アニマル・ロジック (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036199

作品紹介・あらすじ

主人公は、ヤスミン。黒い肌の美しき野獣。人間の動物園、マンハッタンに棲息中。あらゆる本能を手下にして幸福をむさぼる彼女は、言葉よりも、愛の理論よりも、とりこになった五感のせつなさを信じている。物語るのは、私。かねてヤスミンとは、一喜一憂を共にしてきた。なにせ彼女の中を巡り流れる「無垢」に、棲みついている私だから…。小説の奔流、1000枚の至福。泉鏡花賞。

感想・レビュー・書評

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  • 申し訳ないことに、内容は全く覚えていない。

  • 謎の生態「私」。
    棲家は「ヤスミン」という黒人女性の体内。
    ヤスミンの魂と体を通して「私」視点で様々な繋がりを共有していく。
    それらは、人種差別であったり、性癖であったり、貧富であったり・・・。


    人は“感じる”ことで様々なものを生み出すのだなぁと感じた。

    そして、感じるままに「囲い」や「差」を無意識に飾りつけてしまうのかもしれない。

    けれど、ヤスミンはそうじゃない。
    人というのは実はとてもシンプルな回路なんだと感じさせてくれる。そのスタンスに純粋に憧れる。

    (ヤスミンと)同じにはなれないけれど、
    一瞬でも真摯な眼で自分を捉えられた事は、
    私にとって読了後のご褒美でした。

    できるなら、ヤスミンのように真摯な眼を常に持っていたいのだけれど・・・。(男性への嗅覚も。笑)


    最後の描写もとても印象的でした。

    ああ、好きです。(この物語への告白)

  • 前から一度は読みたいと思ってたんだけど、
    長くてなかなかふみきれなかった本。
    ちょっとだらだらしてる感じもあるけど、読み応えはある。


    山田詠美のこのテのテーマはよく見られるけど、これが最も真摯に向き合った作品なんだと思う。

    人種
    貧富
    性癖
    病気
    人を分ける様々な要素。
    日本でこの時代に生きてきたあやには、にわかには実感がわかないくらいに、その要素で人を嫌いになれる人がいる(みたい)。

    でも人間という動物としてみたとき、ハードをとりさったとき、
    残るロジックは同じ。
    人間社会で生きていると、そのロジックは本当に小さくてゆがみやすいものだけど、
    忘れかけそうなときにはそのロジックを見直したい。


    そのロジックのひとつに、愛し愛される、同類の仲間を作ることがあるんじゃないかなと思う。
    いくらヤスミンが自由でも、ソウルが必要だったように。

  • 実に長い間、自分のバイブル的存在であった本の一つ。主人公がどうしても脳内でナオミ・キャンベルでしょうがないんだけども、どうですかね。ボクは勉強ができないの方を推す人も多い気がするけど、自分は山田詠美の極みってのはこれだと思ってる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/683428

  • ウィルス?主人公の体の中にいるものが語る。
    一時、山田詠美にはまってずっと読んでいた時の一冊。

  • 何これ~。主人公の設定さえなければ面白かったのに。

  • 長かった、、

  • ニューヨークに暮らすヤスミンという黒人女性の血液中に棲む「ブラッド」という生物の視点から、彼女の生活がつづられている作品です。

    さまざまな肌の色の人びとがかかわりあい、ぶつかりあうなかで生じる軋轢に遭遇しながら、ヤスミンは男たちと、また女たちと自由に身体をかさねて、強靭でありつつしなやかに生きています。そんな彼女の交際相手の一人であるウィリアムとのデート中に、ソウルという少年が財布を盗もうとしますが、彼女と会うことで自由な生きかたへの憧れに目を開かれるようになり、物語の中心人物の一人になっていきます。

    こうして、ヤスミンの視線を通して、アメリカの差別をめぐる問題がさまざまなしかたでえがかれていきますが、やがてブラッドが「ブラッディ」と呼ばれることになる同類に遭遇し、さらに二人の子どもである「ジュニア」が誕生して、人間の身体に寄生し自由を貪り食う生き物との戦いがはじまります。こうしたファンタジー的な設定に多少戸惑いをおぼえましたが、かならずしもこのようなSFめいた設定を自然主義的な還元として理解する必要はないのだろうと思います。たとえば、「自由」という人間的な価値のたいせつさを、自然主義的な寓話によって表現した作品として読むことが可能なのではないでしょうか。

    「解説」を担当している花村萬月は、批評家たちが本作を安易にSFとして分類していることに対する不満を表明していますが、「自由」という人間的な理念が、自然主義的な調和のもとで実現されることへの希求を語っているという意味では、正しくSF作品とみなしてもよいのではないかという気がします。

  • 20歳だったな。
    とてつもなく分厚い、この本を読んでる自分に酔ってたな。
    懐かしい。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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