もの思う葦 (新潮文庫)

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著者 : 太宰治
  • 新潮社 (2002年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006147

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もの思う葦 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 前期に書かれた表題作「もの思う葦」から晩年の「如是我聞」まで、太宰の言葉が集められた1冊。
    太宰はどこまでも一生懸命で、全力で文を書いている。(そのことは、何かの短編で語っていた。)不器用な懸命さというかなんというか、自己犠牲的なもの。命懸け。でも命懸けで書きたかったのは、小説であって、創作だった。だから随筆とか自分のことについては、おざなりでやっつけ感満載。お金のための、お酒のための仕事といった感じ。
    「如是我聞」は、今まで溜め込んで来たものを一気に書き散らした、自己破壊的な印象を持った。世間に対する恨みのようなものもあったかもしれない。そしてうわあああっと喚いて、あっけなく死んでしまったのだから、織田作之助のような最後の足掻きに近いものがある。
    太宰、よくやった!

  •  太宰治の随想集。「如是我聞」と「織田作之助君の死」が収録。全般的に太宰だなあと思えてしみじみする。唐突に出てくるフランス語等に戸惑う。

  • 日々の生活…

  • 奇しくも桜桃忌に読了。「笑い。これは強い。文化の果の、花火である」この一文を読み、又吉さんの「火花」というタイトルはこの言葉へ捧げられたオマージュだろうか?と思った。本書は太宰の小説以外の随想集で、少し毛色が違ったエッセイが収められている。「川端康成へ」と志賀直哉への痛烈な批判「如是我聞」が強烈だ。如是我聞では「いくらでも書くつもり」なんてしめているのに…続きが読めず無念。「悶々日記」が意外と好き。小説よりも太宰の人間くささに触れられる好著。

  •  随筆など小品を集成。短いものは1頁程のもの。多くは2、3頁程で、気軽に読み進むことができて楽しい。

    とりわけ、以下の短編・随筆が面白い。
    『酒ぎらい』。お酒が好きな太宰だが、外の居酒屋で飲むのを好み、自宅に一升瓶があるだけで妙に落ち着かない性分。ある日、旧来の友人が家に来訪するのを機に、お酒を一気に飲み干し、在庫処分せんとするのだが…。
    随筆だが、短編の趣もあり、楽しい。

    『「井伏鱒二選集」後記』の“早稲田界隈”の話。太宰は、最敬愛の師井伏氏と共にぷらりと早稲田の町に立ち寄ったところ、早大の文科生らがぞろぞろどこまでもついて来る。「皆、呑むつもりなのだ」。

    そして『如是我聞』。志賀直哉に対する、実名を挙げての批判攻撃。ここまで言うかと失笑するほどの口撃。小気味好いほどで、且つ、文学に対する太宰の姿勢、美学も滲んでいて面白い。

  • 太宰を読まずに死ななくて良かった。
    惚れっぽい自覚もあるので、知る人には「またか」と言われてしまいそうだが、
    これまでひらいたことのある小説や評論、随筆の中でも、こんなに痛快で、心が軽くなったり、苦しくなったりした文章はない。
    本当に、これを知らずに死ぬなんて勿体無い。
    別に、太宰を読め、と言いたい訳ではない。
    人によっちゃあきっと、「何だこの卑屈屋」と吐き捨てる人もいるだろうから。
    だが、少なくとも私にとっては、知らずに死ぬことはできなかった人だ。

  • 自分が大好きなんだなあ……。

  • ブログかよ、というのが素直な感想です。

  • 日本が負けて戦争が終わったってえのに
    文壇じゃ相変わらず戦争前の伝統やらを重んじて
    戦争協力してきた連中をありがたがっていやがるのは
    いったいどういう了見だ
    これあるを期してさっさと死んだ芥川を
    ちったあ見習ってみてはどうなんだい
    といった具合の剣幕で怒り狂う太宰の「如是我聞」は
    戦後日本に対する、たったひとりの宣戦布告である
    これによって太宰は、ほとんどの文芸誌にあっさり干されてしまう
    そもそも芥川にしたって
    志賀直哉や久米正雄のようなずぶとい神経にあこがれて
    「エゴイストになりたいのだ」などと書いてたはずなんだけどね

  • 太宰治によるエッセイ集、のような本です。本文中で著者が何度もグチっている通り、著者自身が小説以外の仕事をえらく嫌っていたようです。ある意味で珍品とでもいうべき本です。

    解説によると「アフォリズムの名文章の宝庫」「傑出した批評文集」とあります。おそらく、文章が書かれた背景などを踏まえてじっくりと読み込むことで、いろいろな発見があることだと思います。一方で、アパートの一室で安酒でも飲みながら、文章が浸み込むに任せる読み方でも、気持ちよく読める本でした。ここまで楽しめる「愚痴」はめったにありません。

