それから (新潮文庫)

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著者 : 夏目漱石
  • 新潮社 (1985年9月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010052

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それから (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 震えが止まらない。まるで自分が断罪されたような感覚がある。自分の生き方と、代助の生き方を重ねずにはいられなかった。

    「それから」は「三四郎」の続編的な性格を持つ長編小説である。
    時は明治後期。主人公は大学を出た、学のある無職アラサーの「代助」。生活費は家から出してもらっている。要するに、ニートである。彼は西洋の「論理的思考」を信じて疑わず、せかせかと目前の仕事に夢中になる世間の人々を軽蔑していた。パンのために働いては自由な精神は失われると本気で思っていた。当然、明治の日本の世の中は彼との間に摩擦ー彼の趣味趣向や、人間関係、そして恋愛においてーを生むことなる。

    食うためには稼がねばならない金銭、失われる余裕と精神の自由
    崇高な理想と、目の前の現実
    人類の進化の賜物である理性と、生身の人間であるゆえの情との衝突
    21世紀の現代社会においても私たちを悩ませる多くの問題が、このロマンティックな小説の中で扱われている。

  • 過去に読んだことはあるはずですが、改めて聞くと…
    いやー、やっぱり漱石は村上春樹以上ですね。
    いろんな意味で。
    寂しさも孤独感も追い詰められ感も切なさも、読んでて女性をイライラさせる感じも(汗)

    主人公の代助が、厳しい現実に追い詰められたときに、美しいものと過去の映像などが混ざり合ってぼーっとしてしまう描写が何回かあるのですが、
    これは市川拓司さんが「ぼくが発達障害だからできたこと」にある描写と似ています。

    「自分と世界が溶け合っていく感覚。深い森の中に身を置いていると、硬く凝った自我がときほぐれ、拡散し、周りの木々と一体化してしてしてしまう。我と彼の境がなくなり、もう何が何だか。」

    こういう描写から考えると、夏目漱石も同じ、「側頭葉タイプのアスペルガー」なのかな?と感じました。
    お二人とも、前頭葉はめちゃくちゃ発達している感じですもんね。

    それを思うと、この小説は、日本中の同じような特性に悩む方々に、大いなる希望と関心を与えたでしょうね。
    特に、こういう特性の男性に悩まされる女性たちに…。

    最後はハッピーエンドなのかバットエンドなのか、「それから」が語られていないのでわかりません。
    市川拓司さん的にいいますと、発達障害は「愛情」を得て、「発達特性」に変わるということなので、代助は真実の愛に気づいて、新しい天職を見つけて全てを好転させていくのでは?
    と希望を持ちたいところですが、
    きっと、日本国民の9割は
    「うまくいかないだろうな、こんなだらしない男は」。
    という感想でしょうかね…(苦笑)

    続いて
    にっちのレビュー
    小説の楽しみ方ってふたつあると思うんですよね。
    ひとつは登場人物の生き方とか考え方に対して
    共感したり、反発したり、
    自分だったらどうするだろう?って考えたりすること。
    これはいってみれば「何を書いているか?」に注目する楽しみ方ですね。

    もうひとつは「どう書いているか?」っていう楽しみ方もありますね。
    作家の書く技術という「技」を楽しむ読み方。

    で、今回【それから】をAudibleで聴いたわけですが
    後者の「技」を楽しみました。
    その結果、文豪夏目漱石の書く技に
    なんじゃこりゃーー!!と今再ながらビビりました、はい。

    どういう部分が凄いかというと、
    会話の部分ですね。
    会話というか、言葉にならない雰囲気も含めた対話の部分。

    【それから】って作品の筋はいたってシンプル。
    お金持ちの家の働かない30歳の次男が
    友人の奥さんに惚れてしまい、その奥さんも
    道楽息子に惚れてしまう、という
    なんとも贅沢というか、なんじゃそりゃ??という話。

    問題はその道楽息子”長井代助”は
    頭脳明晰、口も達者で、人当たりも良い。
    ところが働かない、いくら勧められても結婚しない。
    まあ、徹底的にわがままなんですね。
    しかしそんな状態は本人が幸せであっても
    周りとしてはなかなかそのままというわけにもいかず、
    友人の奥さんを奪うというところまでいくと
    こりゃあ、周りも本気出して代助に対して
    どうにかしろ、と諌めるわけです。

    そのあたりの道徳観みたいなものは
    置いておくとして、僕がこのいまさらながら
    漱石すげーーーー!と唸ったのは
    その周りの人間と代助の対話の場面の緊張感の
    リアリリティーなんですよ。
    そのリアリティーを文章として表現している
    漱石の文豪ぐあいが半端ない(笑)

