豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050232

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物の誰にも感情移入ができなくて読み進めるのが辛かった。『春の雪』『奔馬』が良かっただけに残念。

  • 20141118読了。
    豊饒の海第3巻。輪廻転生の話が相変わらず続いているのだけど、今回は主人公が本多になる。
    輪廻について本多が感じていることが書かれていて面白い。
    また実際にインドへ行ってガンジス川を眺めたことがあるため、無常観というか非日常感が共感できる。
    なんにしても本多の歪んだ一面が前面に出てきていて、読むのはしんどいがなかなか面白い。

  • 前半読み通すのはかなりの苦労を要したが、蓼科が現れた途端に、話は一気に展開していく。結局、三巻にも、とうとう聡子は登場しなかったのだが。具体的に書いてしまうと、未読の方に申し訳ないが、第二巻からの中心人物である本多の人間像が大きく揺さぶられる。となりの寝室をのぞく本多を見とがめた妻梨枝が「どうせこんなことだろうと思っていました。」というところをみると、本多の性癖はとうに知れていたのだろうか。一巻、二巻、そして三巻前半とほとんど登場しなかった性描写が、ここに来て大きな位置を占めるようになる。しかし、この悪癖を、なんとも美しく描く三島という人物、奥深いのかそれとも単なるスケベか変態か。エロ雑誌か何かを立ち読みしていた青年が、ズボンのポケットの中の手をもぞもぞと動かす。こんなシーンですら、きれいな描写ですまそうとする。それがまた淫靡であったりもする。最後にはどうしても死が必要なのだろうか。

  • 今まで転生の観察者であった本多が
    この巻では主人公となる。
    歳を重ねた本多が見出していく死生観めいたものが
    ただでさえ難解なのに、なかなか時間がとれず
    読むのに間をあけてしまったのでほとんど理解できなかった。

    清顕や勲の生まれ変わりであるジンジャンの目線が
    語られることがないので、彼女の行動の真意もわかりかねる。
    終盤に怒涛のように起る出来事にただ驚くばかりだった。

    そもそもなぜみんな本多の身近に生まれ変わってくるのか?
    たくさんの「?」が頭の中をうごめいているけど、
    四巻に進みたいと思います。

  • 清顕の転成やインドの物語には興味を持つものの、本多ののぞき趣味は最後まで共感できず。。。ただ、三島が何を書こうとしていたのかが知りたくて、読了。うーむ。

  • 実に難解、流れから行くとヒロインとなるべき月光姫は脇役に過ぎずこれまでのストーリーテラーであった本多が主人公に昇華する。そして綿々と綴られる輪廻転生の仏教思想は安易な考えでページを捲る手をこれでもかと拒絶し幾度となく読み返しを強いる。浅学な私が言えること、それは本多は三島本人であり老いさらばえ凋落して行く焦りと葛藤を、最早死せるしか答えを見出すことが出来ぬことを見事に代弁させることに成功している…これこそが三島のレトリックの集大成だったのではなかろうか。起承転結の転は転句の意になく転落であると確信する

  • 正直に...ロリコンおやじじゃん。と思うけど。。。。
    たぶん、そんなに浅はかではないのだろう。
    でも、今の私には理解できない。

    金持ちになったらこんなになってしまうのだろうか?それを利用する人もいるはわかる。

    この度の物語は、三島の真骨頂なのではないか。とおもうけど私には理解できない。

    いつか、もう一度読み返したい本である。2013.11.13読破

  • 2013 10/1

  • 豊饒の海4部作の中でも一番難解と言われている作品。確かに、輪廻転生の世界観について語られる部分は非常に長くなっているし、タイやインドの描写は、訪れたことのないし興味もそれほど持っていない自分にとっては読みやすいわけではなかった。
    しかし、年老いた本多とその仲間の描写や、仲間の個性が見事に描かれており、ここらへんの描写は他の作家に真似できるものではない。また、作品の中の時間の流れは前2作に比べかなり早くなっているが、これが本多の体感時間が年老いたことによって早くなっていることを表しているようで面白い。
    本作は当4部作の「転」の部分にあたるものであるが、社会状況のみならず、話の進め方においても前2作と全く異なった様相を示していて、見事な転じ方をしていると思う。

  • 『豊饒の海』4部作の第3巻なのだが、壮麗なエンディングは、あたかも完結編ででもあるかのようだ。これまでは「記録者」の位置に徹してきた本多がこの巻の主人公だが、その立ち位置は基本的には同じだ。『春の雪』では清顕ともども若かった本多も今や初老の域にさしかかっていて、その造形は『禁色』の檜俊輔を彷彿とさせる。また最後の場面は、『金閣寺』を想起させるなど、三島文学の集大成へと向かっている感が強い。時間的には、戦争末期から戦後にまたがっており、そのスパンの長さも小説にスケール感の大きさとなって反映されているだろう。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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