事件 (新潮文庫)

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著者 : 大岡昇平
  • 新潮社 (1980年8月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (599ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101065083

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事件 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • これも部長から、面白いと言われて借りたけど、確かに面白かった。捜査に不備があった事件ということで、刑事裁判の進展に沿って事実が見事明らかになって判決に至るけど、刑事裁判による真実解明の限界がしっかり描かれているのもまた見事。いろいろ正確。当時の刑事裁判の進行、時代を感じるけど、現在の公判迅速化のやり方や問題と通じるところもあり興味深い。ただ右陪席が家に帰って、判決前に妻に主文を言ってしまうのは、、、?

  • いや~、完全にノンフィクションだと思いました。それだけ描写が緻密で、実際の裁判風景が目に浮かぶようなリアリティが伴ってるってこと。もちろん陪審員制度はない時代だし(でも作中では触れられている)、前時代的に感じられる部分も少なくない。でも本当、実際の案件の中から印象的なものをチョイスして、素人にとっても平易な言葉で書かれていて、裁判の入門書みたいな感じも受けました。真実を追究する弁護の妙も真実味があって、法廷シーンはかなり引き込まれました。ゲームの逆転裁判やってるみたいに熱中してしまいました。面白かったです。

  • 話はなかなか面白く、裁判の流れもよくわかったが、説明が詳しすぎて、話の流れが途切れてしまう感じがありちょっと残念だった。裁判について勉強になりました。

  • 別の方のネタバレを読めばあらすじはそこで分かり、
    この題材をミステリーにしようとしたらこの書の1/4で終わりそうな内容ですが、
    裁判を通じて描かれるからこそその裁判での扱いの難しさやそこで気づくことの難しさを感じました。

    はじめは「大岡昇平がこんな小説書くんだ?」と驚きましたが・・・

  • 倒叙物というか『12人の怒れる男』系の作り、ただし容疑者は無実ではありませんが

  • 実際の事件のルポルタージュと思うような物語だった。

  • 小説としての内容は、それほど面白いわけではないが、事件から公判、結審までの流れが、とてもよくわかる本。
    勉強になった。

  • 人が人を裁く難しさを痛感します。テレビの法廷ドラマとは違って、淡々としたリアルさが胸に迫ります。はたして”真実”とはいったい何んだろうと考えさせられる作品です。

  • 「ソロモンの偽証 第2部」にタイトルが出てきたので。
    19歳の少年が恋人の姉を刺殺した事件についての裁判。制度や言葉についての説明が随所にあり、それが流れを止めるようなもどかしさもあったが、法廷モノを読み慣れていない私には、理解を深めるのにとても役だった。「ソロモンの偽証 法廷」のよい予習になったと思う。

  • 今、読んでもまったく古さを感じませんでした。たまに作者の説明が入るのが、面白かった。
    大岡さんの代表作も読んでみます。

  • ≪ストーリー≫

    厚木の田舎町で一人の女性が殺され、19歳の少年が逮捕された。
    少年の名は上田宏、殺された女・坂井ハツ子の妹・ヨシ子の恋人だった。
    ヨシ子は宏の子を妊娠し、未成年だった2人は駆け落ちをするつもりだった。
    妹の妊娠に気づいたハツ子は、必死にそれを止めた。
    「子供が子供を産んでどうする。私はそんなの認めない。どうしても駆け落ちするというなら、お母さんにも宏のお父さんにも言ってしまうよ」
    そうハツ子は宏に言った。
    それを聞いた宏はハツ子を山中に連れ出し、持っていたナイフでハツ子を刺殺したと言う。
    自分は死刑になっても仕方ない、とも。
    しかし、どうしてもどうやってハツ子を刺したのかが思い出せない。
    宏に殺意はあったのか、これは計画殺人だったのか。
    宏の弁護をする国選弁護人・菊地大三郎はどうも疑問が晴れない。
    上田という少年は、とても殺しをするような人間には見えなかったからだ。
    公判で新たな証人を調べる内に、どんどん怪しげな人物が現れる。
    ハツ子の店に多額のツケがあった大村吾一。
    ハツ子に度々金の無心をしていた恋人宮内辰造。
    そして、ハツ子に宏を取られることを心底心配していた妹・ヨシ子。
    全員が全員怪しいと思われる中、宮内の証言で事の真相が分かる。
    宮内は、2人のことが気になり山中に入って行った2人を覗き見していた。
    そして、ハツ子が宏の出したナイフに身を投げるように抱きついた姿を見たのだった。
    そう、ハツ子は愛する宏を自分の妹に取られたことで絶望し、自殺したのだ。
    2人だけを幸せにはしない――その一心で。
    宏は殺人罪については無実、死体遺棄の罪にだけ問われることになった。
    結局、宏とハツ子の間に肉体関係はあったのだろうか?
    それは、最後まで菊地には分からなかった。

  • 田舎でおきた少年の殺人事件の裁判を、被告、弁護人、検察官、裁判官の目線から丹念におっていく。
    法廷に小説やテレビに頻出するような驚きはない、と言いながらも公判が進むにつれ、新たな事実があきらかになる。
    が、結果的に小説らしい内容の驚きは少ないままおわる。

    殺人事件でもメディアで報じられるのは、よほどの注目事件でない限り、
    初公判の認否、求刑と判決くらい。傍聴席がざわつくようなこともめったにないのだろう。
    この、はじまりから終わりまで、それぞれの立場で真面目に脳ミソを回転し続けるやりとり。被告人席にたつのは無論、法曹の当事者としてもあまりかかわりたくはない。

  • 「愛と犯罪」の裁判を通して事実判定の難しさをわかりやすく読者に教えてくれる傑作。

  • 人間ドラマに展開していくのではなく、「裁判」というテーマの中に物語を封じ込めていて、おそらくそれゆえに「真相」について考えさせられました。

  • 刑事訴訟法入門として読める小説

  • 埴谷雄高さんの紹介より。

  • 日本に裁判員制度が2009年(平成21年)5月から開始される予定であるが、この物語は裁判がいかになされていくのかを、具体的事件で展開するので、多いに参考になる。その中では、アメリカ・イギリスでの陪審制、フランス・ドイツで行われている陪審制についても述べられている。
    裁判官に対する心証がいかに大切か、裁判官によっていかに判断が変わる恐れがあるか、取り調べる人間の精度の問題、自白の信憑性など、小さな事件とはいえ、殺人が絡む裁判ゆえに、ちょっとしたこと(どちら側に情がいくか)で判決は多いに変わりうる恐れを感ぜずにはいられない。

  • ケーススタディとして、本編を俯瞰すれば
    毎日起こる、殺人事件にはどれだけの人間の業の上に興りえたのかということがわかる。

    真実を突き詰めていくことが、唯一神に与えられた人間の所存なのだろう。
    神にどこまで近づけるのか、それをとことんまで果敢に挑戦したのが大岡昇平という著述家だということだ。

    真実は明かされる必要はない、ただそれを明かそうと努力する人間の所存は美しいと思う。

  • 裁判の仕組みがよくわかる。

  • 大岡 昇平 / 新潮社 (1980/08)

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