小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫)

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著者 : 有島武郎
  • 新潮社 (2003年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101042046

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小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「小さき者へ」
    なかなか読みづらい文章ではあったけど、親の愛がひしひしと伝わってきた。幼い子供を残したまま死んでいかなければならない母の気持ち、幼い時に母を亡くした不幸な子供を思い、自分が死んだときのために子供たちへ向けて書いた父の気持ち。二人の思いがすごく深い。

  • 小さき者へが好きでした。
    親が子を思う気持ちがひしひしと伝わってきて
    胸が苦しかった。

  • 小さきものへの感想
    失いそうになって初めて、大切なものに気づき、守ろうとした。しかし、その失われそうになっていたものは、自分にこれから守るべきものを与えてくれていたことに気がついた。それらをこれから守るという自分自身への決意表明のようなお話。
    生まれ出づる悩みの感想
    自分の希望する道へ進むことができず、家族のためについた仕事で不本意ながら汗をかく。生きるということはこういうことが大概あるのではないだろうか。

  • 君よ!春が来るのだ。冬の後には春が来るのだ。君の上にも確かに、....僕はただ心からそう祈る。 30年振りに読みました。そう、春は来るんです。

  • 『小さき者へ』は、母を亡くした子供に対して、
    母親の愛情を説き、生きることを肯定的に描く作品。
    自身の父として愛情を持って生き抜くことの決心も窺える。

    『生まれ出づる悩み』は老齢の主人公と青年の交流から、
    主人公がその青年の生活と夢(芸術家)の葛藤を空想し、
    その青年にエールを送る内容の作品。
    どちらもメッセージを、子供に対して送っている形をとりながら
    読者に訴える作風を取っている。

    『生まれ出づる悩み』のラスト。
    序盤で青年の乗る漁船がひっくり返った時も
    執拗に「死にはしない」という言葉を口にした青年が
    自殺を考える展開になった時は驚いた。
    唐突に感じるが、生活を取る人間が、芸術を志向した人間に
    豹変している瞬間の現実なのだろう。

    どちらも有島武郎の愛情、相手に対する盲愛にも近い思い入れを感じる作品だった。
    これだけ、生きること、生活の中で苦しくも逞しく生きる青少年を
    標榜した作品を描きながらも、その有島武郎も結局は人妻と心中する。
    他の作品も読んでみたいと思った。

  • 『小さき者へ』は、妻を失った子供へ書かれた、筆者の複雑な心境が描かれている。
    『生れ出づる悩み』は、芸術家として生きる決心がつかず、遂にはその夢を諦めたある漁師の、芸術に対する苦悩が描かれている。

    どちらも中々暗いテーマを掲げているにも関わらず、文章に悲痛さを感じない。悩みや苦しみの中から、ほんの少しの希望を見出そうとする姿勢。人間が、自分の弱さの中から強さを見出す瞬間の苦悩が鮮やかに描写された作品であると感じた。

  • 子どもの頃に読んで心がざわついた1冊。
    「小さき者へ」の父親の目線から自分の子どもたちに宛てて書いた
    手紙のようなお話しがとても切なく、
    しかし強く背中を押してくれているのを自分の両親と重ね合わせて、
    子どもの時でも親に対する暖かい気持ちと
    切なさとが混ざり合った気持ちになって、
    長らく個人的なベスト1になっていた大切な本です。

  • 『小さき者へ』‥
    作家が全力で書いた作品は、たとえ短い掌編でも、心を揺さぶられる感動を伴って迫ってくる。
    わずか10分程度で読み切れるこの作品を読むたびにあふれる涙を抑えきれない。
    妻を亡くした有島武郎自身が、我が子に宛てた手紙である。(あるいは遺書ともいえる)
    不器用だが、力強く、ゆるぎない信念を持った父親の心情を目の当たりにした時、子どもは親の深い愛情を知り、
    胸を熱くするだろう。そして、まっすぐに生きようとするだろう。
    最後の一行に、全力で子どもに伝えたかった言葉が凝縮されている。

    『生まれ出づる悩み』‥
    「私」(作者自身)の内面の苦しみが、本木君という青年漁夫の、絵を描き、芸術を生みだそうとする苦しみに、共感と希望を見出していく。次の成長へ踏み出す時の葛藤や悩みは、時代を超えて普遍なんじゃないかな‥と。
    大正時代に書かれたとは思えないほど心にスッと入ってくる文章がいい。力強いエールで完結されるところも。
    過去に読了。レビューのため再読。

  • こんな綺麗な文章を書く人だったんだねえ…。「生れ出づる悩み」は本当に心に染み入る話だったなあ。

  • 明治から大正時代の作家である有島武郎さんの短編小説。初めてこの作家の小説を読みましたが、父親の子どもに対する愛の溢れる「小さき者へ」も、芸術家の苦悩を描いた「生まれ出づる悩み」も、どちらもよかったです。

  • 小さき者への子供に対する思いと、ラストに感銘を受けました

  • 小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。前途は遠い。そして暗い。しかし恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。

