友情 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (1947年12月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101057019

友情 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 新潮文庫の表紙の裏に作者の写真が掲載されているのだが、最初はこのように恋に苦悶する青年をこんなジジイ(失礼!)が描いているのかと思うと可笑しくてならなかったのだが(笑)、付録の年表をみると実篤36歳の時の作品なんですね。
    「失恋の達人」(ちょっと違うか)という著者の失恋物語。平易な文章なのでとても読みやすい。「神への救い」や「世界貢献」「個人主義」といった実篤の内面もよく出ている作品のようです。
    正直な話、いじいじと片思いに悶絶する様は個人的な話すぎてあまり心地よいものではないですが(笑)、いろいろと湧いてくる心理の流れがかなり網羅されていると思われ、これはよく練られた作品なのではないかと・・・。下篇で明かされる野島と大宮の葛藤の真相はとてもよくまとめられていました。その初々しくストレートすぎる心情の表れは、誰もが身に思いのある(と思われる)話であり、悲劇的な展開でしたが、微笑ましく読了することができました。つーか、野島さん、かなり思いこみの激しい人なんだね。(笑)
    最後の野島の発する一文は状況からとてもよく理解できる反面、物語の行方を考えると少し違和感が残った。

  • 夏目漱石の「こころ」が暗~い三角関係の話なら、これはその対極にある三角関係の話だ……という感想をどこかで見ていたので、てっきり男二人が川原で殴り合いをした後スッキリ和解する話しかと思ったら全く違っていた……。

    上篇で、初めから主人公・野島は杉子に一目ぼれをします。
    もうそこから怒涛のように続く杉子age。杉子を勝手に聖女のように位置づけ、交際もしてないのに「結婚するならこの子だ」と思い込む。杉子への惚れっぷりが本当にすごい。
    「新聞を見ても、雑誌を見ても、本を見ても、杉と云う字が目についた」
    とかね。
    あとはその杉子に変な手紙を寄越してちょっかいを出してくる男がまるで野島みたいな男で、野島は「あ、俺もこんな変な事してるかも」という自覚がありつつも、やっぱり変な手紙(プロポーズの)を出してしまうw
    上篇は、本当になんというか野島が杉子をスキスキ言ってて余りに気持ち悪……いや一方的です。
    ああでもこの時代って恋愛するのに女性の気持ちはあまり関係ないのかな…なんて騙されかけたんですけど、下篇を読んだらそんなことなかったwww 
    ですよねー!

    下篇では散々想いを寄せられていた杉子が野島のことをこれっぽっちも好いてなかったことが明らかになります。
    杉子は
    「野島さまは私と云うものをそっちのけにして勝手に私を人間ばなれしたものに築きあげて、そしてそれを勝手に賛美していらっしゃるのです」
    と野島の愛のゆがみ具合をバッチリ指摘してる。
    「死んでも結婚したくない」とか「どうしても野島さまのわきには一時間以上は居たくないのです」という衝撃的すぎる感想が出て来て吹き出しました。
    そこまで言う?!

    野島の友達の大宮は一生懸命友達のいいところを杉子に解くけど、結局は自分も杉子のことが好きなので自分の気持ちに正直に行くことにした。
    大宮「もう万事きまったと自分では思った。これが罪ならば罪でもいいと思った」
    この台詞で、もう大宮の勝ちです。
    世界中を敵に回しても好きだと思ったら強い。
    最後、振られた主人公の野島は人生にめげずに芸術の世界に生きて行くことに決めたようなのでまあ良かったのかなと思います。

    それから、
    話のあちこちから、この時代の若い人が「日本を強くしないと」という使命感を負っていて、みんな頑張っていたというのが読み取れました。そう言う時代だったんだなぁ。
    あ、あと、随分昔に書かれた話なのに青空文庫に入っていないなと思ったら、武者小路先生はずいぶん長生きされた方なんですね。
    昔に書かれた話ですが、現代の青春エンタメ小説ですと言ってもおかしくない、色褪せないストーリーだと思います。

