それから (新潮文庫)

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著者 : 夏目漱石
  • 新潮社 (1985年9月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010052

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それから (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 明治のニート、代助を通して三角関係の果ての「神聖な愛」を表現しようとした『それから』は間違いなく漱石最高傑作の一つと言っていいでしょう。
    本作は個性豊かな登場人物たちの描写と様々な要素の対比による構成の巧みさが際立っています。また生への不安、社会に対する懐疑、父との葛藤など代助の持つリアルさは現代に生きる私たちにも十分に共感し得るものと言えるでしょう。
    登場人物たちの生々しい程の思惑が交錯する中、状況が変化していくにつれ、高等遊民たる代助は一つの選択を突きつけられますが、物語のハイライトと言える親友の妻三千代への代助の告白シーンは漱石のロマンティシズムが最大限に発揮された漱石文学屈指の名シーンとなっています。
    転がり落ちるように加速する終盤は中途半端な幕切れにも思えますが、結局のところ代助の物語はこのように終わりを迎えるしか他になかったのでしょう。
    序文にある漱石の言葉通り「色々な意味に於いてそれから」である作品です。

  • 世の中が悪いから自分が働いても無意味だと言って親のすねをかじってぶらぶらしている主人公。「高等遊民」という漱石の思想がよく表れた作品だと思う。

  • 「三四郎」「それから」「門」と、漱石の前期三部作らしい。
    とはいえ、現代の小説に慣れた人にとっては、話のスピードが遅すぎる・・・というべきか。後半で一気に話は展開。

  • 代助は実業家?として成功している父と兄のお金でのらくら生きているマイペースなニートらしい。
    父の勧める縁談を30になっても断り続けるのは、実は心の中に親友に紹介して結婚してしまったみちよへの思いがあるからだった。

    姦通を描いた画期的作品?的なことがあとがきにあったけれど、
    いまいちぴんとこないというか、、親友の平岡が時代の流れに飲まれて苦しみながら働いているのに代助はごまかしごまかしお坊ちゃんだから働かずにお手伝いさんもいてなんだかちょっぴりムカつつきました笑
    みちよさん、、
    辛かったにしても代助はどうなのー
    本当はもともと両思いだったんでしょうか

    最後もみちよさん病気どうなったのとか、代助くるっちゃったの?とか尻切れとんぼで終わった。
    三四郎と門に挟まれた三部作とは聞くけど、他も一応読もうかなぁ

  • 親のすねをかじって生きる長井代助は、かつて親友に好きだった女性・三千代を譲っていた。父の勧める結婚を断り、三千代への想いを告白する。雨の日に百合の花を眺めながら三千代を待つ間、社会的なしがらみから解き放たたれ幸福を感じる代助。心情の描写が印象的。

  • 代助の親友への態度は、苦悩の末の誠実さを供えたものだったが、やはり現実社会の仕打ちは厳しかった。私も、代助ほどではないし性質も異なるが、社会から遠い生活をしているので、後半は特に彼
    に感情移入して辛かった。最後、代助はどんな気持ちで職を探しにいったのだろう。いっそすっきりした気持ちならいいのだが。三千代が、今後幸せなれるのかも気になる。代助と平岡の関係が変わった以上、三千代はこのまま涙を流し流し短い生涯を耐えなければいけないのかもしれない。代助は、様々な重たい運命を背負ってそれからを生きるのであろう。

  • 夏目漱石、第三段です。
    この作品は恥ずかしながらまったく予備知識がなかったのですが・・・こんなにときめく小説だったとは!びっくりしました。

    むせ返るような百合の香り、降りしきる雨、そんな雰囲気の中、代助が三千代に一大決心をして思いを打ち明ける。
    遅すぎる告白に三千代が「あんまりだわ」と泣いている情景が目に浮かび、この美しすぎるシーンに胸が高鳴りました!
    この慎ましやかな感じ、裏腹に内に秘める情熱が日本的で本当にステキなのです。

    (少ないですが)夏目漱石の作品の中で一番好きになりました。
    私ってこんなにロマンチックだったっけ?と思うほど感銘を受けてしまった(笑)

    まあこの作品は恋愛小説の側面もありますが、その他にも、格差の問題など当時の世相にも触れバッサリ。そのあたりも楽しめました。
    例えば。
    「平岡の家はこの数十年来の物価高騰に伴って中流社会が次第々々に切り詰められていく有様を、住宅の上に善く代表した、尤も粗悪な見苦しき構えであった。
    ~東京市の貧弱なる膨張に付け込んで、最低度の資本家が、なけなしの元手を小売りに廻そうと目論んで、あたじけなくこしらえ上げた生存競争の記念であった。」
    などど鋭く切り込む感じが面白い。

    また、代助のニートぶりにも閉口しますが、それも当時では珍しくないんですよね。
    高等遊民も分かった気分♪
    理想と現実のバランスをとること、人間のプライドの奥深さ、など、いろいろと考えさせるポイントがあり、そういう意味でも素晴らしい作品でした。

