辛いけれども。それでも太宰の文章には重力が半分くらいにしか感じられない。
    文章が簡単とか吟味していないという意味じゃなくて。読んでて浮力を感じるんだよね。
    ワタシが思う所の太宰のすごさは、そこにあるような気がする。
    それは表現している内容とは関係ない所ではあるけれども。
    それは「新しさ」にもあてはまりそうな気がする(この場合の被対象は夏目漱石等)。
    そして、だからこそ、ワタシは太宰の本を現在読みあさっているんだろうな。きっと。

  • 含羞は、誰でも心得ています。けれども、一切に眼をつぶって、ひと思いに飛び込むところに真実の行為があるのです。できぬとならば、「薄情。」受けよ、これこそは君の冠。


    『HUMAN LOST』丸ごとスクラップしたいくらい。「くたびれたら寝ころべ!」「笑われて、笑われて、つよくなる」本当は岩波文庫がry

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