    "あなたの小説、友人より雑誌借りて読みましたが、あれは、つまり、一言もって覆えば、どんなことになるか、と詰問されること再三、そのたびごとに悲しく、一言で言えることなら、一言で言います、あれはあれだけのもので、ほかに言い様ございませぬ、以後、僕の文章読まないで下さい"(P.90、原文カナ)

    うーん。太宰の作品に限らず、小説というものに対してamazonで罵倒レビューを書いている人たちに投げかけたい、という俗悪低劣な気持ちすら湧いてくる一文です。およそ小説というものを読んで「意味不明」という感想が出てくるとはいったいどういうことなのか、わたしにはよくわかりません。「嫌い」とか「つまらない」ならばよくわかるのですが。

    これからも折につけ読み返すであろう本ではあるのですが、本書を高く評価するのはなんとなく著者に悪い気がするので、あえて低評価にしておきたく思います。

  • 生きようとする意思に満ち充ちた文章。太宰に暗いイメージしか持たない人に是非読んでほしい。書くことと生きることに懸命に向き合った、殊勝で不器用な姿に心打たれる。

  • 「如是我聞」の志賀直哉批判がすごい……ちょっとやり過ぎじゃないと思ってしまう。伝統的なものに対しての反発の意気込みが伝わる。

  • 久しぶりに読みました。太宰のエッセイや書簡のようなものを集めた作品集。49編も入ってるとあって、1~2ページの短いモノが多いです。
    太宰の小説の言葉と文体が好きな私は、大変満足して読むことができました。なんでこう、琴線に触れるんだろう。心地よく、愛しいです。

    大学時代に読んだ太宰の全集に印象に残る話が載っていましたた。
    海で難破した男が助けを呼ぼうと崖にすがりついた刹那、団らんする家族の様子が目に入り、あの団らんを壊してはならないのではないかと思って、助けを呼ぶことができず、そのまま波にさらわれてしまったという話。

    この本に載っていたので、数年ぶりに読めて、よかったです。

    だいたい、この時代の作家さんが、谷崎潤一郎やら井伏鱒二やら芥川龍之介やら志賀直哉やら、読んだこと無くても名前は知っているだろうと言えるレベルの著名作家が、相手を名指しして批判したり作家論をかざしたりしてしまうのだから、本当に面白い。

  • クスっと笑ってしまうんだ。

  • 太宰治の文学論、と言うと何となくピッタリ来ないけど、自分の気持ちと外の世界との乖離を嘆く気持ちがストレートに表現されてて面白い。
    「如是我聞」の最後の方で、「文学に於いて最も大事なものは『心づくし』である。宿酔いを求めるのは不健康である。」と言っているのが特に印象的。

  • 死ぬ事を考えている人には是非100ページを読んでもらいたい。ここまでの創造力があったにも関わらず、結局自ら入水自殺をしてしまったことは悔やまれる。
    後半の歯に衣着せぬ志賀直哉への批判も痛快。

  • 人間失格を読んで、(というか、太宰治は人間失格と走れメロスしか読んだことがない)
    かなり太宰治が嫌いになったんですけど、
    この本を読んで、ちょっと好きになった。
    おもしろかった!


    「小説」ってものに対して、
    はっきりとした思想を持ってるのを強く感じた。

    自分の審美眼を信じてるところも
    苦労や不幸に敏感なところも
    「小説家」として「小説」を書き続けるところも
    とにかく真剣に、全力で作品を作るところも
    素敵だなと思った。

    なんか、何事にも本気ですよね。素直だし。

    「芸術ぎらい」なんかは、すごく共感した。

    あと、最後の「如是我聞」は、かなりウケた。(笑)
    志賀直哉に喧嘩売ってた!
    先に喧嘩売ってきたのは志賀直哉か。
    私、(今のところ)志賀直哉嫌いなんで、なんかすかっとしました。(笑)
    ヒステリックだとは思わなかった。
    感情的だなとは思ったけど。

    >風邪をひいたり、中耳炎を起こしたり、それが暗夜か
    この一文はほんとおもしろかった。
    暗夜行路読んでみたくなりました。
    >何が神様だ
    まるで新興成金そっくりではないか
    おもしろいw
    小僧の神様も読んでみたい。

    共感もたくさんあったし、
    へーなるほど的なのもたくさんありました。
    私の頭じゃ理解できません…ってのもいっぱいあったけど
    もう忘れちゃった。

    「晩年」を読んでみたいなと思いました。

  • 芥川に触発されたんだろうなー。やや過剰に暗さが出ている。あんまり考えちゃだめだよ。ま、考えないのが一番だめだけど。

  • 太宰治の随想集。
    交友関係のあった作家達の話とか面白い。

    途中まで読んで紛失。→オトナアニメの下から発見!

