宴のあと (新潮文庫)

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著者 : 三島由紀夫
  • 新潮社 (1969年7月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050164

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宴のあと (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 何故か家にあったので、初めて三島由紀夫に挑戦。切腹した人だよな…という微妙な予備知識しかなかったんだけど、そこから思ってたイメージとは全く違った作品だったので、ビックリした。まず情景描写が恐ろしく繊細で美しい。耽美な感じ。あんだけ細かく書いたら冗長に感じそうなものだけど、それが全然無いのが凄い。あと女性が魅力的に描かれている(男性については時代背景とかもあってよく分からない)。しかし、政治が絡む人間関係の機敏というのがイマイチピンと来ない。あと個人的には、一人称ではない文章は読みにくいなと思ったり。でも全体としては思ってたより読みやすくて気に入りました。

  • 舞台は政界、主役は50歳の女と60歳の男、
    それにもかかわらず、あるいは、だからなのかもしれませんが、
    ストーリーは美しく、どこかロマンチックですらあります。

    都知事選という狂乱に突き進むことで浮かび上がる、
    それぞれの考え方の違い、周囲の変化、熱狂と動揺、
    そして宴のあとの虚無感と、そこからの再スタート。
    いいですね。こういう小説好きです。

    わりかし普遍的なテーマであるため、
    三島由紀夫のクセのないところだけ美味しく頂ける、
    そんな小説として楽しむこともできるかと。

    テーマだけでなく、表現も比較的大人しいため、
    コアなファンはパンチに欠けると思われるかもしれませんが、
    さほどのファンでなかった私にとっては、
    いいじゃん、三島由紀夫、と再確認させられる小説でした。

  • はじめての三島由紀夫。
    美しい文体かはわからないけど、面白かった。
    するする読めた。飽きさせない感じ。
    でもいま深い感想が残っていない。残念。言葉で語れないならすぐ忘れてしまうんだろうな。結局よくわかってないんだろうな。

    わからない言葉も沢山あって漢検の勉強がしたくなった。的確な言葉を知っていたら気持ちいいはずー

    かづの豊潤な肉体の魅力が羨ましかった。
    いつも色や柄や小物に意味を込めて着物を着るのがよかった。着物って面白い。ファッションってこう楽しむべきなんだな。

    政治とは?

  • うーん「潮騒」のようなインパクトは無いなあ。

    機械的で理想主義者の政治家夫と、熱情的でリスクラバーな獣系妻が協力して選挙に挑むというストーリー。

    「政治とは、倫理や志ではなく、結局はカネだ」という“政治とは何ぞや”に対する答えに、本職の夫よりも早く、妻が理解してしまうのが何とも切ない。

    より痛烈に。読んでる側が気持ち悪くなるくらい、徹底的に人間の内情を描写する三島はやっぱスゲーと思う。また、女性描写もさすが三島。50歳過ぎの熟れた女性の艶を見事に表現している。

  • 訴訟問題でも有名な、三島由紀夫の代表作。特に物語中盤から終盤にかけての盛り上がりが秀逸。
    説明的過ぎる文体が気に障るが、読む人によってはそこが「美しい日本語」と捉えられるから不思議である。

    しづという人物に対して、私は一種の扇動家のような印象を持った。天性の人懐っこさと激情、そして恵まれた肉体を武器に、次々に周りの人間を巻き込んでいく様は、どこか恐ろしい。純粋に自然とやっているから、尚更タチが悪い。その犠牲者とも言える野口がただただ哀れである。その後、しづはどのような最期を迎えたのだろう。

  • 太田光さんのラジオを聴いていたら、太宰ファンの彼が三島由紀夫を薦めていた。そんなとき他方面から三島作品を薦められたのは、今は三島を読めという天の啓示か。リズム感が良くて物語が生き生きと進んでいく。大学時代に読んだ「孔雀」という短編集がやけにオスカー・ワイルドに似ていて、改めて彼の来歴を読めば一時期ワイルドに傾倒していたとのことだが、とにかく全く印象が違う。主人公かづの情熱は、さながら山崎豊子の作品に出てくる女性のようだが、この日本の政治を皮肉たっぷりに描き出した作品、金と選挙活動、理想と現実。まさに野党が勝ってしまった後に読むと感慨深いが、しかしながら民主党はこの山崎のようには負けなれていない人たちだからこそ勝ったのかもしれない。そうなると、ますます野党も与党も似たり寄ったり的な三島の指摘が新鮮なのかも。

  • 読了後の余韻が凄まじい。
    薄い本のはずなのに、大作を読み切った後のような感傷がある。

  • “政治の世界を巧みに描いた小説”というイメージでしたが、違いました。主人公の福沢かづは、政治の世界を自分の情熱の世界にのみこみ、それをエナジードリンクのようにして生きている女性。彼女の内側にあるものと外側にあるものや、静的なものと動的なものが、情熱を媒介に一体化していて、ひとつの強烈な生き方になっている。一方、野口は潔癖なゆえに政治の世界に生ききれない政治家ですが、彼の潔癖には、時代性のようなものを少し感じました。

