愛の矢車草 (新潮文庫 は 15-1)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101054117

感想・レビュー・書評

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  • 短編四作品を収録しています。

    「愛の陽溜り」は、東京で一人暮らしをしている予備校生の増田駒夫と、その向かいの女子大の寮に暮らす女子学生の物語なのですが、その関係は、鬱屈した日々を送っている駒夫の自慰を、向かいの物置きの窓から目撃するというもので、バカバカしさのなかに哀愁のある内容です。

    「愛の狩人」は、下着泥棒の新渡戸達吉が、弁護士の槙野緑郎にその女性観を滔々と語る作品です。葦の髄から天井をのぞくような身勝手な理屈でありながら、一人ぎめの洞察を積みかさねていく下着泥棒の「思想」に、なぜか感嘆させられてしまいます。

    「愛の牡丹雪」は、うどん屋でパートをしている額田ヤエという中年女性と、女運転手の笠矧留子の愛をえがいた作品です。

    「愛の矢車草」は、高校生にして翔太という息子をもつことになった、17歳の卓也の物語です。

    よくある「愛」のかたちとは異なっているものの、登場人物たちの心情の動きをロジカルにえがき出すことで彼らに対する共感を読者にいだかせてしまうところに、著者の本領が示されているように感じます。

  • 留子さんの話が好きです。こんな行き違い切ない。優しさって難しいと思った。

  • 再読 色々な「愛」について描かれている

    そこで起きる事象はあまり行われない事のように思えるが、そこで起こっている心の動きは私にもあるなあ、と

  • 隅々までは読めなかった。タイトルの話は赤木かん子さんのセレクションに入っていたもの。こちらの文庫には吉田秋生さんの挿絵入りで素敵であった。

  • は-15-1

  • 新潮社のが欲しいけど今ないのかしら

  • 愛の形いろいろ。

  • 2つめと4つめがいい。

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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