  • 何年も前に友人に薦められたままだったこの小説を手に取ったのは、今ならここらの時代の恋愛小説を読むだけのエネルギーが自分にはある、と判断してのことだったのだが、それを根こそぎ持っていかれた、と感じるほど、情熱と幸せと寂しさと、その他あらゆる感情に満ち満ちた作品だった。あらすじというほどのものもなく先も予見されているのだが、描かれる感情が、それが例え負の感情であろうとも、瑞々しく前向きに溌剌と表現されていて、それがあまりに真に迫ってくるので、読後はもう、疲れた!の一言。この時代の恋愛小説における、切実で、一途で、直情的な感情の発露は、現代の諦め混じりのスレた感覚しかない私にはいささか荷が重い、が、薦めてくれた友人には感謝しなければ、と思わされる一冊だった。

  • それはそうなるわ

  • 薄いので、すぐ読める。
    だけど、内容は濃い。
    恋愛観と結婚観がとても面白い。
    今とは時代が違うけど、女性が随分行動的だし、結婚に積極的だなと思う。
    まだ二十歳にもならないうちから。
    今みたいに、交際期間を経て結婚相手に相応しいかどうか選ぶのではなく、好きになったら結婚相手として見るから、思いの深さが違う。
    これからの人生全てをかけて恋をしているかのよう。
    そういう相手に出会ってしまった野島と、まだ出会っていないであろう仲田の恋愛観が異なるのは無理もないところ。
    野島も辛いだろうけど、大宮も辛いんだよ。
    何かを得ようとすれば、何かを失うものだ。
    どちらが悪いとかいうことじゃない。
    どちらも幸せになってほしいと思う。

  • 文人は不幸であらねばならないという考えが透けて見える。
    彼は孤独に苦しんでいるけれど、人は生まれながらに孤独だと思う。
    ただ、それに気づくか気づかないだけで。

  • いつも寝る前1時間の読書が、
    気づけば夜中の3時。
    そういう気持ちあるある、
    と共感の前半から
    後半はズドンと痛い。
    純文学をこんな勢いで読んだのは初めて。

  • 武者小路実篤の代表的作品。割とすらすら読めたけれど衝撃を受けました。

    タイトルからすると純情を絵に描いたような友情物語のようだけれどそうではありません。『友情』のあいだに『恋愛』がからむと人間はどうなってしまうのか。あるお嬢さんのことが好きな主人公のために力を尽くす友人。だけどその友人もお嬢さんのことが好きだった・・・。

    『友情』をとるか『恋』いや『愛』をとるか・・・。ぎりぎりの選択。3人の心の揺れるさまが苦悩を感じさせる文章で綴られている。その結末とはいかに・・・きれいなだけじゃない。人間の深い部分をも描いた作品。

  • 大宮くんが最初から最後まで好き。
    野島くんが苦手。
    でもわかる。
    恋する気持ち。
    友達に対しての嫉妬。
    青春を思い出す。

  • 話はありがち。恋と友情の狭間で迷う男性たちの話。
    でも、なんやろ。いい。

    タイトルと違って、私は恋の感情の表現やら、男性の同性のできる友人に対する嫉妬や羨望、それと友情の間の揺れ動きの表現などが心地よかった。
    細かく心理描写をしているのに、くどくどしくなくて、「あー、みんなそうだよね」という共感を催す事ができた。

    引用をした50ページの恋する者の不安と、恋してない者の羨望もシンプルだけど、いい。

    主人公の1人、野島は杉子に世間の荒波を渡っていく為に、自分自身を信じることのできる力となってくれること、この世で野島だけを信じることを望む。恋愛ハウトゥーで読んだことあるけど、男性は自分を信じてほしいって本当なんだなぁと思ってしまった。

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