ひざまずいて足をお舐め (新潮文庫)

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著者 : 山田詠美
  • 新潮社 (1991年11月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036120

ひざまずいて足をお舐め (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 以前読んだ『僕は勉強ができない』の方が読みやすかったけど、好きなのは『ひざまずいて〜』の方。

    SM嬢の話で、山田詠美の自伝的小説らしいけど、それはただの枠組みというか舞台装置のようなもので、内容は『僕は勉強ができない』と共通してる。
    『放課後の音符(キイノート)』や『僕は勉強ができない』が高校時代の山田詠美なら、『ひざまずいて〜』はその後という感じ。
    社会通念や常識とされてるもの、あるいは「世間」というものがもつ上っ面の気持ち悪さ、仮面のようなものに対して、「本当にそれは正しく美しいことなのか?」と、作者の目を通して語ってます。読み手側のパラダイムシフトを促すちゅうかさ。
    だから、山田詠美とかは若いうちに読んだ方が絶対に良いと思う。

    そう、たぶん「美しいか否か」ということなんだと思う。山田詠美の言葉で言うと「上等」なのかな。

    『ひざまずいて〜』の方が好きなのは、こちらの方が作品づくりについて語ってるから。作品が褒められること、また嫉妬すること。
    自分が映画や本を読むのは、そこからヒントのようなもの、火種のようなものを拾いたいからなんです。
    映画で言うと、ハリウッド内幕もの…はまたちょっと違うけど、監督の描きたいものが枯渇してっていう話のフェリーニの『8 1/2』とか、あまり良い例えのが思いつかないけど、ものづくりに対してどうやっているのか?というものを観たり読んだりしたいのです。そしてそういうものが面白い。

  • 私の人生のバイブル。
    ただのSM物語ではない。
    線を引っ張りたい名言がたくさん。
    持ち歩きたい一冊。

  • 山田詠美節炸裂w自伝的小説らしい。普段あまり知られていないSM界の事が垣間見えてその点ではとても面白かった。本当にあったの!?と思わずギョッとするようなプレイ有。偏見の目で見られしまいがちな職業だが、どんな世界でも汗水流して肉体労働している人たちが、切なくも愛おしく思える。一種の職業本だと思って読むと、一層楽しめるかも・・・?

  • 高校~大学の、
    自分の軸や価値観が全く定まらない時期に読んで
    強く影響を受けた作品。

    世の中の既成概念をそのまま受け入れるのではなく
    自分の頭で考えて、
    自分の両足でしっかり立って生きていくこと
    を教えてくれた。

  • 私が山田詠美のとりこになった最初の一冊。
    彼女のこと共感できるわりに、ストーリー忘れてた。。。

    山田詠美がストリッパーになって、SMの女王になって、作家になっていくまでの
    人生を主人公『ちか』っていうのに置き換えて書いてる半自叙伝。

    ストリッパーにSMの女王?
    なんていうともろ水商売だけど、それを恥じずに胸を張ってるとこ。すっごい好き。
    誰が作家になろうと関係ない。
    そんな当たり前のことなのに、世間は何故か冷ややかな目でみるんだよね~。
    やっぱり日本って考え方が狭いよね。

    私なんか、SMの女王が作家もしかも文学賞受賞者なんてかっこいいと思うよ。
    隠された才能を持ってる人って憧れる。
    どんな考え方してるのか、すっごい興味あるんだよね~。

    初め、この本を買ったときは本の題名に惹かれて買ったんだけど、
    改めて読み返すと、奥が深いよね~。

    それに、ほとんどが会話なのに、「」がついてないの。
    だからかなのか、エッセイ系にも見える小説。
    文字がぎっしり詰まってて読み応えあったわ~。

    私も山田詠美に共感できるから
    やっぱり旦那は外国人なのか~???
    旦那が外国人を貰うような人間だから、こういうことに共感できるのか。。。???
    わからないけども、
    これだから、彼女の本は好きなのよね。

