風の盆恋歌 (新潮文庫)

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著者 : 高橋治
  • 新潮社 (1987年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101039114

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風の盆恋歌 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 風の盆の音と踊りの描写が秀逸.実際に見たことのない私も自然に深くその世界に入っていく.
    恋の方はあまり共感はないが,男女ともこの本の主人公たちくらいの歳になると,先は見えてくるし,人生の最後の選択肢をいろいろ迷いながら探してしまうんだろうな.

  • かつて想い合った二人が、もう「取り戻せない」とわかっていながら、逢瀬のときを待ちわびて、ひととき、温かく想いを分かち合い、高め合い、慰め合う。不倫、といえば、そうかもしれない。
    けれど、美しい富山・八尾の街の情景、人びとの心のありかた、二人の互いを大切に想い合う姿、そして、なによりも、風の盆という、ひそやかに激しい祭りを背景にさまざまな心が織りなす景色に、ただ、ただ見とれ、心ゆさぶられる。

    美しい哀しさに満ちた作品。

  • 再読本。
    30代の頃毎年九月に、風の盆から帰ると読み返していた本。
    気がついたら主人公とたいして違わない年齢になっていた。
    30代の頃は妙子や杏里の目線で読むことに抵抗がなかったのに。
    越中八尾の風の盆に託して、常に死を意識しながら30年の歳月を取り戻すべく、後戻りの出来ないトンネルを駆け抜けた二人の物語。

  • おわら風の盆に行く前に予習として手に取りました。
    中年の心中もんってゆうてしもたらそれまでやねんけど、
    八尾で、酔芙蓉ってなまえのお菓子を見つけたときは、ちょっと嬉しかった。

  • 2017年10月7日に紹介されました!

  • これは読んだ時期が悪かったのか、自分は読む立場になかったのか…。
    別れ別れの長い年月を経て都築とえり子が八尾で結ばれた時は、風の盆の表舞台にまだ二人しか見えていなくて、不倫であるがゆえの燃える切なさや抑えきれない恋情に心が揺り動かされた。
    ただ後半はそれ以上に、この先ずっと憎しみに囚われる人生を後に残してしまった罪深さがひしひしと胸に迫る。小絵や杏里の相手の妻子の胸中がどうしても気にかかってくる。杏里が風の盆に帰って来たいと電話で泣いてるという件は、独りよがりの苦しみに感じてイラッとしてしまった。
    魂が呼び合いむせび泣くような恋と命を燃やすおわらの祭りのマッチングは本当に素晴らしい。その美しい夢幻の世界に素直に浸れなかったのは読んだ時期が悪かったのか、自分は読む立場になかったのか…。様々な思いが胸を駆け巡った後、結局またそこへ戻ってしまう。

  • おわら風の盆の記事を書くことになったので。どんな資料を読むより参考になった。不倫の話、、風の盆の話をするには、きっと似合いのテーマなんだと思う。八尾にいつか行ってみたい。

  • わたしはいま、ある女に恋をしている。いい歳こいていまさら恋をするなどとは思ってもみなかった。

    いままでずっと仕事で頑張って、家庭のことで頑張って、脇目もふらずここまでやってきた。あともう少し頑張れば安泰な生活が待っているはずである。でも残りの人生を考えたとき、「自分の人生はこのまま終わってしまうのだろうか」と最近むなしさを感じてしまうようになった。

    だから「幸せって、いいことなの?人間にとって、生きたって実感と、どっちが大事なの?」という、えり子の言葉に愕然とさせられてしまったのだ。そうなのだ大事なのは生きたという実感なのだ。

    残念ながらわたしの想いは女には通じないようである。この歳になってこんな悶々とした日々を過ごすことになるとは思ってもみなかった。現実には、風の盆をともに過ごす都築とえり子のようには、なかなかならない。

    【このひと言】
    〇幸せって、いいことなの?人間にとって、生きたって実感と、どっちが大事なの?

  • 僕の読んだ最高の恋愛小説。おわら盆の祭りの踊りの中に引き込まれる。

  • 「翌日、都築はなん度となく家の外に出て酔芙蓉の花を見た。午前中の白さは凛としたものを感じさせるほど澄み返っている。ほんのりと紅がさしたのが一時頃だった。二時、三時、紅が増した。白さが厳しいものだっただけに、色づいて来る様は、酒に酔うというよりも、女が自分の内側から突き上げて来るものに抗い切れず、崩れて行くありようを連想させた。」

    「“蝶の行く末の低さや今朝の秋”
     “枯芦の日に日に折れて流れけり”
    残り少なくなってしまった芦も、低くしか飛べなくなってしまった超も、まるで、私自身のように思えます。
    そんな、嚥み下しようもない固まりに似たものを抱えこんで、高雄の紅葉を見ていると、実りとは無縁な散る前の一瞬の華やぎであることが身にしみます。
    正直に申し上げて、ただの、一瞬も、華やぎの余韻はまだ私から消え去っていってはいません。
    ですから、草の葉末をすれすれに飛ぶ蝶であっても、私は飛び続けたいと思うのです。」

  • 描写が兎に角美しい。水の音が、耳元で聞こえてくるかのような描写をなさる。多くの不倫を題材に扱った小説がそうであるように、最期には避けがたい死を以って小説は完結する。それでも、死が何と優美で美しいことか。

