- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050072
感想・レビュー・書評
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金閣寺とはまた違った「青春」の表現
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近代文学を学んでる友人にきっと私は三島由紀が好きだと思うと勧められ読んだ。
あまりにもまっすぐな純愛とストーリーに少し戸惑った。余計な物を取り除いた人間の暮らしを、新鮮な気持ちで読むことができた。洗礼された文章だった。
もっと彼の作品を読みたいと思えた。 -
久しぶりに読んでみた。
もう10年以上も前に読んだけれど、昔はどんな気持ちになったのだろう。
今は読み進むにつれ、2人の純粋さに胸が高鳴る。
初江の父、照吉が新治を認めた時の台詞。
泣けてきた。昔は泣かなかったと思う。
いろんな思いが交錯する作品だった。
今年は自分の本棚にある物を、読み返してみようと思う。 -
大変面白かった。
三島由紀夫の代表作であり、堅牢な構成で爽やかに書き上げられた作品だった。
あらすじも知らなかったので、それなりにハラハラしながら読んでしまった。 -
三島作品では、群を抜いて読みやすい。
伊勢湾に浮かぶ歌島で漁師をしている新治と、養女に出されていたが島に戻ってきた初江。
二人の心情と、歌島の風景描写の相乗効果で純度の高さが際立つ。
海に囲まれた島らしい景色や水気を含む空気の温度感がリアルに伝わってくる文章に惚れ惚れする。
島独特の人間模様、寡黙で真っ直ぐで芯の強い新治を見ていると、人として当たり前でありたい事に改めて気付かされる。 -
正統派の純愛小説で三島作品としてはやはり異質な部類に入るんではないか。 何てことない話なんだが、文章が非常に洗練されてて情景や心の葛藤なんかがくっきり映像として浮かんでくる。 まさに”THE 純文学”って感じか。 筆力で圧倒する作家として藤沢周平、京極夏彦、そして三島由紀夫なんかはやはり読んでて何とも言えない凄みがある。 とても好感の持てる作品。
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自分の生活とはかけ離れた環境で、描写が丁寧で美しくて、状況がアニメ映像で浮かんだ。この世界の片隅にの絵柄で。
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純愛 ぴゅあらぶ
「古き良き」ってこういうイメージよなってのを言語化してくれてる
偶然アントニオと議論数日前に読了、やっぱり近代文学ある程度読みたい
4に近い3 -
現代の作家とはやっぱり扱う語彙が違うなというのが第一印象。
小さな離島の中で起きる男女の恋愛物語だが海や山などの自然の描写がとても素敵。読みながらまるで釣りに行ったことがあるかのように鮮明に島の情景を思い浮かべ、その美しさに酔いしれていた。エッセイと小説の文体が違うように感じられるのもまた面白かった。
これだけの文章力をもってしてヒロインのおっぱいを表現するシーンは超えちえち。 -
三島由紀夫の中で1番読みやすかったかと思います。
内容としては若い男女の恋愛物語ですが、神島を表した抒情的な文章が漁師である主人公の器量の強さを滲ませ、淡い恋心が実った最後は単純な爽快感が後を残します。三島文学の泥臭さは感じませんが、青春を書き残して置きたかった筆者の心がここに記されているような気がして気持ちが暖かくなりました。