夜明け前 (第2部 下) (新潮文庫)

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著者 : 島崎藤村
  • 新潮社 (1955年3月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101055114

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夜明け前 (第2部 下) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 重厚で、漢字も多く、かなりの長編ということもあって、なかなか読む気が起こらなかったが、読み始めてみると、スラスラ読むことができた。

    題材の面白さや、落ち着いた文章――派手さを抑え、実質のある過不足ない文書で、長編にぴったり――のおかげもあるが、なによりも、文の中に込められたリズムが良いからだと思う。

    島崎藤村は詩人から出発した人だから、当然である。

    長編のどこを取ってきてもいいのだが、たとえば、

     隆盛は寡言の人である。彼は利秋のように言い争わなかった。しかしもともと彼の武人気質は戊申当時の京都において慶喜の処分問題等につき勤王諸藩の代表者の間に激しい意見の衝突を見た時にも、剣あるのみの英断に出、徳川氏に対する最後の解決をそこに求めて行った人である。その彼は容易ならぬ周囲の形勢を見、部下の要求の制えがたいことを知り、後には自ら進んで遣韓大使ともなり朝鮮問題の解決者たることを志すようになった。岩倉大使一行の帰朝、征韓論の破裂、政府の分裂、西郷以下多くの薩人の帰国、参議副島、後藤、板垣、江藤等の辞表奉呈はその結果であった。上書して頗る政府を威嚇するの意を含めたものもある。旗勢をさかんにし風靡するの徒が辞表を奉呈するものは続きに続いた。近衛兵は殆ど瓦解し、三藩の兵のうちで動かないものは長州兵のみであった。(p123)

    または、

     つつましくはあるが、しかし楽しい山家風な食事のうちに日は暮れて行った。街道筋に近く住む頃ともちがい、本家の方ではまだ宵の口の時刻に、隠宅の周囲はまことにひっそりとしたものだ。谷の深さを思わせるようなものが、ここには数知れずある。どうかすると里の近くに来て啼く狐の声もする。食後に、半蔵は二階へも登らずに、燈火のかげで夜業を始めたお民を相手に書見なぞしていたが、ふと夜の空気を通して伝わってくる遠い人声を聞きつけて、両方の耳に手をあてがった。
    「あ――誰か俺を呼ぶような声がする」
     と彼はお民に言ったが、妻には聞こえないというものも彼には聞こえる。彼はまた耳を澄ましながら、じっとその夜の声に聞き入った。(p344-345)

    いずれも実に自然で、すっと入ってくる。
    こういう文章を名文というのだと思う。

  • (2017.06.08読了)(1999.08.15購入)(1997.12.05・56刷)

    【目次】
    第二部
    第八章  5頁
    第九章  40頁
    第十章  73頁
    第十一章  108頁
    第十二章  139頁
    第十三章  175頁
    第十四章  237頁
    終の章   291頁
    注解  三好行雄  333頁
    島崎藤村 人と文学  平野謙  341頁
    『夜明け前』について  三好行雄  352頁
    年譜  編集部  361頁

    ☆関連図書(既読)
    「夜明け前 第一部(上)」島崎藤村著、新潮文庫、1954.12.25
    「夜明け前 第一部(下)」島崎藤村著、新潮文庫、1954.12.25
    「夜明け前 第二部(上)」島崎藤村著、岩波文庫、1969.03.17
    「破戒」島崎藤村著、新潮文庫、1954.12.
    「桜の実の熟する時」島崎藤村著、新潮文庫、1955.05.10

    内容紹介(amazon)
    新政府は半蔵が夢見ていたものではなかった。戸長を免職され、神に仕えたいと飛騨の神社の宮司になるが、ここでも溢れる情熱は報われない。木曽に帰り、隠居した彼は仕事もなく、村の子供の教育に熱中する。しかし、夢を失い、失望した彼はしだいに幻覚を見るようになり、遂には座敷牢に監禁されてしまうのだった。小説の完成に7年の歳月を要した藤村最後の長編である。

  • ようやく読み終えました。
    「夜明け前」の意味が、やっと分かりました。

  • 明治時代初期の馬篭宿場町の変遷

  • 読んだきっかけ:100円で買った。

    かかった時間:7/19-9/24(68日くらい)

    解説(帯より):新政府は半蔵が夢見ていたものではなかった。戸長を免職され、神に仕えたいと飛騨の神社の宮司になるが、ここでも溢れる情熱は報われない。木曾に帰り、隠居した彼は仕事もなく、村の子供の教育に熱中する。しかし、夢を失い、失望した彼はしだいに幻覚を見るようになり、遂には座敷牢に監禁されてしまうのだった。小説の完成に7年の歳月を要した藤村最後の長編である。

    感想:決してつまらなかったわけではない…といいたいのですが、これだけ読むのに時間がかかったということは、つまらなかったのでしょう。やはり、文学作品は難しいですね。意味の分かりかねる描写もかなりあったし。たくさん本読んでる人じゃないと厳しい一冊でした。
    なお、物語は、主人公半蔵から見た明治維新がテーマです。
    そのなかで、平田国学(古学)の見地から、王政復古に喜ぶものの、実際の維新政府では古学は頓挫し、まったく違う政治が行われます。そのなかで絶望した主人公の悲劇、、、でした。

  • 湯河原などを舞台とした作品です。

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