盗賊 (新潮文庫)

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著者 : 三島由紀夫
  • 新潮社 (1954年5月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050041

盗賊 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 三島由紀夫23歳の処女長編。彼はすでに19歳で短篇集『花ざかりの森』を上梓していたが、この最初の長編小説には初期の三島の作風が色濃く反映されている。すなわち、あらゆる意味において、きわめて観念的な小説なのだ。ここでは、生も、そして死もまた観念の中にしか存在しない。当時の三島には早熟と夭折の天才、ラディゲが強く意識されていたようだが、内容や小説作法は三島に独自のものだ。ただし、こうした登場人物たちの心理のありようを克明に、かつ分析的に描いていくといった手法は、やがては物語りそのもの中に解消していくのだが。
     全体としては、観念的に過ぎる小説だが、作中では第4章「周到な共謀(上)」で、清子が伝家の短刀を取り出すあたりが最も小説的で、また三島らしい表現だ。

  • 仮面の告白を読んだときのような強いインパクトは感じなかった。そのため、少し三島に対する熱が冷めた。
    自分は告白調の小説が好きなのだろうか?

  • 「盗賊」という題名の意味がわからなかったが、最後にそれが明かされなるほどという気持ちになった。三島由紀夫の作品は、もっと読書経験を積んでから再読する必要がありそうだ。

  • 前半なかなか家族構成と親戚関係を捉えにくく
    やや読むのに苦労。

    自殺に至るまでの心情の移り変わりが
    どうも物足りなく感じる。
    何か淡々と終わってしまった印象しか受けなかった。
    若さにまかせたということなのだろうか。

    最後のシーンは少し劇的で、素直に良いと感じた。

  •  「異様な恋愛悲劇」という作中の言葉がぴったり嵌る。
     欺瞞的な思考の奥底にある無意識の衝動を、執拗に暴き出すような神経質な文章が、より物語のアクを強めていた。

     自己韜晦という厚い防護壁で守られ続けてきた鈍重な心が、失恋を機に膨らみ始めた死の幻想の鮮烈さに夢中になる様子が描かれており、共感はできないが惹きつけられてしまう。

     愛する人の幻影を別の人間の中で育むという一見不純で儚い行為も、身勝手な幻想によって次第に不和が生じ始める父母との対比、そして死という結末によって、見事に清らかで永遠なるものに演出されてしまった。

  • 初期作品と知らないまま読んだけど、心理描写に引き付けられる。奔放な女性に弄ばれて死ぬの?!と思ってちゃ三島作品は読めないんだろうな、きっと。

  • 恋愛、失恋。同じテーマでも三島と実篤はまるで対極。主人公の親なんかはもう醜い。猜疑心が猜疑心を生む負のスパイラル。恋愛勝者とされる美子と佐伯も、果たして恋愛勝者?全体を通して重苦しいトーンのちょっとしんどい作品でした。まだまだ三島がよくわからない。

  • 三島作品は、「仮面の告白」「金閣寺」「潮騒」しか読んだことがありませんでしたが、この「盗賊」は読みにくかったです。

    なんというか、比喩表現が以上に多くてなかなか前に進まない...
    著者初の長編は、まだ文体が確立されていなかったのかもしれませんね。

    それでも、最後の引き際は見事でした。若い二人の悲劇は、決して無意味ではなかったと思います。

  • 読みにくいし、格好悪い話。

  • 主人公となる2人の若い恋人たちは、明秀と清子。そこに愛情はありません。傷を負ったものどうしがなめあうむしろ醜いとも言える「死」が存在するだけ。それが作者にとっての現実的な恋愛なのでしょうか。

  • はじまりは比較的入ってゆきやすく、きしきしと居心地の悪い感のする中盤、ぐいぐい引き付けられて気付いたら嵐を抜けていたような冴え冴えとしたラスト。いつもながらの三島作品的展開は心地良い。

  • 難しかった。初恋と死の話。あとがきによると、反対概念であるフランス心理小説とドイツロマン派小説の奇妙な混淆とある。確かにそんな感じ。今まで読んだ三島作品と比べると、挑戦してるなって印象。

  • 去年あやしげな古本屋でいくつか三島由紀夫を購入して、やっと読み終えた一冊目。
    薄い文庫本のわりには、いい意味、悪い意味にかかわらず、読み止まって一瞬考えさせられる理屈が隙間なく埋め込まれている、せいだと思うんだけど読み終わるのに一週間かかった。

