火宅の人 (上巻) (新潮文庫)

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著者 : 檀一雄
  • 新潮社 (1981年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101064031

火宅の人 (上巻) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 檀一雄の代表作の上巻です。

    戦後間もない日本で作家をしている主人公『桂一雄』の物語。

    戦後間もないからそうなのか、その頃でもおかしいのかわからないが、いまからでは考えられない生活をしている主人公『桂一雄』。
    何が『考えられない』かというと、妻とは別居しているが時々会っており、妻も子供たちも公認の愛人がおり一緒に住んでいる。
    もしかして檀一雄本人こんな生活していたんでしょうか?

    引き続き下巻を読みます。

  • 男とはなんと我儘で自由とロマンを求める生き物なのだろう。 特にこの男はそうだ。
    女優、檀ふみの実父である檀一雄が私小説として発表した作品。

    「僕は恵さんと事を起こしたからね。」

    初めて恵子と事を起こしてからすぐに、「私」は妻にそう伝える。
    愛人の恵子は元より、家族、家
    での暮らし、そして妻を、愛していたからだ。

    何も選べない、何も捨てられない男の奔放な日常が軽快に描かれている。

  • 何十年ぶりかに読みました。けっこう前半は忘れています。日本脳炎、、、のくだりも忘れてました。

  • 妻と3男2女のいる家を捨て、舞台女優の恵子との愛欲の暮らしに走る作家桂一雄。しかし結局は、その恵子の元でも安住せずに終わりのない放蕩を繰り返す…。
    作者自身の人生に素材をとった、いわゆる私小説。完成までに20年をかけたという。 “酒と女にまみれた放蕩”と言えば極めて不健康そうだが、意外と健全な面を持ち合わせている。自炊や水泳が大好きで、自身の過剰に健康な体に対して懸念を抱くほどだ。ゆえに、その中に垣間見れる独特の寂寥感はなおさら強い。個人的には、彼のとぼけた文体と妄想癖に好感を持ったが、先に沢木耕太郎氏の「壇」を読んでいたせいか、こんな人の妻になったらたまったもんじゃないと思う。
    ☆読売文学賞・日本文学大賞

  • ガンの激しい痛みの中で、最後の気力をふりしぼって完成させた長編。人々に大きい感銘を与えた。
    『火宅の人』の生き方は、現代の管理社会の優等生的生き方と全く反対である。彼は社会のあらゆる約束事、既成の道徳、立身出世、家庭の幸福などを無視し、反逆的に生きとおした。
    もちろん今日でも秩序への反逆を試みる者も脱出を企てる者もいるが、その多くが陥るようなみじめな落後者、ひねくれたすね者の生き方とは、檀一雄は全く異なっていた。今日の退嬰化、矮小化、規格化した精神からは絶対に生まれないおおらかさ、本質的な自由奔放さがあった。どんな逆境にもめげない、いや逆境とか不遇とかを受け付けない強さがあった。天然の詩情や旅情のおもむくままに生き、その瞬間瞬間の真実に忠実であろうとした。それがたとえ破滅に、背徳に向かう道であろうともちゅうちょするところがなかった。

  • 愛情があって甲斐性もある男性だし、妻の他に恋人を作ってそれについて開き直ったように妻に語るところや、言い訳を言い訳と自覚しながらつらつら述べるのは面白かったけど、ずーっとその調子なのでさすがに飽きてきてしまった。下巻どうしようかな。。

  • 国語辞典編集者の飯間浩明さんの「主人公には全く共感できないが、作品自体の価値は認めざるを得ない」作品、との言葉で興味を持って。有島武郎『或る女』も、私にとってそういう本です。

    常に酒を飲んでいて、子供が5人もいるのに若い女性と同棲していて、いつも貧乏で借金し続け。

    人間として碌でもないというか、自分勝手でダメな人生で、親戚にいたら関わりになりたくない人だと思うんだけど、その放浪も貧乏も肯定して気ままに生きていく感じ、どうしても憎めないなぁ。
    そして、あっけらかんと人生を謳歌している、文章が素晴らしい。私小説は自分の身勝手さを誇示するようで嫌いだったんだけどこれは長くても読んでしまう。読んでいて、賑やかな家の様子、酔っている時の感慨、やめられない泥恋愛のやましさと愛しさ、全部伝わってくる。名文。

    作中の人物は太宰治と坂口安吾ぐらいしか知らないから、人物名は読み飛ばしてるけど、当時の人々を知っていて読んだらまた愉快なんだろうなと思う。

  • 読書会で『檀流クッキング』をプレゼンするため、檀一雄について知ろうと思い読むことにした。

    小説として面白いかといえばそこまででもないのかもしれない。が、檀一雄の想像以上の放埒さにびっくりする。
    よそに愛人を作るのはともかく、その為の借家も転々としつつ借りまくる、常に酒は飲みまくる、他にも愛人を作る……。

    「最後の無頼派」といえば聞こえはいいが(「太宰の腰巾着」とも揶揄されていたが)、太宰や安吾が早世するなか、檀さんは身体が頑健なので生き残る……その頑健な身体を持て余し、格闘していたようにも思う。

    私小説を書こうとすると、いや書く為にとかそんな生易しいものではないと思うけど、書く内容は自分についてなので、作者の生活そのものが小説や芸術に接近していく。だからこんなにやりたい放題やったのかな。

    たいして面白くない中、ほっこりするのは檀ふみらの子どもの頃の描写。「チチ、もう、ドッコも行かん?」かわいいけど切ないな……。
    あとは料理の描写になると、さすが。

    長男の一郎くん(太郎)の育て方、ただの放任主義だけど一理ある。
    「一郎。自分で信じられることなら、断頭台にかかるところまで、やったっていいよ。あとで人のせいにさえしなければね……」

    愛人・恵子の昔の関係を疑い、嫉妬しながらアメリカへ飛び立ち、下巻へ続く。

  • 火宅とは、仏教用語で、火の家におり、それに気付かず遊び呆ける様。物語は、性的放蕩、とでも言おうか。長い物語ゆえ、何にスポットを当てるか、障害を持った次男、大人しい後妻、多額の収入での飲み歩き、奔放な愛人。これらをキーワードに綴られる生々しい日常。落ち着いた生活、落ち着いた人間関係など持たず、ただ、自らの才能を欲望に変換し生きる日々。それはまるで、チャールズブコウスキーのような詩的な日常なのである。日常の切り売り。それを高く買ってくれるのであれば、男は自由だ。

    この切り売り、不思議と嫌な感じや羨ましい感じがしない。それは、素直な生き方への許容だろうか、あるいは、才能ゆえ、自らと比較する対象から外れているからだろうか。学生時代のモラトリアムがそのまま続くような甘美な怠惰。作家稼業を羨ましく思う一因である。

  •  最初はやや冗長な感じで読み進めていたが、次第に作者の破天荒な生き方に引き込まれて、即、下巻へと進む。

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