殉教 (新潮文庫)

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著者 : 三島由紀夫
  • 新潮社 (2004年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050317

殉教 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 吸血鬼モチーフの掌編と噂に聞いた「仲間」目当てで購入。
    短編集で大したページ数ではないのに結構なボリューム感。
    自己愛性人格者の晩年の作品群だからか、
    老若/美醜への言及が際立つ。
    人気俳優の内的独白「スタア」は、
    まるである種の楳図かずおマンガのようで、
    ニヤニヤしながら読んでしまった。
    というか、
    頭の中で楳図マンガちっくな絵&コマ割りで話が流れていった(笑)。
    肝心の「仲間」は拍子抜けするほど短く呆気なく、
    あっさりしているが、
    得も言われぬ後味を残す佳品。
    「血」「吸血鬼」といった単語が一度も出てこない、
    しかし、霧に煙るロンドンが舞台の、紛れもないヴァンピール譚。
    「お父さん」と「僕」と「あの人」で築く、
    スモーキーな単性生殖のユートピア。

  • 軽王子と衣通姫:流麗な文体を堪能
    殉教:ワイシャツは毎日新しいのをとりかえているようなお洒落のくせに、何週間も爪を切らないで爪先を病的に黒くしているというところがあった。
    獅子:ドロドロの不倫劇
    毒薬の社会的効用について:毒薬を持ち歩き、潜在的に毒殺されたがっている欲望によって、他人を服従させ、成功したと信じる男
    急停車:戦争に未練のあるランプ職人が平凡な日常にもふいに命を失う可能性を目の当たりにし、世界の彩りを取り戻す
    スタア:醜女のマネージャーとできている売れっ子俳優が年長の俳優に宿る隠しきれない老いにおののく
    三熊野詣:偏屈な「先生」に仕え歳を取った女が「先生」の架空の恋物語の忠実な証人に選ばれる
    仲間:タバコ=麻薬?

  • 異類のロマネスクな世界観に惹き込まれる短編集。

    三島由紀夫の美しい言葉の文章で綴る世界観に触れてみると、やや歪みも含むロマンチストな部類の人間だと自分自身を悟った本。

    「殉教」は短編集であり私が初めて読む三島由紀夫の短編集。
    集録されているどの短編集も私好みの人間の哀れさや慈愛を、隠し味的な要素で控えめでありながら独特の美しい世界観で綴っている。

    この本の説明をすると最初の短編は、情景の美しさや儚さの描写に酔いしれる「軽王子と衣通姫」から始まり、
    「殉教」「獅子」「毒薬の社会的効用について」「急停車」「スタア」「三熊野詣」「孔雀」「仲間」の9編集録されている。

    私はこの中で「軽王子と衣通姫」「獅子」「三熊野詣」が特に好き。
    「獅子」は夫の不倫に心が荒みゆく妻の、儚くも女の情念が織り成す物語。
    「三熊野詣」は初老の先生と世話役の女性との旅を描きつつ、2人の慎ましい所作と女性の尊厳たる淡い心を描いている。

    私が女性として生まれたからか、女性のその場面・その時の状況がありありとわかってしまう。
    男性の繊細でありなから歳を重ねても変わらない少年の心を持ち続ける一本気な思いと、
    女性の情緒的でその時の感情面に左右されてしまう心の脆さと強さ。

    これらの感情と合わせて風景などを文章で綴る際の繊細で美しい言葉選びに、読了後はどうしても心地好い溜め息が出てしまう。

    短編よりも三島由紀夫を読むなら、長編や中編の作品が私は好きなのかもしれない。
    どっぷりとその世界観に浸かりたいから。

  • 『獅子』のおどろおどろしい美しさが好き。
    血の印象ただようお話の中で、アイゲウス少佐が語る救済の美しさと、それを断固拒否する主人公。
    『この不幸は、私のものです!』と語る主人公に肩入れしちゃうのん。

  • 「スタア」に見る偶像崇拝論、若しくは生き神としての生身。
    三島作品全体に見られる「緩やかな死」の空気が、短編ゆえに顕著に見て取れる。

  • 少年同士の葛藤。そこに引かれた表題作。でも簡素な文章なのに色っぽかったのが「孔雀」夢想的なのに孔雀の飛び散った羽が艶かしく感じます。

  • 「仲間」がとても印象的な作品。音読で聞いてみたいと思わせる、不思議な世界観と文章。

  •  華麗で毒々しく、耽美と退廃的な表現に満ちている。というのが、わたしの持つ大雑把なミシマ文学イメージであり、『軽王子と衣通姫』の文体や『殉教』の無邪気なまでの残酷さと絡みあう同性愛的嗜好等、イメージ通りという部分と『獅子』のメロドラマを思わせる人物関係とどこかTVの2時間サスペンス調なセリフ回し、『スタア』の主人公の解りやすい傲慢さには案外、俗っぽさを感じる。
     如何に高尚なテーマで難解な作品を書く作家(彼の作品がそうであるかはともかく)であろうとも所詮神ならぬ身、俗なことが顔をだすのは自然なことだわね。
     

  • 美々しい文章。
    目の保養。

  • 2009.9.8 読了

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