ぶらんこ乗り (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2004年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101069210

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有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
いしい しんじ
梨木 香歩
川上 弘美
有効な右矢印 無効な右矢印

ぶらんこ乗り (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 声は出せないけど
    ぶらんこが上手で
    動物と話ができて
    つくりばなしが得意な
    一人の男の子と、

    そしてその子の
    つくりばなしに救われた
    姉の物語。



    金城一紀の「映画篇」や
    ティム・バートン監督の「ビッグ・フィッシュ」
    に触れた時に感じた
    「物語の力」を
    これでもかと思い知らされた小説です。



    姉が喜ぶ顔が見たいがために
    ノートに書き綴った
    4歳の弟が考えたおはなしの数々。

    哲学的で考えさせられる話ばかりだけど、
    自分の胸には
    痛いほど響いてきました。




    命がけで手を繋ぐことで絆が深まる
    ぶらんこ乗りの夫婦を描いた
    「手をにぎろう!」


    そして声を失った弟の
    切実な思いが込められた
    歌を捨てた郵便配達員の話
    「うたうゆうびんはいたつ」
    には
    まんまと泣かされましたよ…(>_<)


    やがて弟は初めてのサーカスでぶらんこに魅せられ、
    この世のいろんなものと
    しっかり手を繋ぐために、
    誰よりも上手い
    ぶらんこ乗りになっていく。



    犬の伝言板として再生した
    「指の音」という変な名前の犬と
    声を無くした弟との
    向かい合う空中ぶらんこのような絆がまた
    なんともあったまるこな気分をくれるし、

    指の音の腹に書かれた
    最後の伝言はもう
    反則でしょ〜(泣)



    なぜ人は物語を必要とするのか?


    物語とは
    想像力の翼で空を翔る
    魔法の絨毯のようなもので、

    人間はその「物語」によって
    他者の苦しみや痛みを自分のものとして味わい、
    人を憂う心を身に付けていく。


    人間と他の獣を隔てるものは
    物語を必要とするかしないか、
    その一点に尽きるんだと思う。



    ラスト「冬の動物園」で鮮やかに見せてくれる
    希望の錬金術には
    誰もが泣き笑いになること必至。
    (いしいしんじやるじゃんって思った瞬間でした)


    シュールでへんてこだけど、
    いつまでも記憶に残る
    愛しい小説です。


    あなたに重なる物語も
    必ずここにありますよ。

  • H29.9.1 読了。

    ・いしいしんじさんの作品はこれが2冊目。なんとも不思議ないしいワールドに引き寄せられるように一気読みしてしまった。

    ・解説に『ほとんどひらがなで書かれた弟の語るおはなしは、何度読んでも胸がしんとなる。不思議な動物の話も、郵便配達の話も、すでに大人になってしまったぼくのふかいところで大切にかくし持っているもの、なくしてはいけないものを語っている。
     テレビのニュースも新聞も、近ごろそれが真実であるような気がしない。むしろぼくは、ありもしないウソのようないしいしんじの語るおはなしの中にこそ、より真実を感じてしまうのだ。』という言葉に自分の気持ちを代弁してもらっているように共感した。

  • わたしこれ大好きだ!
    いい本に出会えたなぁ!!
    ストーリーも、姉弟も、家族も、指の音(犬)も、すべてがいとおしい。
    いくら本人(本犬?)が喜んでも、犬の腹に文字かいちゃいかんだろ!と思ったけれども、それを差し引いてもすごくよかった。

    弟のつくるひらがなだらけのお話には、はっとさせられるものがあった。
    この絶妙な文章や視点は、まさに、“幼いけれどたくさんの言葉と感情を吸収した男の子”が作ったものに思える。
    「手をつなごう!」なんて、しびれるじゃないか!たまらない。

    そして両親から届いた、1通目の手紙の真相。
    小さいからだでノートにむかい、一生懸命言葉を選ぶその姿を想像すると泣けてくる。

    あぁすごく良かった。
    小中学生に読んでほしいな~と思ったけれど、この歳になって読むから文字だけじゃない部分を読むことができ、心に染みたのだろうか?

