殉教 (新潮文庫)

  • 444人登録
  • 3.42評価
    • (19)
    • (30)
    • (81)
    • (4)
    • (3)
  • 33レビュー
著者 : 三島由紀夫
  • 新潮社 (2004年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050317

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
梶井 基次郎
谷崎 潤一郎
三島 由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印

殉教 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 吸血鬼モチーフの掌編と噂に聞いた「仲間」目当てで購入。
    短編集で大したページ数ではないのに結構なボリューム感。
    自己愛性人格者の晩年の作品群だからか、
    老若/美醜への言及が際立つ。
    人気俳優の内的独白「スタア」は、
    まるである種の楳図かずおマンガのようで、
    ニヤニヤしながら読んでしまった。
    というか、
    頭の中で楳図マンガちっくな絵&コマ割りで話が流れていった(笑)。
    肝心の「仲間」は拍子抜けするほど短く呆気なく、
    あっさりしているが、
    得も言われぬ後味を残す佳品。
    「血」「吸血鬼」といった単語が一度も出てこない、
    しかし、霧に煙るロンドンが舞台の、紛れもないヴァンピール譚。
    「お父さん」と「僕」と「あの人」で築く、
    スモーキーな単性生殖のユートピア。

  • 軽王子と衣通姫:流麗な文体を堪能
    殉教:ワイシャツは毎日新しいのをとりかえているようなお洒落のくせに、何週間も爪を切らないで爪先を病的に黒くしているというところがあった。
    獅子:ドロドロの不倫劇
    毒薬の社会的効用について:毒薬を持ち歩き、潜在的に毒殺されたがっている欲望によって、他人を服従させ、成功したと信じる男
    急停車:戦争に未練のあるランプ職人が平凡な日常にもふいに命を失う可能性を目の当たりにし、世界の彩りを取り戻す
    スタア:醜女のマネージャーとできている売れっ子俳優が年長の俳優に宿る隠しきれない老いにおののく
    三熊野詣:偏屈な「先生」に仕え歳を取った女が「先生」の架空の恋物語の忠実な証人に選ばれる
    仲間:タバコ=麻薬?

  • 異類のロマネスクな世界観に惹き込まれる短編集。

    三島由紀夫の美しい言葉の文章で綴る世界観に触れてみると、やや歪みも含むロマンチストな部類の人間だと自分自身を悟った本。

    「殉教」は短編集であり私が初めて読む三島由紀夫の短編集。
    集録されているどの短編集も私好みの人間の哀れさや慈愛を、隠し味的な要素で控えめでありながら独特の美しい世界観で綴っている。

    この本の説明をすると最初の短編は、情景の美しさや儚さの描写に酔いしれる「軽王子と衣通姫」から始まり、
    「殉教」「獅子」「毒薬の社会的効用について」「急停車」「スタア」「三熊野詣」「孔雀」「仲間」の9編集録されている。

    私はこの中で「軽王子と衣通姫」「獅子」「三熊野詣」が特に好き。
    「獅子」は夫の不倫に心が荒みゆく妻の、儚くも女の情念が織り成す物語。
    「三熊野詣」は初老の先生と世話役の女性との旅を描きつつ、2人の慎ましい所作と女性の尊厳たる淡い心を描いている。

    私が女性として生まれたからか、女性のその場面・その時の状況がありありとわかってしまう。
    男性の繊細でありなから歳を重ねても変わらない少年の心を持ち続ける一本気な思いと、
    女性の情緒的でその時の感情面に左右されてしまう心の脆さと強さ。

    これらの感情と合わせて風景などを文章で綴る際の繊細で美しい言葉選びに、読了後はどうしても心地好い溜め息が出てしまう。

    短編よりも三島由紀夫を読むなら、長編や中編の作品が私は好きなのかもしれない。
    どっぷりとその世界観に浸かりたいから。

  • 『獅子』のおどろおどろしい美しさが好き。
    血の印象ただようお話の中で、アイゲウス少佐が語る救済の美しさと、それを断固拒否する主人公。
    『この不幸は、私のものです!』と語る主人公に肩入れしちゃうのん。

