吾輩は猫である (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010014

感想・レビュー・書評

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  • 「こころ」の次に読んだ漱石の小説。
    とにかく、主人の「くしゃみ」を中心とした登場人物たちの会話が面白い。
    長編小説としては、話の筋に一貫性がないが、これも一興というところか。
    近代日本語?を操り、ち密に物語を構成していく文体は、日本語の美しさを大いに知れたし、各人物の滑稽話は笑いが絶えなかった。
    それでいて、現代批判を婉曲的、比喩的に言い表し、滑稽話の中に自然と織り交ぜ、考えさせてくれる語り口は圧巻だった。
    終盤は厭世主義的な考えが垣間見え、ダークなゾーンを感じた時もあって今の世の中に対しても自分なりに考えを深めるきっかけをくれた。
    ぜひともまた読んで考察を深めたい。

    個人的には、くしゃみ先生が娘たちが食事の際に繰り出す体たらくを、一言も言わず、専心自分の飯を食い、自分の汁を飲んで、楊枝を使いながら放任してるシーンが一番好きであり、笑えたw

  • ◆漱石先生の処女小説だにゃん。◆
    じぶんのことを「吾輩」と名乗る猫。とある教師の家に住み着き、鋭い観察力で人間の滑稽さに失笑したり、人間の不徳に悲しみを覚えたり、人間の自惚れに困惑したり。最後には、大きなかめの中に落ちて死んでしまう猫。享年2歳。鼠はとらず、生涯無名の猫のまま…。人間は我儘なものだといいつつ、「のんきと見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする」と。あなたも猫に観察されているかもしれませんよ。

  • 猫から見た人間社会のおかしさ、上流階級であるくしゃみ先生の周りに起こる事件がとても面白い。寒月君、東風君、迷亭、金田君等登場人物のキャラが際立っていてっ漱石作品の中では軽快な小説だと思う。

  • 読書中ながら感想文です。【内容】主人・苦沙味先生の友人に迷亭という人物がいます。迷亭はあたかもあったことのあるが如く嘘を言ったりする法螺吹きで、明るい性格で、暗い性格はありません。その迷亭が蕎麦の食い方が面白かったです。まずは蕎麦を一気に掬(すく)い上げて、麺汁(めんつゆ)に下の方だけつける。そしてそのままツルツル、っと喉に飲み込む。飽くまで飲み込むであって、くちゃくちゃ噛んでから飲み込むわけではないのです。マニアックな食べ方のもので、これが蕎麦の美味しい食べ方。迷亭はこれでむせてしまって、同じ食べ方を二度三度しませんでした。【感想】僕は蕎麦の食べ方を自分も試してみたい!と思いました。たしかに下痢になる恐れはありますよね。でも人が乙な(ちょっと変わっている)食べ方をしていると自分も乙な食べ方をしてみたい!とも思ったのです。僕は下痢になってもならなくても、試してみる価値はあるものやと思っていて、美味しい食べ方には食いつきたいとも思いました。ただ食事を済ますよりも、「ああ、一工夫した食べ方で、いつもとは違う味がした〜!」とも思いたいのです。更に言えば、人と会食した場合においても、この蕎麦の食べ方をしてみたいのです。それによってちょっと変わった人という意味で味のある人ともなるでしょう。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1159687

  • 有名すぎる冒頭の一文以外の前知識は
    ほぼゼロで読み始めました。

    今は使わないような古めかしい言葉と、
    電子書籍で読んだため(もっぱら紙派)
    予想より読むのに時間がかかった。

    くしゃみ先生をはじめとする登場人物の
    癖がとにかく強すぎて(笑)

    猫の自己肯定感の強さにはあっぱれ!

    そしてまさかのラストにびっくり!

  • 高校のレポート課題のために熟読した思い出の本。「吾輩はなぜ猫であるのか」という題名で考察してた。懐かしい。

    初めて読んだときには有名な冒頭部分しか知らなかったので結末には驚いた。生意気な猫だったが読むうちに愛着が湧いていたので死んでしまったのは残念だった。
    これといって大きな事件は起こらず、日常を描いた作品で読み進めるのに少し苦労した。しかし、猫の哲学がなかなか深く、的を得ていて、現代にも通用する面白さだと思った。

    この本は精神を病んでいた漱石の気晴らしとして書かれたそうだ。一見明るくユーモラスだが、明治時代の生活が滑稽に風刺されている。このウィットに富んだ英国風のブラックジョークはイギリス留学の間に培ったのだろうか。ラストの結末はもしかしたら漱石がもがくのをやめて、楽になりたいという願望がこめられていたのかもしれない。

  • くしゃみ先生がちとクセがありすぎる、だからこそこの猫は自身を幸福であると言っている、全くの高みの見物である、しかしこの猫、偉そうなくせに、蟷螂と大真面目にやりあう、かあいらしい一面も持ち合わせている。

  • 何度も読もうと思うきっかけがあり手に取った。
    少し古い言葉なのと、漢文や仏教用語などすぐに意味が取れない言葉の多さ、そして小説としてのストーリーみたいなものはまるでないので、読みながら何度か寝てしまった。この本と付き合うこつは、Twitterでも見るように気構えず、ゆっくり読むのが合うんだろうと気が付き、読破できた。
    夏目漱石本人なのかな、と思う苦沙弥先生が書斎で友人たちと雑談しているシーンがほとんど。猫要素もあるような、ないような。子どもの頃、親戚の集まりでする大人の会話をただ聞いているような感じである。
    注解も545もあって読み応えがある。
    “Do you see the boy”で「ずうずうしいぜ、おい」と読ませるのが面白かった。

  • 猫からどのように見えるかを描いていて面白いです。長いので途中までしか読んでいませんが。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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