- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101010175
感想・レビュー・書評
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なーんにも起こらないんだけど、起きている。
漱石の描写の全てが好き。
時間をかけて、のんびり読みたい1作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ある若者の体験談を夏目漱石が小説にしたんだそうだ。
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読了
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底辺へ向かう人間の意識の流れを読み続けるのでもろに思考促迫を食らったような感覚になる。戻った方が良いのは百も承知だけど戻ったところで何もない、進んでも地獄が待っている。焦燥感のような虚無感のような凄まじいやるせなさ。それでも進むのが人間というもので、その歩みにある種の強さを感じるものの、やはり一層大きな虚無主義に襲われてしまい、人生のなんたるかを思い知らされるようだ。
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学も富もある立場から一夜にして坑夫という最底辺に堕落した主人公を通し、人間の内面を描く。時代設定は100年以上も昔になるが、自らの置かれた環境の有り難みが感じられる。
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読み終えました。
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それなりの家に生まれて学問も修めていた青年が
言い寄ってくる女と、許嫁との三角関係に苦しんだあげく
死にたくなって、そこを逃げ出してしまう
ところが死に場所を探すうちにだんだん死ぬ気も萎えてきた
そんな折、ぽん引きのおっちゃんに引っ掛けられて
鉱山労働者になる決心をする
安易なわりにプライドの高い彼は
何度も引き返すチャンスを与えられながら
その誘惑をことごとく跳ね返し
ついには居直り者のふてぶてしさを手に入れる
「虞美人草」に続く、夏目漱石の新聞連載第二弾
ただしこれは、「春」の執筆が進まない島崎藤村の穴埋めとして
急遽書き下ろされたもの
いちおう教養小説としての体裁をつけており
また、前作「虞美人草」とのテーマ関連をにおわせてもいるが
基本的には、人に聞いた話をそのまま出したような形である
人間は時々で考えが変わるものだという無責任主義を掲げ
むしろ反・教養小説としての完成を試みているが
しかし最終的に主人公は
一個の刹那主義者として自己規定するに至った
自己規定があるからこそ、こんな告白を小説家相手にするわけで
だからまあその点、失敗作と言うべきなんだろう
反・教養小説(つまり堕落だ)の試みは
芥川龍之介の「羅生門」へ受け継がれたように思う -
足尾鉱山の現地レポートとしてよむと
とても価値がある。