友情 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (1947年12月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101057019

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友情 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 夏目漱石の「こころ」が暗~い三角関係の話なら、これはその対極にある三角関係の話だ……という感想をどこかで見ていたので、てっきり男二人が川原で殴り合いをした後スッキリ和解する話しかと思ったら全く違っていた……。

    上篇で、初めから主人公・野島は杉子に一目ぼれをします。
    もうそこから怒涛のように続く杉子age。杉子を勝手に聖女のように位置づけ、交際もしてないのに「結婚するならこの子だ」と思い込む。杉子への惚れっぷりが本当にすごい。
    「新聞を見ても、雑誌を見ても、本を見ても、杉と云う字が目についた」
    とかね。
    あとはその杉子に変な手紙を寄越してちょっかいを出してくる男がまるで野島みたいな男で、野島は「あ、俺もこんな変な事してるかも」という自覚がありつつも、やっぱり変な手紙(プロポーズの)を出してしまうw
    上篇は、本当になんというか野島が杉子をスキスキ言ってて余りに気持ち悪……いや一方的です。
    ああでもこの時代って恋愛するのに女性の気持ちはあまり関係ないのかな…なんて騙されかけたんですけど、下篇を読んだらそんなことなかったwww 
    ですよねー!

    下篇では散々想いを寄せられていた杉子が野島のことをこれっぽっちも好いてなかったことが明らかになります。
    杉子は
    「野島さまは私と云うものをそっちのけにして勝手に私を人間ばなれしたものに築きあげて、そしてそれを勝手に賛美していらっしゃるのです」
    と野島の愛のゆがみ具合をバッチリ指摘してる。
    「死んでも結婚したくない」とか「どうしても野島さまのわきには一時間以上は居たくないのです」という衝撃的すぎる感想が出て来て吹き出しました。
    そこまで言う?!

    野島の友達の大宮は一生懸命友達のいいところを杉子に解くけど、結局は自分も杉子のことが好きなので自分の気持ちに正直に行くことにした。
    大宮「もう万事きまったと自分では思った。これが罪ならば罪でもいいと思った」
    この台詞で、もう大宮の勝ちです。
    世界中を敵に回しても好きだと思ったら強い。
    最後、振られた主人公の野島は人生にめげずに芸術の世界に生きて行くことに決めたようなのでまあ良かったのかなと思います。

    それから、
    話のあちこちから、この時代の若い人が「日本を強くしないと」という使命感を負っていて、みんな頑張っていたというのが読み取れました。そう言う時代だったんだなぁ。
    あ、あと、随分昔に書かれた話なのに青空文庫に入っていないなと思ったら、武者小路先生はずいぶん長生きされた方なんですね。
    昔に書かれた話ですが、現代の青春エンタメ小説ですと言ってもおかしくない、色褪せないストーリーだと思います。

  • 薄いので、すぐ読める。
    だけど、内容は濃い。
    恋愛観と結婚観がとても面白い。
    今とは時代が違うけど、女性が随分行動的だし、結婚に積極的だなと思う。
    まだ二十歳にもならないうちから。
    今みたいに、交際期間を経て結婚相手に相応しいかどうか選ぶのではなく、好きになったら結婚相手として見るから、思いの深さが違う。
    これからの人生全てをかけて恋をしているかのよう。
    そういう相手に出会ってしまった野島と、まだ出会っていないであろう仲田の恋愛観が異なるのは無理もないところ。
    野島も辛いだろうけど、大宮も辛いんだよ。
    何かを得ようとすれば、何かを失うものだ。
    どちらが悪いとかいうことじゃない。
    どちらも幸せになってほしいと思う。

  • 文人は不幸であらねばならないという考えが透けて見える。
    彼は孤独に苦しんでいるけれど、人は生まれながらに孤独だと思う。
    ただ、それに気づくか気づかないだけで。

  • 新潮文庫の表紙の裏に作者の写真が掲載されているのだが、最初はこのように恋に苦悶する青年をこんなジジイ(失礼!)が描いているのかと思うと可笑しくてならなかったのだが(笑)、付録の年表をみると実篤36歳の時の作品なんですね。
    「失恋の達人」(ちょっと違うか)という著者の失恋物語。平易な文章なのでとても読みやすい。「神への救い」や「世界貢献」「個人主義」といった実篤の内面もよく出ている作品のようです。
    正直な話、いじいじと片思いに悶絶する様は個人的な話すぎてあまり心地よいものではないですが(笑)、いろいろと湧いてくる心理の流れがかなり網羅されていると思われ、これはよく練られた作品なのではないかと・・・。下篇で明かされる野島と大宮の葛藤の真相はとてもよくまとめられていました。その初々しくストレートすぎる心情の表れは、誰もが身に思いのある(と思われる)話であり、悲劇的な展開でしたが、微笑ましく読了することができました。つーか、野島さん、かなり思いこみの激しい人なんだね。(笑)
    最後の野島の発する一文は状況からとてもよく理解できる反面、物語の行方を考えると少し違和感が残った。

