- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050010
感想・レビュー・書評
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難しいが、人には色々な側面がある。
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今迄読んだ三島作品の中で1番難解と感じました。
同性に対する情欲に苦しむ自叙伝的小説と言われていますが、
男が女を愛することが普通であり男が男を愛することは普通ではないと感じながらも、一般的な「普通」を装うことは彼にとっては普通であり女を全く愛していないという訳でもない。
私個人、同性愛者などに特に批判的ではないのですが
受け入れることなく彷徨い続ける精神状態というのは物凄く辛いのではと感じました。
また、戦時中を生きた人間ならではと思いますがどこか頽廃的で人の死や爆撃などの恐怖が日常当然として描かれていますが、現代を生きる人間にとっては有り得ない事で、感情の麻痺からも「仮面」を被ることが皮肉にも得意となってしまう時代背景だったのかなと思いました。
結局のところ、多面的な人間性のどの部分が仮面なのかという謎と、執筆した三島由紀夫自身が少しでも素面を曝け出して生きる辛さを軽減できていたらいいなと願ってしまいました。 -
自意識が肥大化している!文章の世界があまりにも主観的で若さを感じた。解説にもあったけど詩に近い話。
三島の作品ってプロットが弱いけど文章が綺麗だから読める。 -
言葉というか言い回しというか
そのせいで読みにくかったです
作品は、主人公である男の告白
小さい頃の出来事や思いから現在のものまで
淡々と語られていました -
美しく深い日本語の文章を読みたくなって手に取った一冊。もちろんそれは期待通りでしたが、難解なところが多々ありいつもより集中力を要しました。
正常ではないことで苦しむ主人公。今の時代はその頃よりもLGBTの理解は進んでいるけれど、現代でも当事者の方たちは、この主人公と同じように、正常にならなければと悩むこともあるのかも、と思いました。 -
借りたもの。
三島由紀夫の半生を描いた自伝的作品と言われる一冊。
前半は子供のころの孤独とそれを紛らわす空想世界について、成長すると思春期特有の鬱々としたものや男子が自身の性的な関心が妄想や猥談で悶々としている様を、ヨーロッパ文学のような文体と、古典文学の造詣で彩っている。
当時これだけ詳しいのはやっぱり凄く文学に精通している人物で、同時代の幻想文学に精通していた澁澤龍彦を思い出す。
現代で読むと虐待に相当するようなこじれた家の環境や、従軍はしていないけれども戦時を体験したことで、
現在の言葉でいえば自己肯定感が低い、劣等コンプレックスの塊になってしまった印象。
……メンタルすり減らしているのは文豪あるあるかも知れないが。
内容は祖母に母親から離され隔離されて、身体が弱いことを理由に外で遊べず女の子の遊びで育ったとか、同級生への同性愛的な思慕とか、友人の妹との恋人以上結婚未満の話。
この本を読んだ理由に、著者自身の体験だろうと言われている有名なエピソード、グイド・レーニが描いた《聖セバスティアヌスの殉教》の絵を見て勃起したというのが、この本のくだりらしい、というよこしま?な理由。
もう一つのきっかけは、この本も基になっている映画 『Mishima: A Life In Four Chapters』( https://booklog.jp/item/1/B079VD5SGK )を観たため。 -
青少年の悩みを格調高い美しい日本語で綴るまさに純文学
書かれた時代を考えると主人公が同性にしか性欲を感じないという設定は相当勇気がいるものではないか。戦争を境に変わっていく日本の暮らしが背景に描かれ、その中で葛藤する姿は秀麗な表現をもってしても時に生々しく、心に刺さる。