  • ハードカヴァーの方を挙げたいのだけど、わたしが読んだのはこちらなので、文庫版。いしいしんじ初の長編。
    おねえちゃんの一人称で語られる、弟との物語。「私」は弟のことをわかってあげられていなかったのでは、と悩むけれど、でも、「わかって」いなかったからこそ、弟にとっては意味があったのだろう。「わかって」いなかったけれど、「わかって」いないまま、そばにいて、みていてくれたから。孤独は誰のなかにもあって、そのひと個人に属するよりほか、仕方のないもの。手をつなぎあうことは、いつだっていのちがけだ。
    いしいしんじの描く孤独は、ふるえるほどにありのままで、でもだからこそ、胸に響く。その孤独を抱えているからこそ、人々はつながりあうのだろう。

  • おとうとのひらがなで書かれた日記を紐解いて語られていく家族の物語。ぶらんこはあとよとこの世を行き来して本当のことも本当じゃないこと飲み込む。雹や雪のように、別け隔てなく世界に振り注ぐものたちのように世界を包む優しさを、どうして幼かったおとうとは持つことができたんだろう。

  • 10年くらい前、いしいしんじさんの本が苦手で読めなくて、こないたクーツェを読んでみたらおもしろく読めて、もうだいじょうぶなんだとぶらんこ乗りを読んでみたらぜんぜん読めなかった。ずっとつらい。

  • 1ページめから、もうぐっときてしまいました。こんなふうに感じさせてくれる作家さんなかなかいないです。いしいしんじさんがますます大好きになりました!

    一回読むだけじゃ足りないです。何度も何度も味わいたい素敵なお話。

  • 世界は哀しくて愛おしい。動物と話ができる弟の描く物語はどれも新鮮。こんな風に考えたことなかったな、と新しい気付きがある。(残酷な物語もありますが…)
    そして最後のおはなしで泣きました。姉の笑い声で世界に繋ぎ止められていた弟、弟の手紙で救われた姉。読んでよかったです。

  • たまらない。
    この雰囲気。

    賢くて
    動物と話ができて
    ブランコ乗りと指を鳴らすのが、誰より得意な男の子。

    そんな弟を持った、一人の女の子の物語。


    どうしよう。
    上手く言葉にできません。

    ぶらんこ、サーカス、夜の散歩
    絵はがき、夜ふかし、犬の掲示板

    この言葉が気になった人には
    とにかく、読んでみて欲しい。

  • 「ちょうどいい引力」
    いしいしんじさんの作品のリズムというのは、最初はものすごく独特で読みづらくわたしには感じられました。
    しかし、読み続けているうちに、とても心地よく心に馴染んで物語に引き込ませてくれる。そういう印象を受けます。

    そして、はっきりとしたメッセージが織り込まれていて、ダイレクトに胸を打たれたように感じました。

    ぶらんこ乗り、赤いつけ鼻、たくさんの物語、すべてのものが語る声にならないふるえ。

    ここはとても、とても、いいところ。

    ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ。

  • 家族(飼い犬も含めて)の愛情に満ちた、美しいお話でした。
    引力っていい言葉だ。ちょうどいい距離で、お互い支え合っているような感じがする。
    いしいさんて、こんなおはなし書く人だったんだ。ちょっと不思議だけど、すごく惹きつけられます。

  • 誕生日プレゼントに貰った本で
    なんて日本語ってすごいんだろうって思った。

    ひらがなの魅力についてこんなに衝撃をうけるとは!

    優しい雰囲気
    危なげな空気感
    じわりじわりと感覚で自分に落ちていく感じ。

    ああ、なんだか不思議。
    『ぼく』の気持ちがリアルに見えるみたい。
    風景もまるで本当に見えているかのよう。

    読んでいるけれど感じているという
    不思議な感覚に陥った一冊。
    トリップしたのだ、きっと。

  • ずっとゆれているのがうんめいさ。けどどうだい、すこしだけでもこうして
    おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ

  • 今年に入ってはじめて知った作者「いしいしんじ」。
    名作『トリツカレ男』の次に読んだのは、作者第一長編である本作。
    これまた実に良い物語。

    「BOOK SHORTS」に彼へのインタビューが掲載されていた。
    大変興味深いところがあったので、以下に抜粋。


    ─『悪声』では、声というモチーフがありましたが、『ぶらんこ乗り』(新潮文庫)でも、“弟”が声を失いました。その二つに何か関係性はありますか。

    ─二つを関係付けようという意識はありませんが、僕にとってすごく親しみやすいモチーフというのがいくつかあります。「声」もそうでしょうし、「犬」もそうですね。「音楽」というのもある。自分ではあまり意識していないので、指摘されるとああそうだったと気づくことがありますね。

