小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101030050

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  • ◇ 城の崎にて
    死にゆく経過すら不明な不動の蜂と生を体現するように働く蜂
    自殺を知らない動物の、死が決まっているのにそれに至るまでの必死の努力(と、それを笑う人間)
    偶然死ななかった自分と偶然死なせてしまったヤモリ
    生かされていることに喜びを見出せないのは自然なように思える

    風がない中揺れ、風がある中止まる葉の描写が好き

  • 志賀直哉は表現が直接的でうまい。

    『東洋の勝れた墨絵が実にこの印象を確に摑み、それを強い効果で現している事を今更に感嘆した。所謂印象だけではなく、それから起こって来る吾々の精神の勇躍をまで掴んでいる点に驚く。』雪の日より

    志賀直哉の作品がまさにこれだと思う。
    自分が感じる情動を自分の認知する以上に、的確らしく、うまく捉えて表現している。
    そのおかげで、読後、読中に感じるのは、雪の日にこたつでぬくまるような落ち着いた『静』の心持ちに浸ることができる。

    この短編集の巻末では、阿川弘之さんと高田瑞穂さんによって志賀直哉の略歴と作品とが紹介されている。これも面白かった。
    いつかは阿川さん推薦の全集(岩波書店)にも向き合ってみたい

  • 死について私はほとんど考えたことがないけど、自分がそういう状況を体験した時に、普段何気なく見ている色々な生き物の死に方について考えるようになるのは何となくわかる気がする。
    身の回りの生き物の死に様、死後の風景についてよく見てみようと思った

  • 城崎温泉に行ってきたので、そこが舞台の小説を読んでみた。国語の教科書に載ってそうな
    綺麗な文章やった

  • 城の崎にて

    高校の時、現代文で習いました。
    なぜかこの時のことは鮮明に覚えています。
    とても暑い夏で、城崎温泉街の美しい風景があったことを覚えています。

    高校当時は冒頭の今だったらあり得ないような出来事にビックリするだけでしたが、年を重ね、様々な文章を読む経験を積むことに、志賀直哉の無駄のない文章と感性にはいつも感心させられます。

    思い出した時に、何度でも読みたくなります。

  • 表題の「城ノ崎にて」は本当に短い短編だった事にビックリした。(10頁ぐらいしかない。)
    そんな短く簡潔な言葉使いの文章なのに印象に残る。代表作と言われるのはやっぱり凄いんだな。と単純に思った。
    18編からなる短編集で私が好きなのは「小僧の神様」と「赤西蠣太」の2編。
    この2つとも最終的にこうなりました。という明確な事は描かれてなく自分で想像してね。という余韻に包まれてる様に思った。
    「赤西蠣太」はハッピーエンドを迎えて欲しい。
    それに対して「佐々木の場合」「瑣事」「山科の記憶」「痴情」「晩秋」は私が女性だからか?
    主人公の男性がずるいと思う。
    男性から見たらどうなんだろう?
    この男主人公。
    「佐々木~」なんてあれは逃げでしょう。
    短い中でも憤ってみたり、こうであって欲しいなと想像をかき立てたりいろいろ忙しい短編集だった。

  • 城崎に旅行に行ったあと読んだ「城崎にて」伊豆の踊り子のような話かと思っていたが全然違った。そして、「小僧の神様」は有名な話だが、小説って素晴らしいな!こういうのを小説というのだ、と思った。

  • 文書のリズム感が天才的に美しい。小僧の神様などはオチも素晴らしく、絶句である。

  • 2012年10月の課題本です。

    開催日    : 10月21日(日)受付開始16:00 読書会16:00~18:30
    ドレスコード : 秋

    お申し込みは下記HPからお願い致します。
    http://www.nekomachi-club.com/

  • 白樺派の小説というのは、どこか虚しく、どこかあたたかく、とても自然で、しっくりくる。O・ヘンリーの短編よりなお自然で、特に刺激も無い。なのにこの……いや、小説について何か書こうとすると、どうも陳腐な形容詞ばかりならんで致し方無い。一言でいうなら、非常にヒューマンスケールな短編である。やっぱり陳腐な言い回しだ……

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著者プロフィール

志賀直哉

一八八三(明治一六)- 一九七一(昭和四六)年。学習院高等科卒業、東京帝国大学国文科中退。白樺派を代表する作家。「小説の神様」と称され多くの作家に影響を与えた。四九(昭和二四)年、文化勲章受章。主な作品に『暗夜行路』『城の崎にて』『和解』ほか。

「2021年 『日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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