    若いころの作品で、本人も後になって読むと稚拙さが目に余るが、当時の作品としては納得している、ようなことを言っていたらしい

    彼の経歴を見てみると、彼もこんな独特な貴族社会で若いころを育ってきたのだろう
    なんと彼は今の皇后様とお見合いまでした階級の出身だと、今回初めて知った

    自殺についての考えはこの作品を読む前後は変わらず、私にとっては「逃げであり、カッコよくないもの」だし、生きるために働くことを要せず、暇を持てあまし、ありふれた失恋を誇大にして自殺までしたおぼっちゃまの話だったと、ストーリーだけだとそう結論づけてしまうけれど、はやりこれが三島なのか?と思う細部は悪くなかった。

    読後感が気持ちいいものでも、すごく深く考えさせられるものでもないかもしれないけど、三島由紀夫に興味があるなら、その原点のカケラとして読んで全く損はない作品だと思う

  • 表題の意味を明かすラストが見事!

  • やたらと遠回しな解説から引用させていただくと¨『盗賊』はやや神経過敏のため、肉色が蒼ざめたきらいが¨あって、¨多少骨のきしみが耳ざわり¨な文章だったので普段より時間がかかった。三島癖の抜けない人にはたまらないかと。こういう仄暗さは病みつき。

  • 西洋の人工庭園のような完璧に配置された土人形。
    神の息吹きを吹き込まれて始めはぎこちなく、そして後は氷の上を滑るように自律的に動いてゆく。
    解説にもあるように明秀と清子は死によって生かされている。そしてその死はかつての恋人たちを呪縛する。
    実行-短き大円団を読んだ時背筋に衝撃が走るのを感じた。
    悲劇でありながら喜劇であり、恋を成就させぬための心中というアイロニーの戯曲風小説であり、俯瞰した視点から登場人物の心理を描き出す心理小説でもある。

  • 大学のレポート用に読んだ。綺麗な描写だがやはりこういった本は理系の自分には難しい。

  • 恋に破れて自殺を決心した主人公が
    同じ状況の令嬢と知り合い共に死を選ぶ。
    明秀は死を軽んじて見ているという描写が多いのに
    実際に死に至るシーンは一切書かれていないのが気になった。
    迷いや葛藤はなかったのか。若さの勢い?

  • 盗賊で、三島に騙される読者が多い様だ。解説で武田氏が仰言っていられる様に、初めは「生の意味」を啓示する作品だと思われる。凄く単純明快な結末に私は、一分間位鳥肌が止まらなかった。翌々考えてみると、此れがそれを意味して作られているならば何と卑小な、なんと好都合な(この好都合さは美を裏切る事が多い。)作品なんだろうと落胆するどころか、私は三島先生にしてはワザとらし過ぎる此の出来の悪さに、はじめは呆気にとられる程であった。
    どこか、此作品には、「嘘ついて全て免れるよりも、ちょっとでも、どんなに小さくても本当の事を言える子のがマシだわ。」と私を侮蔑する母の言葉が呼応している気がする。一見、単純な事だが、私の様な前者には無が、後者には底の知れない人生の甘美がある様に思えて仕方なら無い。

  • よくもまあここまで、と言いたくなるくらい執拗に人間の感情を描いている。距離をおいて醒めた視点で俯瞰してしまわないとこの記述はできないと思う。もはやえげつない域。

  • 生きているうちに死を考える行為は、結局生の裏返しでしかない。
    この作品を読んでみると、太宰治が抱いていたのは「自殺願望」だったが、三島由紀夫の場合は「悲劇願望」だったのではと思った。それは「自己愛」と「ナルシシズム」の違いとも言えるか。

  • 三島さん最初の長編。生硬な文章で読みにくく、大きな事件もなく脳内だけで進行するあらすじは退屈だけれど、最後の終わり方は戯曲のような大団円で秀逸。

  • 最近由紀夫断ちをしていたので久し振りの由紀夫作品。
    ざっくりあらすじを言うと、
    それぞれ異なるしたたかな遊び人に恋心をきづつけられた明秀と清子が、
    互いにひそやかにその傷を育てあうという話。
    年を取った人間は醜悪だ、若き人間の羞恥心と潔癖さは美しいものだ、
    そういった三島由紀夫の嗜好がどっぷり閉じ込められています。
    あと完璧に読む楽しみを潰すので詳しくは書きませんが最後が面白いです。
    あの最後の数行だけで、この本を手にとって良かったと思えるはず。
    面白かったです。

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