敦煌 (新潮文庫)

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著者 : 井上靖
  • 新潮社 (1965年6月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101063041

敦煌 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 1959年(昭和34年)。
    散文的な筆致にもかかわらず、無性に旅愁をかきたてられ、その地を訪れて直に空気に触れてみたくなる。この小説には、そんな力があるように思う(私も昔、本書に触発されて莫高窟へ行った)。解説にあるとおり、この物語の主人公は敦煌をはじめとする西域の地、その興亡そのものである。人物はいわば風景の一部であり、流転する万象の一部にすぎない。そのような仏教的無常観を基調としながら(或いはだからこそ)、儚い生をひたむきに生きる人間の、なんと愛おしいことだろう。この小説のような、或いはこれ以上のドラマが実際にあったかもしれない。経典が実在するという事実と相まって、ついそんな空想を抱いてしまうような、浪漫に満ちた物語である。

  • 敦煌で二十世紀に、洞窟から数万巻の経典が発掘された、というところが史実。その経典がどのような事情で、誰によって隠されたか、というところが作者のフィクション。
    ひとつの史実から、ここまで物語を膨らませることが出来る、というところに単純に感動できる。物語構成的にも、ある意味、小説のお手本と云えるような安定感がある。
    主人公の述懐するところ、運命に抗わずに生きてきたら途方もなく西の辺境にいる身、これは作者の憧憬でもあるのだろう。

  • 人の想像力とはすばらしい。敦煌には夢がある。どんなドラマがあったんだろうか、この作品のような人々の苦悩があったんだろうか。

  • 一人暮らしを始めるにあたり、実家からこれ一冊携え東京にやってきた。
    自分の人生もかく在るべき、と読むたびに強い憧憬を禁じえない。

    迷った時の道しるべ。余計迷うけど。

  • 生きられる限り人は生きるべきだ

  • 映画を見た後で読了。映画ではよくわからなかった背景も理解できた。

  • 実際に起こった出来事に結び付くまでの経緯を書いたってところに、すごい想像力だな、作家ってすごいな、と思いました。

  • 2017.9.4 読了

  • 中国は西域辺境の地、沙州(敦煌)。新興勢力の西夏が宋にたびたび侵攻し、吐蕃(チベット)、回鶻(ウイグル)等の周辺部族を打ち負かして勢力を拡大していった11世紀。その戦禍を逃れるために沙州の寺院から持ち出され、千仏堂の石窟に埋蔵された大量の経典。
    主人公、趙行徳の冒険譚はともかくとして、寂寥で過酷な砂漠の旅の風情と、1000年の時を越えて残されることとなった経典の運命が印象的な作品ではありました。

  • 宋代の繁華街の賑わい、西域の沙漠の砂塵、軍勢のぶつかり合う音、滅亡を前にした街の狂乱と赤い焔...。数々の場面が絵のように紙面に広がり、その世界にたっぷり浸れる事が出来た。このストーリーは主人公趙行徳の挫折から始まるが、その後偶然が積み重なった末、彼が図らずも行き着いた場所と、そこで取った行動が「高きから低きに流れるように」来たとするくだりは、言い換えれば、いかなる環境下でも人は生き甲斐を見つけられるということかもしれず、またそれはシルクロードを往来する商人や、沙漠を疾駆する軍人たちの逞しさを体現しているようにも感じた。定住型とは真逆の生活スタイルを持つ登場人物たちはそれぞれ(良かれ悪しかれ)確固たる信念を秘めており、それらが融合したり衝突したりする展開の面白さと、彼らの生き様そのものがこの小説の生命になっている。

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敦煌 (新潮文庫)の作品紹介

官吏任用試験に失敗した趙行徳は、開封の町で、全裸の西夏の女が売りに出されているのを救ってやった。その時彼女は趙に一枚の小さな布切れを与えたが、そこに記された異様な形の文字は彼の運命を変えることになる…。西夏との戦いによって敦煌が滅びる時に洞窟に隠された万巻の経典が、二十世紀になってはじめて陽の目を見たという史実をもとに描く壮大な歴史ロマン。

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