額田女王 (新潮文庫)

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著者 : 井上靖
  • 新潮社 (1972年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101063195

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額田女王 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 額田女王は、万葉集の歌人であり巫女でもあり、そして中大兄皇子と大海人皇子に愛された女性です。
    有名な「茜さす~」がどんな背景でうたわれたのかが知りたいな、という気持ちで読み始めたのですが、額田を中心に置きながら、この頃の頻繁な遷都の意味や、戦までの流れが分かるように書かれており、期待以上に収穫の多い本でした。
    特に、額田の登場場面と、百済を再興するために唐との戦を覚悟しながら船が出航する場面は鳥肌ものでした!

  • 『言の葉の庭』きっかけで読んでみた。
    想像の額田女王とまた異なる、時代に魅入られた人のように感じた。

  • 難波遷都、半島出兵と白村江の会戦、その後の天智天皇の統治から壬申の乱への歴史の流れの中で、中大兄・大海人両皇子と額田女王との関係性や額田から十市皇女への想いや行動の移り変わりが非常に興味深かった。

    額田なりの「神に仕える女としての誇り」を守るために、心を与えないとして振る舞ったことで、他の両皇子の妃からは独立した、自由人としての彼女の形ができたのかなぁと思う反面、母親になりきれなかった面もあったのでは?という感じ。そういう意味では、最終盤までは女としての役割や振る舞いが多かったかなと思います。最終盤、天智天皇崩御から、壬申の乱に至り、ここで初めて女としてよりも母親としての役割が前面に出て、神に仕える女から人間の女になれたのかな。

    この時代をモチーフにした話を読むのは初めてでしたが、なかなか面白かったです。

  • 里中満知子の『天上の虹』もいいけれど、★井上康が描く「額田王」の方が、より人物像が好き!読んで大正解な作品だった!

  • 万葉の頃の和歌は何とも美しい。
    『源氏物語』とかでもそうですが、たとえ大きな声では言えない関係の恋であったとしても、和歌のやり取りだけみていたら綺麗だと感じてしまいます。
    でも現実は…笑
    なかなかのドロドロ具合というギャップがまた面白かったりして。

  • この小説は、井上靖氏の作品です。
    日本の古代史でもちょっと知られている、女性の一人である「額田女王」の人生を壮大な歴史小説になっています。

  • この時代の時代小説を読むのは初めて。
    井上靖の補った部分も結構多かったのではないかと思うけれど、当時の群衆はこんな感じだったのでは、額田の心はって、生々しい。
    遥か万葉の時代の、情景を詠んだ歌がとても綺麗。

  • 大化の改新、白村江、壬辰の乱という謎に満ちた古代史の最後を飾った、古代史に燦然と輝く歌人額田王と二人の天皇の物語。茜指す紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る、を歌い出すまでの前段の話作りは秀逸。
    井上靖の長編読む度に思うんだけど、長さ半分に出来るよね。何なら敦煌くらい短くてもいい。

  •  ある程度額田女王か和歌に興味を持っていないとかなり読み辛い作品だと思う。

     大化の改新で天皇による中央集権制を確立しようと中大兄皇子や中臣鎌足が活躍する時代。その中大兄皇子や弟の大海人皇子から寵愛を受けた宮廷歌人額田女王の生き様を新解釈を交えながら描いた作品。

     情報網が殆ど存在していなかった世の中とはいえ、思い込みで心の内を推測しようとする人間模様は読んでいて正直肌に合わなかったかな。また、以前読んだ『風林火山』でも感じたのだが、井上靖の中では強い信頼感で結ばれた者同士はテレパシーで会話できるのだろうか?
     この作品の肝となる部分は額田女王の「体は渡しても心までは渡さない」という覚悟。これは額田女王のある意地を守り通すために自身が考え出したもの。私はこの考え方にはあまり共感できなかったのだが、共感できる人にはこの物語はどの様に映るのだろうか。

