色彩の息子 (新潮文庫)

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著者 : 山田詠美
  • 新潮社 (1994年5月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036137

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色彩の息子 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 山田詠美の短編集。心の奥深いところをナイフで切りつけて、さらに奥をえぐってくるような小説で、最初は一話目を読んだだけで本棚にしまってしまったけれど、改めてチャレンジ。相変わらずの甘ったるい暴力性と、親しみやすさのある詩的な文体にうんざりしながらもぐいぐい引っ張られて、結局最後まで一息に読んでしまった。物語にそぐわないパステルカラーの色紙が意地悪。嫌な小説だと思った。「蜘蛛の指輪」は好き。

  • 短編集なのも手伝って、読みやすかった。
    各章にそれを象徴する色のページが綴じこまれていて、不思議な小説だった。
    一番怖いなと思ったのは黒子の章。不幸の種を蒔いているのは自分なのかもしれない。
    でも、自分では気付いていないから、自分でもどうしたらいいか分からなくて、
    黒子をとってしまったりするのだろう。それが原因だと思てしまっていて、
    他にどうしていいかわからない。
    だけどどうやったら彼女は、自分で不幸を招き寄せることをやめられるのだろうか?
    黒子が彼女のコンプレックスで、嫌なものであることには違いない。
    傍からどう見えようとも、彼女は苦しんでいる。
    苦しんでいるのは彼女。

    他人事ではないな、と思った。

  • 話の流れや構成は陳腐なのに、言葉の選び方がとんでもなく簡潔で的確で舌を巻いてしまいます。
    非常にクレバーなお方だなぁ、この話は好きじゃないけど素直に凄い。

    ・・・・・・と思ったのも最初の4話まで。
    「病室の皮」からはそれすら無くなってしまいました。
    順番に並んだアルファベットとか等差数列とか、そういう普遍で分かりきったものをつらつらと並べられている感じがして非常に退屈でした。読んでいて楽しくないのです。ハッピーエンドじゃないからとか、事件が起こらないからとか、話が暗いからとかでは全然なくて、私はむしろそういう話が好きなのですがしかし、小手先で小説書いてる感じを強く受けてしまったのが原因なのでしょう。
    作者が器用すぎる。それが逆に私を冷めさせてしまいました。


    09.08.04

  • 山田詠美の描く若者は瑞々しい。そして人の後ろ暗い部分もそのまま描き出してくれる。誰もがどこかの話に自分を重ねてしまいそうな、そんな短編集。

  • 面白かった。そう、恋愛ってこう濃度の濃いものだな。ただちょっとエロすぎて電車で読むには恥ずかしい文庫だった笑
    唸るほど文がうまい。なんとも秀逸な言葉選びをするな。
    ヴァセリンの記憶はロマンチックだったけど高貴なしみの方がホモ度は高いように思いました( ˘ω˘ )

  • 読み終わってから数日間は山田詠美の、もとい息子たちの毒にやられてフラフラ。

  • タイトルからわりとポップな作品を想像していたけれど、裏表紙の作品紹介からそんなにポップではなさそうだ…と思いながら読んだ、12色の色にまつわる短編集。
    結果的に、ポップどころか!という。
    むしろ重い。重くて…暗いとは違うけれど、読み終えて胸にずっしり来る作品が多かった。

    人間が持つ果てしない孤独感、誰かに対する悪意、虚栄心etc.
    それら人が持つ負の感情を、さらりとではなく真正面からがつんと描いている作品が並ぶ。最初からそれがテーマだと分かるような、ストレートなものばかり。
    12色の色の描き方は独特で、目に見えないものを色に喩えているパターンもある。その発想に舌を巻いた。

    人に対する負の感情は往々にして身を助けないな、と改めて思った。
    人を呪わば穴二つ、とはよく言ったものだけど、誰かを憎んだり嫉妬したりしたのが、回り回って結果的に自分を貶めるということはよくある話。
    その“よくある話”をよくあるような感じではなくとても独特に、時には胸糞悪く描いている作品群。けして読後感はよくないのに、読んでいて嫌だとは感じなかった。不思議な感覚。

  • 非常に良かった、とシンプルに言わせてください。
    どれが心に残るかはそのときによって異なりそう。それにしても、山田詠美は回りくどさがなくて良い。余計なキャッチーさもない。
    一番最初の矛盾に満ちて揺れる気持ちを描いた小説が良かった。後ろの方に行くにつれて物語としての完成度が増す一方、どこか予定調和感も生じてきてしまっていたように思われる。
    いまは、金色と薄紫と白と灰色が特に好きだったかな。

