夜明け前 (第1部 上) (新潮文庫)

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著者 : 島崎藤村
  • 新潮社 (1954年12月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101055084

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夜明け前 (第1部 上) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 木曽路、馬籠本陣の主人青山吉左衛門の子、青山半蔵は、平田派の国学に心を傾け、平田鉄胤の門人となる。黒船来航により日本の有り様が大きく揺れ動き、尊王攘夷の気運が高まる中で、青山半蔵は自らのあり方や日本の国のあり方に思いを致す。
    日本という国が、外からの圧力もあり、変革を不可避とされた状況の中で、平田派国学を理想に掲げた主人公青山半蔵は、どのように考え、生きようとするのだろうか。

    時代は移り、明治維新を遠くすぎた現代もまた、変革を余儀なくされている状況に変わりはない。一市民として、理想とはなにか、時代の変化の中で個人の生き方はどうあるべきなのか。単なる過去ではなく、そこから何か普遍的に語りかけてくる声が静かに聞こえてくる。

  • 上下巻通じての感想:幕末の頃についてのノンフィクションが読みたいと思って、あれこれ探してこの「夜明け前」に至りました。かなり昔に書かれているにもかかわらず、文章は流麗、風俗描写もわりにすんなりイメージを思い描けます。幕末のペリー来航から大政奉還、鳥羽伏見の戦いまでの年月が克明に綴られ、かつ主人公やその友人知人たちの成行きが細かく描写され見事です。あまりにどっぷり幕末気分に浸ってしまうため、第2部はしばらく時間をおいて読むことにしてしまいました。合間に米国文学をしばし読んで、気分をリセットしたのち第2部を読むことにします。
    しかし、この小説、往年の大映で、かつての美術スタッフ、監督は三隅研次、もちろん市川雷蔵主演で、幕末の風景を再現してみて欲しいと思ってしまいます。

  • 「夜明け前 第一部(上)」島崎藤村著、新潮文庫、1954.12.25
    p335 ¥140 C0193 (2017.05.12読了)(1966.05.23購入)(1966.04.10・23刷)
    以下は読みながら書いた読書メモです。

    「夜明け前」を読み始めました。
    1966年に購入していますので、積読51年になりました。
    第1章を読み終わったところです。
    「木曽路はすべて山のなかである。」という書き出しの文章は、調子がいいですね。詩も書いている人なのですから。
    黒船来航の話が出てきますので、1853年ごろの話ですね。
    舞台は中山道の宿場、馬籠宿というので、調べたら岐阜県中津川市となっていたので、長野県じゃないの? と思ったら2005年2月に岐阜に移ったとか!
    それまでは、長野県木曽郡山口村ということでした。
    名古屋や彦根の殿様たちは、東海道ではなく中山道を通って江戸と行き来しているんですね。
    主人公は、馬籠宿の本陣の当主、青山吉左衛門55歳のようです。お隣の伏見屋の金兵衛さん57歳とは、かなり懇意のようです。吉左衛門の息子の半蔵さん23歳がお民さん17歳と結婚したところまでが描かれています。お民さんは、隣の妻籠宿の本陣の当主の娘さんです。
    旧仮名遣い、旧漢字なのですが、文章自体は読み易い!

    第三章まで読み終わりました。物語の主軸は、青木半蔵さんの方に移ってきました。日照りのための雨ごい、1854年の東海地震、南海地震、翌年の江戸大地震などが出てきた後、馬籠、妻籠の本陣の祖先が三浦半島の横須賀から来ていることがわかって、半蔵さんと妻籠の寿平治さんで横須賀まで出てゆきます。ハリスの着任と同時期になっています。
    江戸大地震では、藤田東湖が亡くなった話に触れています。横須賀に行く前に、江戸見物をしたり日光へ足を延ばしたりしていますが、日光での話は省略されています。読みたかったですね。
    アトリを食べる話とか、ツグミを食べる話なども出てきます。バード・ウォッチングというか、野鳥の写真を散歩のついでに撮っているので、興味深く読んでいます。
    旅の始めにみちおしえも出てきます。著者は、色んなことに興味があるようです。

    5月10日の読売新聞「編集手帳」に『夜明け前』の話が引用されていました。芭蕉の石碑を建てる話で、石碑の文字の穐(あき)の字の禾編が崩して書いてあって蠅に見えるという所です。
    この間読んだばかりだと思いながら読ませてもらいました。こういうことってわりとありますよね。

