ヰタ・セクスアリス (新潮文庫)

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本棚登録 : 1981
感想 : 173
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101020037

感想・レビュー・書評

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  • 生活の中で切り離せず、誰しもがその萌芽を少し思いながら読めるのではないかと。

    どこか意固地になるような思いは少しながら共感しつつ、この時代でもよく聞くような自信の持ち方と軽蔑的な視線など面白い。
    日本に直接的な表現はないのが、ドイツでの大胆さなど見比べるのも考えさせられるのでは。

  • 当時掲載誌が発禁処分になったという。だが、大いに拍子ぬけした。作者森鴎外の自伝的な内容と聞き、また、私小説的なものかと想像。さぞかし赤裸々な告白の目白押しか。…と思いきや、詳らかな描写は皆無に等しい。
    筆下ろしの条りも、具体的な表現は1文字も無いのであった。 

    ただ1点、二十一の歳の、二度目の吉原の条り。
    「衣帯を解かずとは、貞女が看病をする時の事に限らないということを、この時教えられたのである。」
    この一節だけは、格別の趣あり。
    接待で吉原に連れて行かれた金井は、女中に別間に案内され、そこに芸者が待っていた… 。
     間接的な言い回しゆえに、逆に妙に刺激的に感じた。

    明治時代の言葉遣いや、失われて久しい風俗習慣が、興味深い。
    「硬派」の語が、「男色」と同義に近いものだったとは驚いた。しかも、男子学生の間で、実際の力づくの行為も日常的にあった様子に唖然。

    他にも「奥山」とか、「岡場所」なる言葉もあり、勉強になった。
    「ヰタ」は、ヴィータとのことで、『ヰタ・セクスアリス』は「性欲的生活」の意らしい。ドルチェ・ヴィータのヴィータと考えれば、納得。

  • 「僕は先天的失恋者で、」という文句、さすが鷗外。
    きんとんのエピソードがかわいらしい。
    ずっとIt's a sexualismだと思っていたけれど、ラテン語でした。

  • そんなに性的なことは深く描かれていなかった。
    思ってたのとはだいぶ違った。

  • 2013.6.16読了 青空文庫

    金井君の性の目覚めまでを語る自叙伝という形式。結局目覚めてないし(笑)
    名作は私には高尚すぎてわかんないのかな…

  • これで発禁かあ…
    やっぱり男子校の描写がまずいのかなあ?

  • 金井くんが小さい頃に近所の母子が嫁入り前に、と眺めていたエロ本?が見えた経験に始まり、性にまつわる体験?とかを書いたもの。別に、際どいことも書いてないし、正直、現代からするとたわいないことなんだけど、どうやらこれが載った雑誌は発禁?になったらしい。昔も今もあんま変わらないんだな〜なんて。
    ただ、金井くんは鴎外をモデルにしてるっぽいけど、どんだけ神童やねん‼って突っ込みたい(笑)

  • 物語的でなく話がつまらない上に注釈責めにされて、読むのがしんどくなってしまった。
    なんとなく、古文の模試を思い出した。冊子をぴらぴらさせて読む面倒臭さ!
    しかし装丁がとても素敵で、勢いで買った後悔も抑えられます。

  • 課題図書。自然主義との対比としての課題だったので、アンチ自然派小説としていえばそう訴えたいのはわかるけれど、そこまで捻くれて回りくどくせずにもっと正面切って主張していいんじゃないかと思う。

  • 私小説でしかもテーマが性欲的生活=オナニー小説以外の何物でもないと思いました。そりゃあエロくなくても発禁くらうよ。昴で書こうと思った鴎外の変態思考についていけない。住み分け出来ない人が昔から居たんだな、と感慨深い気持ちになりました(笑)
    あと注釈大杉。何でドイツ語とか英語とか使ってくるの?日本語で書くならある程度の一貫性を持たすべき。鼻につく。

著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森鴎外の作品

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