人生論・愛について (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101057132

感想・レビュー・書評

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  • ◯理想主義という著者の思考が存分に記載されている。エッセイではあるものの、人生論というだけあって、理論的に展開されている。
    ◯論の中心的な概念となるのは「自然」。神は人によって必要として作られた概念であり、自然とは一線を画す。我々がイメージする神はこの本では自然と考えるとわかりやすい。
    ◯簡潔に要すると、自然に反しないように生きるということのようだ。この考え方で、およそほとんどの章が書かれている。
    ◯自然に生きることは個人的に同感であるが、新しき村の思想には懐疑的に読んでいた。緩やかな共産主義と理解したが、それ自体は良いにしても、会員制というのがよく分からない。実際に暮らしてみて体験することが自然なのではないかと思う。お金で応援、というのは不自然だ。

  • 読んでいて清々しい気持ちになった。
    人生論といっても、決して難しい話ではない。人間らしい生き方をしていれば、理解できることばかりだった。
    本に線を引くことは、滅多にしないのですが、この本だけは別で、線の部分を時々読み返してしまいます。
    なかでも特に「小さい寂しさ」という文章が好きです。

  • 武者小路実篤氏の随筆・評論集。収録表題作の「人生論」は、アリストテレス「論理学」のようなテーマ毎の一問一答形式でありながらも、著者の考察は彼の持つ人間に対する根源的希望や暖かみを感じる。

    「新しき村」で語られる理想論は、刊行当時の世相からすると計画経済の様相だが、現代からするとベーシックインカムやシェアリングエコノミーの発想に近い。著者の理想論に人類が近づいて行ったのか。否、人は理想論があってこそそこを目指すことができるのだ。武者小路実篤氏は三元号を生きた日本を代表する思想家といえよう。

  • タイトル通り、人間が生きていく上で必要なこと、大切にすべきことが綴られている一冊。
    内容も、健康、仕事、恋愛、結婚、人間関係など多岐に渡るが、どれも勉強になることばかりである。
    深みがあり、周りから尊敬される人になるには、日々の積み重ねが大切であると感じた。

  • ようやっと読み終わりました。随分と時間が掛かりました。原因のひとつはこの本の持つ力強さでありましょう。幾つかの短編で編まれていますがどれもが、人生の核心に迫っていると思える内容で、一つ読み終える度にかなりの疲労を感じます。二十三の若造が何を言うか。そして勿論僕が怠惰だったのもありますがね。本より映画を観る最近です。

    健康は目的ではなく条件。
    死の恐怖は精一杯生きてない証拠。

    今特に頭に浮かんだのは上の二つでしょうか。他にも心に刺さるなと思った文節はあったのですがパッと浮かばないという事は時期じゃあ無いという証でしょう。

    読む程に得られる感想が変わると思います。又読みたいと思います。

  • 悩み多き中高生時代に、お小遣いで購入。定価360円。以来、壁にぶちあたるときに読む一冊。
    理想主義の真髄。人間はなぜ生まれてきたか、仕事とは、金銭とは、快楽とは、友情とは、愛と死とは…。
    人間の善や美に主軸を置いた人生観に、批判したい気持ちもあるが、とりあえず道を外れない生き方を導いて貰えそう。私にとってはお守りのような本である。

  • たかが失恋で、こんなに絶望しているなんて・・・。情けない、もっと辛い経験をしている人はいくらでもいるのに、早く立ち直らないと。
    そう思うことはないでしょうか?
    精神的に落ち込んでいる人に「しっかりしろ」や「頑張れ」は禁句だと言われていますが、無意識に自分で自分にそれをやってしまっているんです。
    そんな状況から解放してくれたのが、この本でした。自分の悲しみの深さを肯定してもらえた気がして、嬉しかった。

    1938年に書かれたもので、現在では男女差別とされるような内容も多く含まれており、文体も読み難いです。心に残った言葉を紹介しておくので、気になった方は読んでみてください。

    ”失恋の悲しみは、子供を失った母親の悲しみに匹敵する。
    失恋したものは必ずしも長い目で見て不幸ではない。失恋した為にかえって立派な人間になれた人はいくらでもあるだろう。しかし子供を失った親は、いくらその為に心が鍛えられても、子を失ってよかったとは言うまい。失恋は子を失ったのとは少し違うが、しかしその淋しさ、その悲しみは、決して子を失った親におとらない。ただ可哀想だという気がしない。”

  • 人生とは、生まれてから、育って、死ぬまで
    "ゆりかご"から"墓場"までに経験する
    幸福、後悔、までの人生について
    悟っている本であった。
    少し堅苦しく、べき論が強くて
    良い意味で作者のこだわりが強いなと感じた。


  • 印象的だったことば。

    ・「人間にとっての喜びの一つは進歩である」(153)
    ・自分をよくする余地がある限り自分を良くする(155)
    ・他の人を追い越して段々他の人が真似ができないところまで入り込む。つまり堂に入るわけだ。(157)
    ・前人未踏の世界へ入り込めた人はほめていいと思う(158)

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著者プロフィール

東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。

「2023年 『馬鹿一』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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