  • 「スタア」に見る偶像崇拝論、若しくは生き神としての生身。
    三島作品全体に見られる「緩やかな死」の空気が、短編ゆえに顕著に見て取れる。

  • 少年同士の葛藤。そこに引かれた表題作。でも簡素な文章なのに色っぽかったのが「孔雀」夢想的なのに孔雀の飛び散った羽が艶かしく感じます。

  • 「仲間」がとても印象的な作品。音読で聞いてみたいと思わせる、不思議な世界観と文章。

  •  華麗で毒々しく、耽美と退廃的な表現に満ちている。というのが、わたしの持つ大雑把なミシマ文学イメージであり、『軽王子と衣通姫』の文体や『殉教』の無邪気なまでの残酷さと絡みあう同性愛的嗜好等、イメージ通りという部分と『獅子』のメロドラマを思わせる人物関係とどこかTVの2時間サスペンス調なセリフ回し、『スタア』の主人公の解りやすい傲慢さには案外、俗っぽさを感じる。
     如何に高尚なテーマで難解な作品を書く作家(彼の作品がそうであるかはともかく)であろうとも所詮神ならぬ身、俗なことが顔をだすのは自然なことだわね。
     

  • 美々しい文章。
    目の保養。

  • 三島の観念的な表現はやはり難しく、理解できない箇所も多々あった。しかし「スタア」や「三熊野詣」「孔雀」あたりは読みやすく、作者の言わんとすることも少しは理解できたのではないかという印象を持った。自分は「三熊野詣」が一番好きだった。

  • エロいです。めちゃくちゃエロい。そして美しい。特に『軽王子と衣通姫』の美しさは際だっているように感じました。

  • 短編集。ちょっとずつ三島作品を読み進める。
    やはりわりと好きである。

  • 10年ほど前から気になっていた「三熊野詣」。
    どれに収載されているのかわからなかったが、友人に教えてもらい、念願叶ってやっと読むことができた。
    男の身体的な醜形性と、対象的に美的な過去。
    例えそれが嘘であっても、それでいいではないかという女のスタンス。
    詰まるところ、美的であること、可能的に生きることを良しとする態度だろう。
    10年前の講義の中で教授が言いたかったことが、やっと腑に落ちた。
    「三熊野詣」はもちろん良かったが、「獅子」も良かった。

  • 20131003 多分、金閣寺以来の三島。付いていけない。良いのだろうが、わからない。

  • 短編集。収録作品は以下の通り:

    軽王子と衣通姫
    殉教
    獅子
    毒薬の社会的効用について
    急停車
    スタア
    三熊野詣
    孔雀
    仲間

    意外とすらすら読める。ラストで「え、」と寒気がすることも多かった。
    これが私の初の三島作品で、本を読めばどうしてこの人が有名なのか分かるかと思ったけど、もう少し読んだり調べたりしないと分からないのかも。

  • 「軽王子と衣通姫」を収録。

    神去りし雄朝津間稚子宿禰天皇の皇后と侍臣たちは、夜の深みを先帝の陵に詣でようと急いでいた。その時、あやしい火が陵のあたりでかき消えた。
    兵士たちがそのあやしい火の主を捕らえると、それは見知らぬ下部であった。彼は「衣通姫様に、身は仕えまつる下部」と答えた。
    皇后の釧が驚きのためにおののく。衣通姫。皇后の妹姫にして、先帝の思われ人。そして、今は息子の……