  • 大学時代にプラトニックで終わった恋人たちが
    初老を迎えて再会するという不倫もの
    「この女は絶対に自分のことを裏切れない」という確信でもって
    妻を昔の男のところに送り出すという
    旧約の神を気取るがごとき亭主の傲慢さに反発を抱えた女と
    互いの自由独立を尊ぶあまり
    キャリアウーマンの妻とのあいだに、わが子を持ちえなかった男が
    富山県富山市八尾に一軒家を買い
    「おわら風の盆」が開催される三日間だけ、若い頃の気持ちで
    かりそめの夫婦生活を送るのだった
    終盤は「ロミオとジュリエット」的な展開を見せる
    八尾の家に、若かりし頃そのままの女が訪ねてくるシーンは圧巻

  • 今年大往生を遂げられた高橋治先生の代表作。今は越中の一大祭りとなった越中八尾の「おわら風の盆」を一躍有名にした作品だそうだが、有名にしたのはこの作品では無く、むしろそれにインスパイアされてヒットした石川さゆりの演歌の方だった?それはさておき、この作品に影響を受けたもう一つの有名な作品は「愛の流刑地」で、あのプロットのイメージがあるのでこの小説もちょっとナナメに見ていたのだが、読んで大分イメージ変わった。何しろ踊りと風景が美しいのである。行間から美しさが滲み出てくる。これはなかなか。高橋治という人は、ご自身もおわら風の盆が大好きで、毎年通っておられたそうである。だから、この祭りの特徴だという、夜の踊りの光から彩りから、読み手の脳裏にハッキリと映し出す文章というのは、最近なかなか見ない。まあ、この作品、相当昔(70年代)のものなのですがね…。男性の手になる女性の美しさ、と言う点では、歌舞伎や文楽に通じるものがあるかも知れません。実際作中にも文楽が出てくる。今の時代じゃこんなことは起きないとは思うが、その美しさは現代にも通じるね。

  • 非常に文章が綺麗な作品。
    背景描写も実に美しい。

    シナリオがシンプルで王道だが、それだけに文章の美しさが映える。

    王道なシナリオの良さを思わず見なおしてしまう作品。

    最近のラノベなどにおける文章劣化に疲れた方は是非。

  • 日経新聞の書評を見て読んでみた。越中八尾の伝統行事、おらわ風の盆を中心に大人の男女を描く小説。挿入される短歌の良さは私にはわからないが、風の盆の描写は美しく、目に浮かぶような感じになる。
    再会して愛し合うようになった二人にとって幸せな時間を過ごせたのだと思う。結末も二人は予期していたものなのだろう。

  • 月見のおわらを見に行きました。
    胡弓の切ない調べ、笠を深くかぶり顔が見えない男女の踊り、声を絞り出すようなでも力強い地方の声。
    ぼんぼりの薄暗い灯りの中で浮き出る舞を見ていると、魂を抜かれるような、異世界に来たような、不思議な感覚になりました。

    その世界観で読んだこの本。
    八尾の水音、胡弓の調べが聴こえてくるようでした。
    都築とえり子は、本当の自分の居場所がわかってしまった。本当の自分になる為に、1年に3日だけ八尾を訪れる。。。その切なさが胡弓の調べでより浮き立ちました。
    本当の恋に出逢うタイミングなんて誰にもわからない。幸せだと実感するのと生きたと実感するのがどちらが尊いのか?

    文章も世界観も、素敵な本でした。

  • 風の盆を見に行きたくなる。
    けれど、前評判ほど面白い部分はないかな。書かれた時代性がありそう。

  • 水音と胡弓の響き。越中八尾、風の盆は来週なのですね。いつか行ってみたいと想いました。

  • (2000.11.25読了)(2000.11.22購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    死んでもいい。不倫という名の本当の愛を知った今は―。ぼんぼりに灯がともり、胡弓の音が流れるとき、風の盆の夜がふける。越中おわらの祭の夜に、死の予感にふるえつつ忍び逢う一組の男女。互いに心を通わせながら、離ればなれに20年の歳月を生きた男と女がたどる、あやうい恋の旅路を、金沢、パリ、八尾、白峰を舞台に美しく描き出す、直木賞受賞作家の長編恋愛小説。

  • 越中おわらの祭の夜、お互いに家庭を持ちながらも、八尾で忍び会う二人。
    お互い一緒に死んでもいいと思うほど相手を思っている。
    町中が踊り歌う情景が作品から溢れ出る作品でした。

  • 『…』を使いすぎ。

  • 愛というミステリ-な行為をどの様に眺めるのか?
    逃げだしていく部分と安らぎと。

    「男と女」やることは同じ-
    その一言の中にあらゆるものが重なっている。

    「とめ」という女性の持つ一つの伏流が
    生き生きとしている。
    「杏里」のせつない生き方。

    清原という男の男としての責任のとりかた。
    幾つものドラマが重なっている。

    「死」というものを向き合わせている。
    老いていく性の中で淡々とものごとを運ぶ。
    その中で、日本の風景がとてもいい。

  • 「不倫」という言葉のもつニュアンスに似合わない二人の純粋な愛の物語でした。それは「おわら風の盆」が美しい背景を添えているからで、本当の主役は風の盆そのものなのでしょう。
    1年に数日しか会えないとしても、会えるのだからうらやましい、と
    マディソン郡の橋のフランチェスカなら思うかもしれません。
    ロミオとジュリエットみたいなエンディングだけれど、そして小説だからそうやって終わらせるしかないのだけれど、もし、現実に二人がいるなら、ずっと愛を貫いてほしいです。

  • この本を読み八尾に行く、

  • 数年前に民法学者に教えられて、ようやく手に取った。そして半日で一気に読了。

    「清涼感で満たされる」。加藤登紀子はあとがきでそう書いたがまさに同感。瑞々しいまでの最期。名作だ。

    映画に向いてそうだけどいまだなし。
    いつか風の盆に八尾を訪れたいな。(2012.8.13)

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