ある偽作家の生涯 (新潮文庫 い 7-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101063027

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  • 「一人の天才との接触に於いて相手の重さに打ちひしがれて、自らを摩耗した凡庸な人間の悲劇」という言葉に、はっとさせられました。天才日本画家・大貫桂岳の偽作家であった原芳泉という無名の画家が、傲岸不遜の天才・桂岳若き日の唯一無二の親友であったという事実を知った元美術記者の男の視点を通じて、天才画家の気づかないところで彼の存在がために、屈折し転落していった一人の男の悲劇を捕らえた作品です。記者による聞き込みによる桂岳や芳泉を取り巻く人々の証言により、時間軸が前後する構成が、記者の感性と考察を研ぎ澄ませているのが印象的な作品でもあります。

  • 井上靖さんの作品は、重苦しい主題の物語でさえ、読後に、清涼な微風を受けたような気分にさせてくれる。表題作含めて6つの人生を描いた短編集。
    さすが稀代のストリーテラー。
    今の若者でも、面白く読めます(キッパリ)!

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著者プロフィール

井上 靖 (1907~1991)
北海道旭川生まれ。京都帝国大学を卒業後、大阪毎日新聞社に入社。1949(昭和24)年、小説『闘牛』で第22回芥川賞受賞、文壇へは1950(昭和25)年43歳デビュー。1951年に退社して以降、「天平の甍」で芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」で日本文学大賞(1969年)、「孔子」で野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章。現代小説、歴史小説、随筆、紀行、詩集など、創作は多岐に及び、次々と名作を産み出す。1971(昭和46)年から、約1年間にわたり、朝日新聞紙面上で連載された『星と祭』の舞台となった滋賀県湖北地域には、連載終了後も度々訪れ、仏像を守る人たちと交流を深めた。長浜市立高月図書館には「井上靖記念室」が設けられ、今も多くの人が訪れている。

「2019年 『星と祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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