友情 (新潮文庫)

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感想 : 510
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101057019

感想・レビュー・書評

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  • 〜2022.10.11

    恋する男、心の内が詳細に描かれており、情景が鮮やかに浮かんでくる。

    大宮の余裕ある態度と、そこに隠された葛藤。
    男同士の三角関係。友情と恋心。
    男の側は、相手を想えば想うほど辛く、相手は遠ざかっていく。

    野島が俺そのもののようで、辛い。

  • 自分の本棚を整理するために、読んだら捨てようと思って読みはじめたのですが、読み終わるとやっぱりとっておこうと決めた作品です。昔の文章なのでやや読みにくいですが、それ以上に内容に惹きつけられるので、読んでいるうちに気にならなくなると思います。主人公の恋心、恋するとこうなる気持ち、分かります、、、。少しのことで傷つき、ちょっとしたことで有頂天になり、恋ってこういうものだよなぁと恋というステージから退場した今となっては達観して読める作品です。でも、恋なんて、ホルモンバランスだから。昔恋に溺れに溺れた経験がありますが、20年経てば全て笑い話です。特に独りよがりのものは。主人公の30年後の手記とか読みたいですね。

  •  私の中で3本の指に入る小説。中学生の時に読んで感銘を受け、何十年物の本になる。
    私にとっては、【青春時代に引き戻される本】と言うのが一番しっくりと来るかもしれない。

  • 中学生のときに初めて読んだ。そのときは文豪のくくりになる時代の小説はつまらないと思ってたので、緩急のある展開に衝撃を受けた記憶がある。

  • 恋が盲目というのは、相手を自分の都合のいいように見すぎるこのを意味するのだ。
    馬鹿、あんな女は豚にやっちまえ、僕に愛される価値のないやつだ。

    題名が色濃く出るのは下段で、背表紙のあらすじでは明示されない展開に。
    中年ではなく若い頃に読んでおきたかったと思ったが、自分のどのタイミングにしっくりくるかはわからない。友情と恋愛の板挟みになるっていうのは、青春のあるあるなのか。

  • 特に後半以降がものすごい内容だった。これを青春時代に読んでいたらどんな気持ちで読んでいたのだろう。まさしく青春小説の傑作。

    独りよがりに好きな女性を必要以上に崇拝してしまう、なんてことをしてしまうのもまた若さゆえの行為なのだろう。思い返せば10代の恋愛なんてだいたい独りよがり
    。大丈夫、大人になればもっと良い人いるよ、人生長いよと主人公に語り変えてしまいたくなるお話。

  • おおお、衝撃......

    恋愛に関しては「ビビッと」「第六感」「運命」など根拠ないものを信じたいタイプだから、野島を完全に否定してしまうことは私にとって恋愛の喜びを否定してしまうことだ 、、

    野島は杉子に見合う人間になるために自分を高めようと頑張ったり、勝手に期待したり妄想したりと常に杉子のことを考えていたようだけど、1度でも本当に杉子が望んでいるものについて考えたり、杉子のためを思って行動したことはあった???まあそりゃ振られるよねー。想いが強いって、それ妄想激しいだけでしょ!!!お引き取りください!

    恋人を失うことで成長する人と、恋人と一緒になることで成長する人とがいるっていうのはめっちゃ分かる。大宮も杉子も、野島が前者だって分かってたのすごいな。ただ自分達の都合の良いように解釈してるだけにも見えるけど。


    ひとりで完結してるうちは恋愛じゃないのですね。恋愛の教科書だ

  • 後半が面白い。

  •  大学時代に古本屋で買ったこの本は、誰かに泣きつくほどではないけれどどうしようもなく心が苦しくなったときに、本棚から引っ張り出してくる。今回は特に何があったわけでもないのに、自分を飲み込むような孤独と寂寞を感じている。自分を取り巻く全ての人間関係が希薄に見えて、誰からも必要とされていないような気がして、そしてその原因は他でもなく私自身にあるように思えて仕方がない。沈むときはいったんどこまでも沈むしかない。そんな気分だからふと読みたくなる。

     長年、一途に想いを寄せてきた相手に実はずっと忌み嫌われていたことを、彼女と結婚することになった親友からの手紙で知った主人公の、胸をかきむしりたくなるような絶望。友情を壊したくなくてずっと彼女からのアプローチを断り続けていたという親友からの気遣いの告白が、二重苦となって彼をどん底へ突き落とす。もちろん彼自身にも問題がある。彼女への想いが強すぎて一人の人間というより女神のような存在として崇めるようなところがあるし、交際前から彼女の意思を無視して結婚を一方的に誓うなどストーカー紛いの言動も多い。あまりに一方的で重すぎる彼女への愛情がとめどなく描写される前半部分は、読みながら「ないわ〜・・・」とずっと引き気味。にもかかわらず、後半、親友からの手紙を読んでいると、どういうわけか、主人公が今まさに感じているだろう呆然とした思い、悔しさ、苦しさ、どうにもできなさを、実は過去に自分も感じたことがあるのだということを思い出して、つい共感してしまう。恋愛にも破れ、唯一と言えた友情も壊れ、ここまで全てを打ち砕かれたら「死」という選択肢が芽生えてもおかしくない。けれどこの作品では主人公は絶望からなんとか立ちあがろうとして、天を仰ぎ、神に嘆く。書く人の作風次第でいろんな終わり方が想像できるストーリーだけれど、わたしはこのエンディングが本当に好き。何度読んでもラストに向かう追い込みで心が震える。

  • 人生を強くする怒りがある。必要な人に、必要な。男性は子供を産めないから、本気の失恋は、女性が子を失うことに近いのかもしれない。

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著者プロフィール

東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。

「2023年 『馬鹿一』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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