  • 単色で彩られた世界を眺めつつ
    色が変わる度に息継ぎをするような
    そんな感覚で一気に読んでしまった

    ダークな話が多めの短編集

    人間の気持ちの底の深くて暗いところを
    抉って晒しているような

    色とりどり

  • どんな人間でも、心の奥底に持っている負の感情
    ドロドロとした感情を12色の色を軸に
    ファンタジーとリアルの狭間の様な物語
    ただ、どうしても後味が悪いので読み返すことは
    無いと思う
    鮮やかな色とえぐさ

  • 短篇集。人の心の毒々しさ、あるいは清らかさが色彩をテーマに鮮やかに描かれる。物語からここまで強烈に色を感じさせる物語は他になかったと思う。間に挿されている色紙も物語に彩りを加えている。

  • 人間の強い感情を山田詠美の色で彩っていく短編小説。根源に近い部分で誰もが持つ醜くて純粋な部分にフォーカスしている。誰も好んで見ようとしない場所しだから、これほどに鮮やかな色あいに少しばかり驚いていくつかは脳裏にビジョンが浮かぶほど。

  • 感情も人間関係もドロドロしていて、どの物語も統一されたテーマとしては鋭いセンスを感じました。
    ただいかんせん読後感が何とも言えません...。

  • 色彩になぞらえた歪な感情の織りなす12の短編。全体的に作者お得意のウェットでドロドロ愛憎劇で胃もたれしそうだけど、12篇もあるとネタ切れするのか、物語にもならないような尻切れトンボなものもチラホラ。個人的にいたずら電話の話と蜘蛛の指輪の話はよかったかな。

  • それぞれの色に表された短編たち。
    生々しくて、ゾッとする。けど、覚えのある感情。
    それに色をつけていくとしたら、こうなる。

    目を背けたいものもある、
    そのくらいヒトとしての綺麗でない部分に迫られる感覚。
    でも、どこか言い表してほしかったような
    ワタシだけでないと認められたような。
    すっきりとはしない、けれど、印象に残る一冊。

  • 各章ごとにちらっと色が出てくる短編集。詠美さんの小説は明るくて前向きなのもいいけど、こういうちょっと退廃的なのも好きだ。
    ヴァセリンの記憶がインパクトに残りすぎて。

  • 色紙が綺麗です。凝ってるなあ。

  • 少し色にこだわりすぎのようにも思えたけど、どのストーリーもテンポよく読めました。もう少し話が聞きたい!!といった感じで、良い意味で短編なのが惜しく思われました。
    登場人物は人間味が溢れていて、読んでいて心地よかったです。

    しかし、色紙はいらなかったのでは?と違和感。まず、色紙のはさまっている場所が微妙。そして、色の名前だけ出しておいてどんな赤なのか、どんな紫なのかといった想像の余地を残しておいて欲しかったなと思いました。

    また、山田詠美作品読みたいです。

  • 1つのカラーにひとつの物語。
    実際に、ストーリーの間にテーマとなる色の紙を挟んでいて、山田詠美らしい粋なセンスだなぁと思いました。

    今手元にないのだけど、確か「雲の出産」という話がすごく面白かった。
    イケイケのかっこいい女の子が、冴えない女の子に彼をとられちゃう話。あらすじだけ言えばどこにでもありそうな話だけど、さすが山田詠美。自分が主人公になったように物語にひきずりこまれ、すごい衝撃をうけた覚えがあります。

  • 何回読んでも新たな発見がある。読めば読むほど面白い。詠美さんワールド全開。評価5までじゃ足りない。

  • 一つ一つの話がとても短い短編集。
    が、内容がとても濃い。人間の綺麗ではない部分、いわゆる嫉妬や虚栄、愛憎などが描かれているのだが、どれも奥が深い。
    また、読後は何だか不思議な気持ちになる。言いようのない余韻が味わえる本だと思った。
    個人的に収録されている話の中では「高貴なしみ」「ヴァセリンの記憶」「黒子の刻印」が好き。

  • 妄想、孤独、虚栄、倒錯、愛憎、嫉妬、再生……。


    人間の奥にある感情を十二色と短編集。


    どの物語も後味はどろっとしています。


    声の血・草木の笑い・蜘蛛の指輪は読後感どろっとベスト3


    埋葬のしあげが私立高校の入試問題になっていたのには驚き。


    詠美さんは、心情をえぐりとったかのようにリアルに提示してくる。
    私の心をつかんで離さない作家さんです。

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色彩の息子 (新潮文庫)の作品紹介

しっとりとぼくの体にまとわりつく真っ赤な声の染み(赤)。夜明けの孤独を泳ぐようにかきわける青白い顔の女(青)。病んで忌まわしい白い心の病室に、鍵をかけ封印してきた女(白)。心の奥底に刻印されてしまった劣等感という名の黒子(黒)-。妄想、孤独、虚栄、倒錯、愛憎、嫉妬、再生…。金赤青紫白緑橙黄灰茶黒銀に偏光しながら、心のカンヴァスを妖しく彩る12色の短編タペストリー。

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