或る女 (新潮文庫)

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著者 : 有島武郎
  • 新潮社 (1995年5月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (610ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101042053

或る女 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 水村美苗さんが影響を受けた本だったか好きな本だったかで挙げていらしたので読まねば!と思って積んであった本をやっと。
    前篇は、なかなかストーリーがすすまない感じで人間関係もつかみにくく、主人公に共感できることもなく、読みとおせないかもと思ったけれど、後編に入ったら突如おもしろくなってきて、いったいどうなるんだろうと引き込まれていった。のだが、だんだんおもしろいを通りこしてホラーかと思うおそろしさになっていき、ラストのほうではまさにこわくてふるえた。
    主人公葉子の狂気がこわい……。これはいったいどこからくるものなんだろう……。いわゆる業とか性とか……? この時代の閉鎖的な社会からはみだしてしまう個性……?
    救われない者は絶対に救われないというような人生の無常みたいなものを感じるような。
    しかし、やはり文章はすごいかも、と。
    狂気の描写とか自然描写とか読んでて戦慄するような、凄みがあるというか。
    ほんと、おそろしかった……。

  • 読み応えたっぷり。

    和製スカーレット・オハラな女性、早月葉子の奔放で激情に身を委ねた人生を綴った大作。

    婚約者の待つアメリカへと渡る船の中で、イケメン事務長に惚れてしまい、そのまま帰国。
    このときの葉子の揺れ動く心が、海に揺られる船という舞台に絶妙にマッチしてて、その生々しい感情が読者にストレートに伝わってくる。

    その表現力、内容の濃さ。感服です。

    あぁ、女ってなんて馬鹿な生き物。
    そう思わせる作品。

    いつの時代も同じ(なのかな?

  • 『或る女』とはまさしく有島本人のことだ。日本にもアメリカにも帰ることができなくなった女。船に揺られ、海、すなわち「あいだ」を漂うことしかできなくなった女。それはブルジョアジーがプロレタリア文学を書くこと、日本人がキリスト者になること、その不可能な可能性が有島の揺れだった。『或る女』にジェンダーを観るなんて馬鹿馬鹿しい。それこそ、しらける。

  • とにかく長い長編作品。
    葉子が美貌で生きていったが、妹と住むようになり夫からも見放され、破滅していくお話。
    心理描写はすごいと思う。

  • 葉子はとんでもない女だけど、世の女性は少なからず葉子に憧れる部分があると思う

  • 安定を得るたび、心おどる体験を思い出しては
    なにもかも台無しにせずいられない
    どうしようもない女であるが
    元をたどれば、その美貌ゆえに
    精神の不実を疑われがちな幼少時代を送った恨み
    そいつを晴らしたいとする怨念が捨てきれないわけだ
    羨望のあまり足を引っ張ってくる連中に
    目にもの見せてやりたいのだ
    しかし結局はその場の快楽に身をゆだね
    流されるばかりの人生だった
    やくざな船員の情婦になってそれを隠しつつ
    アメリカに働く許婚をだましてカネを引き出すという
    ろくでもない綱渡りも
    みずからの美貌のみを担保とする
    いきあたりばったりにすぎなかった
    しかしやがて自分より若い妹たちを迎え入れたとき
    それへの対抗心と、情人への猜疑心で
    彼女の心は徐々にこわれてゆく
    「本当の自分」なんて、刹那の存在にすぎない
    だとすれば人の最後に残るものは…

  • すっごく胸糞なんですが、すっごく読みごたえがあって面白かったです。私の一番好きな姦通(?)小説。
    内容は簡単に言うと「奔放な恋愛に生きた美貌の女が、徐々に恋人の愛を失い、精神的にまた肉体的に没落していく鬱小説」。こう書くと、読みたい気持ち一切失せるんですが笑 でもでも実際は、人の愛情の危うさ、長閑さ、儚さを微に入り細に渡って描き出した長大な恋愛小説と言えます。
    前半部は、許されない恋の道にはまりこんでゆく男女のスリルある展開が息つく暇もなく面白い!でもこの作品の一番の魅力は、後半部、葉子(美貌の女主人公)がみるみるうちに愛に狂い、恋人の愛情を取り戻そうと必死になり、狂気の道へ突き進む…という展開。

  • 100年前の小説なのに古さを感じない。時代が移り環境が大きく変わったのに、人の思うところは一寸も変わらないのだな。複雑な感情の移ろいを細やかに表現する。色褪せない長編だ。2014.10.27

  • 他の人のレビューに反するようなことを書きますが、「『男性から見た女性心理』の想像を超えてないよなぁ」とか感じながら読んでました。有島武郎の心理描写の表現能力は見事なのですが、それでも男性視点かな、と。

    ともかく、主人公の心理描写の表現は見事で、特に後半は惹きつけられるような部分もあります。迷信的な思い込みの部分とか。最後のヒステリックすぎる部分は、人によって共感できるかどうか分かれるかもしれません。

    ところで、自分は新潮社でも上下巻に分れている古い文庫本で読んだのですが、そこに掲載されている解説には共感できず。

    -----(抜粋)-----
    これが若し実際の「佐々城信子の悲劇」を書いたものであったのなら、そこにはもっとつきつめて考えられねばならぬ問題がたくさんあったはずであり、(中略)それらのすべてがほどんと何等の厳しい追求をも問題的な展開をも与えられず、従って作品全体として主題的には極めて単純化された、ただ一筋の「実感」に即したような「或る女」になってしまっているのである。
    ------------------

    言いたいことは分からないでもないけれど、逆に、単純化したからこそ良かったと思う。この小説は、社会的な問題等を追及するような類の小説ではないのだから。

    なお、『「実感」に即したような』と言っている部分は、上述の通り、同感です。

  • 才色兼備の葉子が落ちていく様が哀れ。

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