    最後の「如是我聞」では志賀直哉なんかの悪口をすごい言ってて驚いたがますます太宰治が好きになった。

  • アフォリズム・随筆・作家論等が収められている。

    「思案の敗北」
    "ルソオの懺悔録のいやらしさは、その懺悔録の相手の、神ではなくて、隣人である、というところにある。世間が相手である。・・・ここに言葉の運命がある。"

    言葉に・発話行為に、原理的に孕まれざるを得ない、虚偽。
    _____

    「織田君の死」
    "生を棄てて逃げ去るのは罪悪だと人は言う。しかし、僕に死を禁ずるその詭弁家が時には僕を死の前にさらしたり、死に赴かせたりするのだ。彼らの考え出すいろいろな革新は僕の周囲に死の機会を増し、彼等の説くところは僕を死に導き、または彼等の定める法律は僕に死を与えるのだ。"

    全く同感である。
    _____

    「如是我聞」
    "はりきって、ものをいうということは無神経の証拠であって、かつまた、人の神経をも全く問題にしていない状態をさしていうのである。"

    "おまえたちには、苦悩の能力が無いのと同じ程度に、愛する能力に於いても、全く欠如している。・・・おまえたちの持っている道徳は、すべておまえたち自身の、或いはおまえたちの家族の保全、以外に一歩も出ない。"

    "世の中から、追い出されてもよし、いのちがけで事を行うは罪なりや。"

    "弱さ、苦悩は罪なりや。"

    同時期の『人間失格』と通底する、無限の苦悩、徹底的な自己反省・自己否定。

  • エッセイ集のようなものだが、太宰治にかかれば、すべてが小説となる。
    ただ、彼を作家として好きではない人が読んでも大して面白くはないかも知れない。

    井伏鱒二に興味がある方は『『井伏鱒二選集』後記』を、昭和初期の文壇を太宰の視点から覗いてみたい方は『如是我聞』をお勧めしたい。
    『川端康成へ』では、川端の批評に対して太宰が反論しているので、こちらもどうぞ。

    私はこの作品によって、ますます太宰治に愛着が湧いた。
    (愛着だなんて、太宰治が聞いたら嫌がるだろうが)
    彼は自分を弱い、とよく言うけれど、その弱い彼が『如是我聞』ではなりふり構わず背水の陣で文壇を批判する。
    ものを書く彼だからこそ、
    「後輩に対して悪口と変わらない批判はすることが出来ない」
    そこに彼のやさしさを感じた。

    ところで、『思案の敗北』には、X光線が泣く泣く「私は悲しいめくらです」と漏らす文章がある。
    そして、太宰はこれを読者へのサービスと言っているが、実際、私はこの文章が取り分け気に入った。

    本当に、太宰治の文章は美しい、その言葉に限る。

  • すごく綺麗で素敵な文だなと感じるところがたくさんあります。

    それから小説ではわからない太宰の交友関係(たとえば井伏鱒二)、
    敵(たとえば川端康成)のこと
    読書の趣味も書かれており
    これは非常に興味深いです。
    太宰の嗜好をたどることで太宰作品への影響をみることができるかもしれない

    なので作中で紹介されている本、私も手にとってみようと思います

  • 新しい形の個人主義ー
    所謂社会主義の世の中になるのは、それは当り前の事と思わなければならぬ。民主々義とは云っても、それは社会民主々義の事であって、昔の思想と違っている事を知らなければならぬ。倫理に於いても、新しい形の個人主義の擡頭《たいとう》しているこの現実を直視し、肯定するところにわれらの生き方があるかも知れぬと思案することも必要かと思われる。<全文>

    二文目の表現は素晴らしい。まさに日本はこんな感じ。
    ずっと前にどこかで「世界一の社会主義国は?」「日本!」っていうジョークを見たのを思い出した。


    青森ー
    青森に下宿していた家の亡くなったお父さ(おどさ)に「この絵は高くなるよ!」と冗談めいておくった絵が本当に後に有名になった画家の初期の数枚のうちの1枚で何となくそれを懐かしんでるー、っていう話。 お父さ(おどさ)は「いい成績をとると世界中の誰よりも喜んで下さいました」だって。私もそんな母親になれたらいいなあ:)


    或る忠告ー
    ある詩人が太宰の家にやってきてつらつらと「生活が文章に反映される、生活以上の文章は書けない」だの「小説を書き始めた頃の悲壮感はどこへ行った」だのと言われた事を淡々と書いて終わる。んーまあ的を射てることは確かだけどそこまで考えると疲れるんじゃないかと思う。

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