キッドナップ・ツアー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058214

感想・レビュー・書評

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  • ひらがなが多く一見児童小説風だが、大人の自分が読んでも十分感動させられる。決して幼くはない自立した小学5年生の目線が新鮮だった。とりわけ親子で海に浮かぶシーン。脳裡に強烈に焼きついた。

  • もうすぐ夏休みなので。久しぶりに読んだ。久しぶりに読むとまた前と違った印象だなあと思う。時代もだいぶ変わったな〜。交渉の内容は、ハルと自由に会わせてくれだとか、もっとくだらない内容なら、前みたいに手料理が食べたいとか、そういった内容なのかな、と。まあ、想像だけど。

  • 大人のようで子供、子供のようで大人。
    そういう年頃の女の子の、好き・嫌い、カッコいい・カッコ悪い、父親に対する繊細な気持ちが良く描かれている。
    女の子と父親の愛情を感じてホッとできる作品だが、背景がほとんど描写されていないため、何のため?どうしたかった?この後どうなった?等がまったく想像できず感情移入ができなかった。

  • ハルの心情がとても繊細に描かれていて、小学生ならではの気持ちを、やさしい言葉で、それでいて的確に紡ぎ出す。
    なんだか掴めないお父さんと、不思議な旅に付き合わされるわけだけど、
    そんな中で、素直になれないながらも心を通わせて行くところが、もどかしく微笑ましい。
    かわいい家族でした。

    終盤で登場する佐々木夫妻がなんとなくお気に入り。
    コマツバラナツコ。

  • 誘拐犯は二ヶ月ぶりに会ったお父さん。かっこ悪くて貧乏で情けないお父さんに振り回されながらも、ハルの心境には変化が…。

    実際口に出した言葉と、思っていたのに、伝えたいのに言えない言葉の描写がうまい。お母さんとの取り引きの内容がなかなか分からないけど、終わり方はなんだか切なくて、ちょっとツンときた。

  • ≪ストーリー≫
    ハルは夏休みの最初の日、ユウカイされた。
    ユウカイ犯は、いつのまにか家からいなくなった父・タカシだった――
    2人は、ぎこちないながらも、一緒に旅を続ける。
    お金がないらしいタカシとハルは、今までにしたことのないような旅に、
    最初は戸惑い、徐々にお互い打ち解けていく。
    海水浴、夜の海、花火、肝試し、自転車泥棒・・・
    2人でする冒険は、どれも楽しくて素敵だった。
    なのに、急に父はハルに帰れと言う。どうやら、母との交渉が上手くいったらしい。
    ハルはお願いする。「私の貯金で、一緒に逃げよう!」
    でもタカシは言う。「それはできない」
    そしてハルは母が待つ家に歩き始める。大好きになった、父と別れて。




  • 話題の一作
    主人公のハルにすごく同感できる部分がたくさんある
    ささいな日常の中での出来事が「ユウカイ」を通して特別に見える気がする


    最後までユウカイの理由が何だったかは明かされないけれど
    お父さんと娘って距離感がとても大切で
    近いような遠いようなそんな距離をこの小説からも感じた
    ユウカイを通してハルとお父さんがちょうどよい距離に納まった感じ


    なんだかほんわかとしていて
    読んだ後ぽかぽかするような話です

  • サラっと読み終わった。

    え?交渉内容はなんだったの?
    という感想で終わった。

    女の子の一夏の成長物語、、なのかな。
    あんまり女の子に共感できなかったなあ。

    でも、文章は素敵でした。
    初めて角田光代 さんを読んだけど、別の本も読んでみようと思いました。

  • 好き、とかきらい、というのは、毎日会ってる人だから言えることなんだと気づいた。おとうさんのことが好きなのかきらいなのか、私は自分でわからなくなっていた。 12

    私は自分が、おかあさんともおとうさんとも、だれともつながっていない子供のように思えた。
    おとうさんとかおかあさんとか呼べる人がまわりにいたことなんてただの一度もないような、そんな、気持ちになった。そう思うことは、決してさびしいことではなく悲しいことでもなく、うっとりするほど気持ちのよいことに思えた。 95

    こんなに腹ペコでくたくたで、それでも何かをやったって思ったら、自分がものすごく立派な人のように思えるもんなんだ。 108

    心の底からうれしいって思うなんて、何かやったって思うなんて、簡単なんだよ、わざわざ腹減らしてふらふらになってこんなけもの道歩かなくったっていいんだよ。
    飢え死にしてみろって言いたいんじゃない、私は、たとえば、あんたと花火をすることだけで心の底からうれしいって思うんだって、そういうことを言いたかった。
    たとえあんたの知ってる百人の子供が心の底からうれしいって思ったことがなかったとしても、私の前で、百人とは違う私の前でそんなことを言うべきじゃない。 110

    ずっといっしょにいる、すごく大事なものなのに、それだけは、絶対に、選べないんだよ。友達は選べる。服だって、食べ物だって、学校だって、なんだってその気になれば自分で選べるのに、家族だけは選べない。176
    ほかのすごく大事なことを選べるようになると、選べなかったことなんかどうでもよくなっちゃうの。きらいなら忘れちゃってもいいんだし、好きなら一緒にいてもいいんだし。それくらいどうでもよくなって考えてみると、それほどきらいでもないってことがわかった。177

  • 中学受験のころに読んだ話。
    ちょっとませてる女の子と、ちょっと変わったお父さんの、ひと夏の思い出。
    一緒に過ごすなかで、関係も変わる、考え方も変わる、そして、もっと一緒にいたいと思う。
    大人になった私には、お父さんの気持ちや立場が理解できるようになって、また違った気持ちを味わえました。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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