灰色の月・万暦赤絵 (新潮文庫 し 1-6)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101030067

感想・レビュー・書評

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  • 「池の縁」が収録されているじゃないか。昨年の12月に喫茶店でZがおすすめしてその場で読ませてくれたやつだ。あのとき確か店のおじいさんに本のことについて色々訊ねられた。はて、なんの小説についてだったか、すっかり忘れてしまっている。

    「池の縁」ほかいくつかの作品に息子・直吉が登場しており、不思議と読み出した時点で愛着を持っていた。七歳ほどの幼い少年で出てくるたびに可愛らしい。

    「灰色の月」「兎」あたりをいちばん面白く読んだだろうか。「灰色の月」は電車の一瞬間を捉えた作品で、小さな体験を作家の眼と文章の力で作品へと押し上げた名品であると思う。

    「兎」は志賀直哉の生き物への愛着が作品を通して伝わってきて読み心地がよい。こういう愛着を他の作品でも書いていた作家だった気がするが、別の作家と勘違いしているかもしれない。なんにせよおもしろかった。
    読みながら安岡章太郎の「兎」が思い浮かんだが、あれとはずいぶんちがう。安岡の作品に出てくる兎には生き物の臭さみたいなものが漂っていて、こちらの兎は純粋に可愛がる対象として描かれている。兎が家に住んでいるという状況は頭に思い浮かべるとなんだか高揚する。

    「自転車」という作品を読んでいるときに随筆と小説のちがいがもう分からなくなった。もしかしたらそこまで区分分けしなくてもいいものなのかもしれない。

    • 室園元さん
      僕の記憶では、あの日おじいさんは「俺も小説を読むんだ」と言ってたような気がする。川端康成じゃなかったっけ?
      僕の記憶では、あの日おじいさんは「俺も小説を読むんだ」と言ってたような気がする。川端康成じゃなかったっけ?
      2022/05/27
    • setsusan3さん
      川端康成だっけなあ。なんかラジオで小説を聴くみたいなことは言ってた気がする。
      川端康成だっけなあ。なんかラジオで小説を聴くみたいなことは言ってた気がする。
      2022/05/28
  • 自転車のエピソードで好きなのがあったなとうろ覚えで再読。
    合う合わないもありそうだが、昔の文体なのにあまり気にせず読めてしまうのは凄いことだと思う。
    日常の小さい話が多いのに文学作品として読めるのは、さすが文豪。

  • 好きだなあとしみじみ思います。文体が。優しさが、明るさが、にじみ出ています。
    「絶対的な自我肯定」というのは、生まれつきなのか、努力で勝ち得たものなのか、わからないけど、尊敬するほか、ないです。表紙のまなざし、こんな目をいつかしてみたい。

  • 「豊年虫」「朝昼晩」(2005年)
    ---
    「早春の旅」(2009年)

  • 未読

  • 思考スキャン

  • 志賀直哉後期の短編集。直哉自身はこの後期こそ自分にとって価値のある短編だと述べている。平凡に思えることを、信頼できる文章で記してあり、好感をもてる。

  • 5/8読了。おちつく。

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著者プロフィール

志賀直哉

一八八三(明治一六)- 一九七一(昭和四六)年。学習院高等科卒業、東京帝国大学国文科中退。白樺派を代表する作家。「小説の神様」と称され多くの作家に影響を与えた。四九(昭和二四)年、文化勲章受章。主な作品に『暗夜行路』『城の崎にて』『和解』ほか。

「2021年 『日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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