    皆さんもいままでいままでいくつか
    胃が痛くなるような、
    真剣な対話の場面というものを
    経験されたことがあるかと思います。
    そのなんとも重~い、あの嫌な空気を見事に
    描写しているのがすごいなあ、と。

    実家で勧められてる縁談... 続きを読む

  • 明治のニート、代助を通して三角関係の果ての「神聖な愛」を表現しようとした『それから』は間違いなく漱石最高傑作の一つと言っていいでしょう。
    本作は個性豊かな登場人物たちの描写と様々な要素の対比による構成の巧みさが際立っています。また生への不安、社会に対する懐疑、父との葛藤など代助の持つリアルさは現代に生きる私たちにも十分に共感し得るものと言えるでしょう。
    登場人物たちの生々しい程の思惑が交錯する中、状況が変化していくにつれ、高等遊民たる代助は一つの選択を突きつけられますが、物語のハイライトと言える親友の妻三千代への代助の告白シーンは漱石のロマンティシズムが最大限に発揮された漱石文学屈指の名シーンとなっています。
    転がり落ちるように加速する終盤は中途半端な幕切れにも思えますが、結局のところ代助の物語はこのように終わりを迎えるしか他になかったのでしょう。
    序文にある漱石の言葉通り「色々な意味に於いてそれから」である作品です。

  • 世の中が悪いから自分が働いても無意味だと言って親のすねをかじってぶらぶらしている主人公。「高等遊民」という漱石の思想がよく表れた作品だと思う。

  • 「三四郎」「それから」「門」と、漱石の前期三部作らしい。
    とはいえ、現代の小説に慣れた人にとっては、話のスピードが遅すぎる・・・というべきか。後半で一気に話は展開。

  • 代助は実業家?として成功している父と兄のお金でのらくら生きているマイペースなニートらしい。
    父の勧める縁談を30になっても断り続けるのは、実は心の中に親友に紹介して結婚してしまったみちよへの思いがあるからだった。

    姦通を描いた画期的作品?的なことがあとがきにあったけれど、
    いまいちぴんとこないというか、、親友の平岡が時代の流れに飲まれて苦しみながら働いているのに代助はごまかしごまかしお坊ちゃんだから働かずにお手伝いさんもいてなんだかちょっぴりムカつつきました笑
    みちよさん、、
    辛かったにしても代助はどうなのー
    本当はもともと両思いだったんでしょうか

    最後もみちよさん病気どうなったのとか、代助くるっちゃったの?とか尻切れとんぼで終わった。
    三四郎と門に挟まれた三部作とは聞くけど、他も一応読もうかなぁ

  • 親のすねをかじって生きる長井代助は、かつて親友に好きだった女性・三千代を譲っていた。父の勧める結婚を断り、三千代への想いを告白する。雨の日に百合の花を眺めながら三千代を待つ間、社会的なしがらみから解き放たたれ幸福を感じる代助。心情の描写が印象的。

  • 代助の親友への態度は、苦悩の末の誠実さを供えたものだったが、やはり現実社会の仕打ちは厳しかった。私も、代助ほどではないし性質も異なるが、社会から遠い生活をしているので、後半は特に彼
    に感情移入して辛かった。最後、代助はどんな気持ちで職を探しにいったのだろう。いっそすっきりした気持ちならいいのだが。三千代が、今後幸せなれるのかも気になる。代助と平岡の関係が変わった以上、三千代はこのまま涙を流し流し短い生涯を耐えなければいけないのかもしれない。代助は、様々な重たい運命を背負ってそれからを生きるのであろう。

  • 夏目漱石、第三段です。
    この作品は恥ずかしながらまったく予備知識がなかったのですが・・・こんなにときめく小説だったとは!びっくりしました。

    むせ返るような百合の香り、降りしきる雨、そんな雰囲気の中、代助が三千代に一大決心をして思いを打ち明ける。
    遅すぎる告白に三千代が「あんまりだわ」と泣いている情景が目に浮かび、この美しすぎるシーンに胸が高鳴りました!
    この慎ましやかな感じ、裏腹に内に秘める情熱が日本的で本当にステキなのです。

    (少ないですが)夏目漱石の作品の中で一番好きになりました。
    私ってこんなにロマンチックだったっけ?と思うほど感銘を受けてしまった(笑)

    まあこの作品は恋愛小説の側面もありますが、その他にも、格差の問題など当時の世相にも触れバッサリ。そのあたりも楽しめました。
    例えば。
    「平岡の家はこの数十年来の物価高騰に伴って中流社会が次第々々に切り詰められていく有様を、住宅の上に善く代表した、尤も粗悪な見苦しき構えであった。
    ~東京市の貧弱なる膨張に付け込んで、最低度の資本家が、なけなしの元手を小売りに廻そうと目論んで、あたじけなくこしらえ上げた生存競争の記念であった。」
    などど鋭く切り込む感じが面白い。

