ヰタ・セクスアリス (新潮文庫)

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著者 : 森鴎外
  • 新潮社 (1993年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101020037

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ヰタ・セクスアリス (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 主人公が幼年期から青年期にかけての性的な体験を冷静に考察しています。といってもあまりエロくはないです。短いので森鴎外を読んだことない人にもオススメです。

    九州大学
    ニックネーム:山本五朗

  • 鴎外の中でずば抜けてこれが好き。
    別に言っちゃえば内容なんてないけどさ、こうこういい意味での内容の無さっていうのもあるよ!小説だもん。

    ヰタ・セクスアリスって言葉はラテン語なのだそうですが、すごく美しい言葉じゃない?声に出して!「ヰタ・セクスアリス!」ほら素敵。
    まず思春期の男の子のギムナジウム的閉鎖性って、女の子みんな好きだと思うの。そこに出てくる登場人物が概ね醜男っていうのがまたいいよね!わくわくしちゃう。

    森鴎外の書く女の人がそもそもあんまりタイプじゃないから、こういう話はすごく嬉しかった。なんて性的で、なんて耽美な童貞文学。女好きを「軟派」男好きを「硬派」って呼んじゃうとか、可愛すぎる。

  • 本書裏表紙のあらすじより
    「哲学講師の金井湛君は、かねがね何か人の書かないことを書こうと思っていたが、ある日自分の性欲の歴史を書いてみようと思いたつ。六歳の時に見た絵草紙の話に始まり、寄宿舎で上級生を避け、窓の外へ逃げた話、硬派の古賀、美男の児島と結んだ三角同盟から、はじめて吉原に行った事まで科学者的な冷静さで淡々と描かれた自伝体小説であり掲載紙スバルは発禁となって世論をわかせた」・・・と書いている。確かに発禁となっているが、何故発禁となったのか読了後に考えてみたけれど、理由がわからない。勿論巻末の解説にも書かれていない。
    明治期の性風俗のモラルについての嫌悪感があるかもしれないが、性描写や性欲描写の文言も出てこない。
    「ヰタ・セクルアリス」が執筆された時期は、鴎外の全盛期で、尚且つ多作、前後の作品を検討してみないとその真価がわからないのではないか。おそらく鴎外文学の魅力は、生への軽蔑と生への愛情との不思議な混淆にあるといえる。この作品は、それらが如実に現れているのではないかと思う。

  • 森鴎外が金井君の回想を借りて性欲や愛とは何かを考え続ける作品。
    描写も発禁になるほど扇情的ではなく、むしろ美文だと思う。
    時折自分も共感するところがあって、森鴎外の手助けを借りて自分についても考えることができたような気がする。
    また当時の知識人の生活なども詳しく描かれていて、知見を広げることができた……かな?

    ただ正直言ってストーリーは全く面白くない。というよりもストーリー性がない。文学作品にもある程度の面白みを求めてしまう(例外も多々あるが)自分としては、途中から趣味ではなくて勉強本のつもりで読んでいた。

  • 金井君という哲学者の青年が、年齢順に性や恋の記憶を語る小説。モデルは森鴎外先生自身と言われ、性の目覚めと思春期の記憶について赤裸々に語っている。

    この時代、フロイトの性についての理論が日本に入ってきた。キリスト教文化の西洋においてはもちろん、文明開化を遂げた日本でも、性に触れるのはタブーという世の中であった。

    抑圧されたものが一気に噴き出るように、人の行動を何でも性エネルギーに関連付けることが行われたのもこの時期。三島由紀夫の「音楽」を読んでも、こういった現象がみられる。

    この本は発売当初発禁処分になったらしい。今のご時世から見ると、村上春樹なんかよりよっぽど爽やかで健全な内容。

  • 『性欲的生活=ウィタセクスアリス→ヰタセクスアリス(独語)』

    本作品は、哲学の教授である金井湛君の人生における性的生活について、鴎外本人の実体験を織りまぜ、書かれている。

    性欲のことについて書かれている、しかもこの小説が載った雑誌は発禁になったと知ると、途端に興味がわいてくる。際どいことを述べている部分も確かにあるが、不愉快ではない。

    日本語表現の幅が本当に広く、思わず惚れ惚れしてしまった。

    選ぶ言葉のひとつひとつが繊細で美しい。その言葉のかけらが鎖となって繋がるとき、フレーズはひとつの芸術にもなり得る。日本語の美しさをあらためて感じることができ、大変うれしい。

