孔子 (新潮文庫)

  • 490人登録
  • 3.33評価
    • (21)
    • (36)
    • (86)
    • (15)
    • (5)
  • 45レビュー
著者 : 井上靖
  • 新潮社 (1995年11月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101063362

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヘルマン ヘッセ
ヘミングウェイ
ドストエフスキー
有効な右矢印 無効な右矢印

孔子 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 孔子の没後33年、生き残っている弟子の一人、蔫薑(えんきょう)が、山奥の陋屋に孔子研究会の面々の訪問をうけて、孔子の詞やエピソードを昔語りをする、という設定で、孔子の人となりを描いた書。春秋時代、乱世の中国、中原を放浪する孔子とその弟子、顔回、子路、子貢達との強い絆が印象的。

  •  曾根博義氏の解説を読むと、本書は『論語』の成立過程を結果から推測し、名句の紹介と解説を中心とした教訓書的な小説であると述べられている。『論語』について知りたければ本屋に良書がたくさんある。こちらを手にする意味は薄い。

  • 自分の中で孔明と孔子が淡く混じっていたことに気が付いた本。論語を読もうと思いつつも、なんだかとっつきにくいから、そんな理由で読んでみた。小説として読み易く少し余韻が残る。

  • 読むのに疲れた。

  • 中学生のときは全く面白くなく、苦痛を覚えながら読了しましたが、齢を重ねると滋味を感じます。
    末席の弟子による孔子と高弟の思い出話。

  • まだ論語が出来る前に、ただひとりのこうしの弟子の生き残りとして、こうしとの思い出、言葉などを語るといった、ちょっといままでにはなかったかもしれない作品。
    そして井上靖、最後の小説。80代に書いたという。
    読んでいてダライラマの説法とはこんな感じなのかなと想像。ひとつの事柄について師が語り、周りが質問していく。天命とは、仁とは。

  • 孔子の死から30年後に、魯都の「孔子研究会」の人びとが、門弟の一人だった蔫薑という人物のもとを訪れ、孔子やその高弟の子路、子肯、顔回らの人となりを尋ねる話です。

    著者の歴史小説に対しては、大岡昇平が「借景小説」だという批判をおこなっており、本作に対しても呉智英が同様の観点からの批判をおこなっています。それらの批判は要するに、著者の歴史小説に登場する人物は近代的な人間像だというものなのですが、確かにそうした印象はあります。

    たとえば、本書の最後に蔫薑が故郷の蔡の国を訪れたときのことを語っているのですが、国の興亡という大きな運命に翻弄される人間の尊重を謳い上げるところなどは、近代的な人間賛歌としか言いようがなく、孔子の実像からかけ離れているという批判者たちの意見に賛同したくなります。

  • 孔子のありがたいお言葉の意味を知るための本。伝記ではない。弟子達の孔子研究の様子を描いた不思議な本。


     孔子の伝記小説で、孔子の苦しむ姿が描かれているのかと思って読み始めたが、全然違った。
     孔子の『論語』は孔子の死後すぐにできたわけではなく、死後300年後くらいに孔子門下生によってまとめられた。それってすごいことだよな。
     その様子を描くっていうのは、読み終わってすごいことだと思いました。(小並感)

    ______
    p70 仁
     人が二人出会ったら、その二人がどんな間柄だろうと関係なく、お互いが守らなければいけない規約のようなものが発生する。それが仁である。思いやりのようなもの。だから、人偏に二という漢字なのである。

    p116 近者説、遠者来
     ちかきものがよろこび、とおきものがきたる。
     孔子が述べた政治の理想形。近くにいるものが喜びなつくような政治をすれば、その噂を聞きつけて、自然と人々は集まってくる。大きいことを考えるよりも、地道にコツコツと始めることで、人望というのは集まるという格言だ。

    p167 逝くものは斯くの如きか、昼夜を舎かず
     孔子が豊富な水を湛えた大河を眺めて言った言葉。川の流れと人生を対照した、大局観を意味する格言。
     一人一人の一生は何の意味があるのか、ちっぽけな人間の命が何になるのか、人はそれに迷い、戸惑う。
     しかし、水の流れのように、どんな支流もやがて大きな流れに合流し、大海にたどり着く。人間の営みも結局一つの人類の歴史に収斂されていくのだから、何も迷うことなく、流れのままに生きていくことが大事なのであるということか。
     澱まない人生を生きたいものだ。

    p202 天命論
     天命とは何か。天から命じられた使命なのか。そうではない。天は別に一人一人に命を下さない。
     自分の信じることを成せばいい。自分の正義を仕事にすれば、天は見ていてくれる。そして、結果として天命を下してくれる。
     天命を信じて人事を成す。ではなく、人事を尽くして天命を待つ。という考え方。