    ─そういうものなのですね。

    ─僕は二、三年前から、色々な作家の処女作から絶筆までを順々に読んでいくという読書をしています。最初、ドストエフスキーでやってみたら結構面白かったので続けているんです。これには様々な効能があります。ドストエフスキーであれば、作品ごとに視線がどんどん上がってくる、ということがわかるんです。最初は地面の下あたりから色々なものを見ているんですよ。それが、『罪と罰』のあたりで何かフッと人間から抜けるんです。それで『カラマーゾフの兄弟』の最終3ページくらいというのは、すごいんですよ。時間も越えて飛び回っている。順々に読んでいくことで、そういうことにリアリティを持って読めるわけです。


    ドストエフスキーかぁ。
    恥ずかしながらまだ一冊も読んだことがない。
    以前、村上春樹の作品を処女作から順々に読んでいったことがある。
    ずいぶんと楽しかったのを思い出す。

    そう言えば、いしいしんじと村上春樹はちょっと似ているような気がする。
    現実感と虚構感が入り混じる作風とか、レコード収集が趣味のところとか、顔とか。


    いしいしんじさんインタビュー【BOOK SHORTS】
    http://bookshorts.jp/ishiishinji/

  • 久しぶりに幻想的な本を読んだ。イメージがふよふよと形を変える感覚。
    空中ブランコのようにゆったりと、あちらとこちらを行来する。寂しい方と暖かな方とどちらも行き着くところで、今自分がどちらに近いのかわからなくなる。
    ダメだうまいこと感想が書けないや。ブランコって寂しい乗り物だよね。てことは思った。

  • ある人からオススメされて知った本。
    カテゴリーをファンタジーにしたけど、これは夢と現実がゆらゆら行き来している感覚。さながらタイトルのぶらんこのように。
    弟が紡ぎ出すおはなしはともすればかなりダークな物語ではあるものの、小さい子供の文体で書かれているからか、なんだか不思議な暖かみを感じる。
    最後は誰しもが受け止めなければならない事が起こるけど、自分はその時どういうことを思うのか、考えてしまった。

  • 書店員さんがすすめる本に載ってた本をちらほら読み始めてるけど、
    これは(文庫で出る前は)15年前の本か~
    そのころわたし何やってたかな

    この本も題名も作者名も聞いたことなかった
    ほんと知らない本ばっかりで困る

    すごいいい本だった
    泣けた泣けた
    おいおい泣けた(おいおいは泣いてないけど)

    弟がすごくかわいかったしかわいそうだった
    わたしがお姉ちゃんだったら溺愛してそう(お母さんでも)

    全部よかったけど(かなしいところも)
    動物の話を聞けるのはいいけど、聞いたことを参考にお話を書いてるとして、
    どうもマメ知識(かがくえほん)みたいな傾向が気になった(知ってるよ・・!)

    でもぺんぎんの話とかぞうのぶっとんだ話は知らなかった(あれほんと!???)ので
    もうちょっと大きくなったら甥っ子にしてあげよう
    あ、でも飼育員さんに怒られるかな

    この人のほかの本も読みたいな~~

  • 不思議な、そしてちょっと切ないけど優しい物語。
    いつか自分の家に図書館を作ったらそこに置いておきたい本。
    かっこいいおばあちゃんだけど本当に可愛そう。「飲もう、すべて忘れてしまおう」なんてかっこいい台詞。
    手紙も愛が溢れてる。
    でも、本当に弟の声どうしちゃったんだろう。ね?

  • とても可愛らしい物語。
    兄弟の絆を感じて優しい気持ちになれる。
    天才として生まれたが故の孤独感はなかなか理解が難しかったが、それを除けば弟はちゃんと「男の子」だったように思う。
    それにしても弟の声はどうしてしまったのか謎だった。

  • 文庫の表紙、刺繍がとても可愛らしい
    そして、著者の名前を反対から読んで見たりもした。

    不思議なお話でした。
    彼のお話の中で「うたうゆうびんはいたつ」が好き。

    そして「ローリング」は怖い・・・。あれ、本当なのかなぁ??
    本当なの?