    …かつて先帝は、美貌と名高い衣通姫を近江から藤原宮、ついで茅渟宮へと迎え入れた。
    それは皇后の苦しみの日々のはじまりでもあった。
    皇太子・軽王子は、まだ見ぬ人が、母大后が与えることのできない喜びを父天皇に贈り、父ですら与えることのできない苦しみを母に与えることを不思議に思う。
    軽王子は、狩りのときに、禁を犯して宮に忍びこみ、衣通姫の姿を松の幹に隠れてみた。王子はただ一度垣間みた美しい面影のため苦しみもだえる。
    ある夜、ついに王子は茅渟宮の衣通姫のもとへ密かに訪れる。姫は罪の畏れと恥じらいにおののきながら、その不敵な若者の面差しを見た。天つ日のごとく輝かしく、そして悩みと憂いが兆しかけた眉にりりしさを加えた、豊葦原の中国にまたとみることのかなわぬ美しい若者を…
    雄朝津間稚子宿禰天皇は崩御された。
    軽王子は、父天皇の死後、茅渟宮を離れることはなかった。そうして政事は弟宮・穴穂王子にゆだねられた。自然、群臣も国人の心も、軽王子から離れていく。
    軽王子が母后に会うため、都に戻った夜、剣戟の音が空に響いた。王子は捕らえられ、伊余へと流された…

    衣通姫は先帝の陵に、ひそかに暇乞いにきていたのだ。
    妹姫を自分の宮に伴った皇后は、姫が先帝に召されて以来、久しぶりに睦まじく語り合った。
    季節のように、愛は通り過ぎるという衣通姫に、皇后は答える。
    「わたくしは今こそ心安らかに、神去りました陛下をお慕い申します。もはや君はわたくしの他の女を見返りはなさいませぬ。一時は君に対して抱きまいらせた憎しみ、お恨み、おん身に対して覚えた嫉み、そのことごとくが夢のように忘られました…」
    去っていく衣通姫に、皇后は、軽王子に伝えて欲しいことがあるという。《稚ない頃より、一番愛しかった》《皇位に就く日を、いかほどに切に望んでいたか》を。

    伊余で再会した軽王子と衣通姫。しかし、王子が姫と会えずにいた間、その日々の喜びとしていたのは、叛乱の夢であった…

  • 三島由紀夫の短編集です。
    初めてまじめに三島由紀夫を拝読しました。

    *短編集なのでちょびちょび読んでのでこの
    短期間にmixiUpdate。
     
    とりあえず、1年前に買った「金閣寺」もあるので
    それも読んだらまとめて感想を述べたいと思います。

  • 軽王子と衣通姫(かるのみことそとおりひめ)、群像、1947-4。殉教、丹頂、1948-4。獅子、序曲、1948-12 。毒薬の社会的効用について、風雪、1949-1。急停車、中央公論、1953-6 。スタア、群像、1960-11 。三熊野詣、新潮、1965-1。孔雀、文学界、1965-2。仲間、文芸、1966-1

  • 初めて読んだ三島作品です。
    ”死の直前に編まれた著者自選の第三短編集”という紹介に惹かれて最初の一冊に選びました。

    面白い面白くないというより全く好みでないという理由で★一つにしました。
    こういう作風が好みの読者なら面白いと思うかもしれません。

    「軽王子」「殉教」「獅子」は少女漫画のようでした…。
    「三熊野詣」の悲しくも強い信頼関係には考えさせられました。
    その他の作品は奇を衒い過ぎているように感じられました。

  • 三島作品2冊目。
    最初の「軽王子と衣通姫」の文体でかなり苦戦した。
    また読み直しが必要な気がする。
    そこから一変して、表題作である「殉教」以降はスラスラといけた。
    といっても言い回しとか文学的な知識の無さで読みおとしてる部分がいっぱいあるんだろうなと感じつつ読了。


    貴種流離。
    ロマンが描かれてる(らしい)

  • 『孔雀』が凄く好き。
    三島由紀夫特有の匂いが感じられ、何より美しい。

  • 三島読むのには時間がかかる

  • どろっどろ。

    『獅子』の繁子に対する周囲のあの侮蔑はなんだ。ラストは寧ろ爽快。
    『殉教』は、抑圧され、暗喩に塗れた表現がエロティック。
    『スタア』の、ある表現が絶妙すぎて、そこばっか暗記できるくらい読み返した。

    彼の書き出す婉曲な官能表現はほんと無二ですね。

    「軽王子と衣通姫」「殉教」「獅子」「毒薬の社会的効用について」「急停車」「スタア」「三熊野詣」「孔雀」「仲間」収録

全33件中 1 - 25件を表示

殉教 (新潮文庫)に関連するまとめ

殉教 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ツイートする