潮騒 (新潮文庫)

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著者 : 三島由紀夫
  • 新潮社 (2005年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050072

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潮騒 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 青々と力強い海に囲まれた日本の南の小島“歌島”を舞台に、若くたくましい漁夫・新治と美しい少女・初江が織り成す恋模様。

    初めて目にした時から相手のことばかり考えてしまう初恋の戸惑いや、並んで歩くだけで胸が高鳴り続ける様子など、純朴な青年と可憐な少女の瑞々しく、そして真っ直ぐな想いが見て取れます。しかし閉鎖的で大人の意向が絶対だったこの時代、二人の仲に様々な試練が舞い込むことに…。
    荒れ狂う海を相手に雄々しく向かう新治、彼を案じながらも凛と構えた初江、時に穏やかに時に猛威となる海など、人や自然の持つストレートな美しさが光ります。二人の仲を邪推して割って入ろうとする安夫の分かり易いまでの悪役っぷりが、ますますこの二人を眩しく穢れのないところまで押し上げているように思います。

    三島由紀夫が古代ギリシアの散文作品から着想を得たという本作。
    毒素ゼロ、純愛にして爽やかな風が吹き抜けるような心地よい読後感が残りました。

  • 純愛、ハッピーエンド!

    何故か、夢に三島さんが出てきて私と小説談義をしてて、バッと起きた瞬間に「三島さんを読まねば!」と思って図書館で借りました。初三島作品。

    もっと、どろどろしてて悲しい別れがあったりするのかなあって、思っていたのだけど。なんてシンプルな恋愛小説!出会い→ライバル(男・女)出現→うわさ→親反対→会えない→ライバルとの闘い→勝利→めでたく結ばれる。シンプル!オーソドックス!
    あと、顔見ただけで赤くなったり、純愛すぎてどうしよう、こっちがどうしようって思ったり。

    でも、最後の1文。
    この最後1文で、「ああ、すげえ、三島さんすげえ。」って思った。「上手くいったのはお前のおかげだぜ」の、ただの恋愛小説にしないんだなって、感激。
    あとは、やはりなんといっても描写が美しいです。景色とか、身体とか、ね。

  • 初めて三島作品に挑戦。
    思っていたのと違い過ぎる。
    この作品がというわけじゃなくて、三島さんてこんなお話を書くのか!という驚き。

    とある漁村で繰り広げられるピュアな恋…
    ピュアっていうと何だかこっぱずかしいけれど
    これが一番しっくりくる。
    (純愛でいいのかな?)

    ライバルの邪魔あり、身分の差に家族の反対ありで結構な王道ラブストーリーなのだけれど、古くささを感じさせない面白さがあった。

  • この小説を一言で語るとすれば、
    『美しい』という言葉が最適であろう。

    南の孤島で繰り広げられる世界を目の前にありありと描き出すことができる。
    タイトルにもなっている”潮騒”が個々の人物の内面まで潜り込む印象を受けた。

  • 高校の頃読んだ時は、なんて純な恋愛小説なんだと思ったのに、いま再読すると単なる抑圧されたエロの発芽のようにしか思えぬのは、わたしが年を重ねたからか。

  • 2010年5冊目。
    三島作品とは思えないさわやかさに、どんな大変などんでん返しが
    まっているのかとドキドキしながら読んだのですが……
    なんとも、心地よい1冊でした。文章に酔いました。

    「悪意は善意よりも遠路を行くことはできない」という一説が
    大好きです。海が島に要るまっすぐないいものだけを送ってよこし、
    島に残っているまっすぐないいものだけを守ってくれる……
    シビれました~。

  • 作者への先入観から、物語が何処かで暗転するのでは、と常に思いながら読みすすめる。
    有名な焚き火を渡って来いのシーンでもあくまでも純粋過ぎる男女の恋愛観、というか朴訥過ぎる主人公、新治に好感を覚える。
    信じる者は救われる、と明快過ぎるストーリーであるが、登場人物やエピソードにはまるで無駄がなく、歌島の情緒もたっぷり挿入され読み味良き作品と感じた。

  •  恥ずかしながら、初めての三島由紀夫。勝手に重たい作風のイメージを持っていたのと、「名作」と呼ばれるものは大体悲劇的な話だと思い込んでいた(固定観念の塊!)が、最後まで読み終えてホッと胸をなでおろした。さわやかかよ!

