新ハムレット (新潮文庫)

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著者 : 太宰治
  • 新潮社 (1974年4月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006123

新ハムレット (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 一区切りずつ、丁寧に読むのが味わい深い短編集。太宰治の、緊張しきった鋭利な文章が目を覚まさせる。

    『古典風』散文調が現代ではツイートと呼ばれる、様に思われた。てると十郎については少々思い当たる節がある。

    『女の決闘』作中の作品とされるものの空気はまるで映画のよう。澄み切った文体で時は冬に違いないと感じた。ただ、舞台はロシアで水溜りは凍ってはいないが。ドキッとしたところを抜き出しておきたい。「真実は、家庭の敵」「念念と動く心の像のすべてを真実と見做してはいけません」「薄情なのは、世間の涙もろい人たちの間にかえって多いのであります」「『女は、恋をすれば、それっきりです。ただ、見ているより他はありません。』」

    『乞食学生』「私」がついつい少年と話していて大笑いしそうだったところで、いっぺんに、あの玉川上水の景色が浮かんだ。そこまでは正直、なかなか入り込めなくて…でもその部分で「私」に愛着がわいた。「私」の気持ち超分かる。テーブル席よりカウンターの方が好き。「青木女之助とでも改名すべき」とかマジ笑った。この短編はコメディなのかな。「『元祖ですね。』と言い直した」とかさぁ。「ぐっと一息で飲みほした。うまかった」ただ「自分のからだに傷をつけて、そこから噴き出た言葉だけで言いたい」この言葉は覚えておきたい

    『新ハムレット』この作品のことを「かすかな室内楽」と書いているが太宰の性質はまさに、バイオリンの弓のかすれさえ際立つような魅力があるように思う。また、自虐芸術。自虐がうまい。「若い者にとっては、陰の愛情よりも、あらわれた言葉のほうが重大なのです」これって若者だけじゃないよね…言葉にするの、大事。王の懐の深さが身に沁みる。優しい。で、ハムレットの若さが…初読は20代に違いないのだから当時は王の行っていることが分からなかった。今は王の親としての責務の方が共感できる。「生みの母ほど、子の性質を、いいえ、子の弱点を、知っているものはありません」

  • 新ハムレットは、原作との違いが多いが、
    「近代版」ハムレットとしてみれば、
    それなりに面白い改変だと思います。

    自分の知性と才能に絶対的の自信を持った、
    思いあがった天才作家という人もいるが、
    現実には、作家としての太宰は・・・

  • 表題作、こんなにあっという間に読むほどのめりこむと思いませんでした。元のハムレットを軽く読んで途中挫折しそうだったから。
    新ハムレットのハムレット君のまぁ痛いような切ないようなアルアルな若者らしさに目も当てられなかったり頷いたり恥ずかしくなったりしつつ、それぞれのキャラクター同士の会話に引き込まれて行きました。

    愛してるというのは恥ずかしいのか恥ずかしくないのか
    愛してくれというのは恥ずかしいのか恥ずかしくないのか

    どうなんじゃろね。

  • 太宰中期の作品の中でも最も骨太で知的な作品が多いような印象を持った。収められている作品は海外文学に取材した作品が目立ち、かなり知的な太宰を味わうことが出来る。「新ハムレット」はハムレットをよく知らない私が読んでも面白かった。登場人物があまりに太宰的でちょっと笑えた。ハム(レット)にレヤチーズにポローニヤス…なんだか美味しそうである。本作のハムレットはかなり中二病をこじらせているが原典でもそうなのだろうか。「乞食学生」はまんまと騙されてしまう作家がカルピスを飲むラストがかわいい。あざとい。

  • 私が今まで読んできた太宰の中で一番か二番目に好きです!!
    すごく面白い(((^-^)))
    太宰の安定期は面白いから他のも読んでみる~!

  • 古典「ハムレット」を素材に、翻案、新たな肉付けを試みた「新ハムレット」をはじめ、中篇を集めた作品集。

    「新ハムレット」は、善悪の輪郭がはっきりしたオリジナルと趣きを異にし、登場人物がうねうねと逡巡したり、意志が揺れたりする印象があって読みづらく、私にはしっくりこなかった。

    「女の決闘」も、同様にドイツのオイレンベルクの作品『女の決闘』を基に、新たな作品に仕立て直した中篇。
     この作品では、原作・原型の骨格を基に、云わば行間の部分で、女の思いや情の部分を膨らませたようだ。