  • 前半、額田女王がいい女すぎてほんとにくらくらする|д゚)でも神の声を聴く特殊な女として、プライドを持っており、ただの女になることを頑なに拒んだばっかりに、幸せを遠ざけてしまう。ま、妃として迎えられても同じかな。もちろん創作なんだけど、当時の宮廷の文化や雰囲気がいきいきと描かれていて、和歌を手掛かりに描かれる人々の心情は千年以上経っても色あせず、万葉集ちゃんと読んでみたくなった。紫野行き 標野行き…からの大海人皇子とのやりとりが好きだ。あと、こんな昔から途絶えることもなく続いてる日本の皇室はやっぱすごい。

  • 今回のバングラデシュの旅に持参した一冊。全くの異世界のベンガルで、日本の古代史を感じるのはなかなか乙であった。
    去年の春節の旅行で白村江にいったことがあったので、想像しながら読めた。もし唐が新羅と一緒に百済を駆逐したタイミングで日本侵攻してきたらどうだったのであろうか。今の日本はないのかも。
    お話は額田の歌を中心に進められる。二人の王子との恋愛模様を描く。壬申の乱のきっかけが額田をめぐってのお話であれば相当面白い。歴史は教科書だけで勉強するものではないのだと、痛感した一冊。おすすめ。

  • 【読了メモ】 (150816 9:55) 井上靖 『額田女王』/新潮文庫/1972 Oct 30th/初・井上靖。采女(≒巫女的存在)であるために、体は与えても心は与えまいとした麗人のお話。十市皇女が泣ける。

  • 古代の英雄天智、天武天皇に愛された、万葉随一の才媛額田女王。大化改新後の朝鮮半島出兵、蝦夷征伐、壬申の乱が舞台。本作品の特徴は激動の時代を、万葉集に綴られている有馬皇子、斉明天皇、中大兄皇子、大海人皇子そして額田大王の和歌を通じて、移ろいやすい感情とともに紐解く事。また、和歌を効果的に活用し独自の視点で解釈を加える事で、物語に彩を与える。

  • 比較的読みやすい歴史小説。資料も限られる中、飛鳥王朝の様子が脳内で想像しやすく描かれていて、井上さんの文才に改めて感服しました。一般的な額田王&大海人というカップリングに決めつけていないところも印象的。

  • 天智天皇と天武天皇の間で揺れるメロドラマみたいな話かと思ったら、神事として歌を詠む采女としての額田の物語。
    もちろん愛もあったけれど、危難の世、為政者の心情、その中で情愛に流されず理性で生きんとしていた額田の強いような脆さがおもしろかった。

  • 面白いし、読者を引き込む筆力はさすがだと思います。女心をくすぐるものもあります。

    個人的な感想としては、もう少し神秘性を味わいたかったです。神に仕える女性としての決心や誇りというモチーフは古代的なのですが、彼女の心の動き方には全体的に現代人に似たものがあったのがピンときませんでした。当時の価値観や男女間の心理などが、現代と近いか根本的に違っていたかは分からないわけで、そこの曖昧さを残しておいてほしかったです。現代人がはっきり共感できてしまう明快さが違和感でした。

  • 大化の改新後、壬申の乱に至る、額田女王、中大兄皇子、大海人皇子の3者を巡るロマン。権力の掌握、遷都に次ぐ遷都、白村江の戦いとその敗北など、激動の時代にあって、淡々とした語り口で当時の情勢が描き出されている。中大兄皇子の身の丈を考えない政治判断は、ちょっと無謀過ぎるように感じたが。

  • 井上靖を読むなんて何年ぶり?

