地図 初期作品集 (新潮文庫)

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著者 : 太宰治
  • 新潮社 (2009年4月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006185

地図 初期作品集 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  •  旧制中学・高校時代の習作から、20代半ばの作まで、最初期の短編を集めた作品集。
    ※30代の3短編も含むが、主に10代~20代前半の短編作品を集めている。

     荒削りで、ゴツゴツしたぎこちなさがあるものの、
    10代の作にして既に文芸作品の趣を備えていることに驚く。典雅で教養ある語句や言葉使いも多く、学生離れした教養を感じさせる。

     さらに、作品『此の夫婦』では、19にして、夫婦の機微を描いている。
    この頃から、登場する女性は、粋ではすっぱな女や、
    不埒な感じの女である。 太宰の好みが伺える。
    そういう部分をはじめ、青年期の生身の津島修治なる人物をまるごと感じて受け止める…、という読書を味わえる。

     作品集の終盤『断崖の錯覚』は、24歳当時の作品。既にして“心中物”である。また、作家への気負い、自負と虚勢、それが次第に虚実ないまぜになっていく構造・設計が巧く、面白い。
    『洋之助の気焔』も24歳頃の作。会話体のねっとりした手ざわり感といい、女の存在感といい、既に太宰治のスタイルが出来上がっている。

  • ここに収められる作品のほとんどは太宰が中学生・高校生だった頃の作品。10代の頃の作品が、全集ではなく文庫として出版されるとは……太宰がいまだに現代のトップランナーであるか、その人気がわかる。

  • 自分を客観視して何を欲したのか?

  • 保有状況:譲渡&購入日:40179&購入金額:540

  • 太宰の初期作品集。

    やっぱり初期の作品って、多くの作家やアーティストにも言えると思いますが、荒削りの中勢いがあって攻撃的。

    「生きる為に生きて居る人間も悲惨だろうが、世間体の為に生きて居る人間は、もっと悲惨だ」「世間体の為に生きて居る人間—それは中産階級に最も多い」(『彼等と其のいとしき母』より)

    これは紛れもなく太宰の世界。

  • 太宰治の初期の作品。

  • これが中学生?これが太宰?
    と、探り探り読んだ一冊です。

  • 図書館で借りて読了。

    中学時代の同人誌など、太宰治誕生以前の初期作品22篇と、太宰治以外の筆名で発表された2篇、それ以外に太宰治名義の4篇、計28篇の短編集。

    十代の頃に書いたものもあるというのに驚いた。
    習作なのか、同じようなテーマの作品が続いていることもあり、自尊心とその屈折、疑心暗鬼、ひたすらの自意識に、気が滅入ってしまったりもして、少しずつしか読めなかった。
    けれど、これらの作品からより修練されていくうちにのちのちの作品があるのだろうなぁというのははっきりわかった。「太宰治」としての作品ももっと読みたくなった。

    「角力」、「名君」、「虎徹宵話」、「断崖の錯覚」、「貨幣」が好き。

  • 太宰治の初期作品集。一つ一つの作品が短いため読みやすい。だからといって内容が薄いというわけではなくそれぞれ深さを持っている。表題になっている地図をはじめ、彼等と其のいとしき母、断崖の錯覚、律子と貞子、貨幣、洋之助の気焔などが面白かった。

  • さすが太宰先生、中学のときからガンガンお書きになっていたんですね。
    もう作家になりたくてなりたくて仕方ない!という気持ちが伝わってきます。しかしなんと作品のアベレージが高い事よ。そしてバラエティ豊富。
    すごいわ・・・

    10.12.07

  • やはり、純文学の有名人。
    この重苦しくも考えさせる文章流石です。
    言葉の羅列が好きです。

  • 太宰の中学校時代の作品等を収めた短編小説集。
    「虚勢」や「角力」などの中学校時代の作品からも、太宰特有の小説の輪郭が見えてくるように思う。やっぱり太宰って凄いんだなと改めて感じさせられる一冊だった。
    収録されてる作品の中では、「地図」や「洋之助の気焔」が面白かった。

  •  初期作品集。弘前高校時代の作品が中心。ツカえることなく読むことが出来る。しかし。やはり正式デビュー作「晩年」の方が圧倒的に心を鷲掴みにして来る。迫力が違うのだ。