    また、代助のニートぶりにも閉口しますが、それも当時では珍しくないんですよね。
    高等遊民も分かった気分♪
    理想と現実のバランスをとること、人間のプライドの奥深さ、など、いろいろと考えさせるポイントがあり、そういう意味でも素晴らしい作品でした。

  • こんなことを言うのははばかられるようですが、主人公の生い立ちと思想には、かなり共鳴できるところがあります。


    ことをしなくとも、手に入るものがあって、それで満足できるのなら、なにも汗をかくことはないではないか。

    自然とそうなるべきものは、そうしておけばよいのではないか。

    流れに身を委ねながら、ときに僅かに舵を切りさえすれば、のらりくらりとそれなりの岸にたどり着けるのではないか。


    そういう態度が、いつの間にか希望と違う不可逆な状況に至らしむるものであります。

    そんな態度の集積が、彼の思想を腐敗さたとも言えます。

    そしてその思想が、破滅的な情動となって、ある狂気に帰結する。


    自身の経験と重ねあわせながら、じっくりと味わいました。

  • 初期三部作の『三四郎』に続く作品。
    続編ではありませんが、三四郎のその後のような物語をほうふつさせます。
    それまでの生活を続けるか、はたまた恋を貫くか。
    自分の本当の気持ちに気づいた今、どうしたら良いかと苦悩する主人公。
    それからどうなるかが気になる結末です。

  • 定職に就かず、毎月1回、本家にもらいに行く金で裕福な生活を送る長井代助が、友人平岡常次郎の妻である三千代とともに生きる決意をするまでを描く。
    大輔は、平岡に三千代を譲るが、愛していることに気づき、最後には告白をしてしまう。
    やっぱり自分の思いは隠すことはできないと思う。

  • 親からの仕送りで生活している三十路過ぎ無職の男が、他人の妻に恋慕するという、大まかなストーリーだけ見ると、不届き極まりないお話。
    だが、夏目漱石の綴る日本語はここまで無駄が無く美しいのかと思わされる、主人公の告白シーンは必見の価値あり。
    他にも、「心を束縛することのできない形式は、いくら重ねても苦痛を増すばかりである」という、心と社会制度の二重構造をテーマに絡めるなど興味深い点が多い。

  • 最後の描写はそれまでと打ってかわって激しいものだったので意外で驚いた。

  • 内容は理解が少し難しかった。後半からは内容理解がし易くなり主人公が次第に焦りを感じていく描写が良く伝わった。本の終わりは題の通り「それから」どうなったのか気になる。

  • この小説を読むと、恋の恐ろしさを痛感します。代助が実家から斡旋される結婚や、他の恋愛(社交界に出入りしていたのだから、それなりの出会いもあったはず)ではなく、なぜ、3年前に友人に斡旋した女性(三千代)への愛を貫き通したのでしょうか。実家や世間から断絶されてまでの愛とは一体・・・。しかしまあ、代助に三千代を上げる平岡も平岡かな。三千代を愛していないのなら、平岡も三千代も幸せにはなれないはずなのに。三千代を愛していないのに、世間体を保つため(?)、ちゃっかりと代助の実家に代助の奇行を報告している(新聞社勤めなのだから文章はうまかっただろう)のも抜け目がないというかなんというか。この小説で、幸せになった人はいたのでしょうか?代助も最後はどこまでも電車に乗って行こうとし(自分の選んだ選択の結果からの逃避?)、三千代もどうやら不治の病気だし、実家は代助と絶縁するし、平岡も妻を奪われるし。愛を貫くことで、これだけの代償が生じうるのだから、恋愛や結婚にはリスクがあるのかなあ。

  • 悲劇の中に狂気を盛り込むのが見事。やはり夏目漱石は偉大。

  • 2015年に新聞の連載で読了。『三四郎』『それから』『門』の前期三部作の中では、『それから』が最もよい。『それから』は昔、松田優作、藤谷美和子主演で映画も観た。

  • 解説読んで、へー!と思った。

  • 有閑階級、の生活

  • すごく好き!
    漱石は重いのも多くて読みにくいのもあるけど、この話は面白いヽ(´▽`)/

  • 270頁くらいまでは陥落しろと思って読んだ。そこからはどうにかしろとおもった。どうにかして生きて暮らせ。ちょっと涙のでる狂気だった。

  • 高等遊民の代助が三千代と共に生きる決意に至るまでの物語。
    中盤から一気に加速。

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