愛と死 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (1952年10月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (108ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101057033

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愛と死 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 夏子の死後に村岡が一人思うこと、

    死んだものは生きている者にも大なる力を持ちうるものだ。生きているものは死んだ者に対してあまりに無力なのを残念に思う。



    「元気にします。元気にします」と自分は心の内で言ったが、同時に
     「あなたが居ないのに元気になれというのは無理です」と言った。
     「そんなことをおっしゃるものではありません」
     そんな声が聞こえそうな気がした。

    が印象深い。
    正直、というか、
    気持ちにうそがない感じで。

    設定は「友情」と似ているけれど、
    こちらもしびれるせりふが多くてしみます。
    涙がでる。

  • 近現代文学でここまで面白いと思ったのは久しぶり。
    村岡の夏子に恋する姿も可愛いけど、夏子が村岡宛に書く手紙の恋する乙女具合といったら!!嬉し過ぎて手紙をくわえてでんぐり返ししちゃうとかいちいち可愛くて仕方がありません。
    とにかく武者小路実篤の書く人物はとにかく無邪気で一途で可愛い!

    前半から中盤にかけての愛に溢れる表現から一変して、ラストは夏子の死に野々村と村岡がふたりで泣くシーンはとっても切ない。死を見つめることで生を感じる、素晴らしい作品でした。

  • 純愛を体現したかのような作品。手紙のやり取りの場面は、読んでいるこっちまで恥ずかしくなるくらいのバカップルぶり。それが続いてただけに、あの電報の無機質な片仮名文が衝撃的だった。思わず手が止まった。救われないな……

    結局村岡さんはそれから結婚したのだろうか。いや、してないだろうな……

  • 正直つられて涙ぐむような盛り上がり方はしない。
    ただ夏子が死んだことよりもその後の寂しさだったり虚しさの方が強い。
    短いし読みやすい作品。

  • 友人の妹に恋をし、めでたく結ばれるが、彼女は主人公が西洋に行っている間にスペインかぜで命を落としてしまう…という話。

    実際自分の身にそんなことがあったら、それはもちろん悲しいだろう。
    だけど…「だから何?」といいたくなってしまいました。

    悲しみにひたって亡くなった彼女を賛美して、結局悲しみを経験した自分に酔っているだけのような作品に思えてしまいました。

    さねあつ、ごめん!
    日本文学は難しいです…。

  • 小説家の村岡と、恋人の夏子の深い愛の物語です。とても美しい小説でした。言葉の表現も、そこから感じる登場人物たちの想いも、本当に美しい。儚く切ない物語だけれど、同時に、強さと優しさを痛いほど噛み締められるストーリーでした。現代を生きる私にとっては馴染みのない時代背景ですが、離れていても、お互いを想い合い、支え合う村岡と夏子の姿には涙を禁じ得ません。2人が交わす幾つもの手紙の文面がとても印象的でした。人生は、いつ「宙返り」するか解らないものなんです。

  • 読んでいてかなり恥ずかしいですけど、
    こういう文章を書けるのは才能だなあ、と思います。
    非常にありがちでシンプルな話ですが、
    そういうストーリーをきちっと書けて読ませることのできる作者は素晴らしいと思います。

  • 払拭できないラブコメ感。
    何がいいのか分かりませんでした。
    「友情」のほうがまだ好きかな

  • 小説家村岡が洋行を終えて無事に帰国の途についたとき、許嫁夏子の急死の報が届く。

  • ストーリーとしてはむしろエンターテインメント色が強いといっても過言ではないと思っている。その上で、美しい文章に魅了され、物語の中に引き込まれ、自分と村岡の境界線がだんだんぼやけていき、そして涙が止まらなくなる。死ぬ前、最後に読みたい。

  • こちらの直前に、泉鏡花先生辺りを拝読していて、「あら?古文のスキルがなければ…無謀?」と冷や汗が。
    古文を…学び直すか…とのタイミングで、正直、悲恋ものが大好きなので、武者小路先生はこちらから。
    ヒロインがキラキラしていて、明るく魅力的。現代のティーンズ小説、少女向けに似た読み易さでした。
    スルスルッと拝読できましたが、やはり、生命力に溢れていたヒロインだからこそ、ラストの儚さが沁み…。
    切ないですが、ただ一途に想う純愛の美しさが、真っ直ぐに伝わります。

  • 手紙の中の2人はとても幸せいっぱいで、会えない間にも愛を育みあっていました。それなのに突然の夏子の死。この死を武者小路実篤は「殊に若いいい人間が死んでゆくのは残酷だ」と村岡に言わせています。夏子はスペイン風邪で亡くなったのですが、解説を読むとこの作品が戦時中、軍国主義の中で書かれていることから、若い命が奪われていく戦争にたまらない気持ちでそのセリフを書いたようでもあります。読み込めば武者小路実篤の信じるところが浮かび上がってくるようです。文学は深いです。

  • 友人から勧められて。
    夏子の唐突な死により、今までのことが回想され、お互いを想い合う尊さが一段と際立ち始め、後半は村岡のつらく悲しい、やりきれない心情が実直な文章でよく描かれている。愛の尊さ、甘さ、温かさ。けれども想ったぶんだけ返ってきてしまう、それを突然に、かつ、永遠に失った時の悲しさ、虚しさ、悔しさ、やりきれなさ。
    その落差を主人公と同じように味わう。

    昔の文学にはあまり縁がなくて、どう受け止めればいいのか、どういう感想を持つべきなのか、読み終わった今もすこし戸惑っているけれど、名文学とよばれる本に触れる機会を持てて良かったと思う。
    愛とは、死とは。時代は変われどその本質は普遍的。