  • 古典文学の有島武郎の著書である。
    小さき者へ、は、我が子たちへあてた手紙であり、その昔の様子を想像するに難くない。
    いつの世も、夢半ばにして諦めることを選択せざるを得ない人がいる。生まれ出ずる悩みとはまさにそれを物語っている。
    明治文学の真髄であり、難解ではあるが、奥深く味わいある内容である。

  • 久しぶりに買って読んだ
    300円代でこれだけ楽しめれば、本を買うのも安いもんだ、と思った。置く場所は考えなきゃいけないけど。

  • ちょっと私には合わなかった…
    生まれ出づる悩み、も、後半、振り落とされた感じ。
    解説で、英語のような書き方?とあったので、そのせいなのかもしれない。

  • とにかく、どちらの話も最後の声かけに勇気をもらえる。
    「前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。 行け。勇んで。小さき者よ。」
    「君よ、春が来るのだ。冬の後には春が来るのだ。君の上にも確かに、正しく、力強く、永久の春が微笑めよかし…僕はただそう心から祈る。」

  • 木本の想像以降が少し読みにくい小説ではあった。想像とは何か、同感とは?生と死、芸術と生活との関連など、問題は多岐にわたる。問題点としては、谷崎の『金色の死』とも重なる作品でもあったと思う。

  • 力の弱い人たちを応援したい気持ちが伝わってくる

  • 宛先の無い手紙は、手紙と呼びうるだろうか。手紙とは、常に誰かに向けられた言葉の容態であるように思う。他者を志向する意識の動きによってその形式と内容を同時に充実するエクリチュール。僕は手紙をそんな風に捉えている。この経験的直観が正しければ、宛名の無い手紙は存在しないことになる。

    常に他者を目指すエネルギーに依ってその存在を確立する、そんなエクリチュールは、なにも手紙だけではない。およそ考えうるあらゆる文章は、自然言語、言語記号の起源を意識の交通だと想定すれば、すべて他者を目指している。ウィトゲンシュタインが『論理哲学論考』で鮮やかに示してみせた通り、完全な私的言語が不可能である以上、言語は発生した時点で既に自身とは別の、自身の外側にある意識を内包している全体である。

    すると、文章を書く意識は手紙を充実させる意識と重なり、故に書かれたものは、殆どそのままの意味で手紙でもあると言えそうだ。

    一読するだに了解される通り、『小さき者へ』は手紙である。他ならぬ「小さき者へ」向けられた断簡である。しかし、有島武郎にとっての小さきもの、すなわち彼の子供たちに宛てられたこの文章を読む際、我々が「小さき者」の立場を取る必要は無い。有島の悲壮な告白を、読者は個人として、同じ視座のままに読む事が出来る。それはこの手紙が読まれる事を欲しているからだ。宛先を無限に拡張しながら、常に新たな読者を求め続ける手紙であるからだ。

    冒頭から、有島は執拗なまでの緻密さで時系列を追ってゆく。彼が如何にして妻と出会い、如何にしえ子を育ててきたのか。読者は彼が書き連ねる家族の肖像を年表を追うようにして経験する。記述は極めて具体的で、それぞれのエピソードに対して有島が当時抱いた感情が率直に吐露されている。

    使用される語彙や比喩の巧みさからも容易に推察されるように、ここで想定されている読者がいわゆる「小さき者」であるとは考えにくい。つまり、題名に反して、有島が仮想的に想定している読者は彼の子供たちでは無い。子供たちは形式上の宛先であり、内容的なそれではない。この手紙の意図を十全的に満足させるには、内容を読む者、すなわち、我々が必要なのだ。

    我々が読む事で、エクリチュールの孕む意図は初めて意味としてデコードされる。この試みが我々読者に「小さき者」の立場を求めない所以はここにある。本書の目的は読者を有島的な視座へと誘い、「ゆけ、勇んで。小さき者よ。」と発想するような主体へと構造化する点にあるのだ。

    本書を手にした我々は、この手紙を読む者であり、同時にまた、この手紙を差し出す者でなくてはならない。

  • 「小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。
    行け。勇んで。小さき者よ。」

  • 本文より。
    それは今は乾いてしまった。大空をわたる雲の一片となっているか、谷河の水の一滴となってい るか、太洋の泡の一つとなっているか、(中略)然しその熱い涙はともかくもお前たちだけの尊い所有物なのだ。

  • 文章が美しいと思います。「生まれ出づる悩み」は主人公の置かれた状況とか悩みにすごく共感した。

  • 優しいお父さんから子供へのメッセージ
    強く生きろ

  • 大正時代に書かれたハナシ。
    人間愛、自然愛に溢れた2つの作品。
    私には子供がいないので想像でしか分からないが、子供がいる人には心を締め付けられる話かもしれない。小さき者へ。
    もう一つの生まれ出づる悩みの方が私にはツボ。
    絵を書く人、芸術に携わる人にはグッとくる場面がかなりあるはず。
    主人公がどうなるのか、半ば心配しながら読み進めていった。
    君と問いかけるように紡ぐ文が素敵。

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