しろばんば (新潮文庫)

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著者 : 井上靖
  • 新潮社 (1965年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (583ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101063126

しろばんば (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 自伝的3部作の1作目。
    洪作の小学生時代の物語。

    繰り返し読んでいる本です。
    息子たちが小学生になった今読むと、また違った感慨があります。
    成長による、視点の変化。
    祖母と孫の関係。
    子どもから見た死。
    濃い関係性の中で生きるということ。
    田舎と都会の違い。
    などなど。これからもきっと何度も読み返していくことになると思います。

    さぁ、私も現実逃避はお仕舞いにして、勉強をしなくては(笑)

  • 中学生くらいに読んで、なんだか印象に残っていて…
    30代も後半になり、無性に読みたくなっての再読です。

    子どもの頃は、おぬい婆さんが寝床にいる洪作にお菓子をあげる「おめざ」なる習慣や、妊娠すると酸っぱいものが食べたくなるのだ、という新知識の印象だけが鮮やかに残っていて、後半のストーリーはうろ覚えだったのだけど、この年になって読み返すと、親戚の面倒くさいアレコレや、親や親戚がガミガミうるさく言うことの方に共感しちゃって、楽しめました。

    特に大きな事件が怒ったり、ハラハラドキドキさせるわけではなく、淡々とした日常と心の変化を描いているのに、次を読みたくてたまらなくさせる、こういうのが名作っていうんだなー と感心してしまいました。

    おぬい婆さんの年になったらぜひまた再読したいです。

  • 足長おじさんから息子が薦められて読んだので。
    なんてことはないストーリーと思って読み進めていたら、洪作の成長と共に変化する心情に加えて、変化する時代と大人も含めた一人一人の人生までが見えるような細かい描写に感動した。
    洪作と同年代の息子も感じるところがあったとおもうが、どんな年代の読者も感じるものがあるだろう。
    馬車の御者がバスの登場で苦悩する場面が心に残った。

  • 井上靖の著書を何か読みたいと思い立ち、たまたま目に入ったのがこれだった。
    重くないモノって準備しておきたい。それにしては厚さがあるのでどうしたモノかなとも考えていたんだけど、まあいいかと選んだ一冊。
    期待値は低かったけども、今になって思えば非常によい作品だった。
    井上靖は好きな作家と尋ねられて一番に出てくる名前ではないが、好きな作家の部類には入る存在だと思う。
    やはり、第一位になるにはやはり趣向的な一致が必要なのだ。
    そうなると井上靖には“信頼のおける作家”という表現が一番適当かもしれないな。



    井上靖が自身をモデルとして書いた小説で、そのうちに幼少期を描いたものである。
    主人公:洪作少年は祖父の妾のおぬい婆さんに育てられている。この設定は何とも言い難い関係に思えるが、2人はすこぶる仲がよい。
    ばぁさんは立場が立場なだけに非常に偏屈なのだが洪作のことは目に入れても痛くないってほどにかわいがっている。それには打算はない。本当に大事にしているのだ。
    大体物語の舞台は湯ヶ島というのどかな田舎で、愛想劇なんて起こる訳もないのだ。
    級友との遊び、特殊な食事環境、年の近い叔母、お風呂、父と母と妹、異様な親戚、遠い祖父、転校生、マラソン大会、のぞきみした恋人達、勉強と家庭教師などなどが書かれ、事件が起こってもたかがしれているレベルだ。あくまでも日常。だからするすると読める。読みやすいことこの上ないのだ。
    しかしそれだけでもなく洪作少年を通して見られる世界の温かさ。
    勿論、本当に少年が記したのならば形のないたどたどしいものになるだろうが、子供らしい純粋なまなざしを井上靖は上手い具合に描いている。豪華な描写や舌を巻くような形容はされないが、時にはっとさせられるようなみずみずしさがあるのだ。
    読み終わってからの後味がすこぶるよい、いまバラバラと気に入った部分を読み返してみても素直に素敵だと思えるような本だった。
    特に、最後のおぬい婆さんが亡くなったあとの洪作の心の内の描き方にはぐっと来た。
    技巧は勿論のこと、おもしろさもちゃんと用意してくれる安定した作家なのだ。
    もともと井上靖には昔読んだ『敦煌』のおかげで、よいイメージがある。今回もいい小説だったが、今度は歴史小説にでも着手してみるかな。