    p221 天命を知る
     孔子の言った自分自身の「天命を知る」は、複雑。
     50歳くらいで、世の乱れを正すために、国王に政治教育をすべきだと、一念発起したのが天からの使命を受けたのだと解釈するのという考え。
     また、結局その孔子の野望は失敗ばかりであって、どんな正義を持って活動していても、天は直接助けてくれるもんではないと悟ったという考え。
     50くらいにならないと、本当の正義は見えてこず、天の使命を理解することができない。その使命を実行に移すにあたっても、天は何もしてくれない。それでも人はその正義を最後まで信じなくてはならない。これらすべてをひっくるめて、天命を知るということなのかな。

    p273 顔回の死
     顔回の死に際して、孔子は「天は予を喪ぼせり」と言った。自分の後継者を失った悲しみというよりも、これから世の乱れを正していく存在になる大事な人材を失った世界への憐みの感情だったのかもしれない。
     顔回は孔子の弟子であり、その思想を受け継いだ孔子の分身でもある。それで我を滅ぼすという言葉になったのだろう。
     

    p457 天は予を喪ぼせり
     そういえばイエスも死に際して神への不信を叫んだ。「神よ、なぜ我を見捨てたもうた」
     孔子もイエスも同じく、天に見放されている。この、神への不信というのは、人類の教師になる人の共通のキーワードになるんだろう。

    p312 子不語、怪力乱神
     孔子は、怪(怨霊や迷信など)に心奪われず、力(暴力)に頼らず、乱(背徳や不倫)を退け、神(精霊や死霊)を軽んじず、これらのことを無暗に語ることはなかった。
     人としての道徳を説く格言。

    ... 続きを読む

  • 同じエピソードを何度も繰り返したり、なんか冗長だな。架空の弟子に語らせる、って目新しくはあるが、うーん。

  • 孔子の死から30年後の時代設定で、孔子研究家達との対話から孔子像を浮かび上がらせるというアイデアは流石であるが、これといった展開があるわけでは無い為、正直退屈感を覚えた。
    が、解説で著者晩年の作品であることが分かり納得。架空の弟子蔫薑の口を借りてどうしても書いておきたかったのだろう。

  • 「小野川温泉 寿宝園」おすすめの一冊
    http://www.onogawa.jp/~juhoen/

  • 今、乱世であると思う…いや乱世でない世があったろうか?
    …と思いを馳せたとき、古典・経典の読み継がれる意味が、
    ことさら感じられ手にした一冊だった。
    まさに「論語」成立の過程を臨場感あふれる筆致で描くような小説。

    いつの世も、人は悩み、惑い、糧となる指針を欲するものだろう。
    終盤、本書では、こう語る…
    ー人が自分の力で、世の中を動かしたとか、動かそうなどと考えるのは、とんでもないことで、大きい天命の動きの下で、それを応援させて貰ったり、それに逆らって、闘わせて貰ったりする。ただ、それだけの話であります。

    それは、諦念だろうか? 違うと思う。
    どんな世にあろうと、人は、希望を持つものと思う。
    終盤…こんな言葉が置かれていた…
    ー子は人間というものの将来を、いつも明るく、ごらんになっておられました。人間というものは、自分たちの種族を絶滅させるほど、それほど愚かではない。

  • 井上靖の人間愛に溢れた筆致で描かれた孔子像は、人としてなにが正しいのかを考えさせられる。論語にも興味を持った。

  • 読了。井上靖最後の長編小説だそうで。ゆったりとした流れをのーんびり読書できる一冊。思わず付箋を貼って、蛍光ペンで線を引きたくなる箇所満載。「小人、窮すれば、ここに濫る!」「近き者説び、遠き者来たる」「逝くものは斯くの如きか、昼夜を舎かず」・・・

  • (「BOOK」データベースより)amazon
    二千五百年前、春秋末期の乱世に生きた孔子の人間像を描く歴史小説。『論語』に収められた孔子の詞はどのような背景を持って生れてきたのか。十四年にも亘る亡命・遊説の旅は、何を目的としていたのか。孔子と弟子たちが戦乱の中原を放浪する姿を、架空の弟子が語る形で、独自の解釈を与えてゆく。現代にも通ずる「乱世を生きる知恵」を提示した最後の長編。野間文芸賞受賞作。