  • こんなことを言うのははばかられるようですが、主人公の生い立ちと思想には、かなり共鳴できるところがあります。


    ことをしなくとも、手に入るものがあって、それで満足できるのなら、なにも汗をかくことはないではないか。

    自然とそうなるべきものは、そうしておけばよいのではないか。

    流れに身を委ねながら、ときに僅かに舵を切りさえすれば、のらりくらりとそれなりの岸にたどり着けるのではないか。


    そういう態度が、いつの間にか希望と違う不可逆な状況に至らしむるものであります。

    そんな態度の集積が、彼の思想を腐敗さたとも言えます。

    そしてその思想が、破滅的な情動となって、ある狂気に帰結する。


    自身の経験と重ねあわせながら、じっくりと味わいました。

  • 初期三部作の『三四郎』に続く作品。
    続編ではありませんが、三四郎のその後のような物語をほうふつさせます。
    それまでの生活を続けるか、はたまた恋を貫くか。
    自分の本当の気持ちに気づいた今、どうしたら良いかと苦悩する主人公。
    それからどうなるかが気になる結末です。

  • 定職に就かず、毎月1回、本家にもらいに行く金で裕福な生活を送る長井代助が、友人平岡常次郎の妻である三千代とともに生きる決意をするまでを描く。
    大輔は、平岡に三千代を譲るが、愛していることに気づき、最後には告白をしてしまう。
    やっぱり自分の思いは隠すことはできないと思う。

  • 親からの仕送りで生活している三十路過ぎ無職の男が、他人の妻に恋慕するという、大まかなストーリーだけ見ると、不届き極まりないお話。
    だが、夏目漱石の綴る日本語はここまで無駄が無く美しいのかと思わされる、主人公の告白シーンは必見の価値あり。
    他にも、「心を束縛することのできない形式は、いくら重ねても苦痛を増すばかりである」という、心と社会制度の二重構造をテーマに絡めるなど興味深い点が多い。

  • 最後の描写はそれまでと打ってかわって激しいものだったので意外で驚いた。

  • 内容は理解が少し難しかった。後半からは内容理解がし易くなり主人公が次第に焦りを感じていく描写が良く伝わった。本の終わりは題の通り「それから」どうなったのか気になる。

  • この小説を読むと、恋の恐ろしさを痛感します。代助が実家から斡旋される結婚や、他の恋愛(社交界に出入りしていたのだから、それなりの出会いもあったはず)ではなく、なぜ、3年前に友人に斡旋した女性(三千代)への愛を貫き通したのでしょうか。実家や世間から断絶されてまでの愛とは一体・・・。しかしまあ、代助に三千代を上げる平岡も平岡かな。三千代を愛していないのなら、平岡も三千代も幸せにはなれないはずなのに。三千代を愛していないのに、世間体を保つため(?)、ちゃっかりと代助の実家に代助の奇行を報告している(新聞社勤めなのだから文章はうまかっただろう)のも抜け目がないというかなんというか。この小説で、幸せになった人はいたのでしょうか?代助も最後はどこまでも電車に乗って行こうとし(自分の選んだ選択の結果からの逃避?)、三千代もどうやら不治の病気だし、実家は代助と絶縁するし、平岡も妻を奪われるし。愛を貫くことで、これだけの代償が生じうるのだから、恋愛や結婚にはリスクがあるのかなあ。

  • 明治42年 朝日新聞に掲載
    長井大助
    書生 門野
    平岡常次郎 三千代

    日糖事件

    …平岡はそれから、幸徳秋水と云う社会主義の人を、政府がどんなに恐れているかと云う事を話した。幸徳秋水の家の前と後に巡査が二三人ずつ昼夜張番をしている。…新宿警察署では秋水一人の為に月々百円使っている。☆朝日新聞に掲載された小説??

    「僕の存在には貴方が必要だ。どうしても必要だ。僕はそれだけの事を貴方に話したい為にわざわざ貴方を呼んだのです」
     大助の言葉には、普通の愛人の用いる様な甘い文彩(あや)を含んでいなかった。

  • 悲劇の中に狂気を盛り込むのが見事。やはり夏目漱石は偉大。

  • 2015年に新聞の連載で読了。『三四郎』『それから』『門』の前期三部作の中では、『それから』が最もよい。『それから』は昔、松田優作、藤谷美和子主演で映画も観た。

  • 解説読んで、へー!と思った。

  • 有閑階級、の生活

  • すごく好き!
    漱石は重いのも多くて読みにくいのもあるけど、この話は面白いヽ(´▽`)/

  • 270頁くらいまでは陥落しろと思って読んだ。そこからはどうにかしろとおもった。どうにかして生きて暮らせ。ちょっと涙のでる狂気だった。

  • 高等遊民の代助が三千代と共に生きる決意に至るまでの物語。
    中盤から一気に加速。

  • 主人公が理屈っぽく見えてしまって、今ひとつ乗りきれないところが出てきた小説だった。この作品で好きだったのは牧歌的な部分だったり、感情を相手に伝えるようなシーンが読んでいてテンションが上がった。展開も全体的に急な部分があるような気がした。

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