蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)

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著者 : 山田詠美
  • 新潮社 (1997年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036182

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蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 少女から女へかわっていく、サナギが蝶々になる瞬間をとらえたような三編。
    こういう大人びてませた少女の話大好きです。
    パーツから欲情していく描写がたまらない。

    【蝶々の纏足】
    処女のうちから男の熱を知っている少女。
    はやく大人になりたいと願う彼女を自分の引き立て役のように扱い、彼女が大人になることを阻止せんとする美しいえり子。
    蝶々の纏足というタイトルがとても甘美で素晴らしかった。
    麦生をみつけ、誘惑するかのように視線をおくり彼の指を下の上に置く瞳美の立派な女としての振る舞いには、嘆息するほどドキドキした。
    ラストの大人になった瞳美と叔父との会話で、しかしこの物語は一変する。
    瞳美の物語から、えり子の物語となった。
    幼かったえり子の不器用な愛情。えり子に強いられていた、それはどこまでも純粋な纏足だった。

    【風葬の教室】
    家庭の事情で転校をくりかえす杏。
    その整った容姿と可憐な存在感は人気の体育教師をも虜にし、望まぬひいきをされるようになる。
    妬んだ学級委員の恵美子がクラスメイトを誘引し、杏は虐げられ孤立していく。
    子供でいることの窮屈さを思い出した。単純で、くだらない、子供。
    そういう存在が許されてしまう教室という檻。
    もどかしくてならなかったけれど、そこにひとつ、よりどころのように存在するアッコという少年がいた。アッコと杏は教室にいるたった二人だけの大人だ。
    たくましく凛とした彼らの手で、教室なんてどんどん風葬にしてしまえばいい。

    【こぎつねこん】
    孤独、という言葉を知る前から、孤独とはどんなものなのか肌で知っていた。
    幼い頃から母がうたってくれていた「こぎつねこん」の子守唄。
    愛情の証であるようなその子守唄からは、いつも孤独が見え隠れして、彼女の孤独を刺激した。
    彼女は、いつどれほど幸福であっても、彼女だけの孤独を永遠に大切にしていける。

  • 一番好きなのは「風葬の教室」です。
    最初は好かれていたのに嫉妬され一人になっていく。主人公ほどではないけれど女子の中でこんな風になってしまったことがある人は私を含め結構いると思う。
    風葬という言葉を知らなかったから最後に納得でした。

  • 「蝶々の纏足」危うい少女時代の感覚のずれがなんだか切なくなった。山田詠美の男女の時間の描き方が好きだ。
    「風葬の教室」これが3編の中で一番引き込まれた。学生時代にいずれかの立場に、誰でも立ったことがあるんじゃないかと思う。生きなくちゃと思うことは死ぬより重い選択。
    「こぎつねこん」もう1回読まないと感想を書けない。掴めてない。

  • 本書に拍手を送る読者は多いだろうから(特に女性)、また拍手を一つ付け加えるだけになるだろうけれど、思春期の少女を描いた小説として、これに勝る小説(集)をちょっと思い出せない。
    本書を一言で言い表すなら「孤高」。
    学校にすら漂う、いや、学校であるからこそ厳然としてある「世間」というものを軽蔑しながら、自分の好きな男を追い求める少女の超然とした態度が何よりもとうとい。
    「風葬の教室」での、死なないという選択をする少女に、身震いするほど感動した。

  •  収録された3つの短編、「蝶々の纏足」「風葬の教室」「こぎつねこん」は全て、少女を主人公に据えた物語。
     山田詠美の作品を読んでいて凄いと思うのは、身体的な感覚を描写する文章力であり、血の通っているかのような言葉に想像力を掻き立てられ、まるで自分自身がそういう風に感じた経験があるかのような気持ちにさえさせられます。
     1つ1つのページ数的にも読みやすく、面白かったです

  • 最初に読んだのは小学生の時だっただろうか。山田詠美さんの作品の中でも、何度読み返している、大好きな1冊。私の中で山田詠美さんと言えば本書か、『放課後の音符』が特別気に入っている。
    青春時代にこの本に出合えてよかった。少女のもつ色気と危うさと残酷さ。山田詠美さんじゃなきゃこんな本は書けない。

  • 死ぬのを決心した時よりも、生きなければいけないと気づいた時の方が涙が出る
    というのが心にずっしりと来てこちらまで泣きそうになった。
    自分を侮辱されるより家族のことを否定されるほうが辛いというのも理解できる。
    蝶々の纏足は女友達の話ということで共感できるところもしばしばあってリアルに感じられた。

  • 凄い小説だった。
    特に風葬の教室は、三つの話の中で一番良かった。
    子供のころ、反抗の仕方を知らなかった時を思い出した。
    自分の、感情を心でグツグツしてるようなあの感じ。
    反抗できないから、自分の考えがないわけじゃなくて
    ただ、それをどのようにして表に出すのを知らないだけ。

    十代の女の子の潔癖なところと、どす黒いドロドロした
    感情が両方味わえる短編集

  • 何度目かわからない再読。

    今回は「風葬の教室」の主人公が遺書を書くシーンが、いいなぁと感じた。悲劇の真っ只中の子どもの心中、自分の命は自分だけのものではないということ。日頃から仕事で子どもに関わっているのだけれど、彼らの感想が聞いてみたいなぁと思った。
    ちょうど重松清『ナイフ』も同時期に再読。一つ目のワニの話が、同じく主人公がいじめられて、自分なりの耐え方というか闘い方を見つけていく…という感じで、文学の中の「いじめ」について考えた。いじめ問題だと、4層構造(いじめられる側、いじめる側、囃し立てる周囲、傍観する周囲)の中で傍観者の行動がその後エスカレートするか沈静化するか左右するなんていうけど、どちらの作品でも主人公は孤独な闘いをしている。もちろんいじめ自体をテーマにしてる文学作品もあるけど、この2作品などは孤独や人間の強さを描くための設定としてのいじめなのだろうなぁと思った。