  • あらゆる事に自覚的な主人公が性に関するこのに掛けては自覚的になれない(他の多くの者とは反対に働いてはいるけれど)というところが面白い。
    彼は性的なものに特別惹かれることはないが、不意に訪れた性欲に呵責を感じないとも書いている。
    主人公は性的なものに対する評価を不当に低くしているように思うが、それが逆説的に多くの人が性的なものに与えている価値が高過ぎるのではないかという思いを促す。
    性に関する価値の再評価という意味ではとても面白い作品だと思う。

  • 哲学者の金井湛(モデルは森鴎外自身)の性欲の歴史。
    春画、男色、三角同盟、吉原、見合い、結婚…。
    主人公は様々な『性欲的生活(ヰタ・セクスアリス)』の中で自問自答を繰り返す。

    時代背景が異なるだけで、今も昔も『性』について考えることは同じだと思った。
    また、たったこれだけの内容なのに(少なくとも私は全くエロさを感じなかった)、ポルノグラフィティ扱いされ、発売禁止されてしまうなんて、当時の人々の純情さに驚いてしまった。
    禁止にされたことでこの美しい文章が当時世の中で注目を浴びることがなかったのかと思うと、純情はときに残酷なものだと思わざるを得ない。

  • 本当は青空文庫で読みました。よかったっす。

  • 本題はラテン語で「VITA SEXUALIS」(性欲的生活)とのこと。森鴎外の前半生の性欲体験を小説に託し自伝体的に描いたもののようだ。これを収載した雑誌「昴」は風俗を乱すかどで?発売禁止になったとのこと。
    男なら誰でも体験するような性欲の芽生え(!)について、自らの体験?に基づき赤裸々に描いているのに驚かせる。
    ただ、本書の最後にもあるように中途半端さ感は否めず、その描写にしても大体スルーしているので、エロティックなところは全くなく、逆に物足りなさが残った。(笑)あまりにも淡々とした思い出の羅列のような記述で、あるいは微笑ましくもあり、いまひとつ入り込む余地がないまま終わってしまった感じだ。もっと言えば、むしろストイックなのではないかという内容であり、「性欲的生活」の逆説的物語だったのではないだろうか。

  • 森鴎外の私小説。
    難しい単語も多かったが、なかなか刺激があった。

    まず、最初に。
    この人やたら頭いいわ。
    インテリゲンツィアやな。
    と読みながら思った。
    言葉の言い回しとか、引用とか。
    お医者様なのでドイツ語に堪能なのはわかるが、当然のように英語、漢学、なんかの知識まで豊富。
    すごいわ。流石、鴎外さん。

    内容としては、、、
    最近の自然主義は性描写を多くし、さらにそれこそが人間だ、人生だと持て囃される。
    鴎外はそれに疑問を抱く形でこの作品を進めている。

    この疑問には確かに僕も同調するところはある。
    最近の文学、というのはやはり性描写がつきもののように感じる。

    私はこんな人間に恋をして、愛して、こんなセックスをして。
    そんな話が感情見豊かに、描かれる。
    そして「現代の女性の感情を豊かに描いている」とか、評されるんだ。

    いや、全然それが悪いと言っているわけではないけれど。

    でも鴎外のこれはどちらかというと伝記っぽいのかもしれない。
    これぞ「私小説」って感じか。
    でもこういう物を書くのってそうとう勇気いりそうだなあ。

  • 一般教養として森鴎外くらいは読んでおこうと思い読んだ。

    禁欲的生活という意味のラテン語からとられたタイトルだが、これは凄い皮肉めいてるように思われた。
    簡単にまとめてしまうと、哲学家である金井湛(しずか)が息子の教育のために、と自らの性欲的生活をつづっているだけの話。

    しかしその内容は明治という時代だからか、今の私にとって凄い奇異なものに思われる。
    学校生活では、女好きな軟派な男がいるかと思えば、男色に走る男もいて、名状しがたき感情に抱かれた。
    主人公は小説で恋愛という概念に触れたが、肉体的な性欲と恋愛が結びつかずに、ドイツに行くところで終わっているのがなんか尻切れ感が否めない。

    けれども、舞姫と異なりスラスラと読めたのは森鴎外の文体の魅力によるものだと思う。単に古典の教養がないだけともいうが。

  • 「僕は先天的失恋者で、」という文句、さすが鷗外。
    きんとんのエピソードがかわいらしい。
    ずっとIt's a sexualismだと思っていたけれど、ラテン語でした。

