盗賊 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050041

感想・レビュー・書評

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  • 初期の作品なので読みにくかった。
    失恋した2人の男女が死を決意し、それを誰にも知られることもなく実行する話。表面上は相思相愛の男女で、そんな2人の姿は周りからはさぞ幸せそうに映っただろう。だが実際は死という終着点へと静かに、単調に進んでいく。自死を誰にも気付かれないで成し遂げる。周囲の人間はあたかも結婚したことによる幸福によって死んだのだと思うがそうではない。彼らは失恋した時から、初めから死ぬつもりだったのだ!それはさながら完全犯罪のようだった。

  • 三島由紀夫23歳の処女長編。彼はすでに19歳で短篇集『花ざかりの森』を上梓していたが、この最初の長編小説には初期の三島の作風が色濃く反映されている。すなわち、あらゆる意味において、きわめて観念的な小説なのだ。ここでは、生も、そして死もまた観念の中にしか存在しない。当時の三島には早熟と夭折の天才、ラディゲが強く意識されていたようだが、内容や小説作法は三島に独自のものだ。ただし、こうした登場人物たちの心理のありようを克明に、かつ分析的に描いていくといった手法は、やがては物語りそのもの中に解消していくのだが。
     全体としては、観念的に過ぎる小説だが、作中では第4章「周到な共謀(上)」で、清子が伝家の短刀を取り出すあたりが最も小説的で、また三島らしい表現だ。

  • ゆっくり呼んでしまうと行ったり来たりしてしまう小説を読むのに足踏みしてしまう。

    ただ情景展開が進むだけではなく、男女のお互いの心理的な背景や感情を己の価値観や性格を冷静に分析している様があり、2人の情死は冷静なもので淡々と計画的に勧められたものであったと考えられる。生きている理由から死への理由というものが、本来の失恋から来るものと呼ばれると考えるには、原田美子とのエピソードが薄く、彼女への愛の深さや厚みをもう少し描いてほしかったとも考えられ、脆さがあった様に思う。

  • 表題はメタファーなのだろうけど、全体としてとても難しかった。最後の盗賊の説明も理解できたかどうか、わからない。

  • 昔読んだ本

  • 仮面の告白を読んだときのような強いインパクトは感じなかった。そのため、少し三島に対する熱が冷めた。
    自分は告白調の小説が好きなのだろうか?

  • 「盗賊」という題名の意味がわからなかったが、最後にそれが明かされなるほどという気持ちになった。三島由紀夫の作品は、もっと読書経験を積んでから再読する必要がありそうだ。

  • 前半なかなか家族構成と親戚関係を捉えにくく
    やや読むのに苦労。

    自殺に至るまでの心情の移り変わりが
    どうも物足りなく感じる。
    何か淡々と終わってしまった印象しか受けなかった。
    若さにまかせたということなのだろうか。

    最後のシーンは少し劇的で、素直に良いと感じた。

  • 三島作品は、「仮面の告白」「金閣寺」「潮騒」しか読んだことがありませんでしたが、この「盗賊」は読みにくかったです。

    なんというか、比喩表現が以上に多くてなかなか前に進まない...
    著者初の長編は、まだ文体が確立されていなかったのかもしれませんね。

    それでも、最後の引き際は見事でした。若い二人の悲劇は、決して無意味ではなかったと思います。

  • はじまりは比較的入ってゆきやすく、きしきしと居心地の悪い感のする中盤、ぐいぐい引き付けられて気付いたら嵐を抜けていたような冴え冴えとしたラスト。いつもながらの三島作品的展開は心地良い。

著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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