- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050126
感想・レビュー・書評
-
もう少し、3人だけの閉じた世界に浸っていたかった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少し昔な情景や心情のレトロでお洒落な描写がとても良かった。哲学的な日本語の使い方が現代には無い雰囲気を醸し出しててよかった。
-
三島作品は好きでよく読むのだが、この作品は「文学」性が強く、なかなか理解するのに難儀した。まず設定からいって特異で、よくある男女関係、三角関係を描いた作品なのだが、うち1人が障碍犯、1人がその被害者と聞けばどうであろうか。これだけでも一筋縄ではゆかない作品であることがよくわかるはず。ただ、「解説」で田中美代子が述べているように、本作は小難しい理窟など考えずに、ただありのまま読むのが正解なのかもしれない。本作が描き出す世界は何かのメタファーであり、何かのメタファーではないのだ。
-
考えないといけないところがたくさんありすぎて、もうわけがわからなかった。
離れなくても離れられない奇妙な三人。こんな不思議なものをなんの違和感なく読ませるなんて。 -
面白かった~~~~~!!
きみちゃん可哀想だった。
「彼女はあの汚辱の記憶を、相手にはそれと知らせずに、多くの男と頒とうとしたのだろう」
っていうのがなんか、きっと、わかんないけど、
自分がされたことを誰かに話してしまったら、
同情されたり、憤慨されたり、好奇の目で見られたりしちゃうから、
何も言わずに、少しずつそうやって自分の毒を人に託して、
たったひとりで自分を癒そうとしてたのかなって思った。
夏の伊豆半島綺麗だった。 -
引きこまれた。
三島由紀夫ってすごいな。
理由はわからないけど。
-
他の作品よりも心理的に複雑であった為に、バスの中で細切れに読んでしまい集中出来ませんでしたが、読み進めました。印象に残ったのは幸二が逸平に迫るシーンです。
蜘蛛のように糸を巡らし、獲物を絡めとろうとするのではなく自分が空虚である事を紡ぎ出さない。。ここが魅力的な主張だと思いました。逸平の性格、キャラクターを幸二が語ろうとしています。それが真実であるか否かは重要視せずに幸二と優子がどうして悲劇的な顛末に吸い上げられたのか、筆者の筆力で自由に表現されているのです。逸平の存在自体が無くなる事でしか優子と結ばれないと思った幸二の心理を文章によって読者を説得させていると思いました。ただ、壮大な物語とは捉え難く、悲劇にしろ何にせよ読者の心を吸いこむという点では構成力が足りなかった様な気がします。思い返す時にあらゆるシーンが頭の中に一気に浮かんでしまうという形です。 -
獣の戯れ、という題名から、男女の烈しい情熱の予感を感じた。そして、その予感は間違いではなかった。
あらすじだけを読めば、単純な男女の三角関係の話で、三島由紀夫のいう社会に対するところの孤独、神秘性は見られず、一種の恋愛小説、それも紋切り型のくだらない低俗なものに思え、読むのを躊躇した。だが、そこは文豪と呼ばれる所以、ありきたりな設定や世界観の中にも特異性を足して、普遍性の罠にかかることなく器用に書き上げている。
特に、不気味なのは小説家の逸平の、その杳としれない言動と態度である。幸二に襲われてからというもの、自分ではもはや何もできず、すべてを妻に預けるしかない境遇にあり、身体を拭くことも食べることもできない。次第に、周りを巻き込んで、登場人物全員が、僕たち読者には不幸の底の底にあるように思えるが、周囲は、特に妻は、元気だった頃よりも幸せそうに見えるから不思議だ。そして、其処にひとつの幸せを見出せる力があるのも女性の良い点なのかもしれない。
理由はなんであれ。