     伊勢湾に浮かぶ、人口千四百の小さな島。その豊饒な自然と共存している若者(音楽も時計も必要としない)、新治と初江の初々しい恋物語。恋敵の邪魔や親の反対など、あるあるな障壁を経て結ばれる、という本当に明快なストーリー。登場人物の心の美しさ、そしてなにより自然の描写に心が震える。

     解説で、ギリシアの古典『ダフニスとクロエ』に翻案されたということを知る。資本主義社会(=自然を否定)へ舵を切り出した当時の日本で、敢えて「人間生活と自然の神秘的な美との完全な一致」を果たす文学を発表した意図は、とか考え出すとおもしろい。

  • 南の小島の中での話。潮騒が聞こえてきそうな磯の香りが来そうな話。読んでいてとてもよかった。二人の胃が美しく、互いを思いよい話だと思う。心が温かくなる。

  • 悪人が出てこない純朴な恋愛小説。心が洗われる。

  • たくましい漁師の若者と、美しい海女の少女の純情で素朴な恋物語。ギリシャ小説の翻案だけに、シンプルな人間賛歌の趣が感じられる。小賢しい現代の恋愛に食傷したとき読みたい作品。率直でリズミカルな文体も美しい。

  • 初・三島由紀夫。
    全然(?)変態ぽくなくて、なんだか神話のようでした。

    タイトルがまた良い。
    私が読んだのは古本屋で廉価で買った文庫本で、一つだけ誰かによって傍線が引かれた箇所があった。
    「新治は日々の生活に、別に音楽を必要としなかったが、自然がそのまま音楽の必要を充たしていたからに相違ない。」
    という一文。
    舞台となる「歌島」は、伊勢湾口に浮かぶ漁師と海女の島。
    潮騒が常にBGMなんですよね。作品中でもここぞというところでは潮騒が強調される。
    そこにたまたま傍線がなかったらここまで感じ入ったかどうかわからないけど、なんだかとりあえず手近な鎌倉の海にでも行きたくなってしまいました。

    物語としては他愛ないボーイミーツガールもの。
    それでも、美しい舞台背景を常に感じさせながら、ある時はねっとりと視野狭窄状態で肉体美を謳い、ある時は神の視点で直截的に各人の心模様を語る。
    緩急自在。

  • 純真な若者の初恋を瑞々しく描かれていた。島の情景と、潮の香りが伝わる。2人の恋を潮騒が見守っていたいように感じた。

  • 純愛小説。
    歌島の雄大な自然の描写と、それと共に生きる人々の気持ち良さ。
    新治の純朴さと初江のかわいらしさ。
    結婚や恋愛に対し、自分の意思より家が優先される時代に、二人の人柄が周りを後押しし、ついに結ばれるというハッピーなストーリー。

    ただ、それだけで終わらせないところがあり、三島由紀夫らしい気がした。

    例えば、初江が新治の母にプレゼントしたハンドバッグに対し、島の政治はいつもこうして行われる、と初江の無意識の政治的な立ち振る舞いを感じさせられる。

    最後の一文。初江が自分の写真が男を守ったとかわいらしか思うのに対し、新治は眉を顰め自分の力だったのだと考える。二人の視点や考えの違いがはっきり描かれている。

    お互いが逢えない時間の中で、初江は男のことを考え、新治は新しい世界の魅力を知った。視点がズレてしまったのは悲しいけれど、それぞれの成長なんだと自分を納得させようと思う。

  • 初三島由紀夫作品。
    序盤の歌島の写実的描写が退屈で、なかなか物語に入り込めなかったが、小説全体を包む歌島の神々しい雰囲気を作る大切な描写だったと思う。
    手塚治虫は漫画で映画の世界を作り上げようとしたらしいが、三島由紀夫のたくみな比喩表現と写実的表現によって、ひとつの美しい映画を見せられているような気分になった。
    読んでいてとても清々しい気持ちにさせられた。

  • 初三島作品がこれでした!
    三島由紀夫、きっとすごい小説家なんだろうな~とは思っていながらも、難しそうだな~と思ってこれまで嫌煙しておりました。。
    この作品を読んで反省です。。。

    本当に風景描写がキレイで、行ったこともない土地だったけれど、すぅーっと目に浮かんできました。
    読了したすぐ後に、実際に神島に行ってきましたが(というか神島に行こう!という話が決まってから、そしたらこの作品を読まねば!!と思って読んだ作品でした。笑)、60年たった今でも、「ここ、あそこに描かれていたまんまだ!」と思える景色がいっぱいで、さらにこの作品が好きになりました。

    都会暮らしにつかれたら是非お勧めしたい場所です!!

