キッドナップ・ツアー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058214

感想・レビュー・書評

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  • 世間から見てどんな父親でも子どもに愛情が伝わっていたら、その子どもだって父親に情が湧くものなのだな。

    父親は情を伝えるのが下手だったのか、情が薄かったのか… この年になっても私という人は…。
    凄い自己嫌悪やら負い目やらなんとも嫌な気持ちを抱えてたけど、この年になって私みたいな気持ちで育った人が意外に多いことを知った。
    そういう時代だったのかな。

  • 親子の温かい話でした
    主人公がお父さんよりも大人だけどちゃんと子供らしい繊細な一面もあって可愛らしかった

  • 理論社から1989年初版で出た本。水色で白の浮き上がるイラストと文字が好き。カバーを取ると、見返しと同じ水色と白のストライプ。装幀装画デザインが、内容と合っていい感じ。小学5年生女子の感受性ってこんなだったかも〜。お話しと同じ夏に読めて、文章の美しさを楽しめました。

  • うめぇ~~~…!一気読み。
    いやもう角田光代の巧みさは予期していたのに、とはいえ、美味。

    小学五年生の少女ハルが、別居中かつ甲斐性なしの実父にユウカイされ、夏休みに貧乏旅行をする話。

    私は作品の評価をするときに、エンタメ性が高いかどうかをよく一つの指標にするのですが、キッドナップツアーはエンタメ的楽しみは低いです。
    だけど楽しい。
    子ども時代特有の不安や恐怖が、胸ときめく興奮に転じる感覚を随所で思い出しました。
    知ること気づくこと、人を見ること、自分の言葉を持つこと、それら自体が「楽しい」。

    読み終わってみると、物語としては、驚くほどなにも固定されていない。
    寓話のような話だった。
    親子モノになんの解決も押し付けない、安心して読めた。読後感◎

  • きゅーんと良い話

    彼と分かれた瞬間を思い出した
    たった今一瞬前まで一緒にいたのに、密に過ごしたのに、壁を隔ててもまだ20mしか距離離れてないのに、分かれた瞬間に離れちゃうあの瞬間

  • ドラマも良かった。文章だと、行間の心情がさらに伝わってきて良い。

  • ドラマからの原作。今の季節にぴったりの設定で、その点でも物語に入りやすいかも。

    ドラマでも原作でも「要求」なるものが一体何だったのかは不明なままですが、でもそれは別にどうでもいいのでしょう。本筋は別にあるので。

    にしてもハルが小学5年生の設定・・・むしろ1年生とか2年生くらいの方がしっくりきそうな無邪気さ。

    さて、夏休みの間にもう一回、ドラマを観ますかね(^-^)

  • なかなか好きです。
    父親と娘の距離感て独特だから
    わかるなーこの感じ。

  • 父親とは、本当に情けない。

    でも、その情けないなかに何かがある気がする。
    その何かは、うまく文字にできないけれど
    いつか(自分が父親になった時に)わかるかもしれない。

    情けなくたって、父親は力強い。
    ダメな男だけど、父親は父親だし

    娘にとって、誘拐犯だとしても、父親なのである。


    そんな、父親の教科書的(ほぼ反面教師)な小説でした。

  • こんなお父さん楽しいなぁ。アホだけどそこが愛嬌というか。お母さんとどんなやりとりがあったんだろ。
    余韻が残るお話でした。

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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