  • 武者小路実篤の代表的作品。割とすらすら読めたけれど衝撃を受けました。

    タイトルからすると純情を絵に描いたような友情物語のようだけれどそうではありません。『友情』のあいだに『恋愛』がからむと人間はどうなってしまうのか。あるお嬢さんのことが好きな主人公のために力を尽くす友人。だけどその友人もお嬢さんのことが好きだった・・・。

    『友情』をとるか『恋』いや『愛』をとるか・・・。ぎりぎりの選択。3人の心の揺れるさまが苦悩を感じさせる文章で綴られている。その結末とはいかに・・・きれいなだけじゃない。人間の深い部分をも描いた作品。

  • それはそうなるわ

  • 大宮くんが最初から最後まで好き。
    野島くんが苦手。
    でもわかる。
    恋する気持ち。
    友達に対しての嫉妬。
    青春を思い出す。

  • 話はありがち。恋と友情の狭間で迷う男性たちの話。
    でも、なんやろ。いい。

    タイトルと違って、私は恋の感情の表現やら、男性の同性のできる友人に対する嫉妬や羨望、それと友情の間の揺れ動きの表現などが心地よかった。
    細かく心理描写をしているのに、くどくどしくなくて、「あー、みんなそうだよね」という共感を催す事ができた。

    引用をした50ページの恋する者の不安と、恋してない者の羨望もシンプルだけど、いい。

    主人公の1人、野島は杉子に世間の荒波を渡っていく為に、自分自身を信じることのできる力となってくれること、この世で野島だけを信じることを望む。恋愛ハウトゥーで読んだことあるけど、男性は自分を信じてほしいって本当なんだなぁと思ってしまった。

  • 最後の一文にゾッとする。

  • 生誕130年を迎へた武者小路実篤であります。
    我が家にも「仲良きことは美しき哉」と書かれた南瓜の絵がありますが、これは素人目に見ても贋作に見えます。まあ仮に本物でも、武者氏は生前、求められるままに各地で書をしたため、気軽に与へまくつたさうなので、余り高い値はつかないのかも知れません。
    あ、カネの話は武者氏の作品を語るときに邪魔になるので、発言を撤回します。

    若き脚本家の野島君は、友人仲田君の妹である杉子に一目惚れします。何かと理由を付けては顔を見る機会を窺つてゐます。逆に内心を気取られまいと、わざと距離を置いたり。23歳にしては少し純情でせうか。
    杉子への想ひは抑へがたく、親友の大宮君には打ち明けてしまひます。大宮君は新進作家で、野島君よりも一足先に世間に出てゐて、ファンも多いのです。気のいい奴。

    案の定大宮君は、ヨッシャとばかりに、二人の仲を取り持たんと気を使つてくれます。彼は社会的に認められても、遅れを取つた野島君を軽んずる事もなく、敬意を示してくれるのでした。まさに友情。
    一方杉子さんは、いつも大宮君の従妹・武子さんと一緒で、仲が良い。屈託のない様子で、野島君にも好意を持つてくれてゐるやうに見えます。これは、いけるんぢやないか。
    気になるのは、杉子さんが時折見せる大宮君への眼差し、そして必要以上に冷淡な大宮君の杉子さんへ対する態度......

    その後は......あゝ、野島君の心中を慮ると、これ以上は語れません。
    表題は『友情』ですが、それより青春時代に誰もが抱く憧憬や恋愛、焦燥や挫折、残酷さといつたものを余すことなく表現した一作ではないかと思ひます。
    進藤英太郎に言はせたら「貴公は青いよ、若いよ」といふことになりさうですが、この群像劇の人物たちの未熟さを鼻の先で嗤ふやうになることを「成長」とか「成熟」なんて呼ぶのなら、なんだかそれはツマラナイ大人だなあ、と感じるのです。
    現代人の鑑賞には堪へ得ぬとの評も聞きますが、一方で新しい読者も増えてゐます。拙文をお読みの紳士淑女の皆様は如何でせうか?

