それから (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010052

感想・レビュー・書評

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  • 本心に従おうとしなかった昔の自分が、今の自分を苦しめていることにとても共感した。
    だれもが自分の中にそういう後悔があると思う。あの時勇気を出していればよかったとか、あの時こうしたかったとか。この本は恋愛の視点から書かれているが、人間の人生で普遍的な題材が書かれている。

  • 面白かったが、パンのために働くことを馬鹿にし親の臑をかじってぶらぶらしている序盤の代助には全く共感ができなかった。とはいえ少々耳が痛い部分もあった。これから先、彼は三千代を抱えてどう生きていくのだろう。

  • 生活をとるか、恋愛をとるか‥
    文字に起こすとなんとなく昼ドラみたいな展開だけど、実はとても高尚な問題提起だと思う。

    苦悩のすえ、物語の最後に代助がとった行動がとても心に残った。
    「三四郎」「門」と一緒に読んでほしい。

  • 厭世的であり怠惰であり優柔であり頑固である主人公代助の考え方がかなり共感できはまった。昔好きだった女が親友と結婚したが、結局諦めきれず手を出してしまい、なんて完全に漱石的ストーリーだが、大正の西欧かぶれ感と純文学語体のマッチングがとてもきれい。本郷〜神楽坂〜神保町という舞台も親近感があり。

  • 主人公の長井代助は、父や兄などの経済的援助で遊び暮らすニート。ある日共通の知り合い三千代と結婚した友人・平岡が東京にやって来る。寂しく暮らす三千代にかつての恋慕を思い出し、次第にふたりは惹かれていくが…って感じのあらすじ。

    主人公に対してイライラする点がいくつかある。
    主人公の代助は、ダイヤモンドよりパンを取る、つまりは日々の糧のために働く人々を軽蔑し、人間の本当の仕事というのは儲けを度外視したところにあると信じている。だが彼は自分の生活費はその人々から出ているというところには一切言及しない。
    また、平岡が失業し借金を負って生活に苦しむ三千代を助けるが、これも彼自身の金ではなく、兄嫁のポケットマネーだ。憐れみで三千代への援助資金をもらったというのに、代助自身は兄嫁を軽蔑している描写がよく見られる。
    更に三千代をかつて想っていた…という物語の根幹になりそうな描写も、平岡が上京してきた当初は全く触れられていなかったのに、現在の代助が三千代に惹かれ始めてから思い出したかのように出てくる。私には現在の横恋慕を正当化するために過去の想いを後付で捏造しただけのように思われる。
    解説でも触れられている通り、読者は代助に共感よりも苛つきを覚えることが多いだろうし、作者もそれを狙っていたのだろう。
    それかもしくは、代助みたいな実家が太いニートの共感を序盤で集め、終盤で現実見せるために書いたのか?正直援助してくれる人を散々見下していた代助が、経済的に依存するということは逆らえないという真理に気づき愕然とするシーンはすっとした。

    あと解説で『三四郎』についても触れられていたが、言うほど『三四郎』で美禰子が三四郎に好意を寄せた描写あったか???と引っかかった。この解説で本当に合ってるの???

  • 勤勉礼賛という資本主義論理に毒された価値観を明治の時代に喝破した漱石による傑作ですなあ
    ーーーーー
    恋人はいま親友の妻。再会、あなたならどうする――。ラストは、衝撃/納得? 新鮮な問いを投げる、漱石渾身の恋愛小説。『三四郎』に続く、漱石前期三部作の第二作。長井代助は三十にもなって定職も持たず独身、父からの援助で毎日をぶらぶらと暮している。実生活に根を持たない思索家の代助は、かつて愛しながらも義侠心から友人平岡に譲った平岡の妻三千代との再会により、妙な運命に巻き込まれていく……。破局を予想しながらもそれにむかわなければいられない愛を通して明治知識人の悲劇を描く、『三四郎』に続く前期三部作の第二作。この後、最終章『門』へ。

  • クズニートがひたすら言い訳するお話し

  • やっぱり漱石すげぇ 笑
    この一言しか出てこない。代助にも三千代にも、そのほかのキャラクターにも一切読者を寄り付かせない。でも離さない。解説で対比されていた「オイディプス王」をたまたま同じタイミングで買ったのは、運命なのでしょうか。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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