    指の音 って名前の犬がいるのだけれどすごく不思議な犬で でも指の音が自分の体の右側半分の伝言を人に読ませる時の仕草がリアルに想像できてクスっと笑える。可愛い犬。

    お母さんとお父さんからの手紙が素敵だった。

    弟の寝ていたぶらんこの木が屋根までついててストーブも置けるってトコが全く想像できなかった。
    ぶらんこが揺れたら屋根も揺れる仕組なのかな?
    私の中では小屋みたいなイメージになってるんだけどブランコこいでるしなぁ。

    とにかく不思議な世界でした。 
    「絵」も笑えます。

    物語作家さん なんですって。 納得。

  • いしいしんじの「ぶらんこ乗り」。言葉っていうのは世界とつながるためのツールなんだなーと改めて。声を失った弟は、世界と関わる術を失いかけて、けれど自分が存在する術を物語に託した。あっち側の引力に逆らって、物語を通じて手を差し伸べて、それを姉は無意識のうちに掬い上げていた。
    後半につれて、姉があっち側に引き込まれそうになっていく。それを今度は弟が物語で掬い上げる。姉弟はまるで二つのぶらんこのように近づいては離れてを繰り返して、それでも物語を通じて一瞬一瞬、いのちがけで手を繋いでいた。最期には大きく振れて離れていたぶらんこが近づいて行って!何というか!すごいやさしくて素敵な文章にぐっと引っ張られていつのまにか読み終わってたのでありました。弟の作る話ぜんぶぐっときてしみるけど「手を握ろう!」がいっとう好き。

  • 私にも弟がいるので、読んで切なくなった。たぶんまたいつか読み返すだろう。

  • 不思議で、二回読んだ

  • 不思議な作品

     主人公が作るショートショートがなかなかおもしろい。ふわふわ感があっていい味だ。ホントかな?と思ったら、動物の話はホントだそうな。

     また、ストーリーもいい。生き物の声が聞こえるなんていいじゃないか。いや、向こう側の声が聞こえるんだな。驚きの展開もさらっと語られる。そして、主人公が書いてくれた手紙。ここが一番じわっときたなぁ。後の手紙も向こう側からの手紙かなぁと思うな。

     その後は、そのまま流れに沿って。なんだかよくわかんないエンディングなんだが、向こう側との境界を雹や雪で示す感じは好きだな。

     1,001冊目はなかなかいい物語だった。満足だ。

  • 声を失った弟。
    指の音を鳴らすのが得意で、ぶらんこが好きで、動物の話がわかる弟。
    「あっちがわ」の引力にぐっとたえて、孤独を背負って、ノートにお話を書く。
    おねえちゃんがよんで、わらうのがすきなんだ。


    半分過ぎたくらいからずっと泣きっぱなしで読みました。
    なんでかなあ。
    悲しいの一言では表せない不思議な世界観。
    子どもの頃の気持ちに戻ったような…漠然とした不安とか不気味さがありました。

    最初は弟の作る話がわからなかった。
    読み進めて、弟が得体の知れない何かを背負って、それでもおねえちゃんのためにお話を書いてるっていうのがわかって。

    自分にも弟がいるからかな、何だか言葉で言い表せない、
    悲しい、温かい、切ない、ごめんね、さみしい、ありがとう、とか、いろんな感情をまぜたような気持ちになって、涙が出てきました。

    「最後のおはなし」は号泣。
    弟は全身全霊でおねえちゃんを支えたんだ。

    弟はもういない。
    あっちがわに引っ張られちゃったのかな。
    だけど、
    きっと行ったり来たり。
    ぶらんこ乗りみたいに。

    全体の至るところにハッとさせられたりうんうんって頷けたりする、ちっちゃい宝石みたいな言葉が散りばめられていました。

    他の方のレビューを見ると、弟が作る1つ1つのおはなしからもっと何かを感じ取れれば…と思ったので、今回は☆は4つで。

    素敵なお話でした!

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ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。-天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて…。物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい第一長篇。

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