    少女の頃、「茜さすむらさきの……」「むらさきの匂へる……」
    大海人皇子との恋歌に憧れました。
    あれから何十年……
    歴史的にも文学的にも、研究は進み、
    おそらく解釈も変わってきているでしょう……

    そんな昔少女のせいか、井上靖の描く
    額田と言う女性は、私のイメージにピッタリ。
    だいたい、井上靖は私の頃のビッグネーム。
    確か、日本ペンクラブの会長だった頃のスピーチが
    国語の教科書に載ってたいたはず。
    久々に、きちんとした(?)小説を堪能した感があります。

    ただ小説の勢いとしては、後半が失速するというか……
    物語としてはダダダ~っと話が進むのですが
    味わいとしては欠けるような気がします。
    壬申の乱前夜から額田がどう対応していたのか
    そこが読みたいところです。
    おそらく史実にない分、井上は作家の想像だけで
    物語を膨らますのを潔しとしなかったのか、
    そんな風に想っています。

  • 私が日本史で一番興味を持っているのは飛鳥時代なのですが、思い入れの強さからこの時代と人物に持つイメージが作品と食い違うのが少し怖くて、この時代を扱う小説は今まで敬遠していました。そんな中この作品を読んだのですが、これが実に艶っぽい。作者の想像力が人物中心で注がれているおかげでしょうか、気持ちよく憧れの世界に浸れました。毅然とした額田女王、凛々しい中大兄皇子、勇ましい大海人皇子、この三人の微妙に変化する距離感がすごく良くて。脇を固める中臣鎌足の存在感も大きいです。人物の魅力が輝く上品で美しい物語でした。

  • 額田像が折口信夫説に寄っている(采女的)。あかねさすの解釈、これが一番しっくりくるなぁ。何はともあれ2012年度ベスト・キュンキュン小説。たまらん。

    レビューに淡白な小説との意見が多いですが、私はコレとんでもなく情熱的だと思う。読みながら思わずムラムラしちゃったよ…。

  • 1026読了
    額田女王から見た孝徳天皇〜天武天皇の話。

    歴史にもそれをなした人や民衆がいて、物語があることに改めて気付かされた。受験勉強をしているときに読みたかった。

  • 額田女王を挟んで描かれる、
    中大兄皇子と大海人皇子の兄弟が大変魅力的で、
    二人に非常に興味を持ちました。

    中大兄皇子は、一番の権力者で、ときに大胆な振る舞いもしますが、
    一方で孤独で、己を抑制していて冷静です。
    とくに終盤、大海人皇子に対する感情を、
    理性でなんとか抑えているように取れる場面があって、
    私はその場面が好きでした。
    非常に惚れ惚れしました。格好いい皇子です。

    「茜さす紫野行きしめ野行き~」という歌が、
    小説での人間関係を背景に語られるとびっくりするくらい面白かったです。

    終盤、兄弟の間を取り持っていた、中臣鎌足が世を去ってしまい、
    二人が静かにゆっくりと対立していく様子が、
    距離をおいて描かれているのが好きでした。

  • 「野守は見ずや 君が袖振る」の相聞歌から、額田という女性は、もっとビッチなイメージがあったけど(失礼w)、井上靖が、歴史に翻弄されながら、その中で、当時珍しいであろう「自己」を持ち続けている女性として描いているところが面白い。大海人皇子の子を宿しても「神の子を宿しました」と言って大海人へなびかぬ姿、日本を牛耳る中大兄皇子を火/
    大海人皇子を水と天秤にかけるように評する様など、なにか痛快w
    中大兄皇子らの、大化の改新後の混乱した政局と待ち構える国難への対応の克明な描写、万葉集で詠まれている歌への井上靖流の解釈とそれに合わせた当時の政治状況の組み合わせ等、大いに読み応えあり。

  • 本当に面白い、わくわくした。

  • 飛鳥時代の万葉歌人として、ひときわ注目される額田女王。それは、天武と天智の二人に寵を受けた事による関係や、歌から見える巫女的性質論によるもの、何より委細が謎めいている面も注目される要素だと思われる。
    とかくロマンチックに語られる額田ですが、この小説ではひとりの女の生き方としての彼女を描ききったのではないでしょうか。

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