  • 鴎外萌え、ワンチャンあるで(適当)
    これ書いてるときめっちゃ気持ちよかったと思う。羨ましい。

  • 当時、発禁処分になったとのことだが、理由が分からないくらい、性的描写はない本。

    森鴎外が、当時流行りだしていた自然主義に対して、賛同?意義?、とにかく挑んでみた作品。

    主人公は、森鴎外の諱の一文字を名前に持つ金井澹(しずか)。哲学者を生業として、教鞭をとっているが、ある日、夏目漱石やら自然主義の台頭をきっかけに、自分もこれまでのこしかたを振り返って、自らの性的エポックメイキングな出来事を綴り、芽生えなかった性的欲求の芽生えを探ろうと試みる。

    鴎外自身が医者だったからか、さっぱりと描かれており、いやらしい感じはしない。実在のモデルが人でも学校でもすべて存在し、鴎外の人生と重なるので、どこまでが、フィクションなのか気になってしまう作品。

    作品の中で、金井が成長、学習する過程で興味を持った書籍やら思考などが紹介されるので、文学史的知的欲求も満たされるし、主人公の澹の考えを通して、鴎外の?思考の流れが分かるようで興味深く、決して性的なだけの著作ではない。

    知らなかったのだけれど、その福沢諭吉の学問にたしての姿勢は功利的だったらしい。当時は、その考えが蔓延しており、その中でも澹は「学問の為めに学問をする」という考えの持ち主である。その考えにも共感したし、お見合いをさせられた相手に対して、文句のない相手だし、嫌いではない。だけど、その相手の様な娘は他にもたくさんいて、この娘でなければならない理由がなく、どう決断していいのか悩むところに、主人公の意外な正直さを感じて、共感した。

  • だいぶ前に読了。記憶がかすれているが表現は記憶に残っている。「舐めるべき辛酸の1つ」というものだ。この表現から諦観を学んだ。脳内の記憶は関連付けられて記憶されるが、この表現によって、過去の事柄が体系化された。

  • 自分の性欲の歴史を淡々と、客観的に、時には自分への考察を入れながら振り返っている。そして最後に残ったのは、自分は人生の早い段階で”わかってしまった”故に情熱を失ってしまったのではという悲しい推測。
    性欲を抑えられなかった為に退学落第していく中で、自分は順調に進んできたが、どこか冷めているのはそのせいなのかもしれないと。児島もそうなのだろうか。

  • 予てから気になっていた作品。ようやく読むことが出来ました。
    軍医であった鴎外がこれを出したら、そりゃあ世間は騒然とするだろうなと当時の発禁も納得。
    鴎外の考え方が多分に描かれているため、非常に興味深かった。

  • 金井という大学講師を通して作者たる森鴎外の半生を追っていく作品かと思いきや、微妙に年代がズレるだけに止まらず段々と創作部分が大半を占めていく。
    どこまでが半生でどこまでが創造なのか。注釈からなんとなく判断出来るが読んでいてクラクラした。自伝体小説だけあって現実と虚構が非常に曖昧でした。

  • あまり物語的な側面は感じられなかった。

    森鷗外自身の性や性欲などの考えが描かれている。ただそこにイヤらしさがあるのではなく、どこか美しく感じるように思えた。
    ただ日本語や英語以外の言語が出てきたり引用文が多々あったりするので注釈がなければなかなか読むのが難しくなると思った。
    引用文で使われていた本も読みたいと思ったので調べてみたい。

  • 鰐口みたいな考え方も一種のセクシャリティーなのかなと思った

  •  哲学の先生である金井が自分の性欲の歴史を書く、というお話。性への目覚めや性欲の萌芽、初体験などを冷静に見つめ考え、淡々と描いている。それには現代の人々となんら変わらないような体験もあれば、明治の性風俗ならではの体験もあり、とても興味深かった。特に、軟派と硬派に分かれていた話や男色の話が私には馴染みのない新鮮さがあり、面白い。

  • 前知識なしで読んだので、ビックリ。

  • 文豪としては珍しく、性について書いてある本です。
    当時の性への考え方、社会状況が分かる本です。
    当時はデリケートな内容のため発禁になったようだ。

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ヰタ・セクスアリス (新潮文庫)の作品紹介

哲学講師の金井湛君は、かねがね何か人の書かない事を書こうと思っていたが、ある日自分の性欲の歴史を書いてみようと思いたつ。六歳の時に見た絵草紙の話に始り、寄宿舎で上級生を避け、窓の外へ逃げた話、硬派の古賀、美男の児島と結んだ三角同盟から、はじめて吉原に行った事まで科学者的な冷静さで淡々と描かれた自伝体小説であり掲載誌スバルは発禁となって世論をわかせた。

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