    ぢや、また逢ふ日まで。ご無礼します。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-576.html

  • 有名な小説であり、読みやすい。
    作家を目指す青年(野島)が一人の女性に恋をし、厚く友情で結ばれている大宮に相談しながら過ごしていたが、ある時、その親友がその女性のことを好きになってしまう。
    忘れようとヨーロッパに行くが、あることにより、女性に心を知られてしまう。
    苦悩しながらも、自分に正直な道を選ぶ。
    男の友情があり、女性関係により、裏切るというかどうしようもない結果になった。
    大宮の苦悩、野島の苦悩、杉子の苦悩。其々性質が違う。

  • 〈もう万事きまったと自分では思った。これが罪ならば罪でもいいと思った〉

    いやー、おもしろかった!

    根暗男子の恋愛小説で、友情モノで、黒歴史モノ。
    主人公のヒネくれたところに共感して、後半でズドンと。
    オチ知ってても「ウワー」ってなります笑
    たぶん文学青年が野鳥に共感し続けたから、100年も読みつがれているのでしょう。愛すべき主人公です。

    あと、女性の権利が書かれた小説でもあります。
    杉子さんは強いなぁ。
    そんなわけで女性にもおすすめ。
    根暗男が惚れるとどうなるかが大体書いてあります笑

  • 失恋小説の金字塔。

    親友と恋人を奪い合うという経験はないが、失恋はつらいよ。何度かあるけれども、身も心も疲れる。

    大宮のような友人がいて野島は恨めしいと思うのと同時に救われたのではないかな。
    三角関係の恋愛と失恋というテーマは漱石文学に通じるが、実篤のほうが明るい。恋愛と友情が個人を陶冶し型作るという倫理観を悲壮感なく失恋話に組み込んだ手腕と、清々しいまでのエゴの全肯定がこの青春小説の魅力だろう。

  • 途中、あんまり過保護なので存在を疑ったけれど、最後で大宮から野島への友情は証明される。手紙の暴露は残酷な仕打ちではあるけれど、大宮は何も知らせずに杉子と結婚することも出来た。それをあえて全て見せたのは、野島の人間性への信頼と大宮の誠実さが表わされている。
    安易に野崎と結婚しなかった杉子もまた誠実だったと思う。独りぼっちの野島は哀れだけれど、杉子と大宮の誠実さに救われたように思える。

    大宮と野島の間には友情があった。ただし、「あった」と理解した時には二人の関係は壊れてしまっている。けれど、以前とは違った形で大宮と野島の友情は存在する。
    恋愛感情でなく、あかの他人同士がお互いを感化できる二人の関係は本当に羨ましい。

  • 「恋か友情か」という題材はありふれたものだが、作品のもつ濃度がきわめて高い。
    本作において「友情」は、単なる信頼や絆などではなく、より重く厳しいものとして描かれる。
    上篇で悲劇的な結末がほのめかされているが、下篇の畳みかけるような往復書簡により、主人公の心は深くえぐられ、激しく打ちのめされ、完膚なきまでに粉砕される。
    それでもなお腐らず、復讐を誓うわけでもなく、自らを奮い立たせ、先へ歩もうとする主人公には、獅子のような勇猛さとともに悲壮な美しさを感じる。
    読後にひりひりとした痛みと燃えるような激情が残る名作。

  • 「実篤の友情?読んだことあるけど(ドヤ顔)」したいが為に読みました。友情か愛情かどちらを取るかという、両方持ち合わせていない当方にとってはなんとも贅沢な悩みについて語られているのが本書。感想は一言で言うと「ずるい」。野島サイドな自分としては最後の対話はオーバーキルに継ぐオーバーキルで、読んでいて軽く鬱になりました。杉子のテンションの上がり方も気持ちは分かるけど酷い。一途なのは時に残酷ですね。大宮が大宮である限り、野島が勝てる訳無いじゃないか。あいつはイケメン過ぎる。野島頑張れマジで頑張れ。

  • 何かをこじらせた主人公が痛々しく生々しい。
    が、ラストでの主人公の思いが綺麗事のようで冷めてしまった。もっと泥臭く足掻くなり世を儚むなりして欲しかった。