  • 教訓じゃないけど、はっとさせられることが多い本だと思う。
    よい子の世界でしか育ったことのない人に読んでもらいたい。

  • 主人公の二人はSMクラブの女王様。日夜、秘めた嗜好を持つ客が訪れる。人の抱く欲望も、愛の形も人それぞれ。良し悪しではなく、まるごと受け入れて愛おしく感じることができるなら、この世の中もまんざらではないのかも知れない。

    この本は、まだ初心な高校生の頃に先生に薦められた。タイトルがタイトルなので、家ではこそこそ読んだのだけど、出会えて本当に良かったと思う。

  • 詠美さんの言葉ってなんて気持ちが良いんだろう!!
    あまりにもあけすけだから、たまに恥ずかしくなったり苦笑したくなってしまう文章もあるけれど、格好つけてる文章よりずっと格好良い。

    会話ばかりなのに、飽きずに読み耽ってしまえるのがすごい。
    終盤になるにつれて、なんだかみるみる生命力がわいてくる気がして、とってもお腹がすいてしまって、お行儀悪いけれど物を食べながら読み終えた。パワーをもらいました。

  •  というわけで、久々の小説レビュー。
     ちょっと……っていうか、だいぶ。
     読むのに苦労しました。
     うん。疲れた。
     1回挫折して、もう1回最初から読み直したんだよね、この本。ふぅ。
     こんなことになったのは、源氏物語以来だ……(源氏物語は2回挫折して、いまだに読みきれてない)

     とりあえず、この本の読みにくいところは。

     改行が少ない。
     えぇ、驚くほどに。

     会話がめちゃくちゃ。
     カギカッコ使ってないんだよ、あんまりっ!!

     というわけで、ちょっと読むのに挫折しそうになったこと∞。
     なんていうか……1ページ分くらい改行なしなんてざらっ!!
     字、字、字、字っ!!
     普段、この人の話って読みやすくて大好きなんですけど、これ、読みにくいっ!!
     初期の頃の作品だからそうなのか、それともこの本だけ特別なのか……。
     あんまり年代を意識してこの人の本を読んだことないからよくわかってないんですけど……。
     疲れた……。

     おまけにその改行なしの文章の中で、2人分の会話が入り混じってたりして、もう頭は大変なことに……。
     どっから何処までがどっちの会話なのか、ちゃんと頭を使わなきゃわからない。
     うへー……って感じ。
     おかげさまで、たいそうな時間をこの本1冊で潰させていただきました。

     でまぁ、肝心の本の内容なんですけど……。
     この本、実はこの作者さんの自伝的な小説らしいです。
     だとしたらあれだ。
     この人、スゴイ人生送ってるんだね……(苦笑)
     これくらいのすごい人生送らなきゃ、この人みたいな雰囲気の小説って書けないって言われるんだったら、僕、この人みたいな文体は諦めるよ。
     もう、絶対的な経験値が違うもん。
     レベル1の勇者が、ラスボスにケンカ売るみたいなもん。
     それくらいに全然格が違う。
     むしろ、僕は勇者ですらないかもしれない。(苦笑)
     おもしろいけどね。
     とりあえず勝負は、この文体に慣れることができるかどうか、だと思う。
     慣れたら、割とまぁまぁ、すらすら読めるようになる……と思う。

  • 山田さんの小説はなんか…どことなくかわいらしいかんじがする…。

    『どういうこと?なんて山城さんに目で問いかけると、彼は解ってくれよって言いたげに私を見る。ねえ、食べてって言って、リリーは私に柏餅を差し出すけど、私は困っちゃった。だってそれって、髪を巻くカーラーを柏の葉で巻いたものなんだもの。この女の子は普段は狂ってるようには見えないんだけど、何かの拍子に時々おかしくなるんだよね。そんな時、不気味な程、この子は綺麗に見えるから恐いくらいなんだ。』

