- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101036182
作品紹介・あらすじ
私の心を束縛し、私の自由を許さない美しき親友のえり子。彼女の支配から逃れるため、私は麦生を愛し、彼の肉体を知ることで、少女期からの飛翔を遂げる「蝶々の纏足」。教室という牢獄の中で、生贄となり苛めをうける転校生の少女。少女は自分を辱めた同級生を、心の中でひとりずつ処刑し葬っていく「風葬の教室」。少女が女へと変身してゆく思春期の感性をリリカルに描いた3編を収録。
感想・レビュー・書評
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読んだのは30年ぐらい前
蝶々の纏足も読んだ。
山田詠美さんの初期の頃の作品
イジメや人との違いについて深く洞察している。クラスメイトの集団のイジメにたいして担任教師のひと言が主人公に開眼させるシーン。山田さんらしい。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コンビニ人間の著者の感想をみて読みたくなった本。読んでみたら、なるほど影響を受けたのだろうなと思いました。えり子が唾液を混ぜたアイスを食べる瞳美の話が印象的すぎます。
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これも内容はあまり覚えていないが、この作品は言葉で世界を書き換える力を持ったものの一つといえる。人はそれを狂気というかもしれないが、何一つなしえないとき、人は言葉で世界を変えるしかないことがある。
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はじめて読んだ山田詠美の作品。やはり「蝶々の纏足」が好きだったな。えり子がアイスクリームに唾を入れてかき混ぜ、「食べてごらん」と主人公に差し出すシーン、鳥肌が立つくらい最高。
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山田詠美ワールド!!ラブ!!
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推しの推しは偉大。辻村深月が推薦する本だということで衝動買いしたが当たり。
辻村深月の人物の解像度の高さは、山田詠美の心情描写の緻密さがルーツなのかな。作家同士で師弟関係にあるのかってくらい。
それに巧みな比喩や言葉遊びも面白い。少女の微妙な歪みをこれだけ描きおこせるのは恐れ入る。
そういえば太宰治の『女生徒』でも読み返してみるか。今なら理解出来るかも。 -
Amy
女性特有の感情•描写、と思われるものも少なくなかったが、それを抜きにしてもとことん物語(これは物語なのか?というところある)に引き込まれる感じ
素晴らしい -
僕が小学4年生の頃、クラスに転校生の女子が来た。Yさん。垢抜けた印象の大人びた子だった。当時の僕などはアホだった。というか、ただの子どもだった。ただの子どもの小4男子は、たいていアホだった。5年生に上がるとクラス替えがあったんだけど、Yさんとはまた同じクラスになった。何学期だったか、席替えで隣同士の席になって、算数がちんぷんかんぷんな僕に解き方を教えてくれたりした。秋の学習発表会で5年生は鶴の恩返しの劇をやって、Yさんは鶴の役だった。決して目立つタイプの女子ではなかったけれど、彼女は主役に相応しかったと思う。
Yさんは5年生の年度末に転校してしまった。その後、僕が通う中学校に、再び転校してきて僕と同じクラスになった。2年生のときだ。ますます彼女は大人っぽくなっていた。3年生に上がるとクラス替えがあり、またしても僕と彼女は同じクラスになった。何かの縁だったのかな。転校して来ても、クラス替えがあっても同じクラスになった僕のことに彼女は気づいていただろうか。3年生といえば修学旅行があり、そのための班分けやらがあり、その時点で、彼女の周辺では何か、ややこしい事態が起きていた。簡単に言うと、イジメだった。とはいえ仲間外れ程度のことだったとしか覚えていない。何がきっかけだったのかなど、僕にわかるはずもない。女子っていろいろあるんだな、と中3になってもアホだった僕は思っていた。当時のアホな僕は異性を変に意識したりして、クラスの女子の誰とも関わることが億劫になっていた。女子に限らず、男子もかな。他人の目を気にしたり顔色を窺ったり、人間関係なんて面倒で仕方がなかった。彼女の周辺の状況は、ますますはっきり理解できる事態になっていた。しかし大ごとにはならず、仲間外れの輪郭が目立った程度で済んでいたように思っていた。その後、卒業に至るまでの過程で、修学旅行の際のグループ分けも当然ながら解消された。クラス内の人間関係にも大きな変化は見られず、いつのまにか仲間外れなどは解消していたように思う。僕が気づかなかっただけかもしれないけれど、知り得る限りでは、事態はこじれることなく収束した。時期が来て各々進路が確定し、何事もなかったように、皆あっけなく卒業してしまった。
僕の進学先の高校には彼女は居らず、つまり別々の高校に入学した。そのため、その後の彼女のことは何も知らなかったのだけれど、数年後、お互いすっかり大人になり、それぞれの人生の展望が概ね固まった頃に、僕らは再会することになる…それはまた別の話。
本の感想のつもりで書き始めたのに大幅に脱線してしまった。長々申し訳ございません。つまり何を言いたかったのか、というと、読み進めるうちに、僕はYさんのことを思い出していたということです。Yさんは、大人っぽくて、目立たないけど綺麗な人だった。マドンナみたいなほくろがあって、それがますますミステリアスな雰囲気を醸していた。僕と同い年だったのに、ずっと大人っぽく見えて、なんとなく、この本の物語の中に登場しそうな女の子だったな、なんて思い浮かべながら読み進めていました。当時の僕が知らないことだって、きっと彼女は知っていたに違いない。何事もなければ…この本を読むことがなければ、僕はもう彼女のことは思い出すこともなかっただろう。でも忘れてしまったわけでもなくて、ときに何かのきっかけで記憶がよみがえる。それはきっと彼女のことだけではなくて、何らかの思い出すことのない記憶はいまだ僕の中にはたくさんあるのだろうな、と今回は実感しました。まったく不思議で仕方がありません。この本を再び開くとき、彼女への記憶も、また開かれるのかもしれません。 -
最高でした。
少女の世界を見る目線が高く、それが心に沁みいりました。少しの大したことない人間関係、それが纏足になって身動き出来なくなってしまう。少女たちの心の変化が素晴らしい。
小さくまとまるな。そう少女たちから言われているような気がして、背中を押されました。