- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101063386
作品紹介・あらすじ
金沢の四高柔道部の夏稽古に参加し、練習する日々を過ごした洪作は、柔道のこと以外何も考えないという環境と、何よりも柔道部の面々が気に入り、受験の決意を固める。夏が終わると、金沢の街と四高柔道部の皆と別れ、受験勉強をしに両親のいる台湾へとひとり向かう。-柔道に明け暮れ、伊豆、金沢、神戸、台湾へと旅する、自由で奔放な青春の日々を鎮魂の思いを込めて描く長編小説。
感想・レビュー・書評
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単行本で再読時の感想---6年生の頃母が買ってくれた本。特別な日でもないのに読んでごらんと手渡され、思いがけない贈り物がとてもうれしかったのを覚えている。おもしろくて何度も読み返した大好きな作品。これをきっかけに中学生の間は井上作品を随分読んだ覚えがある。先日ふと思い立って30年ぶりくらいにこの本を読み始めた。1975年の中央公論社刊、活字の小ささに驚いたが、すぐにおもしろさに引き込まれた。読みながらふと、子どもの頃と同じように心がうきたつのを感じ、旧知の登場人物たちに再会できた喜びをかみしめながら、本というもののありがたさやこの作品を送り出してくれた作家への感謝の思いで胸が熱くなった。----
16年ぶり再読---三部作を順に読んだのは初めて、幸せな読書の時間だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
四高柔道部の仲間と過ごす金沢での時間が、とてもいいな、と思いました。
酒も、煙草も、女も、勉強も(!)なく、ひたすら柔道をして過ごす、四高柔道部のメンバー。
練習量がすべてを決定する柔道。
練習と、研究。
人生のある時期を、そんな風に何かに打ち込んで過ごすというのは、とてもぜいたくで、幸せな生き方だろうなと思いました。
最後、四高に入るために覚悟を決めて、両親のところへ旅立つ洪作の姿が、印象的でした。
ある意味、このお話は「受験生」向けであるかもしれません。
目的を成し遂げるために、覚悟を決めて、真剣に学業に取り組む、そこに至るまでの過程の描き方がいいな、と思いました。
それが、きつきつしてなくて、ゆったりとしているのが、ほんとうにいいです。
さ、勉強しよう。 -
40年前に読んだものを読み返した。四高柔道部の猛練習のことだけが記憶に残っていたが、今回は、日本海、金沢、犀川、四高生と太平洋、沼津、狩野川、沼中生の対比が味わい深かった。著者の自伝的小説とされているが、洪作の野放図な性格は誇張された創作だろう。それでも楽しく一気に読めた。れい子の心情が切ない。
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主人公が魅力に欠けて段々つまらなくなる。
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金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18447
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA63464837 -
柔道の物語です。
長編ですがあっという間に読めます。 -
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『しろばんば』、『夏草冬濤』(なつぐさふゆなみ)、そして本書で自伝三部作となる。井上靖は明治40年(1907年)生まれだから、旧制四高(しこう/現金沢大学)に入ったのは昭和2年(1927年)である。私と同じ旭川出身だとは知らなかった。旧制中学に主席で入学したというのだから元々秀才だったのだろう。主人公の洪作は複雑な家庭環境で育ち、非常に冷めた性格の持ち主となる。ところが受験を控えた時期に蓮見と出会い、春秋の色合いが深まる。
https://sessendo.blogspot.com/2018/07/blog-post_18.html -
学生時代以来の再読。「柔道をやりに来たものと思え。女はないものと思え。いっさいものは考えるな」。無茶苦茶だけどそこまで夢中になるものを得た気持ちはどこかで必要なのだろう。