    (追記)
    内面的な意味での女性性に根ざす情熱と男性性に根ざす情熱、それぞれが現れる形や現れる先が、人生においてこのように異なるということと、また、その対比ということに、社会生活を送る中でふと思い当たりました。

  • 日本の政治風土は今も昔もかわってねーと思うよ。一連の物語はかづの夢なんじゃないかと思う。天人五衰のラストを見せられているようなラスト。

  • 愛した男と結ばれ、終の棲家と骨を埋める安らぎの地を得ても、結局は愛憎入り乱れる狂騒の中でこそ生き生きと輝き、最後は安住の地を捨て鉄火場へと戻ってしまう。
    仇と罵る相手に慈悲を乞う様は業深く、見苦しくもあるが、それゆえに人間の秘める刺激への渇望を最も端的に体現しており、妙な人間的魅力がある。

    行為としてはとても褒められたものではないが、反面常に宴の奔流に身を置きたいと願う心理を全否定できるほど、俗世から超越した人格者というのもそうそう居ないのではなかろうか?少なくとも自分は、ほんの僅かなれど共感することが出来た。

  • G 2016.10.17-2016.10.22

  • 都知事候補野口雄賢とその妻福沢かづが都知事選に臨む。何が選挙に勝利せしめるか。謹厳実直な夫と行動的な妻。無縁墓を避けたかった妻は、それを甘んじて受けてでも自分の生を全うする方を選ぶ。2016.8.19

  • はじめて三島由紀夫の作品を読みました。洗練された美しい日本語で書かれていて、自分の歳では内容を完璧に理解するのはまだ難しいかもしれないけれど、もっと他の三島文学も読んでみたいと思いました。

  • 元外交官と老舗料亭の女将のお話。
    何故かしら未成年時代に初読み、いっぱし?の大人になってから再読、今回で3度目の読書。 世代を経て読み返すたびに、この作品の評価がどんどん上がっていく。 彼らの年代になったらまた読んでみたい。 背景描写が美しく、読みやすい。
    201510 完読 

  • プライバシー問題で有名な作品。
    やっと読むことができたが、三島由紀夫の文書の美しさとノンフィクションとしか思えないほどの登場人物の動きに感動する。
    当時の政治(今に通じるのかも)のことなど現代人にも勉強になる一冊。

  • “女が金に負け、男が金に負ける。” 論理も媚態も金の不合理に負ける選挙という宴。 知識人の理想を追う名家出身の夫と、民衆の現実感覚で、政治の世界に水を得る、成り上がりの妻。 死の静と、生の動 あらゆる対比がアイロニカルに、三島の美しい響きの洗練されたセンテンスで描かれ、読後のほんのりした儚さが残り続けてる。

  • やっぱり、凄いです。三島由紀夫さん。

    丁寧すぎる心情描写。魅力的な登場人物。
    お得意の皮肉めいた表現。
    政治が絡む話なので、難しいのかな?
    と思っておりましたが、全くそんなことは
    ありませんでした。

    外国で有名になった作品らしいですが、
    この「宴のあと」を自らの国の言語で読める私たちは、
    とても恵まれていると思います。

  • 表現技法が繊細でリアリティが感じられたが、若干、文書に飾り気がありすぎるように思われる部分があり、少し重く感じた。選挙戦での意思と意思のぶつかり合いにはドロドロとしたものがあったが、終わってみれば綺麗さっぱり。読みやすい小説だった。

  • 生きるということにダイナミックで、活動していることに焦点を絞って燃え続ける灯火のようなかづと、静謐に重たく堅苦しくなるほど古めかしい清廉潔白な立ち居振る舞いの雄賢。生き方を変えるには歳をとりすぎた、全く正反対の二人がお互い惹かれていく前半部は、特に艶めかしい三島由紀夫の筆致が美しいの一言。選挙という宴のあとの、しっとりとした二人の瓦解もまた、美しい。

  • 三島文学をおよそ20年ぶりに読んでみたが、日本語の使い方がとんでもなく巧みで、複雑な心理描写も面白く、今更ながらさすがだなあと感服した。都知事候補のお爺さんと、それを支える女性のお話。日本らしい複雑な心理描写に引き込まれた。

  • 単語の選び方が三島。
    恋心の描き方が三島。

  • 選挙や恋愛に燃えるかづだけれども、いまいち理解できない女だ。解説に書いてあったとおり。政治家志望の夫よりも妻のかづのほうがよっぽど政治家であった、っつー話。なぜあんな男に惚れたのかよくわからない。

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