    最初は取っ付き難い文章だったが慣れれば気にならなくなった。

  • 白樺派というと『お坊ちゃんたちの道楽』とか『生活の大変さを知らない理想主義者』といったイメージが世間一般のイメージです。本作は大失恋小説であり、親友との三角関係を描いた小説であり、現代ですともっとドロドロとした内容になりそうなもんですが、そこは白樺派です。性善説に立ったピュアな描写、清く正しく美しいプラトニックな恋愛讃歌に貫かれています。
    本作の特徴は冒頭の武者小路実篤自身の自序でネタバレしてることでしょうか。
    これががなかったらこの本はまじでつまらなかったかもしれない。この自序が失恋という喪失経験が実は獲得経験の萌芽であると解釈できるし、その個人的失恋を前提として他人の新たなる可能性が開かれるということも示唆している。つまり因果は人知を超えるという達観した視座が加わっている。この一ページあるとないとで恋愛小説の次元がまったく違うものになりました。

  • 堪らない。
    すごく共感できる部分が多々。
    あーーーーーーうわーーーーって勢いで読める。笑
    特に最後の手紙。

    堪らない。

  • 90年前に書かれたとは思えないほどの活き活きとした人物描写。素晴らしい人間賛歌やね。男が恋に溺れだしたときの心理描写が鮮やかで深く印象に残った。ずっと読み継がれるべき古典作品。

  • この作品は主人公が失恋する話である。しかし、決して不幸な、ブルーな気分になるような話ではないと思う。かと言って幸せな結末でもない。彼は恐らくその先も苦労する。しかしそれもまた青春なのであって、彼にもいつかは幸せが訪れる・・・そんな優しく、温かな願いが流れている物語なのではないだろうか。
    この話のメインは友情と恋愛、それも一方通行な恋愛だ。野島の杉子への想いは儚くも破れ、彼女は野島の唯一無二の親友・大宮の元に行ってしまう。大宮は野島と固く結ばれた友情と杉子への想いに葛藤しつつも、最後には杉子と共に歩む道を選ぶ。恋愛の図式としては単純な三角関係であるけれど、野島の日に日に募っていく杉子への想い、願望、懇願のその様は、片思いの経験がある世の男性ならば思わず共感してしまうものなのではないかと思う。
    青春には”中二”が付き物で、現実を超えた妄想に陥りやすい。恋も然り、「結婚したら・・・」とか「自分のことが好きなのかも・・・」とか、足が地に着いていないような野島の姿を見ていて、何とまー痛々しいのやらと読んでいるこちらが恥かしくなってしまった。或いは彼女の行動の一つ一つを自分に結び付け、「好かれている」「嫌われている」で一喜一憂している姿が端から見て痛かったり。
    そんな野島の私情を客観的に描いている訳だけれども、青春の痛々しさを丁寧に描く筆遣いには作者の洞察力の深さを覚えずにはいられなかった。だからこそ、この作品で描かれる恋愛は極めて現実的に近い側面を持っているのではないかと思う。
    一方で、深刻に話が進む(漱石の『こころ』みたいな)のかと言えばそうでもなく、むしろ明るく軽妙である。同時に、作者の優しく温かな眼差しが終始一貫感じられた。それは、結果として親友との友情に裏切られる形での失恋にはなってしまったけれども、それもまた青春の一ページ、失恋という孤独に耐えねばならぬ運命に進む野島を、或いは幸あれ―とそっと見守っている・・・そんなようでもある。

  • 野島と同じ二十三歳で手にすることが出来たのは、遅かったながらも幸運であった。力強い思想の中にも人間の弱さがこれでもか、と出ている。自分とひたすら向き合いながら、先を先を読もうともがいて、それでも結局運命は思い通りに動かない。自分をいくら突き進めても、最後は相手次第だったという儚さ。圧巻の物語だ。

  • 名作。必読。
    散々片想いして、親友に裏切られるっていうまぁ最低のパターンを気持ちいいリズムで描く。
    この文章の気持ちよさは何じゃろ。
    これが名作たる所以なんでしょうか。

    主人公野島が不憫で不憫で。
    最後にガッツみせてくれます。

    あ、カバーデザイン変えたら、きっともっと売れます。

  • 「読書力」の35ページにある本…
    法政大学第一中・高等学校で岩井歩教諭が実践した、定期テストに読書問題を取り入れた実践。

    1冊目…中3の定期テストに

    読みやすい本。
    3年前に読んだので、内容は覚えていない。

  • 男の視点からみた恋愛と友情。
    恋は盲目とはいつの時代も同じ。
    私もこんな風に人を愛し、愛されたいな。

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