二十世紀旗手 (新潮文庫)

  • 698人登録
  • 3.35評価
    • (39)
    • (43)
    • (184)
    • (21)
    • (0)
  • 55レビュー
著者 : 太宰治
  • 新潮社 (2003年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006093

二十世紀旗手 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 作品集「晩年」の発表前後
    麻薬中毒で錯乱していた時の、支離滅裂な作文ばかり集めたもの

    「狂言の神」
    友人の笠井くんが自殺してしまった
    そこで追悼のために、彼のことを書き始めるのだが
    じつはその正体が作者自身であることは、すぐに割れてしまう
    (執筆前年に単独自殺を試みている)
    貧乏に負けたと思われるのが嫌で、ポケットにお金を残しておくのだが
    結局死ぬのもやめて、こんな小説を書いている

    「虚構の春」
    レター教室なんてとても言えない
    どれもこれも独りよがり、そうでなきゃ白々しく取り澄まして
    読むに耐えない猿面冠者の妄想以下だ
    もっとこう、女生徒の日記みたいな色気のあるものを送ってほしい
    そんな願いの伝わる書簡集

    「雌に就いて」
    いい女がそばに居てくれたら自殺しないですむのになあ
    そんな理想を形にすべく、友人相手にシミュレーションを行うが
    最後はやはり自殺だった
    226事件の夜
    観客なし、ひたすら陰惨の漫才だった
    三島由紀夫などは、太宰のこういうところを意識したのだろう

    「創生記」
    独善的でなければ小説は書けない
    きちんとした小説などスランプのしるしにほかならない
    そのように嘯き、人に金を無心しては薬物に耽溺
    支離滅裂であることに首尾一貫を見ようとする、凄惨な決意だ
    心の平和の訪れは将棋に没頭したときだけなんだ

    「喝采」
    悲劇役者の柄じゃない、出世はもとより望めない
    だから涙の道化なんだな

    「二十世紀旗手」
    二十世紀はスキャンダルの時代だ
    やりたかないけどしかたない、というスタンスで
    生まれてすみません!とあらかじめことわってはいる

    「HUMAN LOST」
    いたわりを要求したのは太宰
    金銭を要求したのも太宰である
    その結果得られたのが麻薬中毒の苦しみだったとしても
    たどりついた場所が精神病院だったとしても
    すべて自己責任、自業自得というものだ
    しかし、にもかかわらず!被害者づらの太宰であった
    いちおう「人間失格」の原型とされている
    …精神が回復していく様子も書かれているので安心?してほしい

  • 学生時代に読んだときとはだいぶ印象が違う(そりゃそうだ)。
    小説中に散りばめられた太宰の甘え。
    「こんなに、僕はひとりで苦しんでいるのだから、どうぞ優しくしてください」
    好き勝手やって人に迷惑かけて何を言う。と、大人になってしまった私は思う。

    だけど、甘えの下からこぼれる悔し涙を、絶望の吐息を、美しい言葉に昇華する。錯乱した精神が、原稿用紙に向かうときだけは研ぎ澄まされるかのように。つくづく純文作家だなあと思う。

  •  これについて行けたら人生は多分もはや自分にとって意味がないのではないか、と思う程度に、借金と苦悩と言い訳に満ちた作品集であった。
     ヒューマンロスト以外は読み返さなくていい。

  • 二十世紀旗手、虚構の春は途中で断念

  • うわ〜。これはマジもんに気が違ってます。全編あますところなく気狂いピエロな太宰さんを堪能し、ドン引きさせていただきました。話題の「絶歌」読む気はないですがかの作品の1億倍はダウナーな狂気を味わえることを保証します。「絶歌」より絶対こっち読んだ方がいいですよ!向こうは「治ってる」けどこの時期の太宰さん治っていませんから。「虚構の春」は書簡のみで構成された作品でしたが結構好きです。「HUMAN LOST」は意外と癖になる変なユーモアを感じました。でも中学生が読書感想文に書くと家庭訪問されるからやめておこうね!

  • 2016/05/14 読了

  • 初めて太宰を読む人に本書はお薦めしない(居ないと思うが)。最も実験的で尖がった試みの短編・中編を収めた文庫である。

    『虚構の春』は、太宰に届いた書簡・手紙を配列し、それだけで構成。実際の書簡に、創作した書簡を混在させていると云われる。いずれにしろ、思い切った試みの“小説”。

    『創世記』『喝采』『二十世紀旗手』『HUMAN LOST』は、いずれも、思考の断片の様々を連ねた“構成”。物語線は無い。
    なかには、多様なモチーフが、短文で次々と投げつけられる展開もあり、時に、これはラップか、と思わせるものも。

  • 太宰の感情に、激情に呑み込まれるという表現が正しい。

  • 天才作家がジャンキーになると、こんなブッ飛んだ文学が創生されるという見本のような作品集。よくもこんなに様々な言葉が湧いてくるものだと感心するが、線ではなく完全な点の文学である。後の代表作「人間失格」のプロトタイプみたいな「HUMAN LOST」で、内妻の悪口を書いた部分が逆に太宰の人間らしさを感じる。

  • これも読みづらい。
    話は暗いし、支離滅裂だしで、読むのに骨が折れる。

全55件中 1 - 10件を表示

太宰治の作品

二十世紀旗手 (新潮文庫)に関連する談話室の質問

二十世紀旗手 (新潮文庫)に関連するまとめ

二十世紀旗手 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

二十世紀旗手 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

二十世紀旗手 (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする