仮面の告白 (新潮文庫)

  • 5978人登録
  • 3.54評価
    • (423)
    • (595)
    • (1298)
    • (91)
    • (19)
  • 554レビュー
著者 : 三島由紀夫
  • 新潮社 (2003年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050010

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島 由紀夫
梶井 基次郎
宮部 みゆき
谷崎 潤一郎
三島 由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印

仮面の告白 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 刺される肉体、刺す肉体

  • 文章がうまくて。
    本当に三島由紀夫は天才だ。

    美しいものに惹かれる気持ちを理解させてくれるので、近江のパートも自然に感情移入していける。そして少しもいやらしくない。
    終盤、園子がけっこう踏み込んでくるのでどきどきする。

    「私」の語りを全部信じて読んでもいいと思うけど、どちらが「仮面」か、被っているのは「何の仮面」か、まったく逆の読みもできると思う。

    …って分かってはいても、青ざめ、震える「私」のノリにこちらも乗っかって、自分は異端なのか?という際限ない不安の綱渡りを楽しんだ。

  • 美しいモノ・純粋なモノを描いている作品だと思います。作者のインタビューで「死をいつか来るんだ それも遠くない将来に来ると戦争の時考えていた その心理状態は今に比べて幸福だった」と言っています。坂口安吾さんは堕落論で「戦争中の日本は嘘のような理想郷で、ただ虚しい美しさが咲きあふれていた」と書いています。大江さんの、特に初期の作品(飼育・芽むしり仔撃ち等)は、ある条件が揃うと人々は連帯する、その事実を中心に書かれていると思います。

    戦争中は、特に末期になるほど、大江さんが描いた、人々がある条件が揃った時に連帯する現象が、国レベルで起きていたのではないでしょうか。美しいモノが咲き誇り、心理状態も幸福だった。以上の事実が、作者が美しいモノ・純粋なモノを描くのに、戦争前後を舞台にした主な理由だと思います。

    坂口さんの堕落論では、「戦争中の美しさは、本当の美しさではない」と書いています。大江さんの飼育と芽むしり仔撃ちでは、条件が崩れた時、人々の連帯があっけなく崩れていく様を描いています。美しさ・純粋さは、ある条件が揃った時の幻影の様なモノなのかもしれません。けれど、作者は以上の事実を踏まえた上でも、「美」を描きたかったのではないでしょうか。

    心理描写が丁寧ですが、少しレトリック染みていると思いました。美しさ・純粋さを中心に描き、俗なモノを周辺に描いていると思います。 少し余談ですが、作品の最後、主人公と園子さんのやり取りと主人公の心理の変化の描写は、安部公房の「他人の顔」の最後の描写と似ていると思います。男性の感性は、女性の感性にかなわないのでしょうか。

  • エロバカレズビアン小説家の森奈津子さんの作品にたまに名前が出てくるので読んでみた。
    三島由紀夫さんがバイセクシャルだということは知っていたが、浅黒くて男臭い男性が好みであることや、若い頃は生っ白いヒョロヒョロ青年だったことには驚いた。
    私がみた写真だか映像だかでは、服の上からでも分かるくらいマッチョだったような記憶があるんだけど…プロテインもないあの時代にどうやって肉体改造したんだろう?
    文章は一見堅苦しいが、女性的というか繊細で感受性豊かな部分がチラホラ垣間見える。女性で「三島由紀夫が大好き」という人が一般人でも著名人でもたまにいるが、なんとなくその理由が分かるような気がした。
    つーか戦前の中学校や高等学校では銃を扱う授業があったのね。

  •  ものすごく簡潔に言うと、同性愛者である主人公の青年が、女性との恋愛を試みる話。女性に対する不能を自覚し、社会に適応しようと孤軍奮闘する苦悩は、計り知れないと思う。

     今やLGBTという言葉が世界的に認知されているが、この小説が書かれた昭和25年には無論そんな概念は存在しない。男に生まれたからには、20を過ぎれば女と結婚し、子をもうける以外に選択肢もない時代。当時どんなふうにこの小説が世間に認知されていったのか、すごく気になるところである。
     なぜこの小説が三島の代表作となり、長く読まれ続けるのか。その理由は、誰しも身に覚えがあるだろう「自己欺瞞」にあるのではないかと思う。世の中、本当はやりたくないけどやる、社会が許さないから、なんてことばかり。人間は社会的な生き物だなあと、つくづく思わされる作品でした。

  • 何というか、読む前の三島由紀夫のイメージは、生真面目で優等生で、カチカチに硬く重厚感があり、大胆で大味な、そんなイメージだった。
    けれど開いてみれば、緻密で繊細な文章と、儚くも一種物悲しくなる際物の感性とがあり、彼が生涯を通して自らのマイノリティに苦しんだだろうことがうかがえる。
    彼をずっと身近に感じた。

  • めっちゃくちゃ文章が上手い。ブッとびました。
    マイノリティな性的指向のために、若くから自己欺瞞や自家撞着に自覚的にならざるを得ない主人公。血を吐きながら心の声に耳を傾け、自分の姿から目を逸らさず、正面から向き合っていく姿がすげー潔い。
    性の要請なしに園子に惹かれていく部分と、見ず知らずの若者の肉体に欲を感じる部分が両立してるってのは、現代でも通用しうるテーマかもですねー。

  • 単純に面白くない。
    理性という名の自己愛ですべてに理由や目的を求めたがる思春期そのままこじらせたみたいな男が主人公。
    自分は人とほとんど同じだと言いつつどこか人と違うものを見ているんだとでも言いたいような語り口は自慰でも見せられているみたいでその繰り返しはうんざりした。
    こういう人は楽しいものを楽しい、愛しいものを愛しいと素直に感じられない。すぐに「こう考える自分は何だ?」となるから。すごく損。自分大好き人間…。
    こういう世界に女は入れないなあ。

  • 作者の自伝的な作品。
    同性愛であったことを気付くけれど、病弱であった。それでもずっと園子のことは好きでした。そんなお話。

  • とにかく文章が端正で官能的。
    内容的には同性愛のカミングアウトという1点につきるが、それだけで読者をこうも引き込むことができるのか。

  • 三島由紀夫という作家の表現方法、癖がわかった気がする。ひとつ近づけたという価値において、仮面の告白は、告白たり得ていたと言える。しかし三島自身の告白ではないことは、仮面の語が証している。

  • なんて華麗な臆病な仮面。自分の心を覗くのを恐れるあまりに自己の意識さえ注意深く、厳重に蓋をしてしまって、主観で考える自分と客観的に批評する自分、未来への期待と心の幾層も深める自分とでぐちゃぐちゃになっている性の苦悩をこんなに繊細に書いているのをただ感服するしかない。

  • 三島由紀夫とは、文学とは、について考えさせられる書

  • 平成28年11月

    死のうと思うが、生きたいと思う。

  • 三島の代表作。自身の告白本。
    裕福な家庭に生まれた。
    孤独を感じる。体が弱い少年期。
    虚構と死についてよく考えている。
    男色がある。
    青年期は体を鍛えて精神も強くなっていく。

  • 「人生の数学を、私は私なりに、皆と同じ演繹法で解いてゆけばよかったんだ。私が半分小賢しかったのが何より悪かったんだ。私一人が帰納法に依ったばかりにしくじったんだ。」(192頁)

    自分自身ではなく、周囲に合わせて成長せざるを得なかった者の悲しさ。

  • 性的倒錯者が本当の自分を世間には偽りながら送る生涯を自伝形式で記した小説という、どこか「人間失格」を連想させる作品。「自分は周りの、普通の人間とは異なっている」と思うことは、いざ自分が他者との共通点を見つけてしまった際には、枷にもなり得るし、自信にもなり得るということが理解できた。

  • 積読本を眺めていて、引き寄せられるように手に取って一気に読了。子供の頃、主人公と同じように、死んだ真似をして遊んだ(?)ことがあったのでなんか笑ってしまった。(セーラームーンの真似してたんだけど、紛らわしいとその後ひどく怒られた。)しかし、なんとも切ない恋物語ですね。少年期のあれこれも、これが村上春樹作品ならば“やれやれ”と眉を顰めるようなところですが、三島由紀夫が書くと不思議といやらしさは感じませんね。恥の意識の強さと、芸術性の高さでしょうかね。これ以上進みようのない“おしまい”がまた、一段と切ない。

  • 三島作品で一番好き。読んでいくうちに心が苦しくなって、誇張なしに動悸が起こった。気持ち悪いでもないし、切ないでもない。理由は分からないけど、どうしても苦しくなって、読むのが辛いのにページをめくる手が止まらなかった。自分の中でどう捉えればいいのか分からない作品。

  • 一気読み。
    自分ではどうにもならないセクシュアリティ。
    一般向け用に努力してみた結果、どうにもならなかったという話。

  • 異常の中においては正常こそが異常という通り、「私」にとっては世界のほうこそが"異常"で、"日常を生きる"というごく一般的なことにいちいち苦しみを受けなければならない、そんなひとりの人間の、迎合や、動物的本能や、論理的な自己暗示や、頭で恋をしようとする感じなんかの、葛藤の心理の動きがすごく面白かった。それから、"自然に死ねる"戦争が終わってしまったときの描写がとても印象深かった。

  • 夥しい知識量と超前衛的な三島感性が節々にほとばしってる。24歳のときの作品とは!ただただ敬服!

    今まで読んだ三島由紀夫の小説・エッセイ・戯曲の中でもかなり好き。

  • 切々とねっとりと吐き出されていく男の苦悩。
    アブノーマルでありながら、ノーマルに焦がれてみたり焦がれる事で苦しんだり。
    一人出会う女に救われる。精神、魂で惹かれた女。
    受動的な死を求めるほどの苦しみ。
    吐き気がするほど迫ってくる。

全554件中 1 - 25件を表示

仮面の告白 (新潮文庫)に関連するまとめ

仮面の告白 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

仮面の告白 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

仮面の告白 (新潮文庫)の単行本

仮面の告白 (新潮文庫)の文庫

ツイートする