  • 10代の頃大好きだった作家だが、この作品は未読だった。晩年に書かれた最後の長編だそうだ。とにかく紡ぎ出される言葉の美しさ。そこに書かれる孔子への限りない憧憬。儒教に対して断片的な知識しかない私にとっては、堅苦しく、封建社会の人々を縛る規範となった哲学、という印象が強かった。孔子の言葉の数々をこれほどあたたかく人間的に解釈し、美しい理想を求める真摯な人間として描いたこの小説を読んで、もうちょっと儒教のことをよく知ってみたい、という気持ちがある。

    考えて見ると、イエス・キリストとキリスト教の関係と似たようなもので、本人はもっと柔軟に、しなやかな教えを説いていたのに、後々の人々によってその教えは変わっていったのかもしれない、などと思ったりもしたのだった。

    何度か読み返したい美しい作品。その文体だけでも陶然となる美しさだ。

  • 正直言って、話が次から次へと進む小説ではない。「では最後に・・・」などと言いながら、その後にもズルズルと話が変わって続いていくこともしばしば。その点で快適な読み心地とは言えないのかも知れない。しかし、小説全体を通して流れているゆったりとした雰囲気は心地よく、またどこか背筋を伸ばさずにはいられないような気持ちにさせられる所がある、井上靖最後の長編小説である。

  • 孔子への愛溢れる小説

  • 孔子が神様みたいにベタ褒めされている様が書かれた本。あまりにも子曰くと一言一言取り上げられてるので最初は胡散臭く感じられたが、正論だと思った。昔の中国のしょっちゅう国が変わるという感覚からすれば孔子はスゲー人なんだとも思った。

  • 内容は冗長なのに、エンキョウが見た風景が脳に焼き付いている。物語はゆっくりと行きつ戻りつしながら進む。こういう時間の流れ方はとても贅沢だ。それが本の中であっても、あるいは本の中だからこそ、余計に贅沢に感じるのか。

    井上靖の小説はいつもこうだ。
    読書がすばらしいのは、こういう体験ができるからだと改めて思った。

  • 井上靖の遺作である。駄作であると言っていいだろう。孔子の本質、孔子像に迫ることに失敗したことが明白。80歳を超えて人生の残り時間が迫っていることや連載の形をとったことも原因だろう。作品としての練りこみが足りない。

     孔子の架空の弟子「焉薑」の回想で始まる。おそらく著者はその一人称による語り口と子との随行を通して、孔子の実像に迫る予定だったのだろう。それが序盤にて破綻する。その後は孔子研究会なる団体との問答を通して、孔子の人となりや思想を語る。しかし、同じテーマを何遍もくどくどと論じたり、また問答における雑音としか感じられない挨拶の連続で小説としてのリズムは一気に崩れる。

     極めつけは、焉薑が孔子が歩く道程を「コース」という英語を使って表現した箇所である。理屈を言えば、日本語で語る時点で中国語とは違うとは言える。しかし、語りに漢語的表現を使う以上、そこはあくまでも最低日本語で留めるべきであり、英語を使った表現はいただけない。むしろ開き直って英語を使用するならば、随所にその表現が出るべきであろうが、英語を使った箇所は一箇所だけである。おそらく、筆者も編集者もろくに見直しもしないまま載せてしまったのだろう。

     この作品によって井上靖の作家としての晩年は汚された。

  • 小説ですね。
    孔子と題打ってますが、
    孔子の弟子による孔子とはどんな人だったかと得々と語る小説と言ったところ。
    孔子死後から論語が出される間の話という扱い。

    最後まで読めたので面白くないことはないけども
    孔子の一生を追う話ではないので、表題に騙されちゃうかもしれない(私です)

    やはり論語は一度読んどくべきかもしれないと確認。

  • 孔子廟は孔子を祀っているんですね。あまり孔子に興味を持っていませんでしたが、お爺さんに勧められて読んでみたら、今も使われている含蓄のある言葉をたくさん遺していることに驚きました。この本に感激して論語も読みました。

    論語は人生の座右の書です。

  • 読むの大変だったなー…

  •  孔子の死後、弟子の一人が師匠と同門の高弟たちについて語る。
     人生をかけて学ぶに足る師を見出した弟子たちの姿と、彼らを愛し、導いた師の人間としての大きさが、じわじわと膨らんでくる。
     類似した内容が繰り返される描き方には読みにくさも感じるが、孔子が生涯をかけて、いかに繰り返し同じことを説いたかを考えると、自然に思える。その手法は、弟子が見聞きした師・釈尊の行跡や教えを語り合い、編纂された仏教経典の記述を思わせる。
     孔門の「師弟」の人間的豊かさに感動し、驚かされもしたが、現代では失われつつあり、共感されにくいものでもあると思う。

全45件中 1 - 25件を表示

孔子 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

孔子 (新潮文庫)のKindle版

孔子 (新潮文庫)の単行本

ツイートする