  • (2009.09.09読了)(2009.09.02購入)
    今年は、太宰治の生誕100年ということです。
    この機会に少し積読を減らそうと思っているのですが、追加の作品が出てきてしまったので、そちらから読むことにしました。
    大部分は、太宰治になる前の中学、高校のころの作品です。本名の津島修治、ペンネームの辻島衆二、小菅銀吉、などの名前で書いています。太宰治の作品も4つあります。
    「洋之助の気焔」は、井伏鱒二の名前で発表されています。大正、昭和の初期のころには、無名の作家の作品を既に名前の知られた作家の作品として発表することはよくあったことなので、さほど珍しいことではないとは思います。
    最近は、どうかわかりませんが、少し前には、大学の助教授や講師が書いた本を教授の本として出版されることは、よくありました。

    最初の作品は、「最後の太閤」です。秀吉の臨終のときの様子が描かれています。幼きころから関白まで登り詰め、朝鮮征伐に至るまでの思い出、そして秀頼がいる。大声で笑って死んだ、と書いています。
    戯曲「虚勢」は、眼の見えない先妻の子を後妻が哀れに思い、夫に頼んで手術を受けさせます。眼が見えるようになった子供は、眼が見えないほうがよかったとごねるので、父は、それならまた眼が見えなくしてやろうとしますが、子どもは、逃げ回ります。
    人の心の動きを描くことがこのころから得意だったようです。
    表題作の「地図」は、解説の文を借りると「制服の満悦感に浸る権力者が世界地図に自分の領土が載っていないことを知って致命的な侮辱を受けて乱行に及ぶ」話です。
    一生懸命戦って、手に入れた領土が、地球全体からすると、地図にも載らないちっぽけな世界だったことを知らされて、高かった鼻をへし折られてしまったと感じたのでしょう。地図を見せた異国人は、そのような意図など全くなかったので、まったくのとばっちりでした。
    結構興味深く作品を読めました。

    ☆太宰治さんの本(既読)
    「晩年」太宰治著、新潮文庫、1947.12.10
    「斜陽」太宰治著、新潮文庫、1950.11.20
    「ヴィヨンの妻」太宰治著、新潮文庫、1950.12.20
    「津軽」太宰治著、新潮文庫、1951.08.31
    「人間失格」太宰治著、新潮文庫、1952.10.30
    「人間失格」太宰治著、集英社文庫、1990.11.25
    「走れメロス」太宰治著、新潮文庫、1967.07.10
    ☆関連書籍(既読)
    「空色のアルバム」太田治子著、構想社、1979.05.31
    「太宰治への旅」長部日出雄著、日本放送出版協会、1998.01.01
    「斜陽日記」太田静子著、小学館文庫、1998.06.01
    「津軽・斜陽の家」鎌田慧著、祥伝社、2000.06.10
    (2009年9月12日・記)

    著者 太宰治(本名:津島修治)
    1909年、青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ
    1923(大正12)年、県立青森中学校入学
    1927(昭和2)年、旧制弘前高等学校入学
    1930(昭和5)年、東大仏文科入学
    東大仏文科中退
    1936年、第一創作集『晩年』を刊行
    1939年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚
    1948年、山崎富栄と玉川上水で入水自殺

  • 太宰治100周年を記念した新刊。
    高等学校時代に同人誌に書いていたものや、後に太宰の作品と判明した物など。
    全集とかにはあったけど、文庫になるのははじめて・・だと思う。

    いや、多分普通の人が読んでも面白くないですよ。
    太宰ヲタじゃないと。

  • 太宰の初期短編集。

    今までの短編集に掲載されていなかっただけあって、それほど良い作品には巡り合うことができなかった。今年の太宰ブームの一環として出した本なのだろう。
    特に、「駆け込み訴え」のような口述の作品が多いためか読みにくい。

  • 今まで、全集にも載っていなかった、初期や中期の作品集。
    文を読んだだけでは、太宰ってわからないかも。
    でも中学生で、秀吉を主人公に小説書いたり、
    やっぱ、凡人ばなれをやってのけてます。
    生誕100年の記念出版。(R)

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石垣島制圧に沸く琉球国を、祝賀のため訪れた蘭人たち。彼らが献上した軸物を見るや国王はたちまち顔面蒼白になった…。表題作「地図」をはじめ、「怪談」「花火」など同人誌等掲載の初期作品を通して、中学生津島修治から作家太宰治誕生までのドラマを読む特別篇。後年、太宰の筆と確認された「断涯の錯覚」や、文庫初収録の「貨幣」「律子と貞子」など文豪への出発点を刻印する作品群。

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