北の海〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 井上靖
  • 新潮社 (2003年8月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101063386

北の海〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 四高柔道部の仲間と過ごす金沢での時間が、とてもいいな、と思いました。

    酒も、煙草も、女も、勉強も(!)なく、ひたすら柔道をして過ごす、四高柔道部のメンバー。
    練習量がすべてを決定する柔道。
    練習と、研究。
    人生のある時期を、そんな風に何かに打ち込んで過ごすというのは、とてもぜいたくで、幸せな生き方だろうなと思いました。

    最後、四高に入るために覚悟を決めて、両親のところへ旅立つ洪作の姿が、印象的でした。

    ある意味、このお話は「受験生」向けであるかもしれません。
    目的を成し遂げるために、覚悟を決めて、真剣に学業に取り組む、そこに至るまでの過程の描き方がいいな、と思いました。

    それが、きつきつしてなくて、ゆったりとしているのが、ほんとうにいいです。
    さ、勉強しよう。

  • 学生時代以来の再読。「柔道をやりに来たものと思え。女はないものと思え。いっさいものは考えるな」。無茶苦茶だけどそこまで夢中になるものを得た気持ちはどこかで必要なのだろう。

  • 文豪、井上靖が書いた自伝的小説三部作の最終章にあたる長編小説。実際に読んだのは単行本版。

    おそらく、日本の純文学史上最古のスポ根小説。本作を一言で言うなら、まずこれ。

    親元から遠く離れた地で暮らす主人公、洪作は、なんとか中学を卒業するも高校には受からず、浪人としての日々を柔道に費やして過ごしている。ある日、中学の道場に柔道の強豪高校からの選手が練習にやってくる。洪作は彼が実践する『練習がものを言う寝技のみの柔道』や、彼の所属する高校柔道部のことを見聞きするうちにその魅力に憑かれはじめ、あこがれを確かめるためにその柔道部の夏季練習に参加する。って感じのお話。
    登場する高校は四高といって、金沢の高校(現在の金沢大学だったかな)なんだけど、現実でもクッソ強かった柔道部を擁立していたらしく、この小説は今でも柔道好きたちのバイブル的小説なんだとか。それもそのはず、ストイシズムに骨の髄まで浸かって、頭空っぽにして受け身を取りまくれ、なんつー時代錯誤な標榜を徹頭徹尾根底に敷いてある小説だもの。四高柔道部の連中は気のいい仲間である節はあるけれど、みなどこか一匹狼な風格を漂わせている。人との関わりにうつつを抜かしていたら、強くはなれないんだろうね。爽やかさ、というには暑苦しすぎるが、荒涼とした距離感に気持ちよさを感じる。

    あと、随所に「とんぼ」って表現が出てくるんだけど、それをおっかけると面白い。自分勝手だけど憎めないところがある主人公の魅力が、この言葉に集約されている。

    脇目も振らず何かに打ちこむことのかけがえのなさ、これだよ、この小説は。

  • 下巻も四高に入学するところまで行かずに、というか受験勉強すら最後の数ページ迄しないまま終わる。四高のシーンは夏合宿に参加するだけ、と。
    柔道をするためだけに大学に入る。しかも、全国大会とかではなく、関係者以外誰も知らない七帝。アホの極みというか、なんというか。
    宇田先生といい、食堂のお内儀さんといい、主人公の世話に巻き込まれる群像がいい味出し過ぎていて、何とも言えない名作です。

  • きっかけは「七帝柔道記」。
    それほど柔道柔道していなかった。
    洪作の人柄には魅かれるモノがある。
    「しろばんば」「夏草冬濤」を早々に読まねば。読みたい。

  • 『しろばんば』『夏草冬濤』ときて三部作の最後。高校に入るまでの浪人生活。今まで何にも風来坊だった洪作が、柔道という打ち込める物をみつけ、それによって今までとは違った仲間と出会う。
    ちょっと大人になった洪作です。

    細かい描写はどちらかというと少なめです。
    三部作の中では夏草冬濤が一番好きですね。

  • これを読んで日本海へ行きたくなった

  • 終わった〜!10代で挑戦し挫折した井上靖の自伝的三部作を読破。この下巻でも会話がイキイキしてて、特に洪作が宇田に台湾行きに関して一札とられる場面は面白すぎてニヤけてしまった。全作通し、なんて靖氏は昔をよく覚えておられるのだろう!と感嘆しながら読み終えたら、本作の解説を読んで、ガ〜ン・・・「『坊ちゃん』を漱石の自伝小説と思うのは、よほど単純な人間観と文学感を持った読者だろうが、井上氏の三部作、ことに『北の海』を作者の自伝と思い込むのも同様のことである。」(by山本健吉氏)
    言い訳をすると、洪作が実在したことを願いたくなるような思いが「井上氏=洪作」という錯覚を起こしたのでしょう・・・素直にモノを受け入れ感じ入るところが魅力的であり、別の見方をすれば欠点でもあり、そのことに本人は気付いていない・・・そんな洪作に恋心を抱くれい子の気持ちが、なんだか分かるのです。ついつい世話を焼くはめになる宇田先生タイプに自分は近いと思ってたけれど、こんなに洪作のスタイルに魅かれるのは自分自身にもどこか洪作的なところがあるのでは?と思ってしまいました。
    そして、年齢を経ると同じ物語でも違った見方ができるという通説にものすごく納得できた、良い経験ができたかも。

  • 上巻の続きです。主人公はなんだか一本気というか、一本調子です。文自体もどことなく素朴で、作文を思い出させられました。そこのところ解説でフォローしてました。本当ですかねぇ。

  • しろばんばで小学生だった洪作が,ここでは高校生になっている.小学生のころは優秀だった洪作がいつのまにか落第間際になっているコントラストがびっくり.でも基本的に自由に人生を歩いていくというその方針は一徹しているように見え,それが作家井上靖を生んだのかと思うと興味深い.

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