  • 初めはピンと来なかったけど、何度も手に取って気になったところを繰り返し読んでるうちに、どんどん好きになってきました。3編ともとても良いです。
    死への恐怖は幸福だからこそ湧いてくるものなんだな、としみじみ。


    【2015.10.16再読】
    蝶々〜は前回と印象が全く違いました。初読のときはえり子の言動に苛々したのに、今回は全てが哀しく切なかった。
    風葬〜は、母と姉の会話を立ち聞きしてからの展開がとても好き。
    2作とも好きな男の子の描写が良くて私まで満たされます。繰り返し読むことで、初読では解らなかったところを自分なりに解釈できるようになるのが純文学は楽しいですね。また読み返したいです。
    実は一番好きなのは『こぎつねこん』。目に見えないものへの恐怖心、札幌の空気の冷たさ、可愛らしい両親の愛、全てが絶妙に溶け合っていてたまらないです。大好き。

  • 山田詠美さんの作品を初めて読んだ。
    本を読むのが遅い私でも、この本はするするとあっという間に読めた。
    とにかくエグい。だがその“エグさ”が癖になってしまう。
    狂気を含んだ女の美しさ。そしてそれが求める男という存在。これらが見事に表現されている。
    三作品すべてラストが秀逸で、身震いした。

  • 再読。
    「風葬の教室」はすごい小説だなぁ。

  • とても色気のある小説だった。登場人物はもちろん、地の分や余白から色気がにじみ出ており大変驚かされた。他に山田詠美は『僕は勉強が出来ない』しか読んだことはないが、『僕は勉強が出来ない』よりもさらに味わい深い小説だったと思う。

  • 10年ぶりに読んでも、「風葬の教室」が好き。「こぎつねこん」は前読んだときの印象が薄いけど、今はひっかかる。でも感想を言えるのはまだ先。

  • 収められた三篇すべてが琴線に触れるとても良い一冊。
    作者の言葉の選び方が奇特で、それでいて奇をてらったわけでもなく、思わずほぅっと息を漏らすほど。
    幼い、それでいて一皮むけた少女たちの心を丁寧に描写していく。

    そんな中でもわたしが一番気に入っているモチーフは、
    平穏な日常を崩す死についての彼女たちの考察だ。

    自分ひとりだけなら、死は全く恐れるに足らない。ただ、残される人が当たり前の日常を送ることができなくなることに思いをはせた瞬間、その感受性の強さゆえ、一歩を踏み出せなくなる。
    そんな心情をこれほど丁寧に、悲哀をにじませて描く作家を私はまだほかに知らない。

  • どこまでも女性のための物語だと思う。
    文章や世界観に酔えても、共感するのは、男性には無理なのでは…?と思います。

  • 1度目に読んだ時と読み直した時で、2人の関係性がガラッと変わることに驚いた。えり子の瞳美への想いは狂気的だけれどとても美しい。これまで病んでる系の愛ってあまり理解しきれなかったけど、「蝶々の纏足」を読んでそういう恋愛ものも好きになった。

  • 女の子の嵐。10代!かわいい!ピチピチ!今風!軽く読めるので読まないなら読もう。

  • 山田詠美の作品で一番好きかも。
    女の子同士の残酷な幼少期時代から
    大人に至るまで。
    支配したがる女の子とされる女の子。
    こういうことあったなぁと女子なら誰しも思うはず。。

  • 女の子のすごくねっとりとした感情を書いているけど、読後感はそんなに気持ち悪くない。少女が大人の女性へと羽化してゆく感じがすごくいい。

  • 蝶々の纒足』
    一行目からもう完全に作者のわかるんだか、わからないんだか、ようしれない文章のリズムに巻き込まれていく。独特だけど読まさせられるというのが力量なんだと思う。

    風葬の教室』
    文体はですます調にかわるけど、身体性を持った言いまわしは健在。なんというか、読んでいて敵わないなと思わせられる。クローズアップしているとはいえ、多かれ少なかれこういった感情は抱き、そして忘れているものなのだと思う。ただこんな子ばかりだと怖いけどね

  • 山田詠美の書く思春期の少女の感情(純粋さ・いやらしさ)・洞察がすごく好き。異性を異性として意識することで変化していく少女の心の様子を書くのが巧みな作家だな、と思う。
    「風葬の教室」は主人公が大人びすぎていると思う方が多いかもしれないが、子どもの頃に感じていた感情を語彙力・表現力を伴った大人が書いてるからそう感じるのだろう。子どもの感情は大人が思っているよりも複雑。言い表す適切な言葉を知らない・思い浮かばないだけで、本当は色々なことを感じ、考えているということを思い出した。

  • 「風葬の教室」はあまり好きじゃないけれど、それを補い余って「蝶々の纏足」が好きです。一番好きなシーンを挙げるなら、直美に向かってえり子が髪をかきあげるとこ。この仕草にえり子のずるさや愛らしさ、瞳美への執着が詰まっています。

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蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)の作品紹介

私の心を束縛し、私の自由を許さない美しき親友のえり子。彼女の支配から逃れるため、私は麦生を愛し、彼の肉体を知ることで、少女期からの飛翔を遂げる「蝶々の纏足」。教室という牢獄の中で、生贄となり苛めをうける転校生の少女。少女は自分を辱めた同級生を、心の中でひとりずつ処刑し葬っていく「風葬の教室」。少女が女へと変身してゆく思春期の感性をリリカルに描いた3編を収録。

蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)はこんな本です

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