    こんな恋愛してみたかったな笑

  • 初めての三島作品。
    純愛を絵に書いたような展開が読んでいて新鮮。
    それが最後の最後の一行で全然違う印象になる…そこがすごい。
    日本語の美しさを実感しながらも漢字の難しさも実感!読み慣れていないから時間がかかった…

  • あまちゃんやな。

  • 潮騒。
    三島由紀夫29歳、金閣寺をかく2年前のときの作品。新治と初江の初々しい恋の物語である。三島由紀夫にしては血や暴力の匂いを消した、磯臭い純粋な青春を描いた作品であった。村の漁師や海女たちの生活は、労働こそ生であり、豊穣な自然の中で、自然と闘い、委ねる喜びに満ちていた。新治が世話になっている灯台の家にヒラメや鯛などを届ける際のその魚たちの生々しい獲物としての描写は、古来より他の動物の命を搾取していきてきた人間としての誇りと自覚と感謝を喚起するものであった。後半の、初江と手をつなごうと思ったが鯛により手がつなげず、帰り道では無事つなげた、という描写が気になった。これは、小説最後の部分での、新治が沖縄での冒険を切り抜けたのは初江の力ではなく自分の力だという確信とも関連があるのではないか。一見して恋愛小説だが、この作品の裏のテーマとしてはそもそもの人間の生活があり、そこには生と死がある。人間は二人で生きる以前に一人で生きなければならず、そのためには己の意思で汗水たらして働き、自然の恵みから食事をいただかねばならない。小さな島で力強く生きる新治の若い輝きこそ、この作品を青春小説たらしめている光なのかもしれない。
    荒れ狂う海とそこでの新治の海の男としての戦いの描写は、読者も激しい波にのまれて息苦しくなる錯覚を覚えるほど圧巻であった。三島由紀夫の魅力は、暴力的な強さのなかの緻密で計算された表現であると再確認させられた。

  • 三島由紀夫が1954年に発表した10作目の長編小説。三重県鳥羽市の歌島(神島)を舞台にした、そこで暮らす漁夫と海女の恋愛を綴った作品です。他の三島作品と比べて、どこまでも爽やかに2人の姿が描かれています。ここまでベタな内容の恋愛小説も書けるのかと、失礼ながら逆に感心してしまいました。ただ、普通の恋愛小説と違うのは日本語の美しさ。これが作品に気品を与えていると思います。島の情景の描写も素晴らしく、目の前に鮮やかに蘇ります。ぜひ、舞台となった歌島に行ってみたくなりました。

  • 初めての三島由紀夫でした。
    こんなにも初々しくて、
    爽やかなイメージが無かったので、
    驚いています。

    全体は海や田舎の暗がりのイメージでありながら
    海に生きる男の不器用な初恋。
    むずむずするような純粋さ。
    強さと逞しさ。
    夏の葉のように
    瑞々しい弾けるような輝きに包まれています。

    とても読みやすく、
    爽やかな後味の作品でした。

  • 三島にしては珍しい王道恋愛小説。文章は非常に読みやすくて分かりやすいので初めての三島にはオススメ。
    何度読んでも「その火を飛び越して来い」のシーンにはときめきます。純愛ね。

  • 思っていた以上に爽やか、かつ清らかな純愛物語。複雑な恋愛模様の物語で溢れている昨今、特にドキドキハラハラするような展開はないが、純愛物語の王道中の王道、という感じでむしろ新鮮に感じた。
    情景描写も綿密で、自然にイメージが湧いてくる。
    真夏の炭酸水のようなすっきりと爽やかな読後感がある素敵な作品。

  • 爽やかな青春恋愛小説。それでも三島らしいねっとりした人間臭いエロティシズムも健在。

  •  おいおい、ハッピーエンドかよ。今時(といっても、昭和29年の作品だそうですが。)、こんなお気軽な話、そうはお目にかかれないよ。しかも、携帯小説でもなんでもなく、あの三島由紀夫の作品というから驚いてしまう。

     途中で、深夜に安夫が初江を待ち伏せる場面があるのですが、思わぬ邪魔が入ります。そう、蜂です、蜂。3回もチクリとやっています。くまのプーさんですか? アニメじゃあるまいし。

     その割には、小説の語り口はかたいというか何というか、彼の作品はまだ2つしか読んでいませんが、女性に対する扱いが冷たい印象があります。しかも、自分勝手にどんどん話を進めてしまう、この作品も読んでいてそんな感じがしました。

     とは書いてきましたが、別につまらない作品というわけではありません。大人が忘れてしまったような、若者らしい一途さがあふれていて、読後の余韻は悪くないです。

     5回も映画化されているそうですので、堀ちえみ以外のバージョンを一度見てみたいです。やっぱり吉永小百合かなあ。

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