  • あらすじに夏子が死ぬって書いてあったから死ぬこともタイミングも知っていたからか死亡フラグが立った台詞で笑ってしまった。
    夏子が死ぬことはわかっていたけど読んでいるうちに夏子がかわいく見えてきて展開を思うとつらかった。
    海外旅行は飛行機ではなく舟なのか。
    3冊連続で書簡小説を読んでいる気がする。
    野々村が泣く度にこちらもうるっときた。
    無線電報がびっくりするほど読みにくかった。どういうタイミングで空白が入るんだ!当時の人はスラスラ読めたのだろうか?
    こんなに長い台詞は西尾維新以来かもしれない。
    「さびしみ」とはさびしいとかなしみのことだろうか?
    読みやすくておもしろかった。

  • 悲しいが過ぎる。。
    愛の手紙のやりとりと
    衝撃の電報の落差。。。

    死せるものは生けるものの助けを
    要するには、あまりに無心で。
    神のごときものでありすぎるという信念が、
    自分にとってせめてもの慰めになるのである。 それより他仕方がないのではないか。

  • 2017.03 本棚整理のため10年ぶりに再読。☆5→☆4へ評価変更。

    主人公のこれ以上ない幸せ感満載で綺麗に流れていくがだが、最後にコロッと恋人が死ぬ。2人が愛し合うようになるまで特段の起伏もエピソードもないのが逆に心地良い。

  • まさに、愛と死の小説です。
    愛することの尊さと、愛することの楽しさ、愛する者と一緒にいられることの嬉しさ。
    しかし人間には必ず死があり、残された者には耐えがたい悲しみが待ち受けています。
    本当に、一途に、愛を描いた作品。
    武者小路実篤らしい作品です。

  • この作品を読むのは二度目だが、やはり力強く物語に引き込ませる魅力を持っている。幸福の絶頂にある際の恋の喜びは、共感を呼びこちらも嬉しくなってしまう。それだけに、ある一つの電報が頭を打つような衝撃を与える。この落差こそこの作品の面白いところでもあるだろう。

    2017.01.05

  • 無常の風は時を選ばず。その時が来ることも知らずに巴里に旅立つ村岡。会えない日数分の丸を紙に書き、毎日その一つを消すのを楽しみに、村岡との再会を心待ちする夏子。
    そんな2人の手紙のやりとりがとても印象的です。

    会えない2人が手紙の中で愛を育んでいく。いや、これは恋だったと私は言いたい。
    最愛の人を亡くしたが、村岡は幸せな男だったと思う。これほど残酷で美しい恋愛をしたのだから。

    2人の愛は夏子の死から始まったのではないだろうか。21年間、夏子を想い続けた村岡の愛。
    若者だけでなく高年層の方にも読んでもらいたい作品です。

  • 主人公(村岡)が、大家の小説家である親友の妹(夏子)に恋し、相思相愛になるが…散々に惚気話を聞かせ、ようやく結婚というところで恋人が死ぬ(今や定番の?)鬼畜なお話。著者も泣きながら書いたようだ。 「友情」の主人公に比べれば打ち解けあった会話をしているとはいえ、夏子が村岡を熱烈に恋する動機が薄いように感じた。村岡の夏子に対する気持ちもどこか浅い。「恋」に「恋」する二人にしかみえないのだ。また、死なれてたまらない気持ちは理解できるが、この絶頂期の感情も「愛」ではなくやはり「恋」ではないだろうか。「愛」とはどこか泰然としたものではないかと思うのだ。

  • 友情と同じように、結末は愛の喪失であるが、友情は失恋であるのに対し、この愛と死は題名にあるように2人は相思相愛であったにも関わらず、結婚手前で夏子が病気という抗いがたいもの(運命ともいうのか)により死んでしまう。

    死んだものは生きたものに影響を与え続けるが、生きたものは死んだものに対して全くの無力である。
    死ぬのはほんとにいけない。
    これらは私の実感でもあったので、深く胸に響いた。
    友情よりかはこちらの方が好み。
    それにしても読みやすい。

  • 61
    切ない。テーマとしては読めちゃったところはあるけど、それでも読ませる。後から思い出しちゃう。

  • 図書館/今思えばどうしてこの本を手に取ったんだろう。馳せる対象はちがっても、故人へ想うことの同じ重さというのか…なんだかすごく響いた。とてもよかった。村岡と夏子がぐいぐい惹かれ合っていく熱量にははっとさせられたし、同時に(裏表紙のあらすじ読んでいるので)切なさの洪水で、ずっとどきどきしていました。
    中学の国語の授業で「友情/武者小路実篤」のセットで覚えさせられた記憶があってなんだかそんな、教科書に載るような話を書く人の文章なんて読めそうにない、なんて、なんで思ってたんだろう。やわらかくわかりやすい文章でスルスルっと入り込めた。
    平等だけど本当に残酷で…なんなんだろうね。夏子の宙返りが目に浮かぶようで、それがまたへんに明るくて、涙が出ます。p131の「さびしみ」ということばが好きだ。

  • 意識高い系男子主人公のおてんば萌えラノベとして読みました。文体が簡潔明瞭なのもラノベっぽい。二人の会話だけで何ページも続くのもラノベっぽい。そして、二人が実際に会っているシーン、心を通わせていくシーンなど肝心なところの描写が不足しているようにも思いました。小説というよりは論文っぽい。
    戦時下ということが影響しているのかな、とも一瞬思ったけれど、谷崎潤一郎が『細雪』書いているのも戦時下だったことを思い出し、その案を却下しました。

    実際に会っていた時間よりも文通していた時間のほうが多い点がとても引っかかりました。それは本当に愛なのか。「征服欲」が見せている幻なんじゃないのか。
    藤谷治さんの『船に乗れ!』を読んでいる自分としては、あのラストが別の事実を隠すためのカモフラージュみたいにも読めるのです。

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