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この作品からのみんなの引用
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戸口から射し込む白い遅い月の光の中に、女は全身を曝していた。
― 61ページ -
大きな生きものの集団が間近にやって来た時、行徳は驚いて立ち上がった。回鶻人たちが今朝原野の真ん中に置き去りにして来た駱駝や馬の群れであったからである。彼等は行徳の傍まで来ると、そこでそれが当然なことであるかのように歩みを停めた。
― 30ページ -
趙行徳は、城壁上で暫く動かないでいた黒い点が、突然飛ぶように城壁を離れるのを見た。行徳にはそれが、壁面に沿って、長い尾でも引いて落下して行くように見えた。ほんの一瞬のでき事だった。この事件は他の誰の注意も惹かなかったのか、広場にはいかなる波紋も投じなかった。あとには何事も起こらなかった。
― 99ページ
みんなの感想・レビュー・書評
大変読みやすい文章。
内容はおもしろいけど、心をつかんで離さないってのとは違うかなあ。興味深いって感じでした。
NHK ドキュメンタリー番組 井真成役としてナビゲーターとして出演。井真成に関する著書
数年ぶりに再読。
歴史上のエピソードをフィクションにするということは、執筆に非常な勉強が必要で、あらためて文学の奥行きの深さを感じることができる。
一人暮らしを始めるにあたり、実家からこれ一冊携え東京にやってきた。
自分の人生もかく在るべき、と読むたびに強い憧憬を禁じえない。
迷った時の道しるべ。余計迷うけど。
主人公(趙行徳・ちょうぎょうとく)が大事な試験の待ち時間で居眠りをし、失格になってしまうという始まり方が良かった。西夏の女のシーンはグロかったけど…。最初はそうでもなかったが後半では武人、朱王礼が女の為に戦う姿が男らしくてカッコ良く思えた!沙州(敦煌)が西夏によって滅ぼされるこのストーリーは、架空の人物と本当にいた人物、出来事が混ざっているので中国歴史に詳しい人はかなりハマるんじゃないかな。
敦煌文献の史実にヒントを得たストーリーはあくまでフィクションに過ぎないが、主人公趙行徳をはじめとするき生きとした登場人物の描写は、あたかも生々しい歴史ドキュメンタリーを観ているかのようだった。
20世紀初頭、敦煌の洞窟から発見された、数々の言語に訳された4万点にも及ぶ経典。そこから物語を紡ぎだす。
宋代初期、西夏と宋、そして吐蕃やウイグルなど様々な国が争う中、一人の書生が西域を転々とながら、滅びゆく敦煌で戦火から経典を救う。
ロマンがある。おもしろい。
大陸の中央であればあるほど、その周縁部にいる集団の数も種類も多くなる。荒涼とした砂漠地帯とはいえ、西と東をつなぐ交易の要所。
多彩な文化はあっても、そこに安定した国家が存在できないのは必然だ。
20世紀、敦煌石窟で膨大な経典が見つかるという世紀の大発見を題材に、今から遡ること約1千年前のシルクロードを舞台とした小説。 主人公・超行徳は、役人になる試験を寝過ごすという大失態を犯した後、町で売りに出されていた西夏の女性に興味を持ち、西夏という国や文字、更には仏教へと傾注していく。西夏の外人部隊(漢民族)に加わった後、優れた学識と、戦場では失神しながらも決して落馬しないという神がかり的?な戦... 続きを読む »
2011年11月6日(日) 13:00~ 鹿児島の読書イベントとして代表的なガーデンズ文学カフェ、TenDokuを鹿児島大学図書館2階アメニティルームで開催。エキシビションとして、両イベントと鹿児島大学の各代表によるおすすめ本プレゼンバトル「ビブリオバトル」も。 http://www.lib.kagoshima-u.ac.jp/modules/bulletin/article.php?stor... 続きを読む »
自分が生まれるより更に20年も前に書かれた作品で、かつ、物語の舞台設定はそれよりもはるか昔。しかし、文体にも登場人物にも「昔」を感じることがない。版を重ねること100回近いことに納得。
無駄のない文章。軽快かつ単純で、読みやすい。それでいて豊かな表現力を合わせ持ち、あたかもその場にいるような錯覚に陥る。淡々とした文体で、物語は官吏の試験から西夏への西下、朱王礼との出会い、ウイグルの王族の娘との邂逅……と続き、最後は敦煌での西夏との戦いへと進んでいく。 寝過ごして試験をふいにするという痛々しい失敗から始まり、主人公の趙行徳は、西夏とその文字への興味から故郷を離れ、異郷の土地へ... 続きを読む »
この作品が昭和34年に書かれたと知り感慨深いものを感ずる。
昭和34年というと私が小学校4年生の時だ。雄大な中国の歴史と
男女絡めて描かれる人間模様。歴史小説 恋愛小説 久しぶりに先が知りたい、知りたいとズンズン読んでいた。敦煌に対する各自の思いがそれぞれに純粋で切なくて・・・
著者自身、完全なフィクションより歴史小説のほうが好きなんじゃないかな。
淡々とした文体からそう思う。
昔、映画のロケが大変だったという西田敏行さんのコメントがテレビで放映されていたのがなぜだかとっても記憶に残っている。この作品の映画ロケだったのだな。
古本屋で50円で売ってたので買って読んでみた。
「うん?」
それほど面白いとは思わないんだがなぁー
再読。
面白かった。
宋の知識人趙行徳が、市場で西域の女と出会ったことがきっかけで西域に向かう話。最後は壮大な歴史ロマンって感じの結末。
西域ものって、どうしてかわからないけど惹かれる。
砂漠で、人がほとんどいない風景が浮かぶからか。よくわからん。
井上さんみたいな簡潔な文体は結構好き。
淡々としてるけど、印象に残る描写が多かった気がする。
趙行徳が、遠くからウイグルの女が身を投げるのを目撃するシーンと、火がかけられる直前の沙州の静かな城の中のシーンが印象に残ってる。

間違いなく歴史小説の中で名作に入ると思う。断片的な事実を逞しい想像力によって一つのロマンたらしめたと思う。以前から、「西方」に対しては少なからずの憧れを持っていたが、ますます強くなったと思う。冷めた目...