    第一部上巻(第七章)、読み終わりました。
    第四章は、医者で半蔵の学問の師匠であった宮川寛斎さんが開港間もない横浜へ出稼ぎに入った話になっています。幕末の馬籠宿の話だけで終始すると思っていたので、びっくりしています。
    第五章は、また、半蔵の話に戻ります。
    馬引きのストライキの話や、山の草刈り場の境界争い、皇女和宮の嫁入り、その際の助郷の話などが述べられています。
    桜田門外の変、生麦事件、等の話も噂話として伝えられています。参勤交代が廃止になり、江戸に留め置かれていた大名の妻や子供が、続々と故郷へ帰って行く様子も記されています。この辺の話は初めて聞いたような話です。
    半蔵は、国学の平田篤胤の信奉者のようですが、本陣としての役割を父親から相続するし、妻子もいるので自分の役割の方に重点を置いて暮らしてゆこうとしています。
    一息入れてから、下巻へ行きます。

    【目次】
    第一部
    序の章   5頁
    第一章   19頁
    第二章   60頁
    第三章   105頁
    第四章   153頁
    第五章   192頁
    第六章   222頁
    第七章   300頁

    ●木曽名物の小鳥(119頁)
    鳥居峠の鶫は... 続きを読む

  • いうまでもなく島崎藤村の代表作。
    日本文学史の中でも必ず触れられている有名な作品。

    それだけに、読むのがなんとなく億劫だったが、読み始めると、意外に面白い。

    傑作作品や有名な作品というのは、えてしてこんなもので、そういう評判をとるだけのことはあるのだ。

    詩人として有名な島崎藤村の小説を読むのはたぶんはじめて。
    堅牢で見事な日本語による重厚な作品。

  • なんとなく流れで読んでるんだけど、あと3冊も読まないといけないのか・・・

  • 主人公となるのは藤村の父。時代としては黒船到来の少し前から明治の始め頃まで。庄屋の目から見た御一新という時代小説としても面白いけど、狂うということの身近さや何が悪いということのないどうしようもない感じが怖くもあり哀しい。
    二部構成で一部上下巻と長いのでとっつきにくいけれど、桜の実の熟する時や家など読んで外堀から埋めるのもいいかも。

  • 何十年ぶりかで、中津川から馬籠に行ったので、帰ってきてから、これまた何十年ぶりかで本棚にある赤茶けた本を手に取ってみた。
    半蔵は、時代が動いているさなかに自分がどうあるべきか、自分がすべきことは何か、考えながら生きていた、ということだ。江戸へ行ったり、中山道を行き交う諸大名や和宮降嫁の列を本陣の役割を担う者として見送ったり、王滝村に祈りにいったり。
    それがどうなるのか、時代の流れと人の思いと。
    続きをよもう。

  • 自分に読みこなす力量が足りずこの評価。数年後にまた読み返したい。

  • 1932年(昭和7年)ベストセラー
    請求記号:Fシマザ 資料番号:010664191

  • 読んだきっかけ:100円で買った。

    かかった時間:3/12-4/30(42日くらい)

    解説(帯より):山の中にありながら時代の動きを確実に追跡する木曽路、馬籠宿。その本陣・問屋・庄屋をかねる家に生まれ、国学に心を傾ける青山半蔵は偶然、江戸に旅し、念頭の平田篤胤没後の門人となる。黒船来襲依頼門人として政治体制への参加を願う心と旧家の仕事にはさまれ悩む半蔵の目前で歴史は移り変わっていく。著者が父をモデルに明治維新に生きた一典型を描くとともに自己を凝視した大作。

  •  『夜明け前』に一番最初にとりかかったのは高校生のときでした。その後も何度か読みはじめては途中で投げ出してしまっていたので、今回は少し構えて読み始めたところ、それなりに時間はかかりましたが、たいした抵抗もなく最後まで読めました。なぜ昔は読み通せなかったんだろうと不思議になったくらい。若い頃とは本の読み方も変わってきているのでしょうか。

     有名な作品ですが、あらすじを振り返るために、新潮文庫のカバーにある売り文句を引用します。

    第一部(上)
     山の中にありながら時代の動きを確実に追跡する木曽路、馬籠宿。その本陣・問屋・庄屋をかねる家に生れ国学に心を傾ける青山半蔵は偶然、江戸に旅し、念願の平田篤胤没後の門人となる。黒船来襲以来門人として政治運動への参加を願う心と旧家の仕事にはさまれ悩む半蔵の目前で歴史は移りかわっていく。著者が父をモデルに明治維新に生きた一典型を描くとともに自己を凝視した大作。

    第一部(下)
     参勤交代制度の廃止以後木曽路の通行はあわただしくなり、半蔵の仕事も忙しさを増す。時代は激しく変化し、鎖国のとかれる日も近づく。一方、幕府の威信をかけた長州征伐は失敗し、徳川慶喜は、薩長芸三藩の同盟が成立していよいよ倒幕という時に大政を奉還した。王政復古が成り立つことを聞いた半蔵は、遠い古代への復帰に向かう建て直しの日がやって来たことを思い心が躍るのだった。