  • 作者の子供の頃の話。
    古い時代の話だけど、読んでいてなんとなくその時代の情景が浮かんできました。三部作のようなので、この続きが読みたいな。主人公の成長過程を最後まで見守りたくなりました。

  • 小学校の頃、受験塾の授業で出てきて大好きだったお話。

    でも大学生になった今、
    小学校の頃読んだときとはやはり感じ方が違う。
    小説の中に出てくる覚えてた様々なエピソードも、
    今読んだら違うイメージを持つ。
    やはり小学生の頃は、主人公の洪作と年齢が同じだったので
    子供独特の感性や、おぬい婆さんに対する感情などにリアルに共感できたのと、
    今より想像力が豊かだったのだなぁと思う。
    今はむしろ、さきこ姉ちゃんやお母さんと同じ目線で読んでしまう。
    自分の祖母に対する気持ちの持ち方も変化してきた気がする。

    おぬい婆さんとの別れの場面は何度読んでも泣いてしまい、
    この時の(成長した)洪作は今の自分と重なっていて、つらかった。

    昔は気付かなかったけど、
    この本が井上靖の自叙伝的3部作の1つであり、
    主人公の洪作は筆者の少年時代であると知り、
    こんなに鮮明に感情豊かに子供の頃のことを書けるほど、
    素晴らしい思い出を持ち、郷土を愛していることは素敵なことだと思った。

    あと、読んだ後、伊豆行きたくなった。
    湯ヶ島行って温泉入って蜜柑食べて川で遊んで天城ほたる祭り見て沼津で千本松見て下田の丘に登って漁村を見下ろすような旅がしたい。
    すべて鈍行列車で。

  • この本に出会えて幸せ

  • 初めて本を読んで、泣きました。

  • なんとも言えない、
    言葉にしてしまうのが勿体無いとでもいうのか、そんな小説。
    完璧と言って差し支えない構成が、
    無駄なく淡々と少年の日々を描き出していく。

    喉の奥にひっかかる涙のような、どこか物悲しく、
    どこか懐かしくて切なくなる。

  • 浦野所有
    →10/09/26 山口さんレンタル →11/03/27返却

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    『しろばんば』、よかったです。This is 名作。ですね、まさしく。

    孫バカ、傍若無人、世間知らずで恥知らず。そんなおぬい婆さんと、婆さんを誰よりも頼りにしながら、ときに鬱陶しく思ってしまう洪作少年。

    2人の純な生き方が、友人関係、親戚関係、隣近所の住民関係を交えつつ、つとめて冷静に、洪作の視線でもって表現されています。これほど緻密な心理描写の作品は、そうそう読めるものではありません。

    さまざまな人や物と出会い、そのたびに洪作が抱く感想は、正に少年ならでは。子どもだけがもつ理性と本能が見事に描かれていて、「ああ、自分も昔はこんなだったのかもしれないな」と、不思議に納得してしまうのです。

    そして『しろばんば』でもっとも特徴的な表現といえば、たとえば次のくだり。

    「納屋を少し焼いただけで火事は大事にならず収まった。子供たちは火事も見に行かなければならなかったし、バスも見なければならなかった。それからまた火事を出した農家の嫁が、自分の不始末で火を出したということで、火事の収まった直後、どこかへ姿を消すという事件があった。子供たちはまたこの嫁を探しに長野部落の山へも出かけて行かなければならなかった。やりたいことは沢山あったが、体は一つしかなかった。」(後編四章より)

    何か事件があると、それを見届けなくてはいけない。それが子供の特権というか、義務なんですよね。

    とにかく『しろばんば』は感動的な作品ではあるけれど、愉快な場面もたくさん散りばめられています。私も列車内で読んでいて、思わずクスッと笑うことも何度もありました。そういう意味でも、これまで読んだ小説とは異なる性質の作品だったと思います。

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