- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050263
感想・レビュー・書評
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三島由紀夫が20歳前から40歳にかけて書いた短編小説13編を収めた1冊。戦前に書かれた現実離れした幻想的な作品から、ホラーやコメディ的な作品まで多様な小説が収められている。
三島由紀夫自身の幼年時代が描かれた作品や、三島文学の主流を成す、現実の事件を取材した小説も収められていて、三島由紀夫を知るには適した短編集かもしれない。
表題作『岬にての物語』は、幻想的で夏の読書におすすめの1編。三島由紀夫の切れ味の良い美しい文体を楽しめる名短編集だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/713403 -
三島由紀夫短篇集。それぞれに濃い内容で面白い。官能の奥に生と死というテーマが潜んでいる。独特の言葉の使い方や表現の仕方。外国文学のような雰囲気をまとうものも感じられた。『金閣寺』しか読んでいなかったから、もっと他の作品にも触れてみたいとおもった。
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三島没後50年でいろいろなフェアをやっていたのに触発され、再読。大昔に読んだときも同じような読後感。きらびやかな短編小説ばかりだ。
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短編集。意外とどれも読みやすく面白い。解説によると現実(実在)と非現実(不在)の相克が描かれているらしい。人の不在によって、その人を強く意識したりするというのを実感させられる作品が確かに多い気がする。印象に残っているのはやはり「月澹荘奇譚」。ラストが怖すぎる。
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最初の2作は難読。それを過ぎるとスイスイ読める。
各作ともモンスターなキャラが多い中、上人の恋に心打たれる思いもしたけど、上人も結構なモンスターよね。
恋ってなんなんだろうか。 -
13編収録。昭和19年〜40年に書かれた短編が経時的に並んでいる。
表題作含む冒頭2作は夢幻的な物語で私の解読力では及ばなかったけれど、突っ込みどころが満載の3作目から一気に親しみが湧いて楽しめた。一貫しているのは恋愛と生死を基調として書かれていることだろうか。届かぬものに焦がれる地獄に生きている様が静謐な文体から伝わってくる。詩的な情景から読み取れれば、さらに楽しめるのだろうと思う。 -
比較的読みやすい短編がそろっていた。表題作の「岬にての物語」は夏の海浜の表現が美しく、潮の香りも嗅がれるかと思うほどその光景が鮮やかに頭に浮かんでくるようだった。「頭文字」の最後は多少予想がついた。
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13編からなる短編集。
表題作『岬にての物語』は何だか不思議な後味を
残して終わるお話しでした。
子供が妙に達観してるのも独特な雰囲気を作ってたな。
『椅子』も子供が妙に達観してる子で印象に残りました。
他にも『頭文字』や『水音』や面白い作品ばかりでした。
少し前なので言葉が聞きなれない分読みにくいトコロはありますが
でも綺麗な文章に感動するし、グイグイ物語りに引き込まれていきますね。次は何を読もう(´ω`)♪ -
「親切な機械」を読みたくて買ったはずが、学生時代に気に入っていた月澹荘綺憚が収録されていたのでそっちに夢中になってしまった。三島は短編も良いなあ。
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短編集。以下表題作ほか個人的によかったもの。
大学生殺人事件の真相「親切な機械」、強烈な愛の結末を描いた「牝犬」、生まれてまもなく母親から切り離された幼年の記憶「椅子」、父親殺害を企てる兄妹「水音」、焼亡した月澹荘の謎をめぐる「月澹荘綺譚」。
結びの一文がどれも痺れる人の死が象徴的な作品群。 -
文芸研究6
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表題作『岬にての物語』が大好き。
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「愛と死」というものは人間とっては避けて通れない大きなテーマであり、同時にそれは文学作品にとっても重要なテーマとなる。
映画「おくりびと」がオスカーをとったのも特に日本の文化に脈々と流れるそんな死生観が世界に評価されたからであろう。
この三島由紀夫の短編集に首尾一貫しているのが、この「愛と死」。
その愛のかたちは様々で、美しい愛、醜い愛、執拗な愛、高尚な愛、老いらくの愛、倒錯した愛。。。
そしてそれに連なる死の有様もまた様々。
私は、三島作品は最後の一行を読みきるまで気を許してはならないと思っているが、
この短編集も例外ではなく、その最後の一行にそれぞれの愛と死の意味が凝縮されており、時として戦慄を覚える。
特に「牝犬」、「志賀寺上人の恋」、「月澹荘綺譚」の読後のやるせなさは、
その中に語られる死の形が、遠慮なく読む者がそれぞれ持つ愛のかたちを、遠慮なく握り締めてくるかのようだ。
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「火山の休暇」「牝犬」が面白かった。表題作は私的に微妙。でも、描写が一々素敵過ぎる。三島は本当に文章が綺麗。たおやかな文章だとおもう。
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『岬にての物語』は、心中ロマンスが大好きな私にはたまらない作品でした。作品そのものは、三島が16歳で書いたものだし、たぶんそれほどいいものだといわれないのでしょうが(過度のロマンチシズムゆえに、特に)、この作品に出てくる岬の家は、私の中で結ばれない恋人たちの終の棲家としてイメージされているものになった。
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三島は短編も優れている。
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短編集です。表題作他13編を収録。愛情がテーマなのかな?恋愛だったり親子愛だったり博愛だったりしますが。