    「乞食学生」。玉川上水の土手で、風変わりな青年と出会う。妙に自信家で傲岸な男で、彼との奇妙な1日が始まる。井の頭公園(らしきところ)の池のほとりの茶店を経て、吉祥寺、渋谷へと至る道行。そして、意外な落ちで終幕する。

    古典を基に新たな作品を創造せんとしたこれらの作品、私は好みではない。

  • ハムレットはシェイクスピア派。ポローニアスがしゃべりすぎ。

    乞食学生を初めて読んだとき、「熊本くんにも、佐伯くんにも欠点があります。僕にもあります。助け合って行きたいと思います。」という文章にどきっとした。一番好きなとこ。

  • やや実験的な作風の中期セレクション。無名の外国作家やシャイクスピアの新解釈も毛色が変わって興味深いが、最後に収められた短い女子もの「待つ」が一番印象に残った。

  • 元のハムレットの前にこちらを読んでみました。人と人との考え方のすれ違い、思い違いがクスリと来る人ならば面白く読めるかもしれませんが、台詞がもの凄く長くくどいので私はあまり面白くありませんでしたし、クスリと出来ませんでした。
    善悪がはっきり無く、人それぞれ何か理由があると言う部分に考えさせられるものがありました。

  • 果たしてこの小説は何を伝えたかったのか、しりきれトンボのような展開に疑問が残る。文章も特に美しくもなく、面白みにかける。

  • 「僕の帽子は、決して小さいほうでは、ありません。」熊本君はもっぱら自分の品物にばかり、こだわっている。「僕の頭のサイズは、普通です。ソクラテスと同じなんです。」
    2014/08/29-09/14

  • 中期の作品集。読者に媚びてる気配はややあって、悔しいけれど面白い。

  • なんとなく太宰治という気分で( v_v)

  • 「乞食学生」のラストで大笑いした。夢の中とは言え、酔っ払って何してんの?しかも二人逃げてるし。ユーモアたっぷりの作品。表題作は登場人物の心の底が、まさに太宰という感じで深められている。一人一人、エゴを持っていて、誰が悪人なのか、いや、皆悪いところを持っている。

  • 西洋の古典や小説を題材にし、自分の発想で書いた作品。
    今まで読んだ作品とは違う新鮮さや構成の巧さを感じて、とても興味深い作品でした。

    特に、「女の決闘」と「乞食学生」が面白かった。

  • 保有状況:譲渡&購入日:40179&購入金額:578

  • 「女の決闘」はメタ太宰の集大成的な作品。
    「新ハムレット」はハムレットを他人とは思えない。
    「待つ」の余韻はものすごい。

    太宰はどれもおもしろいけど食い疲れました(笑)

  • タイトルにもなっている「新ハムレット」は解説によると原作に忠実に書かれているらしい。早速原作を英語で読んでみようとしたが、やはり難しく遅々として読み進められない。何かいい方法はないだろうか・・・

  • 古典風
    女の決闘
    乞食学生
    新ハムレット
    待つ

  • 本物ハムレットと読み比べるべきか迷います…

  • ※こちらに収録された『待つ』のみの感想です


    人が一番不安を覚える行為。それは待つ、ことかもしれない。

    次に起きること・遭遇するものを充分に想像できてしまっているのに、
    その予想を裏切られ、考えてもいなかったことと向き合うことになる。
    そんな気持ちに駆られることが「待つ」の持つ一面だ。

    しかし、そうなる可能性を背負うことは放棄できない。

    主人公の娘は、誰もが逃げたくなるその事実に
    まっすぐぶつかり、壊れそうになるまで考え、悩む。

    彼女は、きっと、きっと幸せになれる、と私は確信している。


    たった4ページの掌編小説が、もう何年も脳裏に焼きついている。

  • 「女の決闘」では太宰治に対する世界観を大きく変えられた。今までロマンチストだと思っていたが、この手の描写もできるとはさすが奇才である。また「待つ」ではたった3ページという短さにあれだけ深い内容を凝縮させる彼の才能はすごい。

  • 資料ID:C0006998
    配架場所:本館2F文庫・新書書架1(千葉)

    決勝戦進出

  • 太宰作品を読みたい衝動に駆られるとき、私が一番に想うのが『待つ』。

  • 太宰治の中で一番好きな作品です。
    太宰治の描く自己愛、葛藤、優越、これらが苦手だなぁと思って
    しまう私ですが、この作品では純粋にシンプルに内容を楽しめる
    のではないでしょうか。

    1冊で様々な技巧を凝らした文章が読める、少しアクが強い
    本ではありますが、おすすめです。

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