    『若い女と寝る機会を持てるってことだけでもお金を払う価値あるってさ。~自分よか若い女、しかも、自分がそれを買うだけのお金を持ってるってことで、すっごく自分のことを上に思えちゃうんだってさ。~結局、そういう男たちは若い女の体を買うことで、自分の価値を買ってるんだね~もっとも、若い女なんてたいしたことないよって思う出来た男たちはそんなふうにお金で女を買おうとしないものだけどね、~日本人のおっさん連中ってさ、体に対するお金はけちるけど、媚に対するお金は絶対にけちらない。~良心だとか、人を好きになる気持ちだとか、そういうものを刺激されるってのが、すごく嬉しいのよ、彼らは。~お金を結局、自分自身を好きになるために使ってたの。』

    『うちの父親の会社の上司の人がねえ、可愛がってた娘さんの髪を、酔っ払って切っちゃったんだ。腰まである綺麗な髪だったんだけどね。で、その娘さん、自殺しちゃったんだよ。~でも、そのお父さん、ショックで会社も辞めちゃったみたい。何で、運命が変わるか解らないねえって、私とちかは顔を合わせてつくづく言う。狂気って幸福と隣り合わせなんだよ。』

    『母親は、だから、いつも暗い目をしちゃってさ。何だか、おじいちゃんの面倒を見るためにやとわれた奴隷みたいだったなあ。きっと、おじいちゃんと、おばあちゃんも、愛し合ってなかったんだろうねえ。』

    『差別って、たとえされたとしても相手に劣等感を持っている場合においてだけ、傷つくものだからね。』

    『嫉妬って、自分を可愛がっているからこそ、起きる感情だと思う。~でも、私の動きによっても隙間は出来るんだってこと、今さらながらに、気付いたのね。~同じ立場に男と女はいつでも立てるんだって思ったのね。』

    『私、憎いと思い始めていた。私よりも彼女に降りかかった幸運がね。考えてみれば、彼女がどんどん美しくなる速度より、私が、どんどん醜くなって行く方がずっと速かったかもしれないのにね。その時の私にそんなこと気が付く余裕なんてなかった。~私、口をきけなかったな。私のしたこと、一体、何だったんだろうって。』

    『いいじゃないの。そうやって生活してて、結局毎日苛々してんのはあの娘なんだからさ。~ここにいる時はあの娘のことで頭に来たりしちゃうけどさ、ここを一歩離れれば、あんな娘のこと考える時間なんかないじゃない。でも、あの娘にとってはそうじゃないじゃない。何で、私がこんなことしてんのよってのが店の外までずっと心の中にあってさ。ずっと苛々してんのよ。ああいう娘にとっちゃ、嫌なことがすべてだからね。気の毒じゃないの。』

    『ようく見るといいんだ。人間、誰でも体の造りは同じだってね。どんなに綺麗な造りの人間だって、どんなにいいお育ちをした人間だって、四つん這いになってる恰好なんて誰もが同じなんだから。人間の優劣を決めるものなんてそんなとこにはないんだよ。』

    『もう、大好きでねえ、見てるとなんだかにくったらしくなって、ほっぺたつねったり、けっとばしたりして喧嘩をしかけちゃうくらいなの。もっとも、向こうは相手にしてないけどさあ。で、恋する相手を別にみつけちゃうの。~私と彼は求め方が全然違ってるけど、でも、お互いを必要としてるのはすごく同じ。~もう、私と彼の間って、空気みたいな感じだったから、~ねえ、ねえ、私たちってちっちゃい兄妹みたいだねって、私が言うと、うん、うん、なんて、彼、頷いてたよ。~その寝顔見ながら、私、この男と、もしかして血がつながっているんじゃないかなあなんて変なこと考えちゃったものね。~憎むなんてとても出来ないよ。』

    『どうして、同じものを書くのにこうまで違う人間たちがいるのかなって、私は時々思っちゃう。』

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SMクラブの女王様が、新人賞受賞の注目作家になった。親友、忍お姉さんが語る主人公ちかの世界は、ストリップ嬢、黒人に群がる女達、SMクラブの女王様と奴隷たちと猥雑だけど、なぜか不思議に澄みきっている-。夜の世界をあっけらかんと遊泳しながら作家となったちかの本音と過去の記憶を、恋愛についての様々な真理をちりばめながら綴る著者の虚構的半自伝小説。

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