    第二部(上)
     鳥羽伏見の戦いが行われ、遂に徳川幕府征討令が出される。東征軍のうち東山道軍は木曽路を進み、半蔵は一庄屋としてできる限りの手助けをしようとするが、期待した村民の反応は冷やかなものだった。官軍と旧幕府方の激しい戦いの末、官軍方が勝利をおさめ、江戸は東京と改められて都が移された。あらゆる物が新しく造り替えられる中で、半蔵は新政府や村民の為に奔走するのだった。

    第二部(下)
     新政府は半蔵が夢見ていたものではなかった。戸長を免職され、神に仕えたいと飛弾の神社の宮司になるが、ここでも溢れる情熱は報われない。木曽に帰り、隠居した彼は仕事もなく、村の子供の教育に熱中する。しかし、夢を失い、失望した彼はしだいに幻覚を見るようになり、遂には座敷牢に監禁されてしまうのだった。小説の完成に7年の歳月を要した藤村最後の長編である。

     上の文章は売り文句ですから、「幕末から明治維新の激動の歴史を生きた青山半蔵の波瀾万丈の一生!」という感じにも読めますが、藤村の文章は、歴史も木曽路の宿場での生活風景も坦々と描写していきます。司馬遼太郎や吉川英治を読むようなわけにはいきません。
     徳川幕府やそれに対する長州・薩摩の動向など大局的な歴史の動きと、馬籠宿の人々の生活や半蔵個人の内的な葛藤が交互に叙述され、物語はゆっくりと、明治半ば、半蔵が発狂し死に至るまで、坦々と流れていきます。曲折はあっても押さえた筆致で、派手な山場を作るようなかたちでは描かれていません。
     この、坦々と話が進行していくことに若い頃のわたしは耐えられず、途中で放り出してしまったのではないかと思われます。しかし今回は、今年の夏、馬籠を訪れて、藤村記念館などを見てきた(青春18きっぷ 中央線)ことも影響しているのでしょうか、読んでいると大名行列を迎えるための当時の宿場での人の動きや、木曽路の風景をぼんやりと想像することができました。人足が何百人、馬が何十頭で荷駄がどれほどで賃銭がいくらといった数字もきちんとふまえて、具体的に描かれており、平易でわかりやすく、しかも骨格のしっかりした文章で、なんとなくその時代を感じさせられるような気がしました。
     派手な山場のないことも、逆に、抵抗しようもない時の流れをあらわしているようにも感じられ、なんとなく納得して、そのまま最後まで読み終えてしまいました。... 続きを読む

  • 歴史書とか時代小説とかが好きな人にとってはもっと面白いのだろうか・・・。
    日記をもとに制作しているというだけあって、内容のリアリティはある程度あるとは思うが、読んでいてしばしば退屈である。

    鴎外の「歴史其儘」と「歴史離れ」に類似した問題を感じる。

    四冊全てを読み終えたら、なにかいまよりも心動かされるものがあることに期待。
    今のままでは『夜明け前』が小説である必然性を感じず、これならば日記のままで、あるいは日記のままのほうがより正確な分だけ良かったとおもわれてしまう。
    そして、そこが何より残念。

  • 歴史を知らない自分が悪いのだが、読んでいてそんなに面白くはない。

  • 湯河原などを舞台とした作品です。

  • 藤村は破戒しか読んだことがなく、それからは書きたいことに引きずられている青さが感じられた。
    しかしここにあるのは恐しく静謐で重厚な群像劇だ。別人かと思った。すさまじい執念がにじみ出ている。
    武士ではない、庶民の側から眺めた幕末。下からの視点を決して忘れずに、踏まえたうえでこの時代のことは考えなくてはならない。
    それでも、下からの視点だけで物事をとらえるのはまた違うと思うんけどね。

  • 武士が主人公ではない幕末の市井の人々の生活が瑞々しく描かれていて、司馬遼太郎とは全く違っていてとても新鮮に感じられた。人々のなにげない生活の中に今は失われてしまった美しさを見てしまう。決して浮つくことなく現実を冷静に見つめる人たちはどの時代にも存在するものだと実感した。

  • 庶民目線から見た明治維新

  • 有名作だから敬遠してましたが、こんなに面白く読めるなんて!構成が素晴らしい。望遠でもなく虫眼鏡でもなく、両方をバランスよくとりいれて。こんな書き方、他にないのはなぜ?後世の作家はなぜこんな書き方をしてくれないのかな?と不思議に思いました。

  • 幕末から明治初期にかけての歴史を、下からの視点で描く。歴史上のヒーローの